普通郵便局
テンプレート:出典の明記 普通郵便局(ふつうゆうびんきょく)とは、郵政民営化以前に存在した郵便局の分類のひとつで、「特定郵便局長を長とする郵便局以外で簡易郵便局を除く郵便局」である。内部の規則上はこれ以外に定義はない。
目次
経緯
- 1886年3月 地方逓信官官制により、一等・二等・三等の三等級に区分された[1]。
- 1903年3月 通信官署官制により、特定三等局規程が定められ、業務規模が拡大した三等局は「特定三等局」として区別されることとなり、従来の三等局と異なり、経費、事務員の任免など業務運営の一部を直轄する一等局長などが行うこととなった。
- 1937年10月 一等、二等、特定三等郵便局が普通郵便局へ改称され、その他が特定郵便局と改称された。
集配普通局と無集配普通局
実質の業務上では、
に分類される。
集配普通局と無集配普通局との違いは、単純に集配事務を行うか行わないかの違いであり、局規模等にはよらない。また事業上は郵便事業上における分類であり、貯金保険の集金等を行う外務員が配置されているかどうかにはよらない。
したがって、無集配普通局はさらに便宜上以下のように分類できる。
- 貯保外務配置局
- 貯保外務非配置局
集配普通局
集配普通局はその名の通り集配事務を取り扱う局であるが、一部純粋に配達のみを行い、取集業務は行わない局がある。この場合、近隣局が当該局区内の取集を行っている。例として、名古屋中郵便局があてはまる。取集は名古屋神宮郵便局が行う。
銀座郵便局(東京都中央区銀座8丁目)は、郵便業務の中でも冊子小包の大量差出や、超特急郵便などを専門に行う局であったが、2004年9月27日に集配業務を開始した(中央区、港区の各一部)。芝郵便局、京橋郵便局管内の郵便物の差立区分や配達区分の業務の集中処理を行っている。銀座郵便局は貯金業務を行っていないため、かつて併設されていたATMは京橋郵便局の出張所扱いであった。
統括局
47都道府県の都道府県庁所在地に所在する中央郵便局[2]は統括局といい、例えば局長のランクが高いなど、特別の地位が与えられている。中央郵便局は他に政令指定都市(相模原市・浜松市・堺市を除く)、北海道の函館市、旭川市、釧路市の各市[3]に配されていて、上記の地域区分局であることが多い。また、近年は郊外に集配普通郵便局を設置し、中央郵便局から地域区分局業務を移管することが多い。
無集配普通局
集配業務を取り扱わない普通郵便局で、民営化直前、全国に58局設置[4]されていた。この中には、横浜及び名古屋郵便集中局、成田空港、中部国際空港局が含まれ、都道府県別では、東京都が最も多く、国会内郵便局など29局が設置されていた。
なお、民営化直前の2007年7月には、あきる野郵便局福生分室など貯金・保険を取り扱う分室8局が廃止され、無集配普通郵便局が設置されている。
輸送局
無集配普通局には、かつて輸送局という分類があった。これは鉄道郵便局廃止後、全国に6局設置されたが、順次廃止され、東小倉輸送局を最後に消滅した。
貯保外務配置局
無集配普通郵便局の貯保外務配置局には、石川県金石郵便局、宮城県仙台南郵便局が該当する。
地域区分局・起点局・集中局
地域内の郵便物を集約し、他の地域への郵便物を取りまとめる郵便局を地域区分局と称する。このほか、いくつかの集配局の郵便物を集約し、地域区分局へ送付する郵便局を起点局といい、主に普通郵便局がこれにあたる。地域区分局では郵便物を配達局及び地域別に仕分ける作業を24時間体制(日勤・夜勤交替制)で行っており、遠隔地宛の郵便物を輸送する大型トラック(高速郵便車)も24時間休まず出入りしている(但し各家庭・事業所への郵便物配達は日中のみ)。
複数の集配局の取集業務を統合した郵便集中局が昭和50年代に名古屋・横浜に設置された。地域区分局としての役割もあるが、配達・貯金・保険業務は行わない。ところが、横浜では業務量の増加により取集業務がパンクし元の集配局に返上する事態となったため、単なる地域区分局となっている。配達をしないため無集配局に分類される。
再編計画
近年では輸送業務の効率化のため地域区分局の再編が進んでいる。今後、民営化や郵便物数の減少などにより一層の効率化が求められるため、さらなる再編も予想される。
北海道地方
