大村線
|} 大村線(おおむらせん)は、長崎県佐世保市の早岐駅から長崎県諫早市の諫早駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(地方交通線)である。
概要
大半の区間で大村湾東岸に沿って走り、長崎県の佐世保市から諫早市を経て長崎市を結ぶ列車が運行されている。長崎県内のみを走る線区としてはJRでは唯一の存在である。沿線人口も多く生活路線となっており、県内の重要路線でもある。
沿線にあるハウステンボスへのアクセス列車である特急「ハウステンボス」が乗り入れるため、早岐駅 - ハウステンボス駅間のみ電化されている。一時、全線電化の話も持ち上がったが、実現に至らなかった。大村線内のトンネルがほとんど戦前に掘られており、電化するにはトンネルを改築しなければならないからである。
竹松駅 - 諫早駅間はIC乗車カード「SUGOCA」の利用可能エリアとなっている。
大村線関連の特別企画乗車券として、佐世保駅 - 長崎駅間が2日間乗り放題になる「ぶらり大村線きっぷ」が発売されている。
路線データ
- 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):47.6km
- 軌間:1067mm
- 駅数:13(起終点駅含む)
- 大村線所属駅に限定した場合、起終点駅(早岐駅は佐世保線、諫早駅は長崎本線の所属[1])が除外され、11駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:早岐駅 - ハウステンボス駅間(交流20,000V・60Hz)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
- 最高速度:95km/h
全線が長崎支社の管轄である。
運行形態
優等列車
電化区間である早岐駅 - ハウステンボス駅間には、博多駅 - ハウステンボス駅間の特急「ハウステンボス」が5 - 10往復運転されている。「ハウステンボス」は臨時列車の一部をのぞいて、大村線以外の区間では佐世保駅発着の特急「みどり」に併結される。
非電化区間であるハウステンボス駅 - 諫早駅間には2014年現在優等列車の運行はない。かつて長崎本線の一部だったこともあり、大村線を経由して博多駅や本州と長崎駅を結ぶ優等列車が設定されていたが、1988年に唐津駅 - 長崎駅間で運行されていた急行「平戸」が廃止され優等列車が消滅した。1999年に佐世保駅 - 長崎駅間を大村線経由で運行する特急「シーボルト」が設定されたが、後述の「シーサイドライナー」とさほど所要時間が変わらないことなどから利用が振わず2003年に廃止され、再び非電化区間から優等列車が消滅して現在に至っている。
地域輸送
普通列車は全線を通して運転される列車が毎時1本程度、竹松駅 - 諫早駅間の区間運転の列車が日に数本設定されている。線内で完結する列車は少なく、大半が佐世保線佐世保駅、または長崎本線長崎駅まで直通している。また特急「ハウステンボス」が5往復運転の日には、「ハウステンボス」のうち運転されない2往復の時刻で、早岐駅で「みどり」に接続するシャトル列車「ハウステンボスリレー号」が早岐駅 - ハウステンボス駅間に運行される。
快速列車は、佐世保駅・竹松駅 - 長崎駅間に「シーサイドライナー」が下り14本・上り16本設定されている(竹松駅発着は朝の1往復のみ)。このほか臨時列車として、有田陶器市期間中に武雄温泉駅・上有田駅 - 長崎駅間の快速「有田陶器市20・21号」が運行されている。かつては「シーサイドライナー」が増結される際に指定席が設定されることがあったが、現在は「有田陶器市号」が3両のうち1両が指定席になる以外は、全車自由席で運行されている。
車両は普通・快速列車ともキハ66・67系気動車やキハ200系気動車が使用されている(「ハウステンボスリレー号」の1往復のみ、「ハウステンボス」に充当する783系電車で運転)。
長崎駅に直通する列車は、喜々津駅 - 浦上駅間では普通列車の大半が長与駅経由の旧線、「シーサイドライナー」全列車とごく一部の普通列車は市布駅経由の新線を経由している。
千綿・小串郷の両駅では前後の駅間が長く、列車交換ができないため運行上のネックとなっている。そのため手前の駅での待ち合わせが多く、上りは松原駅・川棚駅、下りは南風崎駅・彼杵駅で普通列車を中心に長時間停車する列車も多い。また、快速列車が通過する松原駅・南風崎駅においては時折運転停車も行われる。2012年以降、ハウステンボス駅では同駅を跨いで運行する列車同士の交換ができなくなったため(一方が同駅折り返し列車の場合は交換可能)、早朝や夜間を中心に南風崎駅での列車交換が多くなっている。このほか諏訪駅でも列車交換ができないが、諏訪駅の前後は駅間が短いためそれほどネックにはならない。
