四日市駅
四日市駅(よっかいちえき)は、三重県四日市市本町にある、東海旅客鉄道(JR東海)・日本貨物鉄道(JR貨物)関西本線の駅である。
本項では伊勢電気鉄道(後の近鉄名古屋線)がかつて設置していた四日市駅についても記述する。
目次
概要
市名を冠する駅であるが、四日市市の代表駅の地位は当駅から2kmほど西側の近鉄四日市駅に譲る。市街地、繁華街も近鉄四日市駅を中心に形成され、当駅は工場群が立地する臨海部に位置している。
駅東方の四日市港まで日本貨物鉄道管轄の側線(通称:四日市港線)2.5kmが伸びている。途中の千歳運河には国の重要文化財であり、現役唯一の可動鉄道橋の末広橋梁がある。また、当駅より塩浜駅までは、関西本線貨物支線が伸びている。
当駅には関西本線の列車のほか、河原田駅を起点とする伊勢鉄道伊勢線の列車も乗り入れる。
駅構造
島式ホーム1面3線を持つ地上駅である。2番線の南方約50m先を切り欠き、3番線としている。3番線は伊勢鉄道直通の普通列車(当駅始発)のみが使用し、架線はない。ホームと駅舎は跨線橋で連絡している。
駅構内・駅舎は広大であるが今では使われず閉鎖されている区画が多い。また、跨線橋にエレベーターやエスカレーターの設備がないなどバリアフリー対策が遅れていたが、2014年度にエレベーターが供用開始される予定である[1]。トイレは駅舎南側に設置されている。
東海交通事業の職員が業務を担当する業務委託駅で、桑名駅が当駅を管理している。深夜のほか、昼間でも短時間ではあるがみどりの窓口や出札口が閉まっている時間帯がある。なお、2012年3月31日までは、平日・土曜の昼間は駅内にあるJR東海ツアーズでもJR券類が購入可能であった。自動券売機は深夜帯に使用停止となる。自動改札機は無人の時間帯がある事から、扉なしの簡易型である。TOICAは名古屋駅から当駅までが利用可能であり、亀山方面へは利用できない。
ホーム | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:Color関西本線 | 下り | 亀山方面 | |
テンプレート:Color伊勢鉄道線経由 | 津・松阪方面 | 特急・快速 | ||
2 | テンプレート:Color関西本線 | 上り | 名古屋方面 | 一部1番のりば |
3 | テンプレート:Color伊勢鉄道線直通 | 津方面 | 普通列車 |
貨物駅
コンテナホームは4面、コンテナ荷役線は7線ある。ホームは、駅舎に近い側から島式1面2線、単式1面1線、島式1面2線、単式1面2線の順に配置されている。最も東側のホームは海上コンテナ・大型コンテナ専用で、ホームに近い荷役線も舗装されている。なお、駅舎に最も近いホームは使用されておらずコンテナ置場となっている。このホームの北端に、営業窓口のJR貨物四日市営業支店がある。
構内には複数の留置線と2本の検修線があり、検修庫が1棟設置されている。この検修庫では、四日市周辺で運用されるコンテナ車や石油輸送用タンク車、炭酸カルシウム輸送用ホッパ車などの点検を行っている。
駅構内北端からはコスモ石油専用線が分岐し、本線東側に沿って北上する。専用線の終端、三滝川付近に同社四日市製油所のタンク車用石油荷役線が4本あり、石油製品の積み込みが行われている。荷役を終えたタンク車はJR貨物のディーゼル機関車により発送される。空車の受取は日本通運が保有する小型ディーゼル機関車が行う。
駅構内南端からは旧四日市港駅へ向かう側線が分岐する。前述の末広橋梁の先にある着発線は北側で再度分岐し、太平洋セメント専用線が接続する。専用線の終端には太平洋セメント藤原工場四日市出荷センターのセメント荷役設備があり、入換作業は太平洋セメントが保有するディーゼル機関車が行う。
取扱う貨物の種類
コンテナ貨物は、JR規格の12フィート・20フィート・30フィートコンテナ、ISO規格の20フィート・40フィート海上コンテナを取り扱っている。主な輸送品目は化学薬品・食品・清涼飲料水などである。また産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の取扱許可を得ており、これらが入ったコンテナも発着している。
