鈴木鼓太郎
鈴木 鼓太郎(すずき こたろう、1978年6月18日 - )は、日本の男性プロレスラー。埼玉県蕨市出身。プロレスリング・ノアを経て、現在は全日本プロレスに所属。本名は鈴木 康弘(すずき やすひろ)。
目次
来歴
鈴木のプロレスとの出会いはプロレスゲーム「ファイヤープロレスリング」で、最初に愛用するようになったキャラクターは三沢光晴をモデルとした「氷川光秀」だった[1]。実際の三沢をテレビ中継で目の当たりにし、憧憬の対象とするのはその後のことである[1]。
小学校時代は卓球部に在籍し、中学・高校は柔道部に在籍した[1]。中学時代には既にプロレス技の練習にも励んでおり、三沢が扮する2代目タイガーマスクを真似しプランチャやタイガードライバーを決めていたほか、ムーンサルトプレスにも成功していたという[1]。
日本体育大学ではジムで体作りに励みながらその間に柔道以外の格闘技も経験。三沢に憧れて、2001年3月に旗揚げして間もないプロレスリング・ノアの入門テストを受験し、約200人の応募者の中から合格。さらには、練習生の段階から三沢の付け人となった。
当時の合格者4人の中で唯一デビューまでこぎつけ、2001年12月24日のディファ有明大会の対佐野巧真・金丸義信戦でデビュー(パートナーは池田大輔)、ノア生え抜き第1号となる。デビューと同時に三沢がリーダーを務める「WAVE」に加入。デビュー当初は本名で出場していたが、2002年2月2日のディファ有明大会より鈴木鼓太郎に改名。「太鼓のように打たれ強く、打てば響く選手に」との願いをこめて三沢が命名した。2004年11月20日、最初で最後となった三沢とのシングル戦では、本家にタイガードライバーを決めたものの、最後はエメラルドフロウジョンに敗れた。2005年3月5日にはZERO1-MAXの大谷晋二郎・高岩竜一戦の三沢のパートナーとして指名された。
2004年末に登場したタイガー・エンペラーと、2005年7月18日の東京ドーム大会で登場したムシキング・テリーの正体と噂されているが、真相は不明である[2]。
2007年1月21日、4度目の挑戦で自身初のタイトルとなるGHCジュニアヘビー級タッグ王座を獲得した。
2007年7月、団体初の公式リーグ戦である、日テレ杯ジュニアタッグリーグ戦に、リッキー・マルビンと共に参加。日本武道館での最終戦にて、引き分けという結果に不完全燃焼をおこした観客からノアでは珍しい程の大ブーイングを受けた[3]。
2008年6月29日の後楽園ホール大会で鼓太郎が盟友のリッキー・マルビンに強烈なイス攻撃を喰らわしコンビ解消。その後金丸と握手をし、金丸と平柳と組むことを選んだ。同年7月13日、博多スターレーン大会でKENTA&石森太二組が保持するGHCジュニアヘビー級タッグ王座に金丸義信と挑戦し31分の激闘の末に、レクイエムでKENTAからフォール勝ちをし王座奪取[4]。その後はヒール道を邁進、12月7日の再戦ではKENTAを血祭りにして返り討ちに成功。その実績を買われて、2009年1月25日の後楽園ホール大会のメインでGHCジュニア王座に挑戦。結果は惜敗したが、急所蹴り・鉄柱攻撃・凶器攻撃・目潰し・セコンド介入・西永秀一レフェリーへの誤爆などでKENTAをまたしても大流血に追い込む悪行三昧で新境地を開拓することに成功。
3月からは新ユニット「DIS OBEY」の一員としてモハメド・ヨネ・力皇猛・金丸義信・平柳玄藩と共闘、これにより鈴木は悪行にも一段と磨きがかかり、完全に極悪路線へと進んでいった。
ところが6月13日、試合中のアクシデントにより師匠の三沢光晴が急死。これをきっかけに今までのヒールファイトを封印し、三沢のファイトを受け継ぐと天国の三沢と約束した。
2009年12月23日、ムシキング・テリーとの試合中のアクシデントにより左膝前十字靭帯断裂および内側側副靭帯を損傷した。それもあり、金丸と保持するGHCジュニアヘビー級タッグ王座を返上した。
