香川県立丸亀高等学校
香川県立丸亀高等学校(かがわけんりつまるがめこうとうがっこう、Kagawa Prefectural Marugame High School)は、香川県丸亀市六番丁にある公立高等学校。通称は「丸高(まるこう)」。
概要
1893年(明治26年)創立の香川縣尋常中學校(旧制中学校)丸亀分校と1899年(明治32年)創立の香川縣丸亀高等女学校を前身とする。校舎は丸亀城の南に位置する。2013年(平成25年)に創立120周年を迎えた。県内公立高校では第一学区の高松高校と並び最古の歴史を有し、伝統ある進学校である。全日制、定時制、通信制合わせて約1200名の生徒が在籍し、卒業生は4万人を超える。
校歌の作詞は中河与一、作曲は長谷川良夫。歌詞は3番まである。「亀城のほとり、富士のもと」で始まり、各番とも「いざ、進まむ」で終わる。
校訓は「終始一誠意」。人間の正しい心の在り方として、「始めから終わりまで事に当たって、また人に対して、実の心即ち真心を以って対し、持するところの節を変えない」という意味であり、旧制丸亀中学校時代の阿部虎之助第6代校長によって定められた。校内には大正天皇即位記念事業の一環として建てられ、子爵京極高徳によって書かれた校訓碑がある。
校内にある丸亀高校記念館は前身である旧制丸亀中學校の本館として建築され、当時日本では珍しかった北欧建築である。1959年(昭和34年)校舎改築に伴い取り壊される予定であったが、卒業生の強い要望と支援により現在の位置に移転した。また、1996年(平成8年)12月26日に国の登録有形文化財に登録された。卒業生である津島寿一、猪熊弦一郎、中河与一などに関する資料や作品、肖像画が展示されている。
西館にある図書館には、猪熊弦一郎の作品「風車と太陽」の原画を拡大し美術陶板で作った絵が壁画として描かれている。本校はこの他にも10点の作品を所蔵している。
明治時代に前身である香川縣丸亀高等女學校の生徒たちが袴姿でサッカーをする様子を撮影した写真が現存しており、これは日本における女子サッカー最古の記録であるため、丸亀高校は「なでしこジャパン発祥の地」と言われている。
教育方針
授業時間確保のため65分×5限の授業が行われている。2年生より文系・理系別のクラス編成になり、3年生では文理それぞれで成績上位40名が選抜され、「ダッシュクラス」と呼ばれる特進クラスが設置される。毎年、ダッシュクラスを中心に、東京大学、京都大学、大阪大学、神戸大学などの難関大学に多数の合格者を輩出している。
希望者を対象に土曜日午前中に「斯文土曜塾」という講座が開講され、受験対策講座や各予備校主催の模擬試験を実施している。
また、浪人生を対象として「補習科」が開講されており、受講を希望する卒業生は入科試験に合格することで、予備校に比べるとかなり安い授業料で授業を受けることができる。
沿革
- 1893年(明治26年) - 香川縣尋常中學校丸亀分校として開校
- 1898年(明治31年) - 香川縣丸亀尋常中學校として独立
- 1899年(明治32年) - 香川縣丸亀高等女學校開校
- 1906年(明治39年) - 香川縣丸亀高等女學校の運動会で「フートボール(サッカー)」が行われた記録。
- 1948年(昭和23年) - 学制改革(六・三・三制実施)により香川県立丸亀高等学校(男子校)と香川県立丸亀女子高等学校となる。
- 1949年(昭和24年) - 両校を統合し男女共学となり、香川県立丸亀高等学校となる。
- 1950年(昭和25年) - 校章を制定する。
- 1951年(昭和26年) - 現校歌「亀城のほとり……」を制定する。
- 1953年(昭和28年) - 津島寿一氏寄贈による津島杯争奪校内大会(球技大会)始まる。
- 1965年(昭和40年) - 第1体育館が竣工する。
- 1968年(昭和43年) - 理数科が設置される。(1学級)
- 1979年(昭和54年) - 理数科が廃止される。
- 1982年(昭和57年) - 第2体育館が竣工する。
