主力戦艦
主力戦艦(しゅりょくせんかん)[1]は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』及び『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は宮武一貴。
併せて、派生型の地球側空母及び、関連作品に登場する艦についても本項で記述する。
なお、「主力戦艦」という言葉は、現実世界、他の架空の作品世界では、国や艦隊の保有する最も能力の優れた戦艦を示す用語であり、固有名詞として使用されることはない。
概要
ガミラス戦役後、復興した地球の護りとして建造された、アンドロメダ級戦艦を旗艦とする地球防衛軍の量産型主力艦。
書籍、プラモデルなどにおいて、「主力戦艦」と呼ばれる名称が、艦名、級名、または「主力を成す戦艦」という意味合いを示すかのかは、不明である[1]。
書籍により、全地球上に合わせて十数隻が存在と記されている。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の劇中では、戦艦36というセリフがあり旗艦アンドロメダを除き、35隻が出撃していた。
『宇宙戦艦ヤマト2』の劇中では太陽系外周艦隊に多数配備されている。各惑星基地所属の艦隊は、主力戦艦を旗艦とし巡洋艦、 駆逐艦を中心とした艦隊編成で、土星決戦に登場するヒペリオン艦隊も同様の編成となっている。
艦体解説
- 艦型
- 対ガミラス戦役時の主力戦闘艦(沖田艦、ゆきかぜ)などの紡錘形艦型の艦首に、箱形の波動砲口を装備した艦型で、ヤマト級の塔状艦橋、3連装主砲塔形式が採用されている。後に就役した、アンドロメダ級戦艦にも共通の特徴がある。
- 船体色
- 当時の地球防衛軍艦艇の標準色、明るい灰色で、波動砲口[2]、と艦底前部のインテーク状構造物先端の艦種識別色は、戦艦を示すクリーム色である。
- ヒペリオン艦隊旗艦は、主砲の前盾がアンドロメダと同じくクリーム色[3]となっている。
- 主機
- 新型波動エンジンを1機装備。補助エンジンを艦後部両舷に1基、計2基を装備している。
- また、補助エンジンとは別に、艦中間部両舷に艦の前方を指向した噴射口が1基、計2基、艦底前部のインテーク状の構造物の後方に推進ノズルが4基付属する。
- 兵装
- 艦隊決戦兵器である拡散波動砲1門[4]を艦首に装備。波動砲口の中央部には縦に仕切り板がある[5]。
- 主砲として3連装衝撃砲(ショックカノン)3基、計9門装備。その他に艦橋砲[6]を備える。対空火器及び副砲などは艦体外面には確認できない。
- 搭載機
- 艦尾艦底に艦載機発進口がある[7]。
諸元
全長 | 242m |
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全幅 | 45.8m |
全高 | |
基準排水量 | 55,000t |
主機 | 波動エンジン×1基 |
補機 | 補助エンジン×2基 |
乗員 | |
兵装 |
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劇中での登場
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
白色彗星帝国軍バルゼー率いる第6遊動機動部隊との決戦で、飛来した空母艦上機を撃墜。潜宙艦の奇襲攻撃により若干被害を受けるものの主砲で応戦、撃沈する。
拡散波動砲を白色彗星に撃ち込むが効果はなく、反転180度で離脱しようとするが、白色彗星に飲み込まれて全滅する。
宇宙戦艦ヤマト2
白色彗星帝国との決戦のため、土方竜総司令の命令で、第1と第2外周艦隊が合流、第4・第5外周艦隊も第3外周艦隊と合流し、土星(タイタン)基地に向かう。海王星・天王星基地の艦隊も土星(タイタン)基地に集結する(第18話)。主力をタイタン、前衛をヒペリオン、後衛にレアとディオネ、予備軍をカッシーニのすきまに移動させた(第20話)。
ヒペリオン艦隊はバルゼー艦隊に先制攻撃を仕掛けるも、第2艦隊の大戦艦の衝撃砲になすすべもなく艦隊は全滅(第21話)。
その後、主力艦隊は拡散波動砲による波動砲戦によって殲滅を図るが、充填中にバルゼー艦隊旗艦メダルーザの火炎直撃砲の長距離射撃を受け、多数撃沈される。土星に向かって転進し、バルゼー艦隊を土星の輪の中におびき寄せる。メダルーザが土星の輪で火炎直撃砲を発射したため、水蒸気による乱気流が発生し、バルゼー艦隊の隊列が乱れる。その隙に連合艦隊は態勢を立て直し、砲撃で第1・第2艦隊を壊滅させる。残った旗艦メダルーザに、全艦ショックカノンによる集中砲火を浴びせて撃破し、艦隊決戦に勝利した。
その後、突如ワープアウトして来た白色彗星に拡散波動砲を発射し、ガス帯を取っ払うことは出来たが、本体(都市帝国)自体は無傷だった。都市帝国に砲撃を加えるが効き目はなく、迎撃ミサイルで全滅している(第21話)[9]。
ゲームでの登場
PS用ソフト『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に宮武一貴により再度デザイン設定されて登場する。艦前部が長めになり、スマートさが強調されるデザインとなった。地球連合艦隊で唯一生き延びた「さつま」がヤマトとともにデスラー艦隊と戦う展開になる。
