ROCK AND ROLL HERO

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テンプレート:InfoboxROCK AND ROLL HERO』(ロック・アンド・ロール・ヒーロー)は、桑田佳祐の3作目となるソロアルバムである。発売元は、ビクターTAISHITAレーベル

解説

サザンオールスターズを一時休止した後に発表された。「バンドによる生音」をコンセプトに作られており、前年の「波乗りジョニー」や「白い恋人達」といったヒットシングルは収録されず、作風は1960年代から1970年代の洋楽ロックが中心である。ケースの裏には、ジョン・レノンのアルバム『ジョンの魂』の裏ジャケットを彷彿とさせる桑田の幼少時の写真、CD表面には“ROCK AND ROLL HERO?”と投げかけるように疑問符がつけて印刷されているなど、桑田なりの遊び心も含まれている。

初回出荷分はスリーブケースが付いており、ジャケットは「白地に黒文字」と「黒地に白文字」の2タイプが発売されている。歌詞カードにある桑田の写真もそれぞれ違う。収録内容は同一。アナログ盤も追って10月10日に発売。本作ではサザンや桑田関連のアナログ盤しては珍しく、収録曲順が異なっている。

ちなみに2001年のシングル曲は『TOP OF THE POPS』に収録されており、逆に「東京」および同シングルc/w「夏の日の少年」は未収録である。直後に発売されるベスト・アルバム『TOP OF THE POPS』とは、本人曰く「連作」である。そのために、『TOP OF THE POPS』のジャケットには『ex ROCK AND ROLL HERO』と書かれた看板が映っていると共に、本作から『TOP OF THE POPS』に収録された曲は無い。

収録曲「BLUE MONDAY」にはLOVE PSYCHEDELICOが参加している。

ちなみに、本作の週間ランキングでは1位を取り逃がしたために、1980年代、1990年代、2000年代の「3年代連続オリジナルアルバム1位獲得」の記録を出すことが出来なかった。1位を取っていれば、同記録としては本体サザンオールスターズに続き、史上2組目の達成となっていた(現在、オリジナル・アルバムで3年代1位を獲得しているのはサザンオールスターズとその後達成したSMAP稲葉浩志のみ)。

同年はソロでROCK IN JAPAN FESTIVALにも出演し、3年後の2005年にはサザンとしても出演した。

収録曲

CD盤 収録曲

  1. HOLD ON (It's Alright)
    アルバムリリース後の全国ツアー『けいすけさん、色々と大変ねぇ。』で1曲目として歌われた。アルバム中でも最初に作られた曲であり、レコーディングの開始時からライブの1曲目で歌うことを見据えて製作された曲で、「僕のステージを見て頂戴」「僕のブルースを聞いて頂戴」という歌詞に現れている。桑田はこの曲について、「メッセージソングとはちょっと違っていて、歌で何かを変えてやろうではなく、大衆の声として。世の中の欺瞞や矛盾を皮肉ってみせる、というか」「風刺というよりは酔っぱらいの愚痴みたいになっていたりもするんだけど、自分で言うのもナンだが、この曲は歌も演奏も素晴らしい」[1]と語っている
  2. ROCK AND ROLL HERO
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY/管編曲:山本拓夫
    タイトル曲。前年から続く「コカ・コーラ」キャンペーンソング。歌詞は、主に日米関係についての風刺となっており、冒頭の歌詞である「米国 (アメリカ)は僕のHero」とは憧れではなく、むしろ皮肉の意味である。歌詞にもコカ・コーラが登場するが、ここでは清涼飲料水ではなくドラッグの隠語として使われている。その楽曲のテーマ性から、テレビ朝日系SmaSTATION!!』の対外政策特集時には、この楽曲が使用された。本作収録の新曲としては、唯一PVが存在している。内容は、レコーディング風景や同年初出演したROCK IN JAPAN FES.02でのライブ映像に音源を組み合わせたダイジェスト的なもの。このPVは、『桑田佳祐 ビデオクリップス 2001〜2002 D.V.D. WONDER WEAR』に収録された。当初はもっとテンポが遅かったとのこと。仮タイトルは「ベラカミ」[2]
  3. 或る日路上で
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    曲名の通り、或る日路上で起こった交通トラブルが歌詞になっている。小川菜摘との出来事が元になったとの噂は、桑田自身が否定している。
  4. 影法師
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY/弦編曲:島健
    こちらもコカ・コーラキャンペーンソングになった。曲調から歌い方までジョン・レノンを強く意識しており、「ジョンが歌ったらこんな感じになるかな」という思考で製作された。ちなみに、間奏部分で桑田が咳込んでいる。
  5. BLUE MONDAY
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    同じレコード会社所属で、青山学院大学の後輩であるLOVE PSYCHEDELICOが、コーラスとして参加している。ニュー・オーダーの『Blue Monday』との関連はない。歌詞は、そのまま「憂鬱な月曜日」を表している。
  6. 地下室のメロディ
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    同年の年越しライブでは、この曲が年越しソングとなった。
  7. 東京
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    8thソロシングル。
  8. JAIL 〜奇妙な果実〜
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    レコーディングに行き詰まった桑田が、スタッフにSMクラブに連れて行かれたときの情景が歌詞になっており、副題の奇妙な果実は、ビリー・ホリデイの楽曲から引用されているが、本作での“果実”とは、SMクラブで裸で吊るし上げにされた男性スタッフの陰部を指しており、ビリー・ホリデイのそれとはテーマがあまりにもかけ離れている。
  9. 東京ジプシー・ローズ
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    タイトルの「ジプシー・ローズ」とはストリッパーを指している。
  10. どん底のブルース
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & 小倉博和
    ひたすらどん底の境遇に陥ったことを歌っている。同年の年越しライブで演奏された際、3番の歌詞が北朝鮮拉致問題についての歌詞に変えて歌われた。
  11. 夏の日の少年
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    「東京」c/w。シングルバージョンと基本的に同じだが、一部ボーカルが別テイク。Town & Country CMソングであった。
  12. 質量とエネルギーの等価性
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
    アルバムの流れである一昔前のロックではなく、21世紀型のロック的な曲。詞の内容は相対性理論で、一文一文は意味が通るが、詞全体を通してあまり深い意味は無い。歌詞中には、ケミカル・ブラザーズビートルズ、そして桑田佳祐の名が登場する。
  13. ありがとう
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & 原由子/弦編曲:島健
    冒頭の歌詞である「松の花咲く 砂の道」は桑田の母校、茅ヶ崎小学校の校歌から引用したものである。アルバムのラストを飾るバラードとして、作曲・レコーディングも最後に行われた。伴奏はピアノとストリングスのみであり、このアルバムのコンセプトとは大きく異なる曲。リリース直後のツアーでは唯一演奏されなかった。

