関西国際空港連絡橋
テンプレート:Ja Route Sign 関西国際空港連絡橋(かんさいこくさいくうこうれんらくきょう)は、大阪府泉佐野市のりんくうタウンと関西国際空港島を結ぶ、橋長3,750mの世界最長のトラス橋である。関西国際空港島の唯一の陸上アクセスを担い、スカイゲートブリッジRの愛称が付けられている。
目次
概要
上部構造は、上に道路(6車線)、下に鉄道(複線)が走る2階建て構造で、さらに電気・ガス・水道・電話(固定電話)などのライフライン全てがこの橋を利用する。鉄道橋としては東北新幹線第1北上川橋梁の3,868mに次ぐ長さで、JR在来線・私鉄では最長である。管理者は、鉄道部分が新関西国際空港株式会社(以下、新関空会社)、道路部分が西日本高速道路株式会社(以下、NEXCO西日本)である。道路部分は2009年4月29日に関空会社からNEXCO西日本へ移管され、一般国道481号に編入された。
準大手ゼネコンの戸田建設の施工で1987年に着工し、1991年に竣工した。土木学会田中賞(1991年)受賞。100年に1回の大地震や台風にも耐えられるよう設計されている。
同橋道路部の両端(あわせて約1km)にはポール照明が、中央部(約1.8km)には高欄照明がそれぞれ採用されている。これは、航空法によって高さが制限されている事に加え、パイロットや船舶に対して有害な光を与えない為である。
愛称「スカイゲートブリッジR」の「R」は、「Road」、「Railway」、「Rinku」の頭文字を表し、「Rainbow」、「Relationship」、「Remember」などにも通じる。商標を表す「Registered trademark」とは関係なく、「スカイゲートブリッジR」も商標登録はされていない。
連絡橋の国有化
連絡橋は、関西国際空港株式会社(現・関西国際空港土地保有株式会社。以下、旧関空会社)が約1500億円で建設し管理していた。しかし建設費の有利子負債が旧関空会社の経営の足かせになっているため、国による買取・管理を強く求めていた。
2007年12月、連絡橋道路部分を国が旧関空会社から買い取る財務省予算原案が内示され、国有化の計画が決まり、2009年3月17日に国有化が閣議決定された。国有化のスキームとしては、国道481号の一般有料道路を新たに整備することとし、実際には建設に替えて旧関空会社から買い取るという形をとった。具体的には、2009年3月26日に連絡橋道路部分に相当する区間が国道481号の指定区間とされ、2009年4月16日に日本高速道路保有・債務返済機構(以下、高速道路機構)とNEXCO西日本との協定が変更されたことで、一般有料道路「関西国際空港連絡橋」の整備が確定した。ついで、2009年4月29日に連絡橋道路部分を国土交通省とNEXCO西日本が約700億円(資産価値は約780億円と試算)で買い取り、一般有料道路「関西国際空港連絡橋」が「開通」することになった。
これにより、道路上の案内標識は自動車専用道路仕様(緑色)となり、インターチェンジ番号も振られた。りんくうICが4、関西国際空港ICが5である。
2009年4月29日午前0時を以って、道路部分の管理はNEXCO西日本に引き継がれ、国道481号に編入された。同時に自動車通行料金も車種ごとに半額程度に値下げされた。NEXCO西日本が管理する他の有料道路と同様、保有しているのは高速道路機構である。
なお、今回の売却には鉄道部分は含まれず、引き続き関空会社が所有し、鉄道会社(JR西日本・南海)が使用する。2012年7月1日に空港の運営とともに鉄道部分も旧関空会社から新関空会社に移管された。
この国有化により固定資産税・年約8億円を得られなくなる泉佐野市は、通行車両から往復150円の通行税を徴収する条例案を2008年8月の市議会で可決していた。しかし、2009年2月に国土交通省より減収分を補填できる財政支援策が提案され、それを受け入れた市により、この条例は廃止された。その後改めて法定外普通税としての課税について検討が進められ、総務大臣の同意を得て、2013年3月30日より5年間の期限付きで全車種往復100円(障害者割引適用車両については50円)の関空連絡橋利用税の徴収を開始した[1]。
通行料金・運賃
道路
通行料金は、本州から来て空港島に入ったところにある料金所で往復分と利用税をまとめて支払う。 2009年4月29日から、道路の国有化、管理者の変更に伴い値下げが行われた。
次表は、値下げ後の通行1回あたり往復分通行料金である。2013年3月30日より5年間、下記通行料金に加え泉佐野市の関空連絡橋利用税として全車種100円が徴収される(ETC車はETCを通じて徴収)。
