家なき子レミ
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世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第22作 | 名犬ラッシー | 1996年1月 ~1996年8月 |
第23作 | 家なき子レミ | 1996年9月 ~1997年3月 |
中断(1997年4月~2006年12月) | ||
第24作 | レ・ミゼラブル</br>少女コゼット | 2007年1月 ~2007年12月 |
『家なき子レミ』(いえなきこレミ)は、フジテレビで放映されたテレビアニメである。放映期間は1996年9月1日から1997年3月23日までの全26話(うち3話は未放映)。「世界名作劇場」シリーズ第23作目で、地上波では最終作である。
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目次
概要
原作はエクトール・アンリ・マロの『家なき子』(Sans famille)。前作の『名犬ラッシー』が打ち切られ急遽企画された為、世界名作劇場では初めて年初以外の放映開始となった。当時は安達祐実主演の『家なき子』がヒットしており、原作では男子だった主人公を女子に変更した。時代設定も原作の19世紀から20世紀に変更された(19世紀の女性はスカートが主流であったため)。当初の企画では「主人公レミの声を安達祐実に」との案も出されたが、安達サイドに断られ実現しなかった。世界名作劇場で最低の平均視聴率となり、今作で地上波の同枠は終了した。
- 作画・プロットともに、他の世界名作劇場シリーズと同一のレベルを保った。前半はレミとヴィタリスとの芸人としての旅が描かれる。後半はヴィタリスの死後、ガスパールという男の家に行き、最終的にはガスパールの家で出会ったマチアとの恋愛物語で終了した。物語終盤につれ原作小説を離れ、レミとマチアの恋愛劇が描かれている。
- キャラクターデザインの面においては、『名犬ラッシー』で低めの頭身(デフォルメ)で丸顔になった絵柄を『ロミオの青い空』以前の絵柄に戻している。
- 主題歌作曲・サウンドトラックは「トム・ソーヤの冒険」以来世界名作劇場シリーズ16年ぶりとなる服部克久を起用。
- 海外では、フィリピン、クウェートや欧州で放映された。
- 1996年度よりNHKの衛星第2放送で「母と子の名作アニメ劇場(現:BS名作アニメ劇場)」がスタートしたが、NHKは同時期にかつて東京ムービー新社が製作した『家なき子 (アニメ)』を放送した。
- 1996年8月30日(金曜日)夕方17:30-18:00までフジテレビで「世界名作劇場」の記念番組をローカルで放送した。内容は、歴代名作シリーズの紹介と新作「家なき子レミ」の紹介&宣伝的内容だった。
- 世界名作劇場のテレビ版では、セル画を使用しフィルムで撮影する形態の最後の作品となった。(1999年公開の「MARCO」までセル画制作)
- 脚本家の島田満は出産の為に第6話で降板している。
あらすじ
レミ・バルブランは貧しいながらも母親アンヌと妹ナナとともに幸福に暮らしていた。しかしパリまで出稼ぎに行っていた父親が大怪我をしてレミたち家族の元へ帰ってくると、レミは自分が捨て子だったという出生の秘密を知らされる。そして愛する者、親しんだ土地から離れなければならなくなった。
登場人物
- レミ・バルブラン
- 声 - 堀江美都子
- 本編の主人公。赤ん坊のときにパリの道端に捨てられていたところをジェロームに拾われ、以後バルブラン家の長女として育てられた。母と妹と共に幸せに暮らしていたが、10歳になった年にジェロームから自分の出生を知らされ、厄介者として人買いに売られそうになるが、ヴィタリス一座に救われる。そして拾われたときに持っていたネックレスを手がかりに、一座の仲間と共に旅をしながら本当の母親を探すことを決意する。歌が得意で、歌唱力は大人にも負けていない。
- テーマ曲は(LIKEMOTHER~大好きなお母さん~)。
- アンヌ・バルブラン
- 声 - 弘中くみ子
- レミの育ての母。生まれたばかりの子供を亡くし、悲しみに暮れていたところをレミとの出会いにより救われ、彼女を実の子同然に愛している。
