Southern All Stars (アルバム)
テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox 『Southern All Stars』(サザンオールスターズ)は、サザンオールスターズの9枚目のオリジナルアルバム。1990年1月13日発売。発売元はビクターTAISHITAレーベル。『SOUTHERN ALL STARS』という表記もされる。
後に1998年5月22日、2008年12月3日の計2回再発売されている。
解説
1985年の8枚目のアルバム『KAMAKURA』を最後に活動を休止したサザンが、1988年の活動再開とシングル4枚を経てリリースしたセルフタイトルアルバム。サザンオールスターズとしては初となるオリコン集計でのミリオンセラーを記録した。本作はアナログレコード中心だった音楽業界がほぼ完全にCDに移行した1990年にリリースされた。なお、このミリオン記録は初回盤と通常盤での合算であり、当時のオリコンチャートは品番の異なる同一作品でも別集計であったため、週間チャートでは別作品としてチャートインしていた。
本作はデジタルウォッチ付の初回盤と通常盤がそれぞれリリースされている。初回盤は¥3,300、通常盤は¥3,000、再発盤は¥2,300、2011年現在流通しているリマスタリング盤は¥2,500(すべて税込)。当時オリコンアルバムチャートは初回盤と通常盤が別集計であったため、通常盤は最高2位、初回盤は最高1位となっており、オリコンの合算方式により累計ではミリオンセラーになっている(通常盤は初動6位)。
ジャケットには交尾を思わせる2匹のカブトムシ(英語はbeetle)が写されている。初回盤及び少数出回ったLP盤、カセットテープではカブトムシは1匹になっている。桑田佳祐が強く影響を受けたビートルズを意識しているものであり、セルフタイトルという点では特に『ホワイトアルバム』(原題はザ・ビートルズ)を意識したものと分かる。
このCDのCDレーベルは通常透明のレーベルに緑色の字で「S A S」と大きく書かれているものであるが、1990年当時のCDレーベルは稀に赤いレーベルにカブトムシが2匹印刷されているものが存在する。
1998年の再発盤の初回限定盤は、オリジナルLP復刻ジャケット(いわゆる紙ジャケット)仕様で、山本晋也によるライナーノーツが封入されている。
本作はデビュー以降初めてサザン単独のセルフプロデュースとなったアルバムであるが、活動再開時や桑田のソロワークでサポートメンバーとして参加していた小林武史が、全面的にバックアップしている作品である(シングル作品は一部異なる)。この後暫くは小林とのダブルプロデュースや編曲といった形で製作されることとなる。
なお、ビクター音楽産業の規格品番がアルバムではこの作品から新方式に改められ、初回盤の品番はVIZL-1、通常盤はCD・カセットテープ・LPの順にそれぞれVICL-1、VITL-1、VIJL-1となっている。
収録曲
シングル収録曲は各シングルで説明しているため、ここでは説明を省略する。
- フリフリ'65
- 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ
- 愛は花のように (Olé!)
