紅い牙

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テンプレート:統合文字テンプレート:Sidebar with collapsible lists紅い牙』(あかいきば)は柴田昌弘漫画

概要

古代超人類の血を引く超能力少女・小松崎ランと悪の秘密結社・タロンの戦いを描いた作品。集英社別冊マーガレット』・『デラックスマーガレット』誌上に発表された作品群と、「ブルー・ソネット」などの白泉社花とゆめ』誌上に発表された作品シリーズに、主に分類される。

作品

集英社 別冊マーガレット・デラックスマーガレット期

生後5年にわたり狼に育てられ、自らも古代超人類の遺伝子をもった小松崎蘭の孤独な戦いのはじまり。

紅い牙 『狼少女ラン』

(初出 別冊マーガレット 1975年8月号)

狼に育てられた事を隠し、普通の高校生として生活していたラン。ところが、学校に寄木冴子という生物教師が赴任してきたことによって、平穏な生活は終わりを告げる。冴子はランの出生の秘密を知っていて、さらに彼女の父が、ランの養父である小松崎宗と仲間だったというのだ。小松崎宗と冴子の父は、古代世界に存在した超越した精神力をもった超人類の一族の遺伝子を現在に復活させる研究をしており、ランこそがその成果だったのだが、小松崎宗は人の命を弄ぶ研究に良心の呵責を受けて組織を裏切り、ランを死んだものとし、匿っていたのだ。冴子は自らが作りあげた高い知能をもった犬「パスカル」に野犬を操らせ人々を襲い、ついにはランの養父を殺害。殺人の汚名を着せられ、追い詰められたランは、冴子に殺された養父の敵を討つために立ち向かう。

紅い牙・II 『鳥たちの午後』

(初出 別冊マーガレット 1977年7月号)

ランの敵となる悪の巨大組織・タロン、ランの恋人であるバードこと鳥飼修一、そしてランからの輸血によって超能力者として生まれ変わることになる少年・ワタルなど、後のシリーズまでの鍵となる人物・組織が登場する。

全寮制の名門「聖陵学園」。ランはここで、食堂の賄い婦としてひそかに生活していた。ロックバンド「文無し組」を結成している不良の鳥飼修一(バード)とひそやかに交友するラン。しかし、美貌の転校生のハンナ・ミュランの登場で、その平穏な日々は打ち砕かれる。小松崎宗のかつてのスポンサー、秘密組織「タロン」は超能力を利用した世界支配を目論んでおり、彼の研究成果であるランを奪還しようとしており、ハンナはタロンがランを狩り出すために送り込んだエスパーなのであった。一方のバードは孤児であり、同じ境遇である初等部の少年ワタルになつかれていた。それを見抜いたハンナはESPでワタルを操り、車を暴走させてランの命を狙うが失敗し、ワタルは重傷を負う。その時、ランの血を輸血したことでワタルにもESP能力が生まれることとなるが、その力を制御できなかったワタルは、いつも侮辱してくる級友を殺してしまう。ワタルの身柄と引き換えに、タロンに降ることをランに要求するハンナ。ランとワタルを助けに突入したバードも撃たれて重傷を負い、ついにランはESPを発動。ハンナとタロンのメンバーを怒りの炎が焼き尽くすのであった。バードはランにワタルを託して死に、ランはワタルを連れ、当て所ない旅に出るのであった……。

紅い牙・III 『さよなら雪うさぎ』

(初出 デラックスマーガレット 1978年冬の号)

後にランたちの味方になるロシア人のエスパー・イワンが初登場。雪国での外国人への偏見と誤解をタロンに付込まれ、粉々にされた悲恋を描いた作品。

タロンに追われ長野県の奥地に追い詰められたランとワタル。ヘリから銃撃を受けたランはESPで撃退するが自らも重傷を負い倒れる。目覚めた彼女は亡命ロシア人の青年イワンの隠れ家にかくまわれていた。彼と恋人の西脇真沙子はひそかに交際しているが、よそ者のイワンを見る村人たちの目は冷たく、村の実力者である真沙子の父は彼らの交際を快く思ってはいなかった。ランを追うタロンの手はこの村にも伸び、村人の心を操ってイワンたちへの憎しみを増幅しランとイワンたちを襲わせる。反撃し村人を殺してしまった彼らは逃亡を余儀なくされるが、しかしそれはタロンの狡猾な罠であり、イワンと真沙子を人質にとったタロンはランに組織へ降ることを強要、ランは心ならずも従う。それを知ったイワンは封印されていたESP能力でランを救出する。だがその直後に現れた村人の銃撃を受け、とっさにイワンをかばおうとした真沙子は……。

紅い牙・IV 『タロン・闇に舞うタカ』

(初出 別冊マーガレット 1978年3月号)

タロンのエスパー部門のボス・サグが登場。バードがサイボーグとなって再登場。サイボーグとエスパーの結ばれぬ恋を描く。遠隔操作で他人に憑依して攻撃するエスパー・ミンガに苦戦する。

タロンの手から逃れ、伊豆の孤児院「聖バランタイン・ホーム」に身を寄せていたランとワタル。そこに、死んだはずのバードが現れる。狂喜するラン。しかし、バードは一切の記憶を失っていたのだ。そしてそこにもタロンの手が伸びる。バードはタロンの手によってサイボーグに改造され、エスパーであるミンガに操られ、手引きしていたのだ。孤児院の子供たちとランを誘拐したタロンは、子供たちの命と引き換えにランに服従を要求する。やむを得ず要求を呑むラン。タロンはランの血液を仲間に輸血する人体実験を行う。しかし、ランの中に潜む「紅い牙」にその男は操られ、ランの逃亡を手助けすることになる。脱出を図るラン。だがそこは海上の秘密基地であった。ランの魂の呼びかけにより自我を取り戻したバードは、我が身を引き換えにランたちを逃がし、基地を爆破する。そしてまたランたちは、あてどなくさまようことになる……。

白泉社 花とゆめ期

約3年間のブランクを経て、白泉社花とゆめ誌にてシリーズ再開。前シリーズまではタロンに対して受身であったランが、今シリーズでは小説家・桐生仁などの支援者たちを得ることで積極的にタロンへの対決姿勢を示している。

紅い牙・V 『コンクリート・パニック』

(初出 花とゆめ 1981年1-2号)

重要キャラとなる小説家・桐生仁が初登場。自然保護をテーマに「安曇コンツェルン」(タロンを構成する五つの大会社の一つ)との闘いが描かれる。桐生は別作品『盗まれたハネムーン』にも登場。

秩父にある「安曇セメント」の工場が、謎の少女が率いる野犬の集団に破壊される。その事件を追っていた小説家の桐生仁は、重傷を負って病院に入院していたランを見出す。同じ病院で植物人間として入院していた青年、逸見茂の妹の圭子に出会った桐生は、安曇セメントの社長父娘の陰謀を知る。彼らはセメントの強引な採掘に反対していた逸見兄妹の両親を殺害し、兄も重傷を負わされていたのだ。そして、安曇グループの工場を襲っていたのは潜在的なエスパーである逸見茂のサイコキネシスと、安曇セメントに住処を奪われた狼たちの霊魂が一体化した亡霊だったのだ。安曇グループに所属するエスパー浅野の力でそれを知った安曇父娘は、圭子を誘拐し、茂の肉体の在り処を聞き出そうと激しい拷問を加える。しかし、圭子は口を割らず絶命、最後に残った狼の一匹も射殺される。怒りに燃えるランの中の紅い牙が炸裂、安曇コンツェルン本社のある「ギャラクシータワー」ビルを破壊する。