- ナナ・バルブラン
- 声 - 嶋方淳子
- レミの妹だが、ジェロームとアンヌとの間にできたバルブラン家の実子で、レミとは血の繋がりがない。
- ジェローム・バルブラン
- 声 - 田中正彦
- アンヌの夫。普段はパリへ出稼ぎに行っており、長い間家に帰っていなかったが、仕事中に大怪我を負い足が不自由になってしまったため帰省した。10年前にレミを拾ってきた張本人だが、そのときレミが高そうな産着を身に着けていたことから「きっと大金持ちの子供に違いない」と思い、親からの礼金目当てで引き取ったにすぎなかった。ゆえにレミに対して愛情はなく、生活苦からレミを疎み人買いに売り払おうとした。
- ルーセット
- バルブラン家で飼われていた家畜の雌牛。貧しい一家の暮らしを支えていた存在だったが、ジェロームの怪我の治療費と入院費を立て替えていた隣村の男性に、借金のカタとして持っていかれてしまう。
- ヴィタリス
- 声 - 山野史人
- ヴィタリス一座の団長。あらゆる楽器を演奏でき、特にヴァイオリンが上手い。若い頃は凄腕の音楽家だった。人買いに売られそうになったレミを助け、団員として一座に加える。レミに旅を通じて世の中の厳しさと、それに負けずに前向きに生きていく強さを教える。物語中盤で非業の死を遂げる。
- ジョリクール
- 声 - 佐藤智恵
- ヴィタリス一座の一員の小猿。体は小さいがとても賢い。南国の生まれのため寒さに弱い。
- ミリガン婦人
- 声 - 山田栄子
- イギリスの名門貴族、ミリガン家の未亡人。美しく心優しい女性で、警官に乱暴に追い払われたレミを助け、とても親切に接してくれた。アーサーの他に娘もいたが、赤ん坊の頃に連れ去られてしまったという。レミのカメオのペンダントから彼女が自分の娘だと確信し、プネリ弁護士に捜索を依頼する。
- アーサー
- 声 - 冬馬由美
- ミリガン婦人の息子。大病を患っている上、両足も動かず車椅子での生活を強いられている。一生歩くことはできないと医者に宣告され自暴自棄になりかけていたが、レミの説得で生きる気力を取り戻した。
- ネリー
- 声 - 林原めぐみ
- ミリガン婦人の元で働くメイド。プネリ弁護士と共にレミの捜索に奔走する。
- マチア
- 声 - 安達忍
- 孤児になりガスパールの元に売られた少年。12歳。ガスパールの命令で盗みを強要されていたが、レミに影響され真っ当な仕事でお金を稼ぐようになる。ぶっきらぼうだが根は誠実で優しい性格であり、最年長者として他の子供達のまとめ役をしている。音楽家だった父親の影響で、ヴァイオリンが得意。物語が進むにつれ、次第にレミと惹かれあうようになる。最終回で音楽家になることを決意し、立派な人間になってレミを迎えにいくと約束を交わす。
- リーズ
- 声 - かないみか
- ガスパールの元で働く少女。花売りをしてお金を稼いでいる。レミの妹のナナと同じ年頃。
- リカルド
- 声 - 結城比呂
- ガスパールの元で働く少年。
- マルセル
- 声 - 柊美冬(現・石村知子)
- ガスパールの元で働く少年。
- マリア
- 声 - 荒木香恵
- ガスパールの元で働く少女。
- ガスパール
- 声 - 福田信昭
- 身寄りのない子供を買い取り、時には盗みなどの犯罪を強要してでもお金を稼がせる極悪人。ノルマの額(一日に20スー)を稼げなかった者には、容赦なく鞭で叩いて折檻する。ヴィタリスの知人だったガスパールの甥にあたり、伯父の死後家業を引き継いだ。ヴィタリスはこのことを知らなかったため、死の直前にレミに彼の元へ行くよう諭してしまった。ネリー達からレミの素性を知り、ミリガン家から身代金をせしめようと企みレミを拉致監禁するが、最後は警察へ連行された。
- プレル弁護士
- 声 - 速水奨
- ミリガン婦人の顧問弁護士。ミリガン婦人の攫われた娘の捜索をしていた。見かけによらず腕っ節が強く、最終回では逃亡を図ったガスパールを一本背負いで倒した。
スタッフ
- 製作 - 本橋浩一
- 企画 - 清水賢治(フジテレビ)、佐藤昭司
- 製作管理 - 本橋寿一
- キャラクターデザイン - 大城勝
- 美術設定 - 伊藤主計