2002年7月、旭川空港に近い旭川東郵便局を新築移転の上、旭川中央郵便局の地域区分業務を移管した。
東北地方
2000年以降、山形県では山形南郵便局、宮城県では新仙台郵便局を設置することで、地域区分局業務(民営化後の郵便事業の統括支店)を各中央局から移管している(いずれも、近隣集配局の集配業務を統合している)。
関東地方
2006年11月20日に新越谷郵便局が無集配普通局として設置され、さいたま新都心郵便局、越谷郵便局から小包郵便物に係る地域区分局の移管も行われている。また2007年3月からは銀座郵便局で行っていた冊子小包等の大量差出の処理業務が移管された。
2012年4月には、浦安支店の区分業務を松戸南支店に移行している(ゆうパックは、いったん千葉西ターミナル支店に移された後、先行して松戸南支店に移行)。
北陸地方
2011年9月に富山南郵便局(当時、郵便事業富山南支店)から新設される富山西郵便局(当時、郵便事業富山西支店)に地域区分業務を移管。
東海地方
愛知県の豊橋南郵便局の地域区分局業務を豊川インターチェンジに近い豊川郵便局へ移管する計画が浮上している。
近畿地方
中央郵便局が県の西端にある滋賀県では地域区分郵便局を大津中央郵便局から名神高速道路栗東インターチェンジ最寄の栗東郵便局または近江守山郵便局のいずれかへ移管する計画がある。
中央郵便局が県の北端に位置しかつ高速道路からも遠い奈良県の奈良中央郵便局では地域区分局業務を分離して郵便事業新奈良支店(仮称。郡山インターチェンジ に近い大和郡山市横田地区が有力)への移管の計画がある。
京都府福知山郵便局管轄(62)のうち、京都市に近い亀岡市と南丹市と京丹波町の分は京都中央郵便局へ移管の計画がある。
新神戸支店(仮称。神戸市北区の吉尾ランプ付近が有力)の計画があり、兵庫県のうち65神戸中央郵便局、66尼崎郵便局(66の小包は新大阪郵便局)の地域区分局業務の移管、再編が予定されている。
中国地方
人口が少ない鳥取県・島根県では地域区分郵便局を松江中央郵便局に統合する計画がある。岡山県や山口県では県内の地域区分郵便局の統一、岡山県に新岡山郵便局設置の計画も予定されている。
四国地方
現時点では計画・予定なし。
九州地方
福岡県では、2007年3月26日に新福岡郵便局を開局、81博多郵便局と82飯塚郵便局の地域区分局業務の移管、再編が実施された。またこれに併せ、飯塚局管轄のうち瀬戸内海沿岸にある京築地域(87の吉富町を除く)の統括と82地域の小包に関する業務が80北九州中央郵便局へと移管された。博多郵便局の建物の再開発計画により、同居する郵便事業博多支店(統括支店機能は新福岡支店設置後も一部存続)は、2010年9月21日に同区大井一丁目に分割設置された(2012年10月に博多北郵便局へ改称)。
当初「新熊本郵便局(仮称)」として建設され2004年に開局した熊本北郵便局は、2002年に開局した新仙台郵便局・新金沢郵便局とは異なり、集配特定郵便局「菊陽郵便局」の移転・局名改称・局種別改定であるため、郵便事業専門の郵便局としての発足ではなく、菊陽郵便局が行ってきた郵便貯金・簡易保険の業務も引き継いでいる。併せて、宮崎中央郵便局及び鹿児島中央郵便局から小包の地域区分局としての機能が移管されており、南九州地域3県の小包業務を強化させている。
民営化に伴う措置
2007年10月1日の民営化実施後は、「普通郵便局」「特定郵便局」といったカテゴリーは「簡易郵便局」を除いて全廃され、以下の通りに分けられた。
- 郵便局株式会社が設置する郵便局→2012年10月からは日本郵便株式会社が設置する「郵便局」
- 郵便事業株式会社が設置する直営店→2012年10月からは日本郵便株式会社が設置する、ゆうゆう窓口のある「郵便局」ないしはゆうゆう窓口のみを設置する郵便局(新岩槻郵便局はゆうゆう窓口の設置がないが、後者のカテゴリに相当)。
- 株式会社ゆうちょ銀行が設置する直営店
- 株式会社かんぽ生命保険が設置する直営店
- 簡易郵便局
2は、各郵便局で集められた郵便物を集約し、他の地域とやりとりする業務を専門的に行う郵便局が該当する(例:新東京郵便局、名古屋郵便集中局、新大阪郵便局)。地域によっては無い。5は、原則として郵便局株式会社、郵便事業株式会社以外の者が設置者となるが、民営化後は設置者によっては一般の利用が不可となるケースがある。