2010年9月18日の大阪大会における8人タッグマッチにおいて、金丸へのエルボー誤爆によりディスオベイを強制離脱。袋叩きの状況を小川良成によって助け出され、以後は小川と共闘。10月30日、潮崎豪・小川と共に新ユニット「潮崎軍」を結成する。そして12月5日、日本武道館においてV7を目指した因縁の金丸を14分49秒・タイガードライバーで仕留め、念願のGHCジュニア王座を獲得。その後、2011年に入ってエドワーズ・平柳・中嶋・石森・マルビン・ストロング・金丸を退けて7度の防衛に成功している。
2011年4月、反体制ユニット「NO MERCY」の対抗勢力として「ANTI NO MERCY UNION」(略称・ANMU)を結成し、リーダーとなる。
2012年12月、年内をもってプロレスリング・ノア退団が会社より発表、12月24日有明大会を最後に退団した。
2013年1月に行われた決起集会で、小橋からバーニングを託された秋山準をリーダーに、潮崎豪、金丸義信、青木篤志で再結成した。
1月26日、全日本プロレス「2013新春シャイニング・シリーズ」の最終戦に5人で来場し、参戦を発表した。
7月5日、全日本プロレスに正式入団。
人物・エピソード
- 実家は埼玉で焼肉店「焼肉ファミリー」を営んでいる。ノアのファンクラブイベントや番組収録もこの店で行われることが多い。
- ガンダム好きが昂じてアニマックスのガンダム特集特番にゲスト参加している。
- デビューしてから自身のイメージカラーの「青」を基調としたコスチュームを身に纏っているが、ヒールターンした際に一時期だけ赤を基調としたコスチュームに変えたが、Disobey脱退後は元の青に戻している。
- 師匠の三沢光晴と誕生日が同一である[1]。
主な得意技
かなりのガンダムマニアであり、自分の得意技の多くにガンダム関連の名前をつけている[5]。
フィニッシュ・ホールド
- ブルーディスティニー
- ゴリースペシャルの体勢に担ぎ上げ、相手の頭を両手で抱えつつ尻餅をついて衝撃を与える技。頭と脚がホールドされ衝撃が外に逃げないため、見た目以上に相手の受けるダメージは大きい。旧名・T-265。投げた後、頭と脚をホールドしたままであれば極め技の「ブルーディスティニー固め」となった。また、タッグマッチでリッキー・マルビンが相手の両腕を掴んだ状態で敢行すると合体技「パーフェクト・ブルーディスティニー」になる。
- 元ネタはセガサターンのゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』の主役モビルスーツ「ブルーディスティニー」。
- エクスカリバー
- 旋回式ツームストーン・パイルドライバー。走ってきた相手を旋回しながらツームストーンの体勢にし、落とす。アビスモ・ネグロから教わった。食らった相手は、バウンドすることがある。
- 元ネタは『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主役機のバリエーションソードインパルスガンダムが装備している武器の剣の名前。ちなみに技は違うものの同名の技が存在する(KAORUのエクスカリバー)。
- レクイエム(高角度前方回転落とし固め)
- 肩車のように乗せた相手の両手首を掴み、前方に回転させながら地面に首がめり込むように落とす危険なオリジナル技。2007年7月7日の日テレ杯争奪公式ジュニアタッグリーグ選手権、飯伏幸太&丸藤正道戦で初めて披露し、2007年9月29日の土井成樹&堀口元気組との防衛戦ではこの技で勝利した。なお、DRAGONGATEの土井成樹も同じような形のマスキュラーボムを使用している。
- 元ネタは『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の大型兵器レクイエムシステム。
- タイガードライバー
- 三沢の死去後から継承の意味で使用。
- エルボー
- 三沢から「円の動きで放て」と指導された、師匠直伝のエルボー[1]。三沢の死後からはワン・ツー・エルボーなども使用するようになった。三沢が使用したエルボー・コンビネーションも見せる。