- 美術監督 - 川口正明
- 色彩設計 - 小山明子
- 撮影監督 - 熊谷幌史
- 音楽 - 服部克久
- 音響監督 - 藤野貞義
- プロデューサー - 瀧山麻土香(フジテレビ)、佐藤賢一
- 監督 - 楠葉宏三
- 企画・製作 - 日本アニメーション株式会社
- 制作 - フジテレビ・日本アニメーション
主題歌
オープニングテーマ
- 「愛について」
- 作詞・歌 - さだまさし / 作曲・編曲 - 服部克久
- テレビサイズとシングルバージョンは違っている。シングルバージョンでのサビにはドラムがない。また、テレビサイズにはなかった女性コーラスが追加されている。また、テンポもシングルバージョンはテレビサイズよりもスローである。
エンディングテーマ
- 「しあわせの予感」
- 作詞 - 岡田冨美子 / 作曲・編曲 - 服部克久 / 歌 - Youca
- オープニング同様のバラードソングであり、人の善意を信じて前向きに生きる事を語りかける内容となっている。オープニング主題歌である『愛について』が壮大なスケールでマクロマティックな人間愛を謳うのとは対照的に、本曲はミクロマティックな自愛や隣人愛を謳っている。歌唱者であるYouca(うちやえゆか)にとっては希少なバラードナンバーであり、現在においても代表曲『まかせて★スプラッシュ☆スター★』や『きらきらキララ☆彡』と並んで、うちやえが出演するライブ等のイベントにおいては歌われやすい曲となっている。
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1996年 9月1日 |
悲しい誕生日 | 島田満 | 楠葉宏三 | 大城勝 | |
2 | 9月8日 | さよなら お母さん | 高木淳 | 井上鋭 森川聡子 | ||
3 | 9月15日 | ヴィタリス一座 | 楠葉宏三 | 大城勝 | ||
4 | 9月22日 | 素敵な贈り物 | 寺東克己 | 高木淳 | 井上鋭 | |
5 | 10月27日 | 奇跡のマリア像 | 飯島正勝 | 西田健一 | 大城勝 | |
6 | 11月3日 | 幻のおかあさん | 高木淳 | 井上鋭 | ||
7 | 11月10日 | もうひとつの家族 | 小山眞弓 | 寺東克己 | 楠葉宏三 | 大城勝 |
8 | 11月17日 | さよなら私たちの家 | 鈴木孝義 | 高木淳 | 井上鋭 | |
9 | 11月24日 | 運命の出会い | 楠葉宏三 | 丸山宏一 | ||
10 | 12月1日 | ひとりぼっちのアーサー | 鈴木孝義 | 高木淳 | 大城勝 | |
11 | 12月8日 | ペンダントの秘密 | 寺東克己 | 藤本次朗 西田健一 |
井上鋭 | |
12 | 12月15日 | 悲しみの雪山 | 高木淳 | 丸山宏一 | ||
13 | 1997年 1月12日 |
雪の日の別れ | 楠葉宏三 | 井上鋭 | ||
14 | 1月19日 | 新しい旅の始まり | 楠葉宏三 | 高木淳 | 大城勝 | |
15 | 1月26日 | 新しい仲間 | 寺東克己 | 西田健一 | 井上鋭 | |
16 | (未放送) | 雨の日の子猫 | 飯島正勝 | |||
17 | 2月2日 | 地下迷路での誓い | 楠葉宏三 | 高木淳 | 丸山宏一 | |
18 | 2月9日 | すれちがう母と子 | 杉島邦久 | 楠葉宏三 | 井上鋭 | |
19 | (未放送) | 旅の一家 | 高木淳 | 平川達也 | 丸山宏一 | |
20 | 心の友達 | 楠葉宏三 | 西田健一 | 大城勝 | ||
21 | 2月16日 | 思い出のバイオリン | 高木淳 | |||
22 | 2月23日 | 地下からの生還 | 飯島正勝 | 西田健一 | 井上鋭 | |
23 | 3月2日 | 二人の願い | 寺東克己 | 高木淳 | 丸山宏一 | |
24 | 3月9日 | 引き裂かれた愛 | 杉島邦久 | 楠葉宏三 | 井上鋭 | |
25 | 3月16日 | 脱出! | 高木淳 | 大城勝 丸山宏一 | ||
26 | 3月23日 | 私のお母さん | 楠葉宏三 | 大城勝 |
※(未放送) - 本放送時未放送話数