紅い牙・VI 『ハトの旋律』

(初出 花とゆめ 1981年4-5号)

王翠学園を舞台に後の重要ファクターとなる「プロジェクト・ダブ(ハト計画 dove=ハト)」の概要が明かされる。後に計画阻止の鍵を握る奈留・真知の榛原姉妹やランの仲間である応援団「新撰組」が登場する。

横浜の私立王翠学院。ランはそこで図書館司書として働いていた。それは、知人の東都日報記者が王翠学院でタロンの手でひそかに行われている「ハト計画」を追って謎の死を遂げたことを不審に思った桐生仁が、ランに依頼した情報収集だった。学院では生徒会長の三好と副会長の不破が異様なカリスマ性で生徒たちを扇動し、応援団「新撰組」を不良集団として排除しようとしていた。彼らこそタロンが送り込んだ「ハト」だったのだ。不破たちは生徒を操り少年院帰りの新撰組の団長、芹沢を殺害する。新撰組のメンバーは制服に血をつけて帰ってきた奈留を犯人と疑いつるし上げるが、ランの説得を聞き入れ王翠でのハト計画の阻止を決意する。ランは英語教室に潜入し、生徒たちがヒアリングテープで洗脳されていることを突き止めるが、タロンのメンバーである英語教師の四条の手におち、そこでハト計画の全貌を知らされる。ハト計画とは、優秀な若者を選抜しタロンの理想教育を施した上で社会のエリート階級に就かせ、世界を支配する計画だったのだ。ランは洗脳されそうになったところを危うく新撰組に救出される。彼らは自分たちを理解してくれたランを「仲間」と認めたのだ。ランたちは三好たちの陰謀の真相を一般生徒たちに呼びかける。次第に生徒たちは彼らの言葉に耳を傾けはじめ、危機感を持った三好たちは奈留を誘拐することでランたちをおびき出し始末しようとする。しかしその現場を警察に押さえられ逮捕される三好と不破、そこに四条が現れ「雪は降る」のメロディーを聞かせると二人は倒れ死亡する。ハトの脳には一定のメロディーに反応して死に至らしめる特殊な装置が埋め込まれており、「雪は降る」は任務に失敗したハトを粛清する「ハトの旋律」だったのだ。二人を消し逃亡しようとする四条、しかしランの「紅い牙」が目覚め四条を倒す。王翠のハトは消えたが、ランはまた「仲間」から離れ流離うこととなるのだ……。

紅い牙・VII 『ブルー・ソネット』

時系列としては『ハトの旋律』その後に相当。『タロン・闇に舞うタカ』の約3年後の1981年。もうひとりの主人公ともいえるエスパーサイボーグ・ソネットが登場し、バード・ワタル・イワンといった過去のシリーズの登場人物たちも活躍する。シリーズ初の長期連載。