主力戦艦 前期生産型
PS用ソフト『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』、PS2用ソフト『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』に登場する。ガトランティス戦役から改修無しで就航しているタイプで艦首に拡散波動砲を標準装備している。艦名としては「扶桑」、「加賀」、「薩摩」、「山城」、「比叡」、「榛名」などが該当する。
主力戦艦 後期生産型(甲型)
『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』から登場する。ガトランティス戦役後に改良がなされており、強化した艦砲と艦首に収束波動砲を装備している。「蝦夷」(艦体色黒)、「ネバダ」、「ドレッドノート」などが該当する。
主力戦艦 後期生産型(乙型)
『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』から登場する。ガトランティス戦役後に改良がなされており、波動エンジンとパイパスが新型に換装され巡航性能が向上されており、艦首に収束波動砲を装備している。「金剛」、「アイル・オブ・スカイ」、「メリーランド」(艦体色白)などが該当する。
主力戦艦 後期生産型(丙型)
『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』から登場する。ガトランティス戦役後に改良がなされており、積層装甲の採用により防御力を向上させているが、艦首波動砲は外装部のみで撤去されており、砲撃戦用に特化している。「アーカンソー」、「イリノイ」、「ロイヤルオーク」が該当する。
主力戦艦 後期生産型(甲型)と(乙型)は、彗星帝国残党軍を殲滅する「雷王作戦」にヤマトと共に参加する。戦後1か月という短期間で若干数が就役できた理由について、彗星帝国軍艦艇の残骸から艦艇建造に必要な特殊金属を再利用したとされている。
無人戦艦
無人戦艦(むじんせんかん)は、PS用ソフト『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に登場するゲームオリジナル艦。デザイン担当は宮武一貴。
主力戦艦を基にした無人制御型戦艦で、艦橋などの細部のデザインは主力戦艦と異なる。艦体色はオレンジで、艦首の艦種識別色は灰色。地球防衛軍で実験中だったが、総参謀長直属の艦隊として配備され、地球を脱出するヤマトを迎撃した。
その他の作品での登場
ひおあきらの漫画版ではフランス艦隊旗艦「エトワール」、ソビエト艦隊旗艦「クレムリン」、統一アラブ連合艦隊旗艦「ツタンカーメン」の名が出ている。この設定は「オールナイト・ニッポン」版ラジオドラマにおいても登場している。
地球側空母
地球側空母(ちきゅうがわうちゅうくうぼ)は『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する架空の宇宙空母[10]。空母部分(艦後部と細部)のデザインは板橋克己。
主力戦艦の艦体後半部を格納庫と飛行甲板に改造した派生型で、純粋な空母ではない。劇中で、5隻の登場が確認出来る。
艦体解説(地球側空母)
- 艦型
- 前半部は主力戦艦と同じであるが、後半部は最上部に発艦専用の飛行甲板とその下に格納庫、その下に波動エンジンを備えている。艦橋後部も主力戦艦と異なる。
- 艦体色
- 主力戦艦と同じ。空母を示す艦種識別色は、艦体色より若干濃い目の灰色[11]。塗装箇所は主力戦艦とほぼ同じだが、宇宙空母は波動砲下の仕切り板先端も塗られている。
- 主機
- 新型波動エンジンは、長方形型の墳進口で着艦専用口の下に設置されている。補助エンジンは、艦尾両舷まで延びている、台形型噴進口が2基、計4基。
- その他に、波動エンジン下部には5基の半円型噴進口が付いている。艦中間部両舷に噴進口を2基配置、その後方にも噴進口がある。
- 兵装
- 艦隊決戦兵器である拡散波動砲1門を装備。主砲の3連装衝撃砲(ショックカノン)は2基に減っている。
- 搭載機
- 2基のエレベーターを備え、出撃する際はエレベーターで最上部の飛行甲板に搭載機を上げ発艦する主推進口の上には着艦専用口があり、直接格納庫に繋がっている。
- 艦上機は、コスモタイガーII単座型[12]とCT-II改雷撃機。
劇中での登場(地球側空母)
土方総司令の命令により、第1・第2・第3巡航空母艦隊が、ガニメデ、カリスト、エウロパに配備されていたコスモタイガーII(単座型)を収容し土星(タイタン)基地に向かう(第18話)。
白色彗星帝国機動艦隊に奇襲をかけるため、3隻がヤマトの指揮下に入り出撃した。ヤペトウスを迂回してフェーベ沖で、搭載しているCT-II改雷撃機によって空母を多数撃沈し、大戦果を挙げる(第20話)。
地球連合艦隊と合流するが、直後にワープアウトした彗星帝国に吸い込まれ全滅する(第21話)。
主力戦艦改級戦闘空母(バトルキャリア)