放送状況
- この作品は、製作局であるフジテレビの編成上の都合等により3話分が未放映に終わった。当初より放送は全23話と決まっていたが、日本アニメーションが海外へ番組を輸出する際に1クール単位(13話単位)と決められており、実費で3本追加し全26本になった。その為に未放送話数の内容は本編のストーリーに直接関係ない(名犬ラッシーも同様である)。
- 製作キー局であるフジテレビでは、2012年現在未放映を含めた再放送はされていない。
- フジテレビ系列のさくらんぼテレビ(SAY。山形県・1997年4月1日開局)が系列局で唯一、再放送を行った。すでに同シリーズは、開局前の1997年3月に放送を終了していた。なお、山形県内での『世界名作劇場』の放送は、1993年4月にかつてのフジテレビ系列局山形テレビ(YTS)がテレビ朝日系列にネットチェンジしたため、YTSで1992年に放送された『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』以来の放送。なお、SAYではその後、YTSネットチェンジ後からSAY開局の間の作品である『七つの海のティコ』や『名犬ラッシー』も放送した。2007年には『若草物語 ナンとジョー先生』も毎週日曜午前6時30分~7時00分の枠で放送していた。2007年9月16日終了。
- フジテレビ系列局以外では、2012年8月27日から同年10月1日までサンテレビジョン(独立UHF局)で再放送された(リアルタイム時で未放送だった第16話、19話、20話も放送された)。
- 日曜19:00~22:30を日本テレビ系同時ネット枠としているテレビ宮崎(UMK)は時差ネットしたが、『名犬ラッシー』まで時差ネットしていたテレビ大分(TOS)は低視聴率を考慮してか、本作を放送しなかった。
- NHKによる再放送は、衛星第2テレビ(BS2)によって再放送されている。最近では2001年~2002年にかけて、BS2の『BS名作アニメ劇場』で初の全国放送を果たした。CS放送の『キッズステーション』でも再放送された。
- 1997年3月10日にフジテレビは河田町からお台場へ移転したため、第25話と最終話は台場本社から送出となった(お台場から地上波として送出する世界名作劇場の作品としては最初で最後であった)。
映像ソフト化
- 本編のDVDは2002年9月25日~同年11月25日発売。全6巻で2巻ずつ同時発売。
世界名作劇場完結版
2001年頃に、BSフジ『世界名作劇場完結版』の中で本編26話分を再構成した完結版が放映された。
概要
- 前編・後編の2パートに分けて再構成した内容。
- それぞれ約50分間に編集。合わせて約100分間の内容。
- 前編は、ヴィタリスが死去するまでの旅編。後編は、パリでの生活編が中心。
- 本編1話から3話に当たる部分が無く、また未放映分に当たる部分もカットされている。
スタッフ
- 企画 - 佐藤昭司
- 構成 - 楠葉宏三
- ナレーション - 藤田淑子
- 音響監督 - 早瀬博雪
- プロデューサー - 中島仁、田中信明
- 演出 - 楠葉宏三
- 制作 - BSフジ・日本アニメーション
- © BS FUJI・NIPPON ANIMATION CO.,LTD.2001
サウンドトラック
- 家なき子レミ オリジナルサウンドトラック Vol.1(BGM集)
絵本
- ぎょうせい 絵本アニメ世界名作劇場
- 家なき子レミ ISBN 978-4-3240-6977-6
- ポプラ社 テレビドラマシリーズ
- 家なき子レミ ISBN 978-4-5910-5165-8
- 本編の内容とストーリーが異なる。
- 講談社 テレビ絵本 家なき子レミ
- ISBN 978-4-0630-9936-2
- ISBN 978-4-0630-9943-0
- ISBN 978-4-0630-9947-8
- ISBN 978-4-0630-9949-2
- ISBN 978-4-0630-9955-3
ノベライズ
- 「家なき子レミ」箱石桂子著、竹書房刊 ISBN 978-4-8124-1910-6
外部リンク
- 家なき子レミ 日本アニメーションの作品紹介