調整池
調整池(ちょうせいち、ちょうせいいけ、英語:retention basin)は、集中豪雨などの局地的な出水により、河川の流下能力を超過する可能性のある洪水を河川に入る前に一時的に溜める池である。一般的には調節池・調節地(ちょうせつち)とも呼ばれているが、厳密には、調整池は主に土地の開発者が設置する暫定施設、調節池は主に河川管理者が設置する恒久施設と区分している[2]。また「貯水池」も同様の機能を備えている。
調節池と名付けられなくともダムによって出来た人造湖もそのダム湖の治水の機能から「○○調整池」とも呼ばれるものが多い。また「湖」や「池」と呼ばれるが人造湖として治水の立場から調節池と呼ばれるものもある[3]。
概要
集中豪雨のピークはほとんどが短時間であるため、一時的に降水を池で受け止めた後、徐々に放流させ局地的な氾濫を抑える機能を有する。主に、氾濫常襲地や住宅開発により森林が失われ、地下への雨水浸透能力が損なわれた場合に一時的または恒久的に設置される。
降水で異常に増水した河川の水量によって下流地域の水害を未然に防止するため、調整池に沿った部分だけ一段低い高さの堤防を設け、危険な水量によって川面がその堤防の高さを越えた場合、隣接する調節池に自然に漏洩させ一時的に貯水する。一般に危険水量の川面より十分低い低地を調節池とし自然に漏洩をさせ大量の水を貯めるので掘り込み式の窪地が調節池となる。 コンクリートブロックに囲まれたものが多いが自然回帰として沼や池の様式のものもある。貯水された水は降水が終わり、下流地域に水の害が無いように後日徐々にポンプなどによって排水してゆく。
調整池には「オフサイト貯留式(現地外貯留)」と呼ぶ降水地域から河川や放水路を経て離れた場所で貯水する方式と、「オンサイト貯留式(現地貯留)」と呼ぶ降水地点の駐車場や運動場の地下など近隣に貯留する方式がある[4][5]。
揚水発電において下部貯水池や上部貯水池を調整池とも呼ぶが、これは治水のための調整ではなく発電量の調整や調節を目的とする[6]。
注意点
住宅地などに高度に開発された地域では、自由に使える数少ない土地であり、普段は水を貯めないことから、公園や駐車場などに用いられているものもある[1]。 雨水の排水路が整備されるとともに、調整機能を廃して宅地に転換している例もあるので、土地利用に際しては外観ばかりではなく表示等も確認する必要がある[7]。
調整池をめぐる事故の例
場所によっては数年に一度しか機能しないため、調整池という性質を忘れて利用し、問題が生じる場合がある。
2004年9月26日に熊本県民総合運動公園陸上競技場で開催(結果的に豪雨のため中止)されたJリーグの試合では、来場した観客の自動車を調整池に誘導し駐車させたため、その後の集中豪雨で130台以上の車両が水没。責任の所在を巡ってトラブルとなった。
日本の調節池と調整池の一覧
テンプレート:節stub 調整池と名付けられなくとも多くのダムなどなどによる人造湖は治水の機能を備えている。各地の日本の人造湖一覧も参照。
- 大相模調節池 - 埼玉県越谷市越谷レイクタウン
- 荒川調節池
- 行幸湖 - 埼玉県幸手市、茨城県猿島郡五霞町
- 神田川・環状7号線地下調節池 - 東京都杉並区、中野区
- 大柏川第一調節池緑地 - 千葉県市川市
- 坂田池 - 千葉県山武郡横芝光町
- 深北緑地(深野池) - 大阪府大東市、寝屋川市
- 諫早湾干拓事業の調整池 - 長崎県諫早市
- 妙正寺川落合調節池 - 東京都新宿区
脚注
関連項目
外部リンク
- 調整池 - 国土交通省荒川上流河川事務所
- 都市型洪水調節池
- 宅地開発に伴い設置される調整池等の適切な管理について - 国土交通省
- テンプレート:PDFlink - 東京電力)