車扱貨物は、コスモ石油専用線のガソリン・重油などの石油類、太平洋セメント専用線のセメントを取り扱っている。石油類は、当駅からタンク車で南松本駅(日本オイルターミナル松本営業所)へ発送される。セメントは、太平洋セメント藤原工場で生産され、三岐鉄道東藤原駅から当駅まで輸送される。 太平洋セメント専用線では骨材も取り扱っていたが、2012年2月29日を最後に輸送を終了した。
貨物列車
以下は2013年3月改正時点の設定である。
- コンテナ車を連結する高速貨物列車は、名古屋貨物ターミナル駅との間に1日3往復、タキ1000形タンク貨車のみで編成された高速貨物列車が南松本駅との間に1日1往復運行されている。
- タンク車などを連結する専用貨物列車は、下りの当駅終着が1日2本(1本は臨時扱い)、上りの当駅始発が1日3本(2本は臨時扱い)稲沢駅方面との間に運行されている。その他富田駅との間に1日5往復、臨時の上り貨車列車が1本運行されている。
- 塩浜駅との間にも下り1本と上り2本の専用貨物列車が、南四日市駅との間にも臨時の高速貨物列車が1往復のみ運行されている。
その他
利用状況
JR東海
「三重県統計書」によると、1日の平均乗車人員は以下の通りである。
年度 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|
1998年 | 2,420 |
1999年 | 2,421 |
2000年 | 2,407 |
2001年 | 2,319 |
2002年 | 2,252 |
2003年 | 2,247 |
2004年 | 2,209 |
2005年 | 2,258 |
2006年 | 2,197 |
2007年 | 2,232 |
2008年 | 2,238 |
2009年 | 2,210 |
2010年 | 2,266 |
2011年 | 2,359 |
2012年 | 2,387 |
JR貨物
2003年度の発送貨物は534,885トン、到着貨物は973,146トンであった。
駅周辺
西側には街路樹のある中央通りがあり、2kmほど行くと近鉄四日市駅がある。東側は四日市コンビナートの一帯となっている。
- タクシープール(駅前)
- ロータリー(駅前)
- 四日市市役所
- 四日市ハローワーク(四日市公共職業安定所)
- 四日市郵便局
- 四日市市立中央小学校
- シー・ティー・ワイ本社ビル - 地元四日市市のケーブルテレビ
- 国道23号(名四国道)
- 国道164号
- 住友電装本社
- 東邦ガス四日市営業所・ショールーム「リベナス四日市」
- 諏訪神社
バス路線
- 三重交通
- 1番乗り場
- 71系統 福王山(近鉄四日市経由)
- 94系統 市立病院(近鉄四日市経由) ※1日1本平日のみ
- 95・96系統 ガーデンタウン東日野(近鉄四日市経由)
- 2番乗り場
- 61系統 宮妻口(近鉄四日市・室山・高花平経由)
- 62系統 山本・椿大神社(近鉄四日市・室山・高花平経由)
- 63系統 小山田病院(近鉄四日市・室山・高花平経由)
- 64系統 高花平(近鉄四日市・室山経由) ※1日1本平日のみ
- 3番乗り場
- 95系統 四日市港(千歳町経由)
- 96系統 四日市港(曙町経由)
- 4番乗り場
- 01系統 市立病院(東新町・近鉄四日市経由)
- 02系統 近鉄四日市(東新町経由)
- 1番乗り場
- 三岐鉄道バス
歴史
かつて、伊勢電気鉄道線(のち近鉄名古屋線)が国鉄駅に隣接して四日市駅を設置して接続駅としたが、1956年(昭和31年)の善光寺カーブを始めとする急曲線の解消、短絡を目的とした経路変更により廃止し、西側の諏訪駅近傍に近鉄四日市駅を建設した。
伊勢電気鉄道はのちに四日市駅西口前の四日市市駅まで路線を延ばしていた三重軌道より四日市市 - 諏訪間の線路敷を譲受して桑名へ路線を延伸した。
- 1890年(明治23年)12月25日 - 関西鉄道が柘植駅から延伸した際の終着駅(一般駅)として開業。
- 1894年(明治27年)7月5日 - 当駅から桑名仮停車場まで路線延伸。途中駅となる。
- 1907年(明治40年)10月1日 - 国有化。
- 1909年(明治42年)10月12日 - 線路名称制定。関西本線の所属となる。