第1部(初出 花とゆめ 1981年11号-1982年9号)
白い肌、青味がかった長い銀髪の美少女、ソネット・バージ。スラム街で生まれ育った彼女は父親がなく、母親からもその容姿のため疎まれていた。母親から強要された売春のショックで、備わった超能力が目覚める。しかしその超能力が更なる母親の嫌悪を招き、結果としてソネットは自分を捨て男に走ろうとした母親を逆に殺してしまう。そんな彼女を悪の組織であるタロンが目をつけ、誘惑する。何もかもが信じられなくなったソネットは、汚れた体を捨て、エスパー・サイボーグとして生まれ変わった。彼女の任務は古代超人類の血を引く唯一のエスパーである小松崎ランを捕らえる事。そのため彼女は転校生として王翠学院にもぐりこむ。奈留の姉・榛原真知や杵島大介は転校生ソネットに疑いを持つが、サグの特命で学院に潜入した斐川和秀によって、真知は催眠をかけられ操られてしまう。
一方ランは桐生の説得により、タロンとの戦いに備え自分の中の「紅い牙」をコントロールするためESP能力の訓練に励む中、小半教授のESP研究所を訪れた。小半の催眠療法によりランの「紅い牙」が発動し暴走するが、小半の娘である由里のテレパシーの呼びかけで危ういところで暴走は止まる、しかしそれをタロンの手先に偶然発見されてしまい、小半の研究所にタロンのメンバーとソネットが急襲をかけてくる。小半は射殺されランと桐生はタロンに拉致される。タロンは桐生からハト計画の情報源を割り出そうとし、またランの卵子を取り出しエスパーのクローンを作ろうとしていたのだ。タロンは桐生のかつての恋人で杵島大介の母親でもある美子を誘拐し痛めつけることで、桐生の情報源が東都日報の榛原克規であることを聞き出す。一方、ランの卵細胞を移植される実験台になったタロンの女性メンバーたちは、ランからかつて彼女の血を輸血されたタロンのメンバーが発狂し死んだことを聞かされ恐怖におちいり、彼女を逃がし自分たちも逃亡する決意をする。
かつてタロンの海上移動基地で爆死したはずのバードが実は生きており、タロンに放火されたESP研究所から由里たちを救い出す。由里のテレパシーの呼びかけによりバードとワタルはランと桐生を助けに安曇重工の工場に偽装されたタロン日本支部に侵入する。サイボーグ体のバッテリーが残りわずかで限られた命であるバードは、自ら囮となる捨て身の戦法をとり、ランには自分が再び現れたことを黙っているようワタルに口止めする。彼らの力もあり脱出にはからくも成功するがランと桐生は瀕死の重傷を負う。そして彼らの脱出を阻止しようと現れたソネットとランの「紅い牙」が激突。タロンの研究所は跡形もなく崩壊し、地割れに押し潰されそうになったソネットをとっさに助けたバードは彼女とともに地割れに飲み込まれてしまう。ソネットはバードがなぜ敵である自分を助けたのか疑問を持つが、脱出のためにバードと地下洞窟をさまよう内、バードに惹かれていく自分に気がつく。
救出されたランと桐生は、「紅い牙」の力により奇跡的に一命を取りとめる。意識を回復したランは、由里からバードが生きていたことを聞き、束の間の幸福に包まれる。
第2部(初出 花とゆめ 1982年12号-1983年8号)
バードは富士裾野の地下洞窟から脱出した後、ラン達の元には戻らず、ガソリンスタンドで働いていた。聖陵学園時代のバンド仲間・清水と高橋に再会し、オーディションに出場しプロデビューを目指さないかと誘いを受ける。
崩壊したタロンの研究所から、殺人兵器・タランチュラが抜け出す。タロンの秘密が漏れることを危惧するタロンは、タランチュラを追跡・破壊を試みる。東都日報デスク・榛原克規は、部下の血の犠牲の上にタランチュラのスクープ写真とタロンの存在を新聞の一面に掲載する。しかし、榛原が厳重に保管してきたタロンに関する情報は、斐川に操られた娘の真知によって盗み出されていた。記事はタロンの息のかかった政治家の圧力によりもみ消され、榛原は失脚する。
一方、連絡の取れないランや行方不明の美子を心配する奈留と大介ら新撰組のメンバーは、真知と共にソネットのマンションに忍び込むが、逆に斐川に殺されそうになる。謎の銀髪の外国人(イワン)により助けられ、真知も斐川の催眠から解放される。
イワンの強烈なESPを浴びせられ催眠能力を失った斐川は、自らの身の保全のために、タロンの秘密を握ると思われる奈留を誘拐する。斐川は真知に盗ませた資料から、元タロン幹部Kが、タロンの情報を娘の奈留にインプットして榛原に託したと推し量ったのだ。斐川は奈留の口を割らせるために吸血ウナギで拷問すると共に、サグに強力なテレパス・ゲシュペンストを派遣させ奈留の意識下の秘密情報を引き出そうと躍起になる。一方、タロンに拷問され榛原の名前を出してしまった桐生は、ランに榛原の身辺保護を依頼する。駆けつけた榛原家で奈留誘拐を知ったランは斐川を追い、斐川と奈留抹殺命令を受けたソネットに出くわす。奈留に友情を感じるソネットは命令に背いて彼女を救うが、斐川を始末しランと突堤で対決する。ランは海中に落ち、タランチュラの体内に取り込まれてしまう。奈留は一命を取り留めたが、ゲシュペンストに憑依され、病院で付き添いをしていた由里を襲う。
最愛の人・真沙子を奪われたイワンは、タロンを憎み、世界各地のタロン要人を暗殺していた。ルーベ=マス会長ジョルジュ・マンディアルグの豪華クルージング船に忍び込み殺害、メレケスの命も狙うがソネットにより阻まれる。
第3部(「鮮血の檻」編を間に挟む)(初出 花とゆめ 1983年13号-1984年10号)
ソネットからランを救ったタランチュラは、ランに子どもらしい情愛を見せるが、一人占めしたいあまりにランを無人島に閉じ込める。救出に来た桐生は、タランチュラは胎児の脳を使ったサイボーグで、兵器としての教育を受ける前に動き出したために、保護してくれる親を求めていたと推測する。
一方、奈留に憑依したゲシュペンストは、奈留の手を使って次々と殺人を犯していた。奈留を追いゲシュペンストの凶行を制止しようとした由里はテレパシー攻撃を受け、一時行方不明になる。肉体を持たず、悠久の中を生き続けているゲシュペンストは、自らに死がもたらされることを求めていた。奈留の体を殺して、斐川の父親に肉体を乗り換えようとしたゲシュペンストを、ランは自らに乗り移らせ、古代超人類の巨大な意識の集合体の中に吸収した。奈留は無事意識を取り戻す。だが実は、ゲシュペンストが「紅い牙」に取り込まれること自体が、サグの狙いだったのだ(鮮血の檻)。
バードはバンド・文無組の一員として、グリーン・アース運動主催のオーディションに出演する。今やサイボーグとなっていたバードは、超高速でベースの弦を弾く超絶技法を見せる。現在を生きていることを実感するバード。文無組は優勝し、バードは謎の外国人美女・ソニィとともに、バンド・NOVAのベーシストとしてプロデビューすることになる。素顔を見せず、メンバーに打ち解けようとしないボーカルのソニィに、バードはサングラスを取るように詰め寄る。ところがソニィは、自分の正体がソネットであること、バードに想いを告白する。衝撃を受けるバード。一方、ランはバードを探して訪れた事務所で、ソニィとすれ違う。狼少女だったランの鋭い嗅覚は、ソニィとソネットが同一人物であると告げる。ランは、かつてタロンが彼女を手に入れるために、聖陵学園でバンドをしていたバードにハンナが近づいた時と、状況が酷似していることに不安を覚える。さらにグリーン・アース運動のスポンサーであるミューレックス社は、安曇グループの系列であった。その頃バードは、グリーンアース運動がタロンと無関係であることをサグに確認し、NOVAの活動を続けることを選ぶが、同時にランに関する決定的な秘密を知らされる。自分の命が続く間に「その時」が来たら、バードは愛するランを守るためにある決意をする。
