日産・ラシーン
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 ラシーン (テンプレート:En) は、1994年から2000年まで、日産自動車が企画・販売した自動車である。製造は高田工業が担当した。
概要
B13型系サニーの4WDシャシをベースとし、コンパクトRVとして開発された。現在であればクロスオーバーSUVに分類されるコンセプトである。
全グレードが4WDであり、ビスカスカップリングを用いたフルオートフルタイム4WDシステムを採用する。
テールゲート(バックドア)は上下開きとされ、タイプII 以上ではその後方にスチールパイプ製の横開き式キャリアを介し、スペアタイヤを装備している。タイプI とタイプI B仕様は背面スペアタイヤキャリアがなく、スペアタイヤは荷室内収納となる。タイプIII では、さらに大径丸形フォグランプとグリルガードがセットで標準装備となる。車両の全長は、タイプI ・タイプI B仕様が 3,980mm、タイプII が 4,115mm、タイプIII が 4,210mm となる。
一見本格的なクロスカントリーカー風のスタイルであるが、これはそれらの雰囲気を手軽に楽しむためのもので、開発時に激しい不整地走行は想定されていない。
1993年の東京モーターショーに参考出品した試作車が大変好評だったため、細部を変更して1994年12月に市販された[1]という経緯を持っている。高さを抑え角張った外装デザインが特徴的であり、一度もフルモデルチェンジされることなく2000年に生産を終えた。日本のみならずイギリス等の海外でも高く評価され、中古車はいまだに根強い人気を保ち、ラシーンを専門に扱う中古車販売店も存在する。特に5MT車は希少であり燃費などの点で有利なため2013年現在でも100万円近い中古価格である。デザインコンセプトには、Be-1やPAOを手がけた坂井直樹率いるウォータースタジオが関わっているが、公式には発表されていない。そのため、限定生産ではなくベース車も違うが、パイクカーシリーズの流れを汲んだ商品企画であった。後述の羅針盤のイメージも含め、トヨタ・プリウス等よりも先にドラえもんをイメージキャラクターに起用した(1997年11月まで)。当時のキャッチコピーの一つが「新・ぼくたちのどこでもドア。RUN!RUN!ラシーン新発進。」であった。また、車体色のブルーカラーは「ドラえもんブルー」と称され、こちらも中古市場で高い支持を集める大きな理由となっている。
型式(かたしき)名は「R#NB14」型となっているが、同時期に販売されていたB14型系サニーとの共通部品はほとんど無く、1世代古いB13型サニーの4WD車や、B13型以降プラットフォームを共有しているN14型系パルサーの4WD車と共通する部品が多く使われている。
車の性格上、販売期間中にモータースポーツなどに用いられる例は皆無であったが、D1ドライバーの野村謙が経営するチューニングカーショップ「V.S.N」の手によって、ドリフト仕様が製作された。シルビアに搭載されるSR20DETエンジンを縦置きで搭載し、同じくシルビアのサスペンション部品の一部を流用して製作されている。エンジン直上に装着されたインタークーラーに外気を取り込むため、エンジンフードにはインテークが設けられ、大径ホイールが装着されるなど、ドリフト仕様としての指向に沿った派手な外観となっている。
歴史
- 1993年10月
- 第30回東京モーターショーにて試作車を参考出品。
- 1994年12月12日
- 恵比寿ガーデンプレイスで発表会が行われ、RFNB14型「ラシーン」即日発売。1497cc・最高出力105馬力の直列4気筒DOHCのGA15DE型を搭載。全車センターデフの代わりにビスカスカップリングを用いるフルオートフルタイム4WD車で、「タイプI」、「タイプII」、「タイプIII」の3タイプと、タイプIの一部装備を簡略化した廉価モデル「タイプI B仕様」の4グレードで販売をスタートした。トランスミッションは全グレードで5速MTと4速ATを選択可能だった。
- 1995年8月
