小幌駅
テンプレート:駅情報 小幌駅(こぼろえき)は北海道虻田郡豊浦町字礼文華にある、北海道旅客鉄道(JR北海道)室蘭本線の駅である。駅番号はH45。
一部の普通列車は通過する。
目次
概要
「礼文華トンネル」と「新辺加牛トンネル」という2つの長大トンネルの間に挟まれた崖のわずかな明かり部分に位置しており、四方のうち三方が急傾斜地、一方は海(内浦湾)に接している。そのため、鉄道と船舶以外の交通手段では接近が難しい。いわゆる「秘境駅」のひとつとして数えられる。
開業当時は小幌海岸海水浴場の利用客がいたそうである。また旧国道から小幌駅、海水浴場に行く道があるが現在は旧国道は事実上利用不可能となっている。[1]
近年では、山菜を採集する人や、内浦湾で釣りをする人が利用する他は、秘境駅を巡る鉄道ファンが訪れる程度である。
列車接近時には踏切警報機が作動し、注意を促す自動放送がアナウンスされる(停車列車、通過列車とも内容は同一)。
歴史
- 1943年(昭和18年)9月25日 - 国有鉄道室蘭本線の小幌信号場として開設する。旅客も取扱っていた。
- 1964年(昭和39年)7月5日 - 静狩方面が複線化される。
- 1967年(昭和42年)
- 時期不詳 - 無人化される。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化によりJR北海道に継承するとともに、駅に昇格する。
- 1990年(平成2年)3月10日 - 営業キロが設定される。
駅構造
相対式ホーム2面2線を有する複線区間の地上駅。互いのホームは千鳥式に配置されており、長万部方にある構内踏切で連絡している。後述の放棄された配線が中線状に残置されており保線用の横取りとして機能しているが、礼文華山トンネルへの入口は2004年ごろに閉鎖された。
無人駅となっており、駅舎や待合室は存在しないが保線用の小屋がある[2]。
かつての駅構造
開業当時の構内のルートは、現在長万部方面に向かって海側のトンネル(幌内)と、東室蘭方面に向かって3つ並ぶ坑口のうち真ん中の閉鎖されているトンネル(礼文華山)を結ぶルートである。
信号場開設時
既設の幌内トンネルと、礼文華山トンネルの間の僅かな明かり区間に行き違い信号場として設置した。狭隘な明かり区間に交換設備を設置する制限から以下の施工となった。
長万部方面は、幌内トンネルの更に長万部寄りの美利加浜トンネル内で山側に分岐し、幌内トンネルに平行する新隧道を掘削した。東室蘭方面は礼文華山トンネルの山側に新たに隧道を掘削し、これを礼文華山トンネル内で合流する構造とした。これにより行き違い信号場として開業した。
複線化工事時
長万部側から新静狩、新鼠ノ鼻、新辺加牛の各トンネルを既設路線の山側に新規掘削し、新辺加牛トンネルは「山側に分岐した先の」美利加浜トンネルを併合接続とし、静狩〜小幌信号場間の複線化が1964年7月5日に完了した。この時点で美利加浜トンネル内の分岐は用途廃止となった。
続けて東室蘭方面も施工され、礼文華山トンネルの海側に平行して新礼文華山トンネルを掘削し、静狩〜小幌信号場〜礼文間を完全複線化として1967年9月29日に開通、同年10月1日を以て信号場から仮乗降場となった。
この時点で駅構内に3本の軌道と、東室蘭方面に3つの坑口ができ、うち真ん中に位置する開業時の軌道及び礼文華山トンネル内の合流が廃止され、列車行き違い設備としての機能は放棄された。
駅周辺
以前は町営キャンプ場,海水浴場が設けられていた。
- The road to Iwaya Kannon 1.jpg
岩屋洞窟のある海岸へ続く道は細く、起伏が激しい
- The road to Iwaya Kannon 2.jpg
岩屋洞窟への道は危険なためロープが設置されている
- Iwatya Kannon in Koboro.jpg
岩屋観音のある洞窟周辺の海岸
- The road to Koboro Coast.jpg
小幌海岸へ続く道は、夏場は草木が生い茂り見通しが悪い
小幌の仙人
陸の孤島ともいえる当駅の周辺に、かつて1人の男性が住み着いていた。男性は「仙人」「小幌太郎」などと呼ばれ、20年以上にわたって駅に住んでいたが、2006年秋に体調を崩して衰弱したところを発見され、救助ののち翌年に死去した[8]。
ヘリコプターを利用した男性救助の様子は、2007年に放送されたテレビ番組『激撮!警察24時』で全国放送された。
当駅を扱った作品
- 『秘境駅へ行こう!』(著:牛山隆信、小学館文庫) - 紀行ノンフィクション作品。
- 『鉄子の旅』(著:菊池直恵、小学館IKKI COMIX) - 漫画作品。
- 『ゆりてつ 私立百合ヶ咲女子高鉄道部』(著:松山せいじ、小学館サンデーGXコミックス) - 漫画作品。
- 『北の無人駅から』(著:渡辺一史、写真:並木博夫、北海道新聞社) - 紀行ノンフィクション作品。
- 『秘境駅へ行こう!』(旅チャンネル / MONDO21) - CS放送のテレビ番組。
- 『全国秘境駅ファイル』(旅チャンネル / MONDO TV) - CS放送のテレビ番組。
- 『探検!秘境駅2013夏』(北海道テレビ放送) - 北海道ローカルのテレビ番組の特別番組
隣の駅
かつては当駅(小幌信号場)と礼文駅との間に鳥伏信号場が存在した。
脚注
関連項目
外部リンク
- 1976年度撮影の空中写真 (CHO7612-C6A-31) - 地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院)
- 写真中央部に国道37号が見え、東側のカーブ終点付近の下側に開けた場所があり、そこの白い建物のある位置が小幌駅。駅の両側にはトンネルがあるため、非常に小さな土地である。