- マスドライバー
- アクシズのようにバックドロップの体勢から相手を放り投げ、反転して、垂直に落下する相手の首をDDTのようにロックし、脳天からマットに叩きつける技。初公開は2011年3月21日の福岡国際センター大会における石森太二戦[5]。上方に打ち上げるイメージであることから、同様の設備でガンダムシリーズにも登場するマスドライバーを技名とした[5]。
- エンドレスワルツ
- 連続のラ・マヒストラル。
- 元ネタはOVA・映画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』より。
打撃技
- ファンネル
- ロープにもたれて倒れた相手に向かって走り、ロープを掴んで半回転して蹴りを叩き込む技。レイ・ミステリオJr.の得意技619と同一の技。
- 元ネタはνガンダム、サザビーなどに搭載されたニュータイプのみ扱うことができる遠隔操作兵器ファンネル。
- ビット
- ロープで逆立ちしてバウンドし、その勢いを生かして放つジャンピングエルボー。ハンドスプリングエルボーと同一の技。
- 元ネタは『機動戦士ガンダム』に登場するモビルアーマーエルメスに搭載されていた、遠隔操作が可能なビーム兵器ビット。
- ローリングソバット
- 通常は腹部を打ち抜くタイプが多い技だが、鈴木鼓太郎のはその場で軽く飛び上がり相手の胸板を打ち抜く。
- 掌底
- 低い体勢から真上に打ち抜くようなアッパー式の掌底。タッグではダブルインパクト式も見せる。
投げ技
- アクシズ
- バックドロップの体勢で後方一回転させ、相手をうつ伏せに叩きつける技。
- 元ネタは『機動戦士Ζガンダム』から『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』までに登場したネオ・ジオン軍の本拠地アクシズ。小惑星を改造したものであり、さらに作中で地球に落とされたことから、バックドロップの別名である「岩石落とし」に引っかけたネーミング。
- ディフェンサー
- ブレーンバスターをかけられた時の返し技。自身の身体を反転させ、リバースDDTのように相手の後頭部をマットに叩きつける。
- 元ネタは『機動戦士Ζガンダム』に登場した戦闘機Gディフェンサー、もしくは『新機動戦記ガンダムW』シリーズに登場する試作MS『メリクリウス』に装備されている防御兵器プラネイトディフェンサー。
- ツームストーン・パイルドライバー
- 落とした後立ち上がってもう一度繰り出す二連発式を見せることもある。
- ビッグベンエッジ
- 空中で相手を逆さまに持ち替える、変形の急角度ドライバー。元ネタは『キン肉マンII世』に登場する超人ケビンマスクの必殺技。2002年10月31日のハロウィーン興行で、ケビンマスクに扮したときに披露した。危険技なので、それ以降は封印している様子。
- タイガー・スープレックス'04
- 片腕をタイガー・スープレックス(チキンウイング)に捕らえ、逆の腕で相手の太腿を抱えるようにして後方に投げる技。金丸義信とのタッグでGHCジュニアヘビー級タッグ王座を獲得した試合、ならびに2008年日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦の最終戦で披露した。
- コロニー落とし
- 雪崩式リバースフランケンシュタイナー。
- 元ネタは機動戦士ガンダム冒頭で語られる事件。三和太の同名の技とは別物。
- 地獄の断頭台
- リバースのカーフブランディング。立っている相手に対し、トップロープからジャンプして自分の脛を相手の喉に押し当てながら倒す技。元ネタは『キン肉マン』に登場する悪魔将軍の技。
関節技
- インコム
- ヘッドシザースホイップの形から相手の頭を両足で挟み、相手の右腕を取って極める複合関節技。ドラゴン・キッドのクリストと同一の技。