車種 | 軽自動車等 | 普通車 | 中型車 | 大型車 | 特大車 |
---|---|---|---|---|---|
料金 | 600円 | 800円 | 1,000円 | 1,300円 | 2,200円 |
次表は2009年4月28日までの往復分の料金である。土曜・日曜・祝日の軽自動車等と普通車は括弧内の額。
車種 | 軽自動車等 | 普通車 | 中型車 | 大型車 | 特大車 |
---|---|---|---|---|---|
料金 |
1,200円 (1,000円) |
1,500円 (1,000円) |
1,800円 | 2,700円 | 4,700円 |
回数券 (11枚つづり) |
12,000円 | 15,000円 | 18,000円 | 27,000円 | 47,000円 |
回数券は2008年9月20日をもって発売が中止され、料金が変更される2009年4月29日以降は使用できなくなった。未使用分については同日以降、関空第1駐車場管理事務所にて払い戻しを行う。
ETC
NEXCO西日本への移管に伴い、企画割引「移管特別割引」として深夜割引と通勤割引が導入された[2]。当初2009年8月31日までの期間限定とされていたが、延長を重ね[3][4]、2011年3月31日まで実施された[5]。2011年4月1日からは正式な深夜割引・通勤割引になったが、深夜割引の割引率は30%のままであった。2011年8月1日から他の地方部の高速道路と同じ割引内容になる[6]。
また、移管により、ETCマイレージサービスでポイントが付くようになり、ポイント還元額の利用も可能になった。
タクシーの通行料金
客を乗せて空港島に入ったタクシーは空車で(客を乗せずに)空港島を出なければならず、逆に空港島から客を乗せるには空車で空港島に入らなければならない。
連絡橋の通行料金は客が負担することになるが、客は片道しか連絡橋を通らないので、国有化されNEXCO西日本に移管される前(2009年4月28日まで)は、タクシーの通行料金は往復の1,500円ではなく、特別に750円(片道の料金に相当)であった。
しかしながら、この特例措置は国有化・NEXCO西日本への移管以降(2009年4月29日から)は廃止され、タクシーも通常往復料金の800円を払う事となった。
差額の50円や、片道分の400円を誰が負担するか(客が払うかタクシー運転手・会社が払うか)は、個々のタクシーにより対応が分かれていて、混乱が生じている。往復分を客が負担するタクシーの利用者にとっては、事実上50円の値上げであり、また片道なのに往復の800円を払わなければならないので、不公平感が生じている。
なおNEXCO西日本は、タクシーの通行料金について見直す方針はないとしている。
さらに、ETC時間帯割引に関しても問題が生じている。ETC時間帯割引の適用は空港島へ入ったところにある料金所を通過した時刻で判断されるため、空車で割引対象外の時間に空港島へ入り、割引対象時間帯に客を乗せて出る場合、客としては割引料金のつもりだが、実際にはタクシーは割引されていない料金を払わなくてはならない。これも上記の問題と同じく、混乱が生じている。
鉄道
- りんくうタウン駅 - 関西空港駅 : 片道370円(うち加算運賃170円)
- 日根野駅 - 関西空港駅 : 片道460円(うち加算運賃220円)
- 天王寺駅 - 関西空港駅 : 片道1,060円(うち加算運賃220円)
接続路線
道路
- りんくうJCTおよびりんくうIC にて
- 関西空港自動車道
- 阪神高速4号湾岸線
- 国道481号の無料区間(=関西空港自動車道の側道部分)
- 大阪府道29号大阪臨海線
- 大阪府道63号泉佐野岩出線
鉄道
※関空会社が第3種鉄道事業者
脚注
- ↑ 空港連絡橋利用税(関空橋税)について(泉佐野市ウェブサイト、2013年5月21日閲覧)
- ↑ 関西国際空港連絡橋(道路)の移管に伴う料金変更について - NEXCO西日本、2009年4月21日
- ↑ 関西国際空港連絡橋(道路)の移管特別割引の期間延長について - NEXCO西日本、2009年8月31日
- ↑ 関西国際空港連絡橋(道路)の移管特別割引の期間延長について - NEXCO西日本、2010年3月26日
- ↑ 関西国際空港連絡橋(道路)の移管特別割引の期間延長について - NEXCO西日本、2010年6月22日
- ↑ 高速道路の割高区間等の料金割引について - NEXCO西日本、2011年7月15日
関連項目
- りんくうタウン
- 関西国際空港
- 空港連絡鉄道
- 橋の一覧 (長さ順)
- 泉州国際市民マラソン - 1994年の第1回大会のみマラソンコースとして使用された。