- 1987年(昭和62年) - 西館(図書館、食堂、特別教室)が竣工する。
- 1990年(平成2年) ‐ 野球部が甲子園における第72回全国高等学校野球選手権大会に県代表として出場、ベスト8進出を果たす。
- 1993年(平成5年) - セミナーハウス・同窓会館が竣工する。
- 1996年(平成8年) ‐ 記念館が文化財登録原簿に登録される。
- 2000年(平成12年) ‐ 第82回全国高等学校野球選手権大会香川大会で優勝し、春夏連続甲子園出場を果たす。
- 2007年(平成19年) ‐ 香川県立丸亀武道館を所管。
- 2013年(平成25年) ‐ 新本館が竣工する。
学校行事
- これが丸高だ!祭(4月)
- 通称「だ祭」。各部活の部員が体育館で色々なパフォーマンスを見せ、新入生に活動を紹介する、生徒会主催の新歓行事である。
- 運動会(5月)
- 丸亀高校の運動会は香川県立丸亀競技場で行われる。始まりの入場行進は伝統があり、直前の2週間ほどは各クラスで入場行進中に行う仮装やダンスの練習が行われる。また、運動会の目玉イベントとして「X人Y脚」というものがあり、これはクラス全員による二人三脚である。
- 津島杯(7月)
- クラスマッチ。その名前の由来は卒業生である元大蔵大臣津島寿一である。
- 斯文祭(9月)
- 9月上旬に土曜・日曜の2日間行われる。運営は生徒会。1・2年生の各クラスと文化系の部活動、さらに一部の体育系の部活(なぎなた部・弓道部など)による研究発表や演奏会・発表会が催される。出し物は「クラス部門」「部活動・委員会部門」「いざ!合戦」の3つの部門で審査され、各部門の1位~3位が決定される。
- 寒稽古(2月)
- 心身の鍛錬を目的とした丸高独自の伝統行事で、1970年(昭和45年)から開催されている。男子は柔道か剣道、女子はエアロビクスかピラティスのいずれかを選択し、冬の3日間早朝に行う。最終日には参加した生徒全員にぜんざいが振る舞われる。
- 最終決戦(3月)
- クラスマッチとマラソン大会。最終決戦のマラソン大会は、丸亀高校に隣接する丸亀城内で行われ、通称「城マラソン」と呼ばれる。卒業生で漫画家の入江亜季の作品「群青学舎」では、この城マラソンが描かれている回がある。
生徒会
丸亀高校では、「生徒会=生徒全員で運営するもの」とされているため、会長・副会長などの役員は「生徒会本部役員」と呼ばれる。生徒会役員選挙は、毎年5月に行われ、会長・副会長・書記・会計を決定する。特徴として、選挙を経て役員になった生徒以外に、自由に入れる「自由役員」という役職があり、そのため丸亀高校の生徒会は役員数合計50~60人で県内最大規模である。 学校行事の大半がこの生徒会に委ねられているため、その活動は運動会や斯文祭(文化祭)、クラスマッチなどの企画・運営、文集「SPIRIT」の執筆・編集など、多岐にわたる。
部活動
- 生徒会直轄部
- 応援部
- 新聞部
- 吹奏楽部:1998年度、2000年度、2002年度に全国大会出場。
- 図書部
- 放送部
- 運動部
- 弓道部
- 剣道部
- テニス部
- サッカー部
- 柔道部
- 水泳部
- ソフトテニス部
- 体操部
- 卓球部
- なぎなた部
- バスケットボール部
- バレーボール部
- ハンドボール部
- 野球部:選抜高等学校野球大会 出場1回、全国高等学校野球選手権大会 出場4回
- 全国大会における成績は選抜高等学校野球大会 (香川県勢)および全国高等学校野球選手権大会 (香川県勢)を参照。
- 陸上部
- ワンダーフォーゲル部
- ソフトボール部:2010年度にインターハイ出場
- 文化部
- 英語部
- 演劇部:2003年度に「どよ雨びは晴れ」で全国高等学校演劇大会(全国大会)優勝。
- 音楽部
- 化学部
- 家庭科部
- 華道部
- 茶道部
- 社会部
- 写真部:2006年度に全国高等学校写真選手権大会(写真甲子園)四国代表で出場。
- 書道部
- 数学部
- 生物部