なお、快速「シーサイドライナー」の一部が佐世保駅から松浦鉄道西九州線佐々駅またはたびら平戸口駅まで乗り入れていたが、2006年3月18日のダイヤ改正で中止された。
2009年3月14日のダイヤ改正より、松浦鉄道からの直通運転が再開された。1往復のみ設定で、下りは伊万里 - ハウステンボス間、上りはハウステンボス - たびら平戸口間に運転されていたが、2011年3月12日のダイヤ改正で松浦鉄道からの直通運転は早岐駅までに短縮された。
2010年3月13日のダイヤ改正で、キハ220-208・209が運転を開始した(長崎地区のキハ220は3両になった)。朝と夕のラッシュ時にキハ200の2両に増結して運転している。
使用車両
- 気動車
- 電車
- 783系(ハウステンボス駅 - 早岐駅間、特急ハウステンボス・ハウステンボスリレー号)
臨時列車としては、787系などが乗り入れたことがある。
歴史
大村線は鳥栖と長崎を結ぶ長崎線として九州鉄道により建設されたもので、1907年に鉄道国有法により官設鉄道に編入された。現在の長崎本線のルート(有明線)が開通した1934年に長崎本線から分離され、大村線となった。
- 1898年(明治31年)
- 1907年(明治40年)7月1日 鉄道国有法により九州鉄道が買収され、官設鉄道となる
- 1909年(明治42年)10月12日 国有鉄道線路名称制定により、鳥栖 - 早岐 - 長崎が長崎本線となる
- 1922年(大正11年)5月25日 竹松駅を新設
- 1928年(昭和3年)4月20日 千綿駅を新設
- 1934年(昭和9年)12月1日 長崎本線から早岐 - 諫早を分離して大村線とする
- 1944年(昭和19年)10月21日 小串郷駅を新設
- 1945年(昭和20年)4月20日 岩松駅を新設
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が承継、全線の貨物営業を廃止
- 1989年(平成元年)3月11日 諏訪駅を新設
- 1992年(平成4年)3月10日 ハウステンボス駅を新設、早岐 - ハウステンボスを交流60Hz・20kVで電化
- 2002年(平成14年)
- 2012年(平成24年)12月1日 竹松駅 - 諫早駅の各駅でICカード「SUGOCA」の取扱いを開始[2]。
駅一覧
- 停車駅
- 普通…すべての駅に停車
- 快速(シーサイドライナー)…●印の駅は停車、|印の駅は通過
- 特急…「ハウステンボス (列車)」参照
- 線路(全線単線) … ◇・∧:列車交換可、|:列車交換不可
- ※:ハウステンボス駅は2012年より一方が同駅始発の場合のみ列車交換が可能になり、諫早方面への列車同士の交換はできなくなった。
- 全駅長崎県内に所在
電化/非電化 | 駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 快速 | 接続路線 | 線路 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
電化 | 早岐駅 | - | 0.0 | ● | 九州旅客鉄道:佐世保線(佐世保駅まで直通運転) | ◇ | 佐世保市 |
ハウステンボス駅 | 4.7 | 4.7 | ● | ※ | |||
非電化 | 南風崎駅 | 0.9 | 5.6 | | | ◇ | ||
小串郷駅 | 4.0 | 9.6 | | | | | 東彼杵郡 川棚町 | ||
川棚駅 | 4.0 | 13.6 | ● | ◇ | |||
彼杵駅 | 6.0 | 19.6 | ● | ◇ | 東彼杵郡 東彼杵町 | ||
千綿駅 | 4.4 | 24.0 | | | | | |||
松原駅 | 4.5 | 28.5 | | | ◇ | 大村市 | ||
竹松駅 | 4.3 | 32.8 | ● | ◇ | |||
諏訪駅 | 2.0 | 34.8 | | | | | |||
大村駅 | 1.4 | 36.2 | ● | ◇ | |||
岩松駅 | 3.8 | 40.0 | | | ◇ | |||
諫早駅 | 7.6 | 47.6 | ● | 九州旅客鉄道:長崎本線(長崎駅まで直通運転) 島原鉄道:島原鉄道線 |
∧ | 諫早市 |
脚注
関連項目
テンプレート:九州旅客鉄道長崎支社- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ SUGOCAのご利用可能エリアを平成24年12月1日(土)に拡大します - 九州旅客鉄道ニュースリリース 2012年9月19日