奈留が行方不明の最中、榛原は真知をタロンの魔の手から守るため、隠れ里ともいえる寒村に匿っていた。その地で真知は、榛原家の養女は奈留ではなく真知であることを知ることになる。それが、両親が実の娘であるはずの自分には距離を置いていた理由だったのだ。真知の実の父親Kは、タロンを壊滅させるある秘密ファイルを、まだ幼かった真知の潜在記憶にプログラム・封印し、旧友の榛原に託していた。榛原は対タロンの切り札である真知を守るために実子として育て、彼の実の娘奈留を彼女の身代わりとしたのだ。専門家の元で真知の記憶の封印を解く作業が行われたが、真知はKの情報を語り終えた後、廃人になってしまう。榛原は情報を録音したテープとその解析を桐生に託し、一家は傷心のまま長崎へ旅立つ。
だが後日、真知の語った内容を解析するには、真知そのものがパスワードとして必要なことが判明するが、真知が廃人同様になってしまったために難航する(砂漠都市)。
砂漠都市(初出 花とゆめ 1984年15号-1986年18号)
ラン、桐生、由里は、Kのデータにリストアップされていたタロン要人達に探りを入れようと試みるが、要人達はイワンと思しき人物に先回りされて次々と暗殺され、手がかりをつかめないでいた。ランと由里は、偶然クレーン事故からミューレックス・黒部の娘を救い出したことをきっかけに、タロン要人の会議が行われるという黒部の別荘でメイドとして働くことになる。陸の孤島ともいえる断崖絶壁に建つ別荘・安曇ヴィラでは、なぜか由里のESPが使えない。ラン達は、毎晩夢とも現実とも区別が付かない悪夢に悩まされ、徐々に神経が磨り減っていく。タロンの要人達を招待したパーティーではメイド達は客の命令には絶対服従で、淫らな要求に応じていた。度重なる疲労と目の前の乱交・凶行に、ランと由里は冷静さを失い、何者かによる幻影の中に陥れられていく。しかし、メイドとして潜入していた旧友イワンとともに幻影を打ち破り、相手を倒す。ラン達に幻覚を見せていたのは、タロンESP部隊のエリート・フェネロスのエデベック兄妹であった。彼らはお互いの生命エネルギーを与えたり受け取ったりするESPを持ち、安曇ヴィラの老若男女たちを演じ分けていた。彼らが倒されると、安曇ヴィラは廃墟に戻った。これを機に、イワンはラン達のタロンとの闘いに加わる。
ミューレックスから、ヘッドホン音楽プレーヤー「レボ」が発売された。直前に飛行機事故死したアイドル・松賀聖子を効果的に広告に使い、一種の社会現象となっていた。レボ対応CDはNOVAの楽曲であった。実はレボは、聴覚を通して人間の快感中枢を刺激すると同時に強い中毒性を与えるもので、言わば電子工学が生んだ麻薬だった。さらに、刺激を強めた裏ディスク「アカバン」が、闇ルートで中高生に広まっていた。榛原の腹心の部下・坪井は東都日報で反レボキャンペーンを試みる。桐生はこう推測する。レボのマインドコントロールにより、若者たちは二極化する。正義の怒りを暴走させる善意の若者たち、反社会的で陰湿な悪の側の若者たち。二つのタイプの対立により、タロンの唱える世界大浄化が加速し、世界統一国家の実現につながるのではないか、と。
わずか数ヶ月間でスーパースターになったNOVA。屋外コンサートの最中、落雷がソニィことソネットを直撃、失神する。救急車に乗り込みソネットに付き添うバードは、メレケスに背後から襲われ、ソネットとともにレボ=ディスクの研究所に運び込まれる。これは戦士としての冷酷さが失われたソネットに「再教育」を施すための茶番だった。落雷で気絶させたのは、再教育を彼女に知らせたくない、メレケスのせめてもの親心だった。研究所で目を覚ましたバードは、レボ末期中毒者たちのケダモノと化した姿を目の当たりにする。バードは脱出を試みるが、「再教育」を受けたソネットに倒され、腕をもぎとられる。恋していたバードの腕を高々と持ち上げるソネットの姿に、メレケスは再教育の成功を確信する。だが、ソネットはメレケスに背いて、深夜の研究室からバードの腕を持ち出し彼の体に腕をつなげ、これを目撃した同僚エスパーの口を封じる。一方、ランはイワンとともに研究所に侵入し、タロンの海上移動基地で別れて以来数年ぶりに、バードとの再会を果たす。だが、ずっと会いたかったはずなのに、過ぎ去った年月が長すぎたのか二人はぎこちない。彼らはソネットとESPユニット・オクトパスと対決するが、バードには攻撃しきれないソネットの隙をつき危ういところを逃れる。メレケスはソネットの「再教育」が失敗に終わったことを知る。
一方、タランチュラがテレビ局によって発見され、浦賀港への水揚げがテレビ中継された。秘密を守るために手段を選ばずタロンから逃げるよう、ランはワタルとのテレパシー中継でタランチュラに必死に呼びかけるが、サグに奪われてしまう。サグは、ランに阿蘇での決戦を申し渡し、ランはそれを受けて立つ。
実はバードはサグに自動起爆装置を握られていたため、サグと取引し定期的にランの様子を報告していた。サグの真の目的は、古代超人類の怨念の解放にあった。ランに次々とエスパーをぶつけることで、「紅い牙」が力を増し逆にランを支配するのが狙いだった。自身も古代超人類の血を引くサグは、タロンを利用しているにすぎなかった。バードは「その時」が来た場合、ランが世界中に破壊と死をもたらす化け物と化す前に、ランの魂を守るために彼女の命を奪う覚悟でいた。決戦の前に、バードはその決意をイワンだけに明かす。
ラン、バード、ワタル、イワン、由里、桐生の6人は最終決戦の地・阿蘇でサグ一味を迎え撃つ。サグの許で容赦ない「再教育」を受けたソネットは、溶岩を身にまとった醜いゴーレムの姿に変えられ、ラン達を襲う。ソネットを冷徹な戦士に育て上げられなかったことを咎められ幹部の地位を剥奪されたメレケスも、ソネットの最後の姿を見届けるために駆けつけるが、サグはソネットのランへの憎悪を煽るため、ランの仕業に見せかけてメレケスを殺す。メレケスを父と慕うソネットは、サグの狙い通りにランを殺そうと暴走する。一方、ワタル、由里、桐生もサグのバリア・クラッカーによって殺されてしまう。呆然とするランの目から血の涙が流れ出した。愛する人たちを失った悲しみと、以前取り込んでいたゲシュペンストが引き金となり、ついに古代超人類の全人類に対する憎悪が覚醒したのだ。これまで「紅い牙」を抑えこんでいたランの人間らしさ、優しさは完全に失われ、恐怖の力が暴走した。
一方バードはサグを倒すため、自らの原子爆弾付きバッテリーを取り出して爆破させるが、失敗に終わる。彼らを嘲笑うサグは、ソネットのESPは腫瘍が脳に作用したために生じたもので、彼女の残りの命は数年であることを明らかにする。彼女のESPだけが目的だったタロンは、腫瘍に侵された体をサイボーグ体にし、脳の腫瘍は温存したのだ。ランの「紅い牙」を覚醒させるために利用されていたと悟ったソネットは、バードとタッグを組み、バッテリーを失ったバードにエネルギーを供給する。結局サグは、タロン最強のテレパス・パトナの精神コントロールから逃れたタランチュラに殺され、サグの遺志を受け継いだパトナはレボに洗脳された学生たちを操り、阿蘇火口に集結させる。太古の昔、古代超人類を迫害・根絶やしにした人間たちを髣髴とさせ、「紅い牙」の憎しみを一層煽るためだ。「紅い牙」により阿蘇山は噴火、バード・ソネット・イワンは「紅い牙」の途方もない威力を懸命に抑えこもうとする。
「紅い牙」の猛威は榛原姉妹の住む長崎にまで影響していた。崖から落ちそうになった奈留は、テレパシーによってランの身に起こったことを瞬時に悟る。真知は、奈留の危機に正常な意識を取り戻す。しかし、奈留はランが元の優しいランに戻る願いと引き換えに、自らの身を投じた。奈留の献身的な祈りが通じ、ランは奇跡的に自分を取り戻した。
だがランは見ていた。力尽きこれ以上戦えないと感じたソネットは、自らのバッテリーをバードの為に差し出し、死んでいこうとした。バードはソネットの手を取り、二人は火口に墜ちていった。
その後、正常な意識を取り戻した真知によってKの情報の解析が進み、レボシステムによるタロンの集団コントロールの理論とハト計画の全貌が明らかになった。東都日報の反レボキャンペーンによりレボは残らず廃棄、ハト計画は失敗に終わった。

