護衛戦艦
護衛戦艦(ごえいせんかん)は、アニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙戦艦に対する呼称。
目次
概要
星間国家ボラー連邦とガルマン・ガミラス帝国の星間戦争時、惑星破壊プロトンミサイルが流れ弾となり太陽に命中、核融合の異常増進を誘発、人類は存亡の危機に陥る。事態打開策として 地球連邦政府は移住先となる惑星探索を決定。地球連邦を構成する各国は探査船団を編成する。護衛戦艦は、その船団の護衛任務に就いた戦艦の呼称である。
探査計画には、日本からヤマト[1]、アメリカからアリゾナ、ソビエトからノーウィック、イギリスからプリンス・オブ・ウェールズ、ドイツからビスマルクなど、多数の戦艦が参加している。地球連邦全体で艦型が統一されていた対白色彗星帝国戦役時の主力戦艦とは異なり、各国でかなりの個性が出ている。
上記の4艦は『宇宙戦艦ヤマトIII』第12話での各国探査船団紹介シーンで初登場。長期航海に備えた整備のため、おのおの指定の宇宙港へ向かっているが、いずれも1カットのみの登場であり、ノーウィックとビスマルクに至ってはこれが唯一の登場シーンである。結果的に、計画は移民船の航続距離内に移住可能な惑星を発見できず頓挫している。唯一地球に帰還したのはヤマトのみで、アリゾナはボラー連邦艦隊の襲撃を受け探査船団ごと撃沈し、他の艦も本編中では地球に帰還するシーンもない[2]。
アリゾナ
全長 | 不明 |
全幅 | 不明 |
全高 | 不明 |
主機 | 波動エンジン×1基 |
補機 | 不明[3]×4基 |
兵装 | 艦首波動砲×1門 主砲:三連装衝撃砲×3基 副砲:三連装衝撃砲×2基 艦首前部ミサイル(魚雷)発射管×12門(再装填可) 煙突型パルサー砲×1基 連装対空パルスレーザー砲×6基 |
北アメリカ州[4]の探査船団の護衛戦艦として登場。デザイン担当は出渕裕。艦名は第二次世界大戦中の アメリカ海軍の戦艦アリゾナに由来する。
艦体の基本構造に関して、全体のシルエットはヤマトに近いが、細部のデザインはアンドロメダ級戦艦に近く、艦中央部のバルジ、補助機関と安定翼のX型配置、艦橋後部の多目的センサーマスト、船体下部の補助機関ナセルなど、艦底から艦後半部にかけて共通の特徴がある。波動砲の形状は主力戦艦、艦橋形状はヤマトなど、細部は異なるが、これまでの地球防衛軍の艦艇の折衷形の艦型である[5]。
波動エンジンを1基を装備し、補助機関はアンドロメダ級と同じく4基備えており、本艦がアンドロメダ級と同様の大型艦であることが窺える。
兵装は艦隊決戦兵器である艦首波動砲を1門装備。主力戦艦同様に、発射口中央部に縦に仕切板がある[6]。主砲として、三連装衝撃砲を艦前部上面に2基、艦後部上面に1基、計9門を装備。副砲として、対白色彗星帝国戦役時の巡洋艦と同様に船体中央の両舷面に装備し、艦尾以外の艦後方も広く射界に含んでいる。艦首に、ヤマト級と同様のミサイル(魚雷)発射管と思われる台形のラインが両舷で12門分確認できる。対空兵装は、艦橋付近の両舷に、連装対空パルスレーザー砲を3基、計12門装備する。本艦には、ヤマト級以外の唯一の煙突型の兵装として、煙突型パルサー砲を装備[7]。
劇中での登場(アリゾナ)
北アメリカ州探査船団の護衛戦艦として登場する(第12、20話、いずれも1カットのみ)。その後、スカラゲック海峡星団[8]β星の強風が吹き荒れる荒野で、ヤマトのクルーが残骸と化したアリゾナを発見する。船体から放射線ボラーチウム100が検出された事により、ボラー連邦により撃沈されたものと劇中で推定されている。
なお、『宇宙戦艦ヤマトIII』の初期の全52話プロットでは、撃沈されたアリゾナに関する話に2話を費やしていた[9]が、短縮打ち切りのため本編では1話分にも満たないわずかなシーンに留まった。
同型艦
『宇宙戦艦ヤマト 復活編・ディレクターズカット版』では、ペンシルバニアを始めとする同型艦が多数登場。
アリゾナと外見上の違いはほとんどないが、艦尾の推進ノズル周辺の形状などが若干変更されている。
カスケード・ブラックホールの到来による人類の地球脱出時に、海王星軌道で逃げ遅れた人々の救助を行っている。
ノーウィック
全長 | 不明 |
全幅 | 不明 |
全高 | 不明 |
主機 | 波動エンジン×1基 |
補機 | 不明[3]×2基 |
兵装 | 三連装衝撃砲×不明 固定式連装衝撃砲×不明 連装砲×不明 他 |