- 地学部:第2回国際地学オリンピックへ日本人初の出場。地質・固体地球科学部門金メダル、総合銀メダル獲得。
- 美術部
- 物理部
- 文芸部
- 将棋部
- 同好会
- メモ同好会
- 園芸同好会
著名な出身者
- 政界
- 津島壽一 - 元大蔵大臣
- 金子正則 - 元香川県知事
- 白川一雄 - 元参議院議員
- 加藤繁秋 - 元衆議院議員
- 山内俊夫 - 元参議院議員
- 磯崎仁彦 - 参議院議員
- 大野敬太郎 - 衆議院議員
- 瀬戸隆一 - 衆議院議員
- 大西秀人 - 高松市長
- 官界
- 入江誠一郎 - 元人事院総裁
- 岡川勝平 - 元日本銀行国際局長
- 齋賀富美子 - 元駐ノルウェー大使兼アイスランド大使
- 神余隆博 - 元駐ドイツ大使
- 阪本和道 - 内閣府審議官
- 白川進 - 元通商産業省基礎産業局長
- 田中健次 - 元環境事務次官
- 峰久幸義 - 国土交通事務次官、初代復興庁事務次官
- 軍人
- 司法
- 財界
- 高橋正忠 - 元四国電力会長
- 沢村貴義 - 元日本通運社長
- 高尾直三郎 - 元日立製作所副社長
- 河合正嘉 - 元高島屋副社長
- 大塚久子 - 三喜商事社長
- 片岡勝太郎 - アルプス電気創業者
- 則久芳行 - 三井住友建設社長
- 坊上卓郎 - 元日本ビクター社長
- 堀田正行 - 元阪急産業会長
- 松尾義武 - NECモバイル社長
- 森美徳 - 元井関農機社長
- 文化
- 猪熊弦一郎 - 画家
- 井下靖央 - 演出家
- 漆原輝 - NHKアナウンサー
- 小野益美 - バレリーナ
- 香川不抱 - 歌人(校庭に短歌の石碑あり)
- 白川一郎 - 洋画家
- 吉川洋一郎 - 作曲家、音楽家
- 中村光一 - ゲームクリエイター
- 中野美奈子 - フリーアナウンサー
- 野溝七生子 - 作家
- 中河與一 - 小説家
- 広谷鏡子 - 作家
- ぶるまほげろー - 漫画家
- 入江亜季 - 漫画家
- 春矢祐璃 - 宝塚歌劇団99期生
- 聖真一郎 - 翻訳家
- 教育
- 安藤一雄 - 元台北帝国大学総長
- 岡田實 - 元大阪大学総長
- 長尾優 - 元東京医科歯科大学学長
- 都崎雅之助 - 元茨城大学学長
- 田村実造 - 元京都女子大学学長、京都大学名誉教授
- 香川昇三 - 女子栄養大学創設者
- 横井弘美 - 元名古屋学院大学学長
- 戸倉ハル - 元日本女子体育連盟会長、お茶の水女子大学名誉教授
- 研究
- 小野公二 - 京都大学教授
- 鎌田輝男 - 福山大学教授
- 岸田秀 - 和光大学名誉教授
- 木谷収 - 東京大学名誉教授
- 斎賀秀夫 - 大妻女子大学名誉教授
- 佐藤勝彦 - 東京大学名誉教授
- 塩田咲子 - 高崎経済大学教授
- 島田和幸 - 自治医科大学教授
- 高津義典 - 香川大学教授
- 田辺孝二 - 東京工業大学教授
- 中村玄正 - 日本大学教授
- 箸方幹逸 - 東京経済大学教授
- 林英雄 - 大阪府立大学教授
- 深尾典男 - 長崎大学教授
- 福田一郎 - 東京女子大学名誉教授
- 堀家正則 - 大阪工業大学教授
- 三木成夫 - 東京芸術大学教授
- 三原憲三 - 朝日大学名誉教授
- 山川英明 - 金沢学院大学教授
- 山地秀俊 - 神戸大学教授
- 横関俊介 - 九州工業大学教授
- 吉田紘子 - 茨城大学教授
- 山神進 - 立命館アジア太平洋大学教授
- スポーツ
- 大豪 - 元大相撲力士
- 三原脩 - 元プロ野球選手(高松中学に転校)
- 香川秀光 - 元プロ野球選手
- 北村親夫 - 元プロ野球選手
- 清水善秋 - 元プロ野球選手
- 青木修平 - 慶應義塾大学野球部出身(1926年主将。東京六大学リーグ戦、春-優勝 秋-2位)
- 若松幸司 - 慶應義塾大学野球部出身(東京六大学リーグ戦1989年秋、対東京大学戦でノーヒットノーラン達成)
- 木村光宏 - 競艇選手
- 前田信弘 - サッカー選手
- 山田恵子 - 陸上競技選手