雲母
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雲母(うんも)は、ケイ酸塩鉱物のグループ名。きらら、きらとも呼ばれる。特に電気関係の用途では、英語に由来するマイカの名前で呼ばれる事も多い[1]。
目次
成分・種類
雲母の化学式は一般的に I M2-3 □1-0 T4 O10 A2 で表される。
- I には主として K、Na、Ca が入るが、Ba、Rb、Cs、NH4 が入ることもある
- M には主として Al、Mg、Fe、Li、Ti が入るが、Mn、Cr、Zn、V が入ることもある
- □は空孔。
- T には主として Si、Al、Fe3+ が入るが、Be、B が入ることもある
- A には主として OH、F が入るが、Cl、O、S が入ることもある
純雲母(true mica)
2八面体
- 白雲母(muscovite) - KAl2□AlSi3O10(OH)2
- アルミノセラドン石(aluminoceladonite) - KAl(Mg,Fe2+)□Si4O10(OH)2
- 鉄アルミノセラドン石(ferro-aluminoceladonite) - KAl(Fe2+,Mg)□Si4O10(OH)2
- セラドン石(celadonite) - KFe3+(Mg,Fe2+)□Si4O10(OH)2
- 鉄セラドン石(ferroceladonite) - KFe3+(Fe2+,Mg)□Si4O10(OH)2
- ロスコー雲母(roscoelite) - KV2□AlSi3O10(OH)2
- chromphyllite - KCr2□AlSi3O10(OH)2
- boromuscovite - KAl2□BSi3O10(OH)2
- ソーダ雲母(paragonite) - NaAl2□AlSi3O10(OH)2
- nanpingite - CsAl2□AlSi3O10(OH)2
- 砥部雲母(tobelite) - (NH4)Al2□AlSi3O10(OH)2、愛媛県砥部町にちなむ
3八面体
- 鉄雲母(annite) - KFe2+3AlSi3O10(OH)2
- 金雲母(phlogopite) - KMg3AlSi3O10(OH)2
- シデロフィライト(siderophyllite) - KFe2+2AlAl2Si2O10(OH)2
- イーストナイト(eastonite) - KMg2AlAl2Si2O10(OH)2
- 白水雲母(shirozulite) - KMn2+3AlSi3O10(OH)2、白水晴雄にちなむ
- hendricksite - KZn3AlSi3O10(OH)2
- montdorite(端成分でない) - KFe2+1.5Mn2+0.5Mg0.5□0.5Si4O10F2
- 楊主明雲母(yangzhumingite): KMg2.5□0.5Si4O10F2、楊主明にちなむ
- tainiolite - KLiMg2Si4O10F2
- ポリリシオ雲母(polylithionite) - KLi2AlSi4O10F2
- トリリシオ雲母(trilithionite)(端成分でない) - KLi1.5Al1.5AlSi3O10F2
- 益富雲母(masutomilite) - KLiAlMn2+AlSi3O10F2、益富壽之助にちなむ
- norrishite - KLiMn3+2Si4O12
- tetra-ferri-annite - KFe2+3Fe3+Si3O10(OH)2
- tetra-ferriphlogopite - KMg3Fe3+Si3O10(OH)2
- ソーダ金雲母(aspidolite) - NaMg3AlSi3O10(OH)2
- preiswerkite - NaMg2AlAl2Si2O10(OH)2
- ephesite - NaLiAl2Al2Si2O10(OH)2
脆雲母(brittle mica)
2八面体
3八面体
- クリントン石(clintonite) - CaMg2AlAl3SiO10(OH)2
- bityite - CaLiAl2BeAlSi2O10(OH)2
- anandite - BaFe2+3Fe3+Si3O10S(OH)
- 木下雲母(kinoshitalite) - BaMg3Al2Si2O10(OH)2、木下亀城にちなむ
- 弗素木下雲母(fluorokinoshitalite) - BaMg3Al2Si2O10F2、木下亀城にちなむ
interlayer-deficient mica
2八面体
- イライト(illite)(系列名) - K0.65Al2.0□Al0.65Si3.35O10(OH)2
- 海緑石(glauconite)(系列名) - K0.8R3+1.33R2+0.67□Al0.13Si3.87O10(OH)2
- brammallite(系列名) - Na0.65Al2.0□Al0.65Si3.35O10(OH)2
3八面体
- wonesite(端成分でない) - Na0.5□0.5Mg2.5Al0.5AlSi3O10(OH)2
系列名
- 黒雲母(biotite) - 鉄雲母-金雲母系列、あるいはシデロフィライト-イーストナイト系列
- 海緑石(glauconite)
- イライト(illite)
- リチア雲母(lepidolite) - トリリシオ雲母-ポリリシオ雲母系列
- phengite - 白雲母-アルミノセラドン石系列、あるいは白雲母-セラドン石系列
- チンワルド雲母(zinnwaldite) - シデロフィライト-ポリリシオ雲母系列
産出地
変成岩、酸性火成岩などに普通に含まれる。黒色をしているものの多くが黒雲母である。
性質・特徴
薄くはがれるのが特徴。多くは六角板状の結晶で産する。モース硬度 2.5 - 3、比重 2.8 - 3.0。 テンプレート:節stub
用途・加工法
耐熱性で電気を通しにくい性質を持ち、半田ごて等の絶縁体として利用されている。雲母を誘電体(電荷をためる物質)に利用した電子部品のコンデンサをマイカコンデンサという。近年では、自動車や建築物等の塗料の材料の一部として使われることがある。
手鑑をつくる際、雲母の粉末を塗布した台紙に古筆を貼り付けることが行われた。後に古筆を台紙から引き剥がす必要が生じたときに、雲母が剥離するので、古筆自体への損傷を抑えることができる。
日本画の技法では、雲母を粉末にしたものをキラとよぶ。キラを顔料と混ぜて光沢を持たせた絵の具として彩色に用いられる。
脚注
参考文献
関連項目
- 鉱物 - ケイ酸塩鉱物 - 造岩鉱物 - 粘土鉱物
- 鉱物の一覧
- 吉良氏 - 「吉良」の語源は、三河国守護足利義氏の末裔の氏族が支配した吉良荘(愛知県西尾市及び幡豆郡)から「きら」すなわち雲母が採れた事である、とされる。
- 雲母坂 - (京都市左京区) 比叡山登山道。かつて雲母が採れたことによる地名とされる。
- 雲母社 - 松任谷由実の個人事務所。夫松任谷正隆主宰の「マイカ・ミュージックラボラトリー」も雲母の英語読みから。
- 日本理化工業所 - マイカ素材を使った製品の製造販売を行う企業。
- 日本マイカ製作所 - 集成マイカの製造特許を取得し量産化に成功したメーカー