- 1915年(大正4年)12月25日 - 三重軌道 四日市市駅 - 諏訪前駅間が開業(近鉄内部線の前身)。
- 1916年(大正5年)3月3日 - 四日市鉄道 四日市駅 - 諏訪駅間が開業(近鉄湯の山線の前身)。1919年(大正8年)までに四日市市駅に改称。
- 1920年(大正9年)12月21日 - 四日市港駅までの関西本線貨物支線が開業。
- 1922年(大正11年)3月1日 - 伊勢鉄道(のちの伊勢電気鉄道)の新四日市駅開業(近鉄名古屋線の前身)。
- 1922年(大正11年)10月1日 - 伊勢鉄道 新四日市駅を四日市駅に改称。
- 1927年(昭和2年)11月29日 - 四日市鉄道 四日市市駅 - 諏訪駅間廃止。
- 1928年(昭和3年)1月29日 - 三重鉄道 四日市市駅 - 諏訪前駅間廃止。
- 1944年(昭和19年)6月1日 - 塩浜駅までの関西本線貨物支線が開業。
- 1952年(昭和27年)12月1日 - 四日市駅から三岐鉄道三岐線へ直通する旅客列車が運行開始。
- 1956年(昭和31年)9月23日 - 近鉄名古屋線が経路変更。海山道駅 - 四日市駅 - 諏訪駅(現在の近鉄四日市駅)間廃止。
- 1960年(昭和35年)2月28日 - 跨線橋が完成。
- 1964年(昭和39年)10月1日 - 三岐線直通旅客列車が廃止。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 四日市駅 - 四日市港駅間が廃止(路線自体は現在もJR貨物の側線として存続)。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 荷物の取扱を廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により東海旅客鉄道(JR東海)・日本貨物鉄道(JR貨物)の駅となる。
- 2006年(平成18年)11月25日 - TOICA対応改札機稼動開始。
- 2012年(平成24年)3月31日 - 構内のJR東海ツアーズ四日市店閉店。
その他
- バブル期からの計画として四日市市の再開発の一環で、近鉄四日市駅方面とを結ぶ中央通りを四日市港まで延伸するとともに、駅を高架化し貨物施設は霞地区へ移転させる案があったが、移転場所が具体化しない。
- 名古屋駅から四日市駅まで特定区間運賃を採用し、並行する近鉄よりも安価な運賃(JR460円、近鉄610円)で巻き返しを図っているが、利用者数および発着本数は圧倒的に近鉄の方が多い。なお、2009年3月14日改正で名古屋 - 亀山に快速が毎時1本設定され、日中の名古屋 - 四日市では快速「みえ」と合わせて毎時2本の快速列車が運行している。
- かつて四日市駅と富田浜駅との間に午起(うまおこし)駅が2度にわたって存在した。初代は「午起仮乗降場」で1931年7月7日に開業し、午起海水浴場利用客の便宜を図っていたが、戦後利用客の減少により1948年8月30日にいったん廃止となる。二代目は1954年6月1日に正式な駅として開業したが、三岐鉄道三岐線からの乗り入れの普通列車(気動車)のみ停車し、それ以外の列車は通過していた。牛起海水浴場が工場建設のため埋め立てられることになり、牛起駅も1964年10月1日に廃止された。
- 駅舎の南半分には、1階部にホールがあり、2階部にはかつてレストラン「こだま」が営業していたが、現在はどちらも使われていない。
隣の駅
- 東海旅客鉄道
- 関西本線
- 特急「南紀」停車駅
- テンプレート:Color快速「みえ」
- テンプレート:Color快速(当駅から南四日市方の各駅に停車)
- 桑名駅 - 四日市駅 - 南四日市駅
- テンプレート:Color区間快速・テンプレート:Color普通
- 富田浜駅 - 四日市駅 - 南四日市駅
- テンプレート:Color伊勢鉄道伊勢線普通
- 四日市駅 - 南四日市駅
- 日本貨物鉄道
- 関西本線貨物支線
- 四日市駅 - 塩浜駅
かつて存在した路線
- 日本国有鉄道
- 関西本線貨物支線
- 四日市駅 - 四日市港駅
脚注
- ↑ 駅のバリアフリー化進捗について - 東海旅客鉄道株式会社、2013年6月12日