紅い牙・VIII 『32シャッフル』

(初出 花とゆめ 1989年13号)

『ブルー・ソネット』がOVA化された際に花とゆめに掲載された作品。タロンとの最終決戦より数年後の1989年。主人公・ランのかつての恋人を思わせるベーシストが、自らの神憑り的な演奏と彼を利用しようとする故郷の町の歪んだ陰謀のために全てを奪われてしまう物語。連載中は上手く使えなかったランの超能力も、上手に使いこなしている。

登場人物

主要キャラクター

小松崎蘭
1961年5月19日生まれ。血液型はB型。生後すぐ両親と共に飛行機事故に巻き込まれ5年間狼に育てられた。彼女こそは「古代超人類」の持つ超能力「紅い牙」を受け継ぐ者である。紅い牙を我が物にしようとするタロンによって、愛する人々を失い、数奇な運命をたどる。日常生活ではESPをほとんど使うことが出来ないが、危険が迫ったり激情にかられたりすると、髪を赤く逆立て「紅い牙」を使うことができる。
鳥飼修一
通称「バード」。初登場は『鳥たちの午後』。聖陵学園高等部の不良。
食堂の賄いをしていたランと相思相愛だったが、タロンの手にかかり死亡。しかしその遺体は回収されサイボーグ「RX-606」として復活。ランの前に再び姿を現すこととなる。
サイボーグに改造され人間らしい感覚を失ってしまったこと、バッテリー切れのために命がいつ果てるともしれないことが強い葛藤を生むが、「NOVA」でのバンド活動を通じて自分の生きた証をどう残すかという生き方につながっていく。自分の運命を狂わせたランへの愛を貫いていくが、死期を目前にした実の父親が妻子を捨て昔の恋人と阿蘇火口に身投げしたという家庭背景が、バードに最期に意外な選択肢をとらせる。
小松崎ワタル
初登場は『鳥たちの午後』、聖陵学園の初等部の生徒だった。孤児でありバードに懐いていたのだが、ハンナに操られランを車で轢き殺そうとし失敗、重傷を負う。負傷したためランの血液を輸血され、それが理由で超能力をもつ事になる。以後ランの弟として行動を共にする。生命維持のため、ランからの輸血を定期的に必要とする。『ブルー・ソネット』編では、八溝台学院に通う13歳の中学生に成長している。
桐生仁
短編集『盗まれたハネムーン』に登場した伝奇小説家。37歳。本作では『コンクリート・パニック』での安曇セメントにまつわる事件の取材をきっかけにランと知り合う。東都日報の榛原からタロンの陰謀を知ることにより、彼女を匿い支援することになる。チーム・ランの頭脳であり、『コンクリート・パニック』編から『ブルー・ソネット』編のストーリーテラー的存在。銃器所持免許があるらしく、散弾銃で武装する姿も見られた。杵島大介はかつての恋人・美子との間の実子だが、まだ知らないでいる。
小半由里
小半教授の娘。優秀なエスパーで強力な千里眼、テレパシー、さらには未来予知能力を持つ。15歳の時に開花した自分の超能力に夢中になった父親の手で恋人を失ったことで精神の均衡を失い父を殺し焼身自殺を図ったが助かる。しかしその時の大やけどが元で視覚も聴覚も失い喋る事もできない。小半教授の研究所がタロンに襲われた事件をきっかけに正常な精神を取り戻しランの味方となる。娘のゆみを救ったソネットが、実は心優しい少女であることを理解している。『ブルー・ソネット』編での登場。具体的な年齢は示されていないが、小学2年生の娘のゆみを妊娠したのが高校生の時であったことから、おそらく20代半ばである。火傷を隠すため、普段は人工皮膚のマスクとサングラス、ウイッグを着用している。
イワン・ナザレフ・フョードロヴィチ
亡命ロシア人の青年。初登場(『さよなら雪うさぎ』)時は18歳。強力なPKテレポーテーション、テレパシー等を自在に操る、強力なエスパー。彼の両親はESP能力を持つ息子をソビエト軍当局が実験材料にすることを恐れ日本に亡命、しかし命を落とすこととなる。タロンの手により恋人も失った彼はタロンに復讐するために幹部の暗殺を繰り返すことになる。
榛原奈留
王翠学院高等部の生徒。『ハトの旋律』編で司書として働いていたランと親しくなり、後に同居するなど一番の親友といえる存在となる。真知の妹である。榛原家で養女として育てられたが、実は榛原夫妻の実子。
榛原真知
王翠学院高等部の生徒。応援団「新撰組」のメンバーである。奈留の姉で同い年である。彼女がツッパリ気味の応援団に入った理由のひとつとして養女である奈留を両親が自分より大切にするというコンプレックスがあった。実は榛原家の養女。実の父親Kにタロンの秘密情報を潜在記憶にプログラムされており、対タロンの切り札である。
ソネット・バージ
タロンのエスパー・サイボーグ戦士。青味がかった銀髪の美少女。タロンにスカウトされた1980年当時の年齢は16歳。プエルトリコ系の母とおそらく白系ロシア人の父の間に生まれニューヨークのスラムに育った。13歳の頃からESP能力の兆しを見せていたが周囲の人々に「悪魔の子」「魔女」と恐れられ、母親には売春を強要される。母親に裏切られ殺されそうになったことでESPが爆発。それがきっかけでタロンにスカウトされるのである。タロンの戦士として非情な作戦に従事しランとの戦いを繰り返す中で、ランと関わりのある人物達と接し、人間としての優しさや思いやりを取り戻していく。またランの恋人であるバードに恋し、最後の最後で真実の愛を得る。『ブルー・ソネット』での登場。
ヨゼフ・メレケス
タロンのサイボーグ部門を統括する幹部。ユダヤ系ドイツ人。サイバネティクス工学の権威でありソネット、バードをサイボーグ化した本人である。冷徹であろうと心がけているが、元々は情愛の強い面がある為、いつしかソネットをわが娘のように愛する事となり、それが彼の破滅へとつながっていく。『ブルー・ソネット』編での登場。
サグ
タロンのエスパー部門を統括する最高幹部。初登場は『タロン・闇に舞うタカ』。彼自身が古代超人類の末裔であり、タロンのためよりは古代超人類による人類への復讐のためにこそ動いている。彼もまた「紅い牙」の意識の下に動いていたのだ。
タロン
作品世界に登場する世界規模の秘密結社。米ソを含む主要軍需組織を主軸とする超国家的な企業連合体であると同時に世界の支配層をコントロールしており「優れた人間による人類社会の支配」を目指している。
「タロン」は作品世界にある世界の軍需産業の頭文字をつなぎ合わせたもの。これらの軍需企業の連合体がタロンの正体で実体はないと桐生は推測した。
  • TMC ROVER
  • 安曇重工(Azumi Heavy Industries)
  • ROUBAIX=METZ
  • OBER HAUSEN
  • NIZHNI=TAGIL
古代超人類
太古の昔、地球に辿り着いた異星人種族で、「神」のごとき力を操ることができた。その科学力と超能力に圧倒的された人類は当初、彼らを畏れ崇めたが、神々の花嫁として愛する女たちを捧げねばならないという無念と新生混血児の死亡率の高さからくる不吉な印象による恐怖によって、「神」に対する不信と憎しみを育て、ついに古代超人類を混血児もろとも根絶やしにした。それを信頼と友情に対する裏切りと受け止めた古代超人類は、人類に対してはかりしれないほどの怨念を持ち、気の遠くなるほどの年月をかけて薄められた古代超人類の血が濃くなる偶然(?)を待ち、人類を抹殺する機会を伺っている。