アナログ盤 収録曲

Disc 1

  1. HOLD ON (It's Alright)
  2. BLUE MONDAY
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  3. ROCK AND ROLL HERO
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY/管編曲:山本拓夫
  4. 地下室のメロディ
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  5. 或る日路上で
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  6. 東京
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  7. 影法師
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY/弦編曲:島健

Disc 2

  1. JAIL 〜奇妙な果実〜
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  2. 夏の日の少年
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  3. 東京ジプシー・ローズ
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  4. 質量とエネルギーの等価性
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/英語補作詞:Tommy Snyder/編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  5. どん底のブルース
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & 小倉博和
  6. ありがとう
    • 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:桑田佳祐 & 原由子/弦編曲:島健

参加ミュージシャン

※アナログ盤に関しては曲順が異なるのみであるため、統一し省略する。

  • HOLD ON (It's Alright)
  • ROCK AND ROLL HERO
    • 斎藤誠:Electric & Acoustic Guitars, Hand Clap
    • 角田俊介:Bass, Hand Clap
    • 小田原豊:Drums, Hand Clap
    • 片山敦夫:Piano, Hand Clap
    • 山本拓夫:Tenor & Baritone Sax, Flute
    • 桑田佳祐:Vocal, Chorus
    • 角谷仁宣:, Computer Operation
  • 或る日路上で
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 小田原豊:Drums
    • 片山敦夫:Wurlitzer
    • 桑田佳祐:Vocal, Acoustic Guitar & Chorus
    • 角谷仁宣:Mono Synthesizer, Computer Operation
  • 影法師
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 小田原豊:Drums
    • 片山敦夫:Piano
    • 金原千恵子ストリングス:Strings
    • 桑田佳祐:Vocal, Electric Guitar Solo & Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation
  • BLUE MONDAY
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 河村智康:Drums
    • 片山敦夫:Vox Organ
    • 成田昭彦:Percussion
    • KUMI:Chorus, Shout
    • 佐藤直樹:Shout
    • SHANTI:Shout
    • 加藤茂:Shout
    • 藤原正剛:Shout
    • 山門雅代:Shout
    • 米谷秀人:Shout
    • 桑田佳祐:Vocal, Electric Guitars & Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation
  • 地下室のメロディ
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 河村智康:Drums
    • 片山敦夫:Vox Organ
    • 小田原豊:Tambourine
    • 桑田佳祐:Vocal, Acoustic Guitar & Chorus
    • 角谷仁宣:Mono Synthesizer, Computer Operation
  • 東京
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 河村智康:Drums
    • 片山敦夫:Piano
    • 桑田佳祐:Vocal, Electric Guitar (Including Solo) & Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation
  • JAIL 〜奇妙な果実〜
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 小田原豊:Drums
    • 片山敦夫:Hammond Organ
    • 桑田佳祐:Vocal, Electric Guitar, Keyboards & Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation
  • 東京ジプシー・ローズ
    • 斎藤誠:Electric Guitar, Chorus
    • 角田俊介:Bass
    • 小田原豊:Drums
    • 片山敦夫:Wurlitzer
    • 山本拓夫:Flute
    • 桑田佳祐:Vocal, Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation
  • どん底のブルース
  • 夏の日の少年
    • 斎藤誠:12st Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 河村智康:Drums
    • 片山敦夫:Hammond Organ
    • 桑田佳祐:Vocal, Acoustic Guitar, Harmonica & Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation
  • 質量とエネルギーの等価性
    • 斎藤誠:Electric Guitar
    • 角田俊介:Bass
    • 河村智康:Drums
    • 片山敦夫:Vox Organ
    • 桑田佳祐:Vocal, Electric Guitar & Chorus
    • 角谷仁宣:Noise, Computer Operation
  • ありがとう
    • 原由子:Piano
    • 金原千恵子ストリングス:Strings
    • 桑田佳祐:Vocal, Chorus
    • 角谷仁宣:Computer Operation

出典 

  1. 桑田佳祐『やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』P140、新潮社、2012年
  2. 桑田佳祐のやさしい夜遊び』2002年8月3日放送分。

外部リンク

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