- 特別仕様車「タイプF」を追加設定。タイプI をベースにエクステリアにルーフレールを、インテリアにウッド調パネルを装備していた。専用色としてブラックが追加された。
- 1996年4月
- 特別仕様車「タイプL」を追加設定。タイプI をベースにエクステリアにルーフレール、背面タイヤ、ホワイトのホイールカバー、ボディ同色ドアミラー、専用ドアステッカーを装備し、インテリアに専用シート地を備えたモデル。専用色としてアクティブレッドが追加された。
- 1996年9月
- 特別仕様車「タイプJ」を追加設定。タイプI をベースにエクステリアにルーフレール、ボディ同色ドアミラーを装備し、インテリアに専用シート地、キーレスエントリーなどを装備。安全装備としてABSを装備していた。専用色としてプラチナシルバーが追加された。
- 1997年1月14日
- マイナーチェンジ。外装ではフロントグリルのデザイン変更とフロントバンパー部のターンシグナルレンズがクリアー(白レンズ)化が相違点となる。安全装備として全車にデュアルエアバッグ、ABSを標準で装着した。また、1838cc・最高出力125馬力の直列4気筒DOHC SR18DE型エンジンを搭載し、センターデフ+ビスカスカップリング方式のフルタイム4WDシステム「ATTESA」を搭載するRHNB14型「ラシーンft」シリーズが追加設定された。グレード構成はタイプIII と B仕様が廃止され、1.5L 車が「タイプI」、「タイプII」、「タイプS」、1.8L 車が「ftタイプII」、「ftタイプS」の合計5種類となった。トランスミッションは1.5L のタイプI、タイプIIでは5速MTと4速ATが選択可能で、1.5L のタイプSと1.8L 全車は4速ATのみの設定だった。
- 1997年10月
- 1998ccの直列4気筒DOHC SR20DE型エンジンを搭載し、フロントとリアのオーバーハングを延長し、背面上半部は前傾したスタイルとなる。丸形4灯式ヘッドランプ、オーバーフェンダー、専用ラジエーターグリル、専用前後バンパー等を装備したスポティーモデルの「フォルザ」を第32回東京モーターショーにて参考出品。
- 1997年12月
- 「タイプA」グレードを追加。
- 1998年4月
- RKNB14型「ラシーンフォルザ」を追加設定。内容は前年の東京モーターショーにて公開されたプロトタイプと同様である。全長・全幅・全高はそれぞれ 4,150×1,720×1,515mm となり、全幅が 1,700mm を超えて車両区分が3ナンバーとなる。1.8L モデルと同様にセンターデフ+ビスカスカップリング方式のフルタイム4WDシステム「ATTESA」を搭載していた。グレード設定は標準車の「フォルザ」とキーレスエントリー等が標準になる「フォルザSパッケージ」の2種類で、トランスミッションは4速ATのみの設定となった。
- 1998年4月6日
- 特別仕様車「タイプM」を追加設定。タイプA をベースにインテリアに白木調のパネルを採用(センタークラスター上部やメータークラスター部分)し、CD一体AM/FM電子チューナーラジオを標準装備した。
- 2000年8月31日
- 車種整理のため生産終了。総生産台数7万2793台。[2]
車名の由来
- 「羅針盤」からの造語。日産自動車ホームページがラシーン発売と同時期に「日産羅針盤」として開設[3][4]され、ルノー資本注入後、刷新されるまでの間使用されていた。現在は同ホームページのmeta要素の中や携帯電話向けのホームページ日産携帯羅針盤にその名前を残している。
- 「フォルザ」はイタリア語のForza(発音はフォルツァ)で、「力」や「強さ」の意。
関連項目
脚注
- ↑ 『90年代国産車のすべて』三栄書房 82頁参照
- ↑ 『日産ラシーンのデザイン開発』坂口善英 三樹書房 2011年
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
外部リンク
- ラシーン
- 登場時のTVCM(YouTubeより)
- Gazoo.com 日産・ラシーン
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