サブキャラクター

『狼少女ラン』
小松崎宗
ランの養父、動物学者。かつてはタロンをスポンサーとし、古代超人類の遺伝子を濃縮し現代に復活させる研究に携わっていたが神をも畏れぬその研究の過ちに気がつきランを組織から逃がすのだが……
寄木冴子
ランの高校の生物教師。寄木の父親は小松崎宗の元共同研究者だった。父親の研究成果であるランを奴隷にすべく、残酷な策略をめぐらす。
パスカル
寄木により作り出された、人間並みの高い知能を持つ犬。寄木の命令に従い、ランを陥れるため野犬に人を襲わせる。
麗子
ランの親友。
一馬
麗子の兄。ランに好意を寄せている。
『鳥たちの午後』
ハンナ・ミュラン
タロンが聖陵学園に送り込んだ美貌のエスパー。生徒たちを超能力で操りランを捕らえようとする。
清水宣之
高橋耕平
聖陵学園のバードの友人。バンド文無組のメンバー。数年後の『ブルー・ソネット』で、バードを再結成した新生・文無組に誘い、NOVAデビューのきっかけを作る。清水はNOVAの一員となる。その『ブルー・ソネット』連載時では作者が下の名を忘れていたためか、名前がそれぞれ清水考一、高橋保弘になっていた。
『さよなら雪うさぎ』
西脇真沙子
イワンの恋人。長野の寒村の実力者の娘だったがランを狙うタロンの罠により命を落とすこととなる。
『タロン・闇に舞うタカ』
ミンガ
タロンのエスパー。他人の心を思い通りに遠隔操作する能力を持つ。
フェリペ神父
孤児院・聖バランタインホームを運営する神父。素性の分からないランとワタルを温かくホームに受け入れる。後に、ワタルの八溝台学院進学の際、身元保証人となる。
『コンクリート・パニック』
安曇省三
安曇セメント社長。強引な開発により反対派の逸見氏と妻を殺害。息子の茂も植物人間にする。
安曇麗子
安曇省三の娘。残忍な性格。父とともに逸見一家に非道な仕打ちを行う。
浅野
安曇重工に所属するエスパー。「かまいたち」のようなサイコキネシスを操る。
逸見茂
自身を植物人間にし、両親をなぶり殺した安曇親子に復讐するため、生き霊となる。セメント採掘で山を破壊された恨みを持つ狼とともに、セメント工場に襲い掛かる。
逸見圭子
茂の妹。兄思いの少女だが、茂の動きを阻止しようとする安曇親子の犠牲になってしまう。
久保幸司
角倉書店「野獣時代」の編集者で、桐生の担当。桐生の取材に同行し、超能力者・小松崎蘭の存在を追う。その後『ブルー・ソネット』編では、タロンの存在を桐生に打ち明けられ、レボの危険性に関する特集記事を企画する。タロンの秘密兵器・タランチュラの水揚げ現場に潜入し、殉職する。
桃生
ブティック・ヘリオトロープの女性オーナー。登場回数は多くないが、桐生が信頼を寄せる友人。阿蘇の最終決戦の前に、タロンとランに関する貴重な資料を桐生から預かる。桐生に気があるふしがある。
『ハトの旋律』
杵島大介
王翠学院の生徒。応援団から抜け出そうとして暴力沙汰を起したが止めに入ってくれたことからランに好意を寄せる。実は桐生の息子であり、母親の美子は小説家として世に出る直前の桐生の恋人だった。「桐生仁は文学賞の為に恋人を売った」というスキャンダルを真に受け、桐生が自分を身ごもっていた母親を捨てたと信じ、実の父親を憎んでいる。
近藤総八
永倉俊明
王翠学院の生徒。応援団「新撰組」のメンバーである。応援団を抜けようとした杵島大介に制裁を加えようとしたが、まじめに応援団活動を志向していた彼らは不良行為ばかりを繰り返す現在の応援団幹部に見切りをつけた杵島の考えにも理解はしめしており後にランの説得に応じ「ハト計画」の真相究明に力を貸す。
三好延之、不破霜子
タロンが王翠学院に送り込んだ「ハト」で生徒会長と副会長。生徒たちを洗脳教育で操ろうとしていた。それをかぎつけた東都日報記者を殺害したことからランたちが調査に乗り出すことになる。
四条
王翠学院の英語教師。タロンのメンバーで三好たちハトに指示を与えていた。英語のヒアリング教材に特殊な洗脳音波を含ませ生徒たちを操ろうとしていた。
芹沢
王翠学院理事長の息子。応援団の団長だが札付きの不良で少年院に入っていた。三好たちに「排除」される。