- 作詞:Luis Sartor/作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 小林武史
- 桑田本人が出演したNISSAY CMソング。全てスペイン語で歌われた初の曲。バックにはラテン系のコーラスが使われている。同年発売される桑田が監督を務めた映画『稲村ジェーン』の同名サウンドトラックにも収録されている。
- 悪魔の恋
- 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:サザンオールスターズ
- 歌詞は完全な語感重視で、「稲村ジェーン」という言葉も登場。仮タイトルにはAV女優の名前である「豊丸」が付けられていた。豊丸は1992年のシングル「シュラバ★ラ★バンバ」のPVにも出演した。
- 忘れられた Big Wave
- 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 門倉聡
- サウンドトラック『稲村ジェーン』にも収録。楽器音が一切無く、全て桑田の声の多重録音と指打ち音で歌われているア・カペラの楽曲。クレジット上はメンバー全員がボーカル及びコーラスとなっているが、実際はすべて桑田1人の声を重ねたものである。リクルート『B-ing』CMソングにもなった。タイトルの『Big Wave』とは山下達郎が音楽を監修した映画『BIG WAVE』や同映画のサウンドトラック『BIG WAVE』、アカペラアルバム『ON THE STREET CORNER』シリーズへのオマージュであると言われている。PVは製作されていないが、2003年のDVD『Inside Outside U・M・I』にイメージビデオが収録された。
- YOU
- 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:サザンオールスターズ
- アルバム曲としてはライブでもヒットシングル並によく演奏される定番曲である。スネアドラムが打ち込み音のようなかなり高い音を用いている。NISSAY CMソングにも起用された。
- ナチカサヌ恋歌
- 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ
- OH, GIRL (悲しい胸のスクリーン)
- 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:サザンオールスターズ
- 恋人と別れた少女の悲しみを歌ったバラード。後に『バラッド3 〜the album of LOVE〜』にも収録された。
- 女神達への情歌 (報道されないY型の彼方へ)
- 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:サザンオールスターズ & 門倉聡
- 25枚目のシングル。『夢で逢えたら』初代オープニングテーマ。
- 政治家
- 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:サザンオールスターズ
- MARIKO
- 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ
- ジャズ色に富んだ難解な曲。小林は「自分でもここまで作り込んだ曲はちょっとない」と語っており、「桑田さんのこういう情報量の多さは後の『愛の言霊 〜Spiritual Message〜』のような曲に繋がっていると思います」と語っている。サザン名義の楽曲ではスティーリー・ダンを最も意識した曲であり、全体的に作りこまれたサウンドである。しかしその再現がバンド形態では困難であるためか、ライブで演奏されたことは1度も無い。
- さよならベイビー
- 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 門倉聡
- 26枚目のシングル。
- GORILLA
- 作詞:LINDA OMORI/作曲:大森隆志/編曲:サザンオールスターズ
- 作詞はLINDA OMORI、作曲はギターの大森によるものであるが、大森のメインボーカル曲というわけではない。曲全体に比べ歌の部分が少ない上に語感重視なので、大森のギターを前面に出したインストゥルメンタルといった印象が強い。歌詞には大森の出身地である宮崎弁が密かに使われている。
- 逢いたくなった時に君はここにいない
- 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ
- 別れた恋人に対する後悔の念を歌った曲。歌詞は「Oh」「Ah」を除き、英語が一切登場せず、全て日本語で書かれている。サザンのファンである平井堅はサザンの楽曲で最も好きな曲であるとテレビ朝日系『ミュージックステーション』内で発言している。後に中村雅俊がアルバム「WITHOUT YOU」でカバーした。
参加ミュージシャン
- 桑田佳祐 - ボーカル(#1 - 5, 7 - 11, 13)、バック・ボーカル(#1 - 13)
- 大森隆志 - ギター(#1 - 3, 5 - 13)、バック・ボーカル(#1 - 13)
- 原由子 - キーボード(#1 - 3, 5 - 13)、ボーカル(#1 - 13)
- 関口和之 - ベース(#1 - 3, 5 - 13)、バック・ボーカル(#1 - 13)
- 松田弘 - ドラムス(#1 - 3, 5 - 13)、バック・ボーカル
- 野沢秀行 - パーカッション(#1 - 3, 5 - 13)、バック・ボーカル(#1 - 13)
- 小林武史 - キーボード
- 門倉聡 - キーボード
- 松本晃彦 - キーボード
- 菅原弘明 - シンセサイザー, コンピュータ・オペレーション
- 藤井丈司 - シンセサイザー & コンピュータ・オペレーション
- 梅崎俊春 - シンセサイザー & コンピュータ・オペレーション
- 小林武史 by the courtesy of MIDI Inc.
Guest Musicians
- 愛は花のように (Olé!)
- 北村健太 - パーカッション
- 小倉博和 - アコースティック・ギター
- Luis Sartor - バック・ボーカル
- 悪魔の恋
- 八木のぶお - ハーモニカ
- ナチカサヌ恋歌
- 古我知よしあき - Okinawa Instruments & Ohayashi
- 新城久美 - Okinawa Instruments & Ohayashi
- 神山静子 - Okinawa Instruments & Ohayashi
- 政治家
- Tommy Snyder - バック・ボーカル
再発
外部リンク
※前述でこの表記が使われることもあるとしたように、現在公式サイトでも大文字表記になっている。ただし、発売時の掲載及び原盤での表記は小文字を含んだものである。