惑星破壊プロトンミサイル
惑星破壊プロトンミサイル(わくせいはかいプロトンミサイル)は、テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の兵器。本兵器を運用する艦についても本項で記述する。
概要
文字通り惑星を破壊することを目的としたミサイル。初登場時のテロップでは「惑星破壊プロトンミサイル」と表記されているが、劇中では単に「惑星破壊ミサイル」または「プロトンミサイル」と呼称されており、「惑星破壊プロトンミサイル」と呼称されることはない。
惑星を構成する原子の力学構造を破壊して核融合反応を発生させ、惑星を崩壊させる[1][2]。破壊力は対象の質量数と比例するため、アステロイドベルト防衛線で行われた迎撃戦では、衝突した小惑星を破壊する程度に留まっている(第1話)。また、惑星崩壊時に発生する強烈なガンマ線放射は、周辺空域に展開した敵艦隊を焼き尽くす。
ガルマン・ガミラス帝国が保有しており、弾体は黒色。全長は約600mと非常に大型で、ヤマトシリーズのミサイル兵器では第1作の超大型ミサイル(1000m)に次ぐ大きさである。
ミサイル自体の防御力も非常に高く、戦艦クラスの主砲の連続射撃や波動砲などでなければ、破壊は困難である[3]。灼熱の太陽に直接撃ち込めるなど、熱にも強い模様。
ガルマン・ガミラス帝国の工作船団による太陽制御作戦時には、同型のミサイルに太陽核融合抑制のためのプラズマ制御装置を搭載したものが登場する。
ボラー連邦も惑星破壊ミサイルを保有している。劇中では惑星バースを十数発がかりで破壊したもの[4]と、ガルマン・ガミラス本星を強襲したワープミサイルの2種類があり、弾体はいずれも赤色。ガルマン・ガミラスのプロトンミサイル同様、非常に強固で容易には迎撃できない。
劇中での登場
23世紀初頭、ガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦の星間戦争でしばしば用いられている。ガルマン・ガミラス東部方面軍のダゴン将軍がバース星戦役で使用した際には流れ弾が太陽系へ侵入し、水星上空で土門竜介の両親が乗った太陽観光船をかすめて破壊した後、太陽へ命中して核融合の異常増進を引き起こした。
その他、ベムラーゼ首相がバース星[4]、グスタフ中将が惑星ファンタムに対して用いている。また、シャルバート星の王家の谷に封印された超兵器群の中にも描かれている。なお、対惑星用兵器だが、戦艦を目標として発射されたこともある。
搭載艦
惑星破壊ミサイル艦
アニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙戦艦。
ガルマン・ガミラス帝国が保有している。本艦は艦底部に惑星破壊プロトンミサイルとの翼状・棒状の接合部をもち、同ミサイルを牽引するようなスタイルが特徴的である。決戦の際には接合部を切り離してミサイルを発射する。ミサイル本体の全長約600mに対してミサイル艦自体は逆に約340mほどと小さく(それでもヤマトシリーズの戦闘艦船としては大きい方である)、始めにミサイルを戦線に運搬する目的ありき、として作られたものであるなど決戦兵器然とした思想を感じさせる。とはいうものの、単なるキャリア艦というわけでもなく、ガミラス式の無砲身三連装砲塔×2他を持つ中型戦闘艦とほぼ同等の戦闘力をも有した、それ自体有力な高機動戦闘艦でもあった。
同じ形式のプロトンミサイルを携行する艦として、北部方面軍指令グスタフ将軍の乗務する旗艦および、フラウスキー技術少佐の乗艦する工作母艦がある。グスタフ艦はミサイルを艦首に格納する形式となっている。工作母艦は恒星の核融合反応を制御する事を目的にプロトンミサイルを装備している。
惑星破壊ミサイル艦は、『宇宙戦艦ヤマトIII』のプロットで重要な位置を占めている。第1話冒頭のガルマン・ガミラス帝国対ボラー連邦の戦闘において、この艦の放ったプロトンミサイルが流れ弾となって太陽に命中し、その結果核融合反応が増進し、太陽の異常活動の引き金を引くこととなった。しかし、この第1話以降、劇中での惑星破壊ミサイルの発射は基地や他種の艦からのみ行われるようになり、ミサイル艦は全く登場しなくなった。
グスタフ艦
アニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は板橋克己。
ガルマン・ガミラス帝国が保有する宇宙戦艦。北部方面軍艦隊司令官グスタフ中将の座乗艦である。プロトンミサイル・キャリアの一種であり、艦体下部に惑星破壊ミサイル1発を装着可能。その装着方法は、ガミラス系艦上攻撃機の魚雷装着方法と同一で、胴体下部に抱え込むように取り付ける(つまり、発射後、胴体はほとんどがらんどうになる)。全長などの諸元は公表されていない。その艦体は、主に直線と平面によって構成され、左右両舷後端に外付けされた巨大なエンジンブロック、塔状の艦橋を持たない点などが特徴である。艦橋前部には外部が一望出来るほどの窓があるが、外観からでは、どのあたりに艦橋があるのかの判断は難しい。プロトンミサイル以外の通常兵装も装備しており、艦首に2基の回転速射砲塔と1基の三連装砲塔、その他に両舷のエンジンブロックにミサイル発射管を計6門、前部上甲板に正面ミサイル発射管1門を持つ。
劇中では、デスラー総統直々の命により、惑星ファンタム爆破(抹殺)のために登場。その後のルダ王女をめぐるやり取りでは、あと一歩でヤマトとの交戦状態に突入するところであったが、ハーキンス中将率いるボラー連邦前衛艦隊の出現により状況は一変。グスタフは「私が到着するまでヤマトを守れ」との総統命令を実行し、優勢な前衛艦隊へと全艦特攻を敢行し、グスタフ艦はハーキンス艦に体当たりして共に轟沈した。
余談だが、ファンタム破壊時に消費したプロトンミサイルがスカラゲック海峡星団では再装填されており、そのミサイルごとの特攻は前衛艦隊を完全消滅させた。
- 武装
- 惑星破壊ミサイル×1基
- 正面ミサイル発射管×1門
- 三連装砲塔×1基
- 回転速射砲塔×2基
- 三連装ミサイル発射管×2基
工作母艦
アニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙艦。デザイン担当は板橋克己。 テンプレート:Main
派生・類似兵器
- ワープミサイル
- ボラー連邦のワープミサイルタイプが登場する(第17話)。
- マイクロブラックホール爆弾
- PS用ゲーム『宇宙戦艦ヤマト 永遠のジュラ編』で、デスラー]がサイレン星を破壊するために203実験兵器部隊に発射させた、超大型ミサイル状の惑星破壊兵器。真田志郎の説明によれば、遊星爆弾の誘導に利用していたマイクロブラックホールを、惑星そのものの破壊目的に転用した兵器であるらしい。ヤマトの波動砲で破壊されるために破壊過程の詳細は不明だが、松本零士の漫画版にもデスラーによるサイレン星破壊命令が出ていることや、メラによる惑星自爆装置の使用などから、既にガミラス帝国当時から惑星そのものを破壊する技術は完成していたことが窺える。
商品化
- バンダイのプラモデルシリーズ「宇宙戦艦ヤマト・メカコレクション」において、惑星破壊ミサイル艦が「ガルマン・ガミラス帝国 惑星破壊ミサイル」という商品名でラインナップ。シリーズ番号はNo.30。当時はこれが同シリーズ最後の商品であり、2013年発売の「ヤマトメカコレスペシャルボックス」の付属品として「ドメラーズII世」「ブラックタイガー」「コスモクリーナーD」がラインナップされるまで、新商品の発売はなかった。
出典・脚注
- ↑ 『EB26 宇宙戦艦ヤマトメカニック大図鑑』のP100より。
- ↑ 惑星を破壊する兵器としては白色彗星帝国のゴーランド提督が使用した破滅ミサイルがある。
- ↑ 3発が太陽系内へ侵入した際には、ヤマトが主砲で撃破した(第4話)。なお、この時のミサイルは、古代が「太陽観光船を破壊したのと同じ型」と分析していたが、通常の惑星破壊ミサイルとは形状が異なり、サイズもヤマトより小さい。
- ↑ 4.0 4.1 ただし、この時べムラーゼは「超大型ミサイル」としか言っておらず、また惑星の破壊も1発ではなく数発がかりで行っている。
参考文献
- 「ロマンアルバムエクセレント54 ‘宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2’」(徳間書店・1983)
- 「EB26‘宇宙戦艦ヤマト メカニック大図鑑2’」(バンダイ・1991)
- 「ロマン宇宙戦記二十五年の歩み‘宇宙戦艦ヤマト画報’」(竹書房・2001)