JR貨物タキ1000形貨車

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タキ1000形貨車は、1993年平成5年)から製作されているガソリン専用の貨車タンク車)である。全車が日本石油輸送または日本オイルターミナル所有する私有貨車で、日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍編入されている。

概要

1984年(昭和59年)2月ダイヤ改正貨物列車の輸送体系が拠点間直行方式に改められて以降、貨物列車の運用は行先別・荷種別に集約する「専用列車」への転換が進行してきた。コンテナ列車は従来よりコキ50000系コキ100系などによる高速運転が主体となっていたが、タンク車など一般の車扱貨物に用いられる貨車は依然として最高速度は75km/hにとどまり、到達時分の短縮やダイヤを組成する際の懸案事項となっていた。

これを受け、専用列車のうち特に占める割合の大きい石油類専用貨物列車の高速化を図る目的で製作されたのが、本形式である。タンク車初の高速貨車として開発された本形式は、輸送効率と高速走行とを両立させた形式として、2013年現在も製作が続いている。

構造

ファイル:Truck ft21.jpg
FT21形台車(2006年10月 八王子駅

車体の基本構造は、タキ43000形のフレームレス構造を踏襲し、車高を下げ、タンク体の形状を変更して、荷重をタキ43000形の43tから45tに増大した。昇降ハシゴ・タンク上部の踏み板は軽量化のためアルミ合金を使用し、タンク体が大型化したため、車両限界に抵触しないよう手すり高さを低くしている。

台車はコキ100系コンテナ車のFT1形を基本とし、車高を下げるため直径810ミリメートルの小径車輪を用いたFT21形を採用した。最高速度は従来車両の75km/hから95km/hに向上している。軸重は15tのままで、運用線区は限定される。

外部塗色は所有者によって異なり、以下のパターンが存在する。

日本石油輸送所有の車両は、タキ43000形(243000番台)と同一のグリーンとグレーの2色塗り分けとされた。うち、新日本石油油槽所製油所の間で使用される一部については、タンク体右側に新日本石油の「ENEOS」ブランドマーク[1]エコレールマークが標記されている。 米軍の燃料輸送に使用されている物は積載物を表す米軍表記(JP-8等)が施されている。

日本オイルターミナル所有の車両は、同社伝統の青15号(インクブルー)で塗装されている。初期の車両はスカイブルーと銀色の帯を入れていたが、後に省略されタキ43000形・タキ44000形と同様の青一色塗りで導入されるようになった。既存の車両も検査時などで順次青一色に変更されており、帯ありの車両は数を減らしている。また、2006年度以降の製作車両ではカラフルな「矢羽」をあしらったステッカーを車体に貼り付けていたが、2011年から2013年頃にかけて検査時などに青一色に変更され、現在は消滅している。

現況

2013年(平成25年)7月現在、計932両が在籍している[2]。所有者は、日本オイルターミナルと日本石油輸送の2社で、両社が従来用いてきたタキ9900形タキ35000形などの35t積タンク車を順次置き換えている。

主に名古屋地区以東の地域で石油専用列車に使用され、線区によっては本車のみで編成された最高速度95km/hの高速貨物列車(列車種別:高速貨B)が運転されている。日本オイルターミナルではこの列車の愛称を「スーパーオイルエクスプレス」と命名している。

2007年以降、所有者間の移籍があり、青色車の旧社紋部分を緑色で隠蔽した上に新社紋を貼付する暫定措置を施された車両が一部に存在する。

脚注

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参考文献

  • 車両のうごき 2008-2009 私有貨車編/手塚一之 ‐ 鉄道ファン2009年8月号 『特集:JR特急形電車最新カタログ』
  • テンプレート:Cite book
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目

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テンプレート:日本国有鉄道のタンク車

  1. ENEOSブランドが制定された旧・日石三菱発足時にロゴの表示が開始されたもので、当初付された『日石三菱』の表記は社名変更に伴い順次『新日本石油』の表記に変更された。その後、2010年8月には合併による再度の社名変更(JX日鉱日石エネルギー)のため順次『新日本石油』の社名を白で塗りつぶし、新社名への書き換えの準備が進められている。
  2. 【JR貨】臨8862列車で新製タキ1000形6輌を輸送 (RMニュース) ネコ・パブリッシング 2013年7月29日