- 元ネタはファンネルをオールドタイプの人間でも扱えるようにした有線ビーム砲インコム。
丸め込み技
- ゼロ・システム・ラナ
- コーナーからダイビングして飛びついての、ウラカン・ラナ・インベルティダ。いわゆるスーパー・ウラカン・ラナ。
- 元ネタは『新機動戦記ガンダムW』シリーズの主役機・ウイングガンダムゼロに搭載されている、戦闘結果を分析しパイロットに「未来」を見せることのできる「ゼロ・システム」。
- ミノフスキードライブ
- 立っている相手の腰骨の辺りをステップにして飛び上がりウラカン・ラナで固める技。
- 元ネタは『機動戦士Vガンダム』に登場する主役後継モビルスーツV2ガンダムに搭載された推進機関ミノフスキードライブ。
飛び技
- エルボー・スイシーダ
- トルニージョ
- プランチャのように場外へ飛び、空中で旋回する技。
- ツイスター・ドーナッツ・プレス
- デビュー後初期に使用していた技。横捻りを加えたリバース・スプラッシュ。
その他
- 毒霧
- ヒール転向時に使用。タッグ戦ではこの技の誤爆が原因で負けたこともある。
ファイトスタイル
上記の「ガンダム殺法」を中心とした投げ技中心のスタイルである。また、師匠である三沢の影響を受けた、ジュニアながら受けを重視したスタイルでもあり、ミル・マスカラスを意識したような一面をも見せる。
三沢死去以前のフィニッシュ・ホールドは、ブルーディスティニーとエクスカリバーとレクイエムであり、本人はこの3つの必殺技を駆使して三種の神器のようにしていきたいとコメントしていた。
タイトル歴
全日本プロレス
- GAORA TV王座 - 第4代王者
- アジアタッグ王座 - 第92代王者(&青木篤志)、第95代王者(&宮原健斗)
- Jr. BATTLE OF GLORY 2014 優勝
- JUNIOR HYPER TAG LEAGUE 2013 優勝(&青木篤志)
プロレスリング・ノア
- GHCジュニアヘビー級王座 - 第20代王者
- GHCジュニアヘビー級タッグ王座 - 第6代王者(&リッキー・マルビン)、第10代王者(&金丸義信)、第15代王者(&青木篤志)
- 日テレG+杯争奪ジュニアヘビー級タッグ・リーグ戦 - 2009年(&金丸義信)・2011年(&青木篤志)優勝
入場テーマ曲
- 戦慄のブルー
脚注
参考文献
- 「レスラーヒューマンストーリー 第20回 鈴木鼓太郎」『週刊プロレス』2010年12月1日号
関連項目
- アンタッチャブル (プロレス)#WAVE
- ディスオベイ
- 潮崎軍
- ANTI NO MERCY UNION
- S・A・T (プロレス)
- バーニング (プロレス)
- ムシキング・テリー(鈴木が正体とされるプロレスリング・ノア所属の覆面レスラー。ただし、2009年には両者が対戦しており、この時のテリーについては2代目である可能性が指摘されている。)
外部リンク
テンプレート:GHCジュニアヘビー級王座- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 「レスラーヒューマンストーリー 第20回 鈴木鼓太郎」『週刊プロレス』2010年12月1日号
- ↑ ただし2009年12月23日、ムシキング・テリーと対戦しており、このテリーが別人であるかは不明。クリスマス大会恒例のプレゼントVTRでは、鈴木、テリー、エンペラーの3人が肩を組んで出演したこともある。
- ↑ このブーイングについては、前試合後の発表で優勝決定戦が煽られていながらも引き分け決着となった結果への団体への不満と、25分過ぎに初めてフォール狙いの技をする等、時間切れ決着を初めから狙ったかのようなファイトをした鼓太郎チーム双方へのブーイングとも言える。
- ↑ 試合中にセコンド平柳玄藩の介入行為があったため、試合後、観客からブーイング、物が投げ込まれるなどした。
- ↑ 5.0 5.1 5.2 「選手本人が語る 21世紀の技解説 vol.28」『週刊プロレス』2012年6月27日号