生徒達の姓は新撰組隊士にちなんでいる。

白根
桐生仁の友人で神奈川県警察の刑事。タロンの陰謀を嗅ぎつけ、内密に捜査している。警察にも圧力をかけるタロンの力により表立って捜査できないが、『ブルーソネット』編でも桐生やランを影から支援する。
安藤正幸
東都日報の記者。桐生の大学の後輩で、榛原克規の腹心の部下。王翠学院で進行しているハト計画を調査していたが、三好らによって殺害された。
『ブルー・ソネット』
<ランの仲間とその関係者>
小半教授
由里の父親。優秀な心理学者だったがESPの研究に熱中するあまり娘の由里を実験台にし、ついには彼女の人格を崩壊させてしまう。タロンの正体を知らずに援助をうけESP研究所を開設、優秀なエスパーを安曇重工に紹介していた。ランを捕らえに来たタロンに銃殺される。
小半ゆみ
由里の娘。由里のような際立ったESP能力はないが、母親の予知した内容を予知夢として見ることがある。タロンの銃撃を受けるが、ソネットのESPにより助けられる。
片岡
小半教授の助手。
王翠学院の養護教諭。ソネットがサイボーグであることを目撃し、生徒の前で自殺させられてしまう。死の直前、「やめて、ソネット」と叫び、杵島大介がソネットに疑いの目を向けることになる。
杵島美子
大介の母。旧姓・式見。かつて桐生と愛し合っていたが、桐生を小説家として世に出す為に文学賞審査委員の一人に自ら身を任せ、何も知らない桐生は文学賞を受賞する。美子は何も言わずに桐生の前から去ったが、桐生との間に大介を身ごもっていた。タロンは口を割らない桐生の目の前で、彼が今も変わらずに愛し続ける美子を拷問し死に至らしめる。死の間際、大介はあなたの子だと桐生に告げる。
岡田さん
ワタルの八溝台学院でのクラスメートで、生一本な性格。ワタルに好意を寄せる。番外編『ワタルくん・スクランブル』にも登場する。
榛原克規
東都日報デスクで、榛原姉妹の父親。タロンの存在を早くから知り、タロンの陰謀を暴くべく行動していた。Kの娘“奈留”を引き取り、実の娘である真知という名前で育てる。
榛原美枝子
榛原の妻で、榛原姉妹の母親。夫の信念を理解するものの、タロンと対決することにより家族の平和と安全が奪われることを危惧している。
K
本名、櫟宏幸。元タロン幹部の科学者。タロンに疑問を抱き、愛娘“奈留”(真知)の潜在的な記憶にタロンの秘密情報を入力し、対タロンの切り札として旧友の榛原に託す。裏切りが発覚し、タロンに射殺される。
櫟謙治
Kの弟で、真知の実の叔父。榛原の旧友。真知の実名が“奈留”で、Kの娘であることを真知に告げる。
磯村教授
結城医大病院の精神科医師。榛原の依頼で、真知の潜在記憶にインプットされたKの情報の引き出しを試みる。
木内
城北大工学部の研究員。桐生の依頼で、Kの情報を解析する。Kの情報の一部はコンピュータープログラム言語であったが、情報の核心を得るためには、真知そのものがキーワードになっていた。
垂水
電子工学博士。ミューレックスの競合・CBSサニーの元オーディオ開発研究部次長。発売以前に「レボ」試作品を入手、レボの危険性をマスコミ各誌に密告する。その後ラン達に協力し、レボシステムの解明とKの情報の解析を試みる。
坪井
榛原の腹心の部下。垂水からレボの危険性を知らされ、いち早く東都日報で反レボ・キャンペーンを打つ。タランチュラ水揚げ時にスクープを狙い、命を失う。
榛原の部下。タロンの研究所から脱走したタランチュラのスクープを同僚・法とともに狙うが、逆に攻撃され殉職する。
榛原の部下で、カメラマン。要の死に涙しながらタランチュラのスクープ撮影に成功するが、片足を失ってしまう。後日、坪井らとともにタランチュラの水揚げ現場で命を落とす。
国枝
東都日報のプレスライダー。要の友人。タロンの妨害の中、タランチュラをスクープした法のカメラを社に届け一面掲載につながるが、命を落とす。
富岡清次
ゲシュペンストに憑りつかれた奈留が殺人を犯した現場となった、屋敷の管理人。ゲシュペンストに襲われた由里を介抱するが、死んだ孫の赤ん坊と勘違いしている。
板場和臣
新生・文無組でベースを担当していたが、オーディション決勝ではバードに譲る。作り物の体でベースを握ることに躊躇するバードに、明日の自分をあきらめたら現在の自分をも失ってしまう、と迫る。エミーと渡米するが、松賀聖子と同じ飛行機に乗り合わせ、墜落事故で命を落とす。
関根絵美
通称エミー。新生・文無組でギター・ボーカルを担当。板場の恋人。
塚田塁子
通称ルイ。新生・文無組でキーボード担当。
石塚
緑の大地(グリーン・アース)運動の日本における中心的人物。運動のキャンペーンのシンボル発掘のために、フュージョンロックグループのオーディションを行う。
ソニィ
グリーン・アース運動を推進するために結成されたバンド・NOVAの外国人女性ボーカル。運動の重要性を熱く説き、バードにNOVA入りを決意させる。だが、その正体は…。
貝谷
野村
NOVAのメンバー。それぞれリードギター、シンセサイザーを担当。
蛭川恵子
女子高生。アカバンの中毒者。恵子がイワンをアカバンのディーラー・JJと勘違いしたことをきっかけに、ラン達はアカバンの実態を知ることになる。由里のテレパシーにより、アカバン中毒を荒療治される。
三村茜
ルポライター。久保とともに、レボによる子どもの心の荒廃を追う。
<タロンとその関係者>
美倉
安曇重工取締役社長。タロン日本支部長。タランチュラ脱走と捕獲失敗に責任を取り、自害する。
津永
安曇重工技研部長。タランチュラ開発の指揮を取っていたと思われる。桐生の口を割らせるために、杵島美子を誘拐・殺害する。
伊那
津永の部下。
鏑木
タロンの研究所の冷酷な科学者。ランと浅野の人工授精、ゆくゆくはランのクローン化を目論む。
袖木京子
岡野
タロンの女性メンバー。ランの受精卵の仮母体として用意された。ランの子どもを宿すことの危険性を知り、ランを脱出させる。
ジョルジュ・マンディアルグ
タロンを構成する五大企業の一つ・ルーベ=マスの会長。死の商人。フォレスタ・ジュノー号のオーナー。一方でゲシュペンストの運搬をサグに命じられていた。
マハ、フーブリ、ウェシン
ESPユニット、トリプレックスのメンバー。それぞれ念動力、幻覚、アンプリファイング能力を持つ。フォレスタ・ジュノー号に忍び込んだイワンと対峙する。
タランチュラ
安曇重工が開発した全長10mを超える戦闘兵器だが、実は胎児の脳を使ったサイボーグ。兵器としてプログラムされる前にタロンの研究所から脱走したために、意識は人間の赤ん坊の状態であった。本能的に保護を求めて暴れ、結果的に東都日報の記者を死なせてしまう。ランに親愛の情を寄せる。
斐川和秀
タロンのハト。催眠能力を持つ。サグの特命で王翠学院に潜入し、ソネットの正体がバレないようにフォローするとともに、真知から榛原の資料を盗み出させる。与えられた特命とはおそらく、ランの紅い牙を目覚めさせるために、彼女にソネットを心底憎ませ戦わせるきっかけを作ることだった。その後ESP消失の発覚を恐れ、奈留を拉致しKの情報を引き出そうとする。
斐川博信
斐川和秀の父親で東亜貿易の社長。息子のESPに翻弄され、自身も会社もタロン組織に組み込まれてしまっていた。
ゲシュペンスト
性別、年齢は不明、幾世紀にもわたって生きているとも言われる。肉体を持たない、血に飢えたテレパス。次々と憑依し、宿主の肉体を操り怪力を発揮する。死に対して強力なコンプレックスがあり、サグはある約束をする。結果的に、紅い牙の覚醒に大きな役割を果たす。
バグ
タロンのESP。ゲシュペンストがランに取り込まれるまで、8日間連続でゲシュペンストにシンクロし、透視した。
パトナ
サグ率いるESP部隊のエリート・フェネロスのメンバー。強力なテレパス。サグに絶対的な忠誠を誓っている。
黒部
ミューレックスの企画部長。グリーン・アース運動に協賛し、NOVAの楽曲をレボCDの第一弾として押し進める。レボブームの仕掛け人。
ミューレックスのディレクター。
檜ノ原
安曇ヴィラのハウスキーパー。
安曇ヴィラの料理人。
赤倉佐和、湯丸恵子、万座英美子、柏原ヤス子
安曇ヴィラのメイド。
湯沢陶子
安曇ヴィラのメイド。正体はイワン。
ビュスケ・エデベック
ドロテア・エデベック
タロンESPエリート部隊・フェネロスのメンバー、エデベック兄妹。互いの生命エネルギーをやりとりし、ドロテアが真樹子・ドロテア黒部・エデベック夫人、ビュスケが佳央・川那・伊庭を演じ分ける。ワギに生命エネルギーを分け与え、往年の安曇ヴィラの幻影を作り出した。ランとイワンを討ち合わせるよう、罠をはりめぐらせる。
黒部真樹子
黒部の娘。ランが事故から救った少女。
伊庭
安曇ヴィラの執事。正体はビュスケの老年体で真樹子(ドロテア幼年体)と対の存在。
ドロテア・黒部
黒部の妻。佳央・真樹子の母。
川那俊彦
佳央・真樹子の家庭教師。ビュスケが眼鏡をかけ黒い鬘をかぶったもの。
エデベック夫人
佳央・真樹子の祖母。
黒部佳央
真樹子の兄。12歳とは思えぬ力強さで、ヴィラのメイドから本当に恐ろしい存在として恐れられている。ビュスケの幼年体でエデベック夫人(ドロテア老年体)と対の存在。
ワギ
年齢不詳の超能力者。安曇コンツェルン創始者・安曇潔展翁に見出され、超能力で潔展翁の政界・経済界への勢力拡大に尽力した。安曇ヴィラは、潔展翁がワギを世間の目から隠すために建てられた邸宅であった。
松賀聖子
アイドル。レボの重度の中毒になったため、ミューレックスは飛行機事故を起こし彼女の死を偽装、レボの宣伝に効果的に使うことにしたのだ。
JJ
外国人。アカバンのディーラー。
ローバー、フリーバ、ガスラ、ノセ、サイ、ニルヒ、フモン、ゾルグ
ESPユニットオクトパスのメンバー。ソネットのESPを増幅させるために結成された。各人のESPレベルはB級に過ぎないが、ユニットとしてESPを用いる場合にのみA級と認められている。メレケス指揮下であるためにタロンESP部隊に属さないソネットをリーダーに迎えることを快く思っていない。
モザー・クラバット
タロン最高幹部会づきの死刑執行人。巨体・怪力の持ち主。幹部の地位を剥奪されたメレケスが、ソネット最期の地・阿蘇に向かうのを阻む。
『32シャッフル』
ユキ
日系アメリカ人の少年。超絶技巧の天才ベーシストだが、奇跡のテクニックにはある「クスリ」を必要とした。
シンディ
ユキの高校時代のバンド仲間。ランの勤める飲食店の店員。
エルナン・ロンバーグ
ロンバーグ・フーズ社の社長。才能豊かな若者を支援する篤志家であるが…。

