工学者
工学者(こうがくしゃ)とは、工学に関する分野の学術研究者。工学研究者(こうがくけんきゅうしゃ)ともいわれる。
概要
資格認定制度によって授与される称号ではなく日本語の語彙の中での語義であるため、簡潔にして一律で明確な定義は困難である。これは本稿の工学者に限らず他の分野も含めて、学者とは何か、学問とは何かという問いに連なる深遠な問題である。
その上で敢えて簡単な定義を試みれば、「工学に関連する分野において学術界での検証・批判に堪える報告・発表を成果とする研究業務を生業とする者、及びこれらの者に匹敵する学術上の業績を挙げた者」である。
学術分野での活動に重点を置く「工学者」または「工学研究者」に対し、産業分野で工学の成果を利用した製品やサービスの開発に従事する者は技術者と称することが多い。
工学者とされる者の代表的な類型として次のものが挙げられる。
- (1) 大学教員 教授、准教授(助教授)、講師、助教(助手)、PD (Post Doctral Fellow) ポスドク(学位取得研究者)
- 大学人の中で、大学院学生、学部学生は研究業務の一翼を担っているが、彼らは教授の指導の下に活動しており、独立した研究者とは認められないのが通例である。
- (2) 研究機関の研究者。
- (3) 民間企業の研究業務に従事し学術活動を行う者
- 民間企業にあっては個人ごとに研究業務への関わり度合いが異なるため、高いレベルの学術分野での活動を基準に設けることが適当と思われる。
- (4) (1)(2) 以外であってもそれに匹敵する学術上の業績を挙げた者
他の考え方として「博士(工学)」または「工学博士」など、工学と関係性がある学位を有する者を工学者、工学研究者とする考え方もあるが、学位取得後に学術的な活動に就かない例があることを考慮すると適当ではない。大学にあっては、工学に関連する分野で教授に任用されるには博士の学位が必須である場合が多く、工学者に当てはまる者のうち大学、研究機関、企業の研究部門では人材の採用に当たって学歴が選考要素となるため、また採用後も成果が得られればそれをまとめて学位を取得するため、これらの構成員では学位を持つ者の割合が高いことは事実である。
例外的な例でみうけられるのは、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一などで、氏の場合は「工学士」の称号(現在では、法令の規定により、称号ではなく学位とみなされる)のみを有し、「修士の学位」や「博士の学位」は有していない。しかし、田中耕一は研究者として、工学者として学位レベルを有する研究を行っている。なお、田中耕一はノーベル賞受賞後は東北大学より名誉博士の称号を授与されているが、法令や国際慣習に基づく「学位」ではない。田中耕一本人は、職人的科学者を続けると宣言している。
語の利用頻度としては、科学者 (scientist) に比べ、工学者 (engineer)、工学研究者 (researcher of engineering) という用語は用いられることが少ないようである。
工学者の一覧
テンプレート:Main2 カッコ内は専攻分野。
あ
- 安達瑛二
- 有江幹男(流体工学)
- 石井威望(システム工学)
- 石黒浩(知能創成工学)
- 石黒美種(電子工学)
- 一ノ宮修(機械工学)
- 糸川英夫(宇宙工学)
- 岩崎信(教育工学、原子核工学、量子エネルギー工学)
- 上杉邦憲(宇宙工学)
- 江刺正喜(半導体工学、MEMS)
- 奥山喜久夫(化学工学)
か
- 茅陽一(エネルギー環境システム工学)
- 川勝英樹(精密工学、応用物理)
- 川勝康弘(宇宙工学)
- 北川圭子(建築工学)
- 北間正崇(医用生体工学)
- 草苅敏夫(建築工学)
- 黒岩保(機械工学)
- 越澤明(建築都市学)
- 小島洋一郎(電子工学)
- 小宮山宏(化学工学)
- 近藤次郎(航空工学)
- 近藤久(知能システム)
さ
た
な
は
ま
- 前田四郎(化学工学)
- 槇塚忠穂(環境科学)
- 松本正(通信工学)
- 的川泰宣(宇宙工学)
- リヒャルト・フォン・ミーゼス(航空工学)
- 三島徳七(冶金学)
- 緑川林造(冶金学)
- 村上武次郎(冶金学)
- 元良誠三(船舶工学)
- 森治(宇宙工学)
や
わ
- 渡辺好章(非線形音響工学、超音波エレクロトロニクス)