ソビエト連邦が編成した探査船団の護衛戦艦である。艦名は ロシア帝国海軍の偵察巡洋艦ノーウィックに由来する。なお、計画参加艦の中で、唯一戦没艦の名が冠せられていない。
本艦は、この時代の発進形態に地球防衛軍艦艇としては珍しい垂直離床形式を採用している。また、波動エンジン搭載型の戦闘艦艇であるが、波動砲の装備が見当たらない。
艦型は、従来の地球防衛軍艦艇や同時期建造の艦艇建造技術の延長線上にあるアリゾナ、プリンス・オブ・ウェールズ、ビスマルクとは一線を画している。直線を基調とし、艦中央部に艦橋が存在せず、補助エンジン2基を艦外部に装備している。
武装は、艦の前部に固定式連装砲を集中的に配備している。また、船体の中央部に三連装衝撃砲と固定式の連装砲、補助エンジン部に巡洋艦などに見られる連装砲塔を装備している。
ビスマルク
全長 | 不明 |
全幅 | 不明 |
全高 | 不明 |
主機 | 波動エンジン×1基 |
補機 | 不明 |
兵装 | 艦首波動砲×1門 他 |
ヨーロッパ州[4]、その中のドイツの編成した探査船団の護衛戦艦である。艦名は第二次世界大戦中の ドイツ海軍の戦艦 ビスマルクに由来する。
艦型は対白色彗星帝国戦役の主力戦艦を基本形とし、艦底部はヤマト、艦尾の推進部は巡洋艦の艦型を採用。また艦橋はアンドロメダ級戦艦の形式を採用している。この、従来の地球防衛軍艦艇の集大成的な艦型は、同時期に登場するアリゾナやプリンス・オブ・ウェールズに見られる共通の特徴である。
主機には波動エンジンを装備。
兵装は艦隊決戦兵器である波動砲を1門を艦首に装備。本級最大の特徴は、衝撃砲やパルスレーザー砲などの武装が艦体外面に装備されていない事である[10]。
プリンス・オブ・ウェールズ
全長 | 不明 |
全幅 | 不明 |
全高 | 不明 |
主機 | 波動エンジン×1基 |
兵装 | 艦首波動砲×1門 連装衝撃砲×4基 他 |
イギリスが編成した探査船団の護衛戦艦である。艦名はイギリス海軍の戦艦プリンス・オブ・ウェールズ に由来する。
艦型は、対白色彗星帝国戦役時の主力戦艦に基本形に、艦尾は巡洋艦に近い形状をしている。艦首が衝角のような長い突起形状をしているのが特徴的である。船体のカラーリングは主力戦艦とほぼ同様である。
武装は、艦首波動砲の他、連装衝撃砲を艦前部上面に3基、後部上面に1基を装備している。
劇中での登場(プリンス・オブ・ウェールズ)
第12話の各国の探査船団の紹介シーンで登場するほか、第20話で宇宙空間を航行中の姿が映るが、その後の消息は不明[2]。
脚注
- ↑ ただし、ヤマトの場合は探査船団を編成していない単艦での航海のため、護衛任務には就いていない。
- ↑ 2.0 2.1 劇中では雪がイギリスやロシアの探査船団もボラー連邦の襲撃を受けたことを語っている。その際の探査船団および護衛戦艦の安否は不明だが、続編である『宇宙戦艦ヤマト 完結編』にも登場しないため、撃沈された可能性もある。
- ↑ 3.0 3.1 ヤマトシリーズに登場する、補助エンジンと呼称されるものには、設定や劇中の描写が無いため、詳細は不明である。
- ↑ 4.0 4.1 『宇宙戦艦ヤマトIII』、第12話で、地球連邦を構成する5州の行政区分の1つとの説明がある。
- ↑ これは、デザインを担当した出渕裕が、今までの地球艦の技術の延長線上にある艦としてデザインしたためであるテンプレート:要出典。
- ↑ 「宇宙戦艦ヤマト画報」(竹書房、2001年)のカラーイラストはトレースミス。
- ↑ 「宇宙戦艦ヤマト画報」(竹書房、2001年)では「煙突型対空速射パルスレーザー砲」と記されている
- ↑ 元ネタは第一次世界大戦時のユトランド沖海戦のドイツ側からの呼称である、スカゲラク海峡沖海戦である。
- ↑ 「宇宙戦艦ヤマトIIIDVDメモリアルボックス 保完ファイル」P21。
- ↑ 「宇宙戦艦ヤマト画報(竹書房、2001年)」では、ドイツ一流の超兵器を多数搭載していたであろうと推測している。
参考文献
- 「宇宙戦艦ヤマト画報」竹書房 2001年
- 「宇宙戦艦ヤマトIIIDVDメモリアルボックス 保完ファイル」バンダイビジュアル〈株〉・2001/5/25発行
- 「宇宙戦艦ヤマト発信!情報班資料室 アリゾナ」バンダイナムコゲームスNE事業本部(旧バンダイネットワークス)ウェブサイト
- 「宇宙戦艦ヤマト発信!情報班資料室 プリンス・オブ・ウェールズ」バンダイナムコゲームスNE事業本部(旧バンダイネットワークス)ウェブサイト