主力戦艦改級戦闘空母(しゅりょくせんかんかいきゅうせんとうくうぼ)は、PS版ゲームソフト『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』及び、PS2版ゲームソフト『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』『宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲』『宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊』に登場するゲームオリジナル艦。単に「バトルキャリア」とも呼ばれる。
『宇宙戦艦ヤマト2』に登場した宇宙空母を宮武一貴がデザインし直したものである。
艦前方から後部にかけて甲板が張り出し、右舷に艦橋と主砲2基を配置し、艦左側左舷にアングルド・デッキを設けるなど、キエフ級航空巡洋艦と似たレイアウトとなっている。また、飛行甲板を2層持ち、アニメ版より本格的な大型空母となった。細かい変更点としては、波動エンジン下部の噴射ノズルが4基になり、補助エンジン4基はそれぞれ独立して配置されている。艦橋のアンテナやレーダー類は左右非対称となっている。
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』
『宇宙戦艦ヤマト2』の宇宙空母と同じ役回りを演じており、艦型は違うが同一艦として扱われている。艦名は「まつしま」。
『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』、『宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲』、『宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊』
艦首波動砲を装備したAタイプとして「天城」、「葛城」、波動砲を外装部のみで撤去したBタイプとして「ラングレー」、「イラストリアス」、「大鳳」が登場する。
商品化
- バンダイプラモデルシリーズ「宇宙戦艦ヤマト メカコレクション」に「地球防衛軍艦隊 主力戦艦」のタイトルでラインナップ。シリーズ番号はNo.03。
- 上記とは別に同じバンダイで二周り程大きいプラモデルが発売されていた。
- 主力戦艦のプラモデルでは白色彗星帝国の艦上攻撃機デスバテーターとパラノイアが付属。
- また、宇宙空母のプラモデルも発売されていた。コスモタイガーIIの小型モデルが3機付属。なお、パッケージイラストでは、艦種識別色がクリーム色に塗られてしまっている。
- メガハウスの「宇宙戦艦ヤマト コスモフリート コレクション」第2弾「〜愛の戦士たち編〜」、「総集編」に主力戦艦がラインナップ。
- ザッカピー・エイ・ピーのブラインド商品「宇宙戦艦ヤマト メカニカルコレクション」にラインナップ。PART.1では主力戦艦が、PART.2では宇宙空母が商品化された。「さらば宇宙戦艦ヤマト メカニカルコレクション」にも両者が再登場した。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 PS2ソフト『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』などのゲーム内では「主力級戦艦」と呼称される。
- ↑ 『宇宙戦艦ヤマト2』第18話、第21話では、波動砲下の仕切り板先端も塗られている場合がある。
- ↑ 場面によっては、他の主力戦艦と同じ灰色になっており、描写が一定していない。
- ↑ 最終決定稿の設定画には、1門と注意書きがあるが、『宇宙戦艦ヤマト2』第18話の第2外周艦隊が第1外周艦隊に合流する場面などでは、2連タイプに作画されたものが登場している。また『宇宙戦艦ヤマト画報』(竹書房、2001年)、『EB22‘宇宙戦艦ヤマト メカニック大図鑑1’』(バンダイ、1990年)など、2門と表記する書籍が存在する。
- ↑ 『宇宙戦艦ヤマト2』第21話など、一部のシーンでは、この仕切り板が省略されている。
- ↑ 設置位置は、艦橋トップの6つの円柱状の物体、あるいはアンドロメダと同じ、艦橋の根元部分であるかは不明であるが、6基の発射口らしきものは確認できる。
- ↑ 。『さらば宇宙戦艦ヤマト』では、艦載機搭載の設定があった「デラックス版 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」。『宇宙戦艦ヤマト2』で宇宙空母型が登場以降、関連作品および書籍や資料を含め確認することは出来ない。ゲーム版の設定画ではこの部分は別の構造物で塞がれている
- ↑ 配置位置は不明。
- ↑ 実際の映像ではアンドロメダ撃沈と同時に全艦姿を消している。
- ↑ 公式設定の名称で、模型の商品名は、宇宙空母。資料集などでは単に空母と呼ばれる。
- ↑ 以外は劇中では確認出来ない。なお、プラモデルのパッケージイラストなどで、主力戦艦と同じクリーム色も存在する。
- ↑ 発艦の描写は無いが、第18話に着艦、収容する描写がある
参考文献
- 「デラックス版 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(オフィスアカデミー・1979)
- 「EB22‘宇宙戦艦ヤマト メカニック大図鑑1’」(バンダイ・1990)
- 「宇宙戦艦ヤマト画報」(竹書房・2001)