また、地域区分局はほとんどが郵便事業会社の統括支店に移行した。
地域区分局
民営化に伴い発足した郵便事業株式会社における支社は、旧公社支社郵便事業部を引き継ぐ形で発足している。また、郵便事業株式会社の発足に伴い、地域区分局は「統括支店」と名称が変わった。
2010年7月1日のJPEXとの宅配便統合の際、一部地域では、ゆうパックの地域区分業務を郵便物とは分離し、統括支店ではなくJPEXから引き継いだ拠点(ターミナル支店)で実施する体制に移行した地域がある。しかし、郵便物とゆうパックとで重複する別個の輸送体制が必要となるなど非効率となった[5]ことから、この体制は1年余りで廃止となり、2011年8月28日以降、ほとんどのターミナル支店が廃止(元の統括支店の処理能力が不足する場合などを除く)され、ゆうパックの地域区分業務も統括支店に戻ることとなった[6]。
2012年10月1日に発足した日本郵便株式会社における地域区分局の一覧は下表のとおりである。
分課局と未分課局
普通局は集配事務の有無により上記のように分類されるが、一方で要員配置上から、以下の分類ができる。即ち三事業別に要員を配置する、単独定員配置局と、総合定員配置局である。これは課が設置されているかどうかとはまた違う分類であり、一部の未分課局には、事業別に要員が配置されている局が存在する。
分課局の課数は局の規模によって異なり、比較的大きい普通局では郵便課・貯金課・保険課・集配営業課・総務課の5課体制であることが多い。なお局によっては貯金課と保険課が一緒になった貯金保険課を設置し、貯金係・保険係と区別していることがある。管轄件数が多い場合は、第1集配営業課・第2集配営業課・・・という様に複数の課に分割している局もある。また集配営業課を設置せず、郵便課に外務職員を配置して集配を行っている局もある。最小は総務課と郵便課の2課体制で、貯金・保険は総務課で扱う。
未分課局では「課」を設置せず郵便内務係、郵便外務係、貯金保険係、総務係など事業別に要員を配置する。この場合、いわゆる係長相当職に総務主任(または局長代理)が充てられる。未分課局の多くは集配特定局からの格上げが多いため、一見しても普通局か特定局か見分けがつかないこともある。
民営化に向けての集配局統合で未分課局は統括センター傘下の配達センター(取集業務は行なわず、郵便物を配達するだけ)になることも検討されている。
貯金保険課の特徴としては、外務職員が貯金と保険の両方の取り扱うことが出来る点にある。貯金課・保険課が別々に設置されている場合は、所属している課の外務しかできない。
大規模局になると郵便課が細かく分けられ、郵便窓口課・普通郵便課・特殊郵便課・小包郵便課・法人郵便営業課などが設置されている。郵便関係の課長の上に部長職が設けられている(東京中央局、新東京局など)。また特殊な課として切手普及課(東京中央郵便局)・郵便企画課(大阪中央郵便局)などがあげられる。
分任局と渡切局
公社以前には、会計上、上記とはさらに別の分類として、分任局と渡切局とに細分されていた。これは事業別・あるいは課別に予算が組まれていた局と、一局に各事業分一括して予算が組まれていた局とに分類され、前者はその都度決裁を受け物品を調達していたのに対し、後者は責任者の判断で、随時調達できるという違いがあった。しかしながら、情報公開請求で、渡切予算について疑問が投げかけられ、廃止に至っている。
脚注
- ↑ 一部『戦前期三等郵便局の経営実態』(田原啓祐 著)から参照
- ↑ 1987年7月1日の局名改称(青森局から青森中央局など)によりすべての局が中央局の名称となる
- ↑ 1990年7月2日、一斉に中央郵便局へ局名改称(函館局から函館中央局など)
- ↑ 出典:旧日本郵政公社統計データ 月報総覧
- ↑ 2011年3月14日・21日・28日付通信文化新報掲載記事『新生ゆうパック混乱の原因と改善すべき点 上・中・下』
- ↑ 2011年8月4日付カーゴニュース掲載記事『日本郵便が28日から「ゆうパック」のサービスレベルを変更』
- ↑ 北海道内から差し立てるもの及び新千歳空港到着となるものに限る。
- ↑ 北海道の08地域から差し立てるものに限る。
- ↑ 航空便により到着するものは同局羽田分室にて取り扱う。