番外編

番外編・I 『貘』

(初出 別冊花とゆめ 1982年冬の号)和田慎二著『超少女明日香』の主人公と共闘する話で、和田慎二との合作。古都・鎌倉を舞台に、超能力を吸収する力を使って神になろうとする少年との戦いを描いている。

単行本は花とゆめコミックス『ブルー・ソネット』3巻、のちMFコミックス『超少女明日香』3巻に収録。

番外編・II 『ワタルくん・スクランブル』

(初出 花とゆめ 1983年9号)ランの義弟・ワタルの全寮制の中学校の学生生活を、少々コメディタッチで描いた作品。委員の岡田さんは本編にも登場する。

番外編・III 『バイエルンの火星人』

(初出 花とゆめ 1983年12号)ソネットをサイボーグ化した科学者メレケスの、第2次大戦中の悲しい青春模様を描く。メレケス博士が単なる非道な科学者でないことがわかる内容。

番外編・IV 『INTERLUDE』

(初出 『完全版 紅い牙』第6巻 白泉社 1993年)愛蔵版へのかき下ろし。ソネットとメレケスが、ランの勤めるドーナツショップにESPドーナツを買いに来る、コメディ作品。本編ではシリアスな登場人物たちが、明るくはちきれている。

番外編・V 『代理執刀』

秋田書店が行なった『ブラック・ジャック』(手塚治虫)のリメイク企画で、ランとブラックジャックが競演する。

『ブラック・ジャック ALIVE』2巻に収録されている。

アニメ

紅い牙 ブルー・ソネット』のタイトルで、1989年から1990年にOVAの形でアニメ化されているが、作者曰く「あまりにも出来が悪く話題にならなかった」との事。

全5話(VHS)製作はウォーカーズカンパニーだったが、4話発売後に同社が倒産。5話の発売が危惧されたが同社から発売されている。LD版は後に東芝EMIより発売された。

タイトル・発売日

  • 指令No.1 追跡者(1989年7月16日)
  • 指令No.2 策謀者(1989年9月25日)
  • 指令No.3 挑戦者(1989年11月25日)
  • 指令No.4 戦斗者(1990年3月25日)
  • 指令No.5 離愁者(1990年6月25日)

キャスト

スタッフ

  • 原作 - 柴田昌弘
  • 監督 - 神田武幸
  • 脚本 - 松岡清治水出弘一
  • キャラクターデザイン - 中山勝一(1、2)、阿部晃瑳詞(3 - 5)
  • 作画監督 - 中山勝一(1)、阿部恒(2 - 5)
  • メカニックデザイン - 山下将仁(1)、藤臣宗光(2 - 5)
  • 絵コンテ - 横山裕一朗
  • 演出 - 高須賀勝己(1)、篠幸裕(2 - 5)
  • 美術監督 - 横瀬直土(1 - 3)、石渡俊和(4、5)
  • 撮影監督 - 藤田正明
  • 音楽 - GO!
  • 音響監督・音楽プロデューサー - 明田川進
  • プロデューサー - 林大三郎、室永昭司、吉坂研一
  • アニメーション制作 - 虫プロダクション、ランダム(1、2)
  • 製作・著作 - ウォーカーズカンパニー、日本テレビ音楽

主題歌

オープニングテーマ「WHAT IS LOVE」
作詞 - 井上喜美子 / 作曲 - 冨永陽一 / 編曲・歌 - GO!
エンディングテーマ「ANGEL」
作詞 - 井上喜美子 / 作曲 - 冨永陽一 / 編曲・歌 - GO!

画集

『柴田昌弘自選複製原画集 紅い牙』
白泉社・チェリッシュギャラリーより1982年に出版された。副題は「女の子のでてこないSFなんて…」。
『柴田昌弘自選複製原画集2』
白泉社・チェリッシュギャラリーより1984年に出版された。『ブルー・ソネット』『ラブ・シンクロイド』のイラストを含む。

小説

『小説 紅い牙』
中尾明著。第1部『狼少女ラン』から第4部『タロン・闇に舞うタカ』を小説化したもの。白泉社・花とゆめコミックススペシャルから単行本として1982年に出版された。

イメージアルバム

  • 紅い牙 BLUE SONNET (1982年)
  • 紅い牙 BLUE SONNET II
  • 紅い牙 BLUE SONNET III ~Ballade~
  • 紅い牙 BLUE SONNET IV ~Desert City(砂漠都市)~

これらのCDは2005年に日本コロムビアからAMIMAX1200シリーズの1部として再発売されている。

作品に関するトリビア

  • 柴田はキャリアの初期にはアシスタントを持っていなかったため、友人・和田慎二が『紅い牙』初期作品をアシストしている[1]。これが後に、和田の『超少女明日香』シリーズでランが明日香と共闘する読み切り作品が書かれる契機となったと見られる。
  • 第4編『タロン・闇に舞うタカ』の後に、紅い牙シリーズの作品がマーガレット誌上に掲載される予定だったが、柴田の緊急入院により作品は未完・幻の作品となった[2]
  • 1970年代から80年代初頭は、SFは少女漫画にそぐわないものと考えられていたために、柴田の作品はアイディア段階でボツになることが多かった。柴田が花とゆめ誌に移り、SFに理解を示す編集者が担当になり、『盗まれたハネムーン』が読者投票で高評価を得たことから、同誌での『紅い牙』シリーズの掲載が決まった。なお、この担当編集者が「久保」のモデルとなった[3]
  • 第7編『ブルー・ソネット』は、元々6回までの連載予定だった。柴田曰く「それまでの読み切り作品でさんざん頁不足で悩み苦しんだ反動が一気に出てしまったみたいで、話がふくらむ一方」で、連載途中で予定回数におさまらないことが担当編集者の知るところとなったが、本作品に対する読者の反応が悪くなかったため、最終回まで5年以上にわたり連載された[4]
  • 『ブルー・ソネット』の終盤で、柴田はソネットが自ら腹を切る死に様を描きたかったが、連載終了までの頁数が足りず断念した。そのため、花とゆめコミックス収録時と、白泉社『完全版 紅い牙』収録時に、それぞれ終盤のシーンが書き直されている。また、バードがランではなくソネットと運命を共にするラストシーンは、読者の賛否両論が分かれ、ランへの同情と怒りの声も多かったという[5]

脚注

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  1. 柴田昌弘、『完全版 紅い牙』第7巻、白泉社、1993
  2. 柴田昌弘、『紅い牙』第1巻、メディアファクトリー、2006
  3. 柴田昌弘、『紅い牙』第2巻、メディアファクトリー、2006
  4. 柴田昌弘、『完全版 紅い牙』第1巻、白泉社、1993
  5. 柴田昌弘、『紅い牙』第11巻、メディアファクトリー、2006