国際秘密警察シリーズ
国際秘密警察シリーズ(こくさいひみつけいさつ-)は、1963年から1967年にかけて東宝が製作したアクション映画。全5作が製作され、主演はいずれも三橋達也。
目次
概要
本作の制作された1963年は、スパイ映画『007 ドクター・ノオ』(テレンス・ヤング監督)が公開されヒットした年であり、この『007』の人気を受けて、東宝によってごく短期間で企画・製作された。「世界で最も早く『007』の影響を受けて製作された映画」と言われている。
三橋が演じる「和製ジェームズ・ボンド」そのままの国際秘密警察諜報部員・北見次郎が、国際的な悪の組織を壊滅させるのが基本ストーリー。窮地を脱するために使用される奇抜なアイテムや、三橋の巧みな銃さばきが見所。
第1作『指令第八号』、第2作『虎の牙』は、シリアスなムードが漂う純粋なスパイアクション映画として制作されたが、関沢新一脚本・坪島孝監督による第3作『火薬の樽』以降からは、お色気の要素が加わって北見が女性にだらしなくなったり、非現実的な敵キャラクターの登場、コメディタッチの要素も盛り込まれるなど、『007』シリーズにより近い、軽妙な娯楽作品に仕上がっている。
作品
国際秘密警察 指令第8号
- あらすじ
- スタッフ
- キャスト
- 併映
国際秘密警察 虎の牙
- あらすじ
- アラバンダ共和国の産業省次官・クリマがアラバンダのダム建設資材購入のため、日本へとやってきた。セールスマンと称しクリマと接見した北見は、彼のボディガードを務める。しかし、ダム工事とは関係のない工業用ボンべを大量に買い付けられたことを知った北見は、クリマが彼女の秘書・梨江の父親を密かに監禁し、脅迫して毒ガスを作らせていることを察知する。クリマはその毒ガスをボンベに詰めてアラバンダに送り、内乱を起こそうと企んでいた。その頃クリマも、北見の素性を密かに調査し、彼が国際秘密警察員であることを知る。
- スタッフ
- キャスト
- 併映
- 『ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗』(東京映画作品、監督:佐伯幸三、主演:長島茂雄)
国際秘密警察 火薬の樽
- シリーズ第3作・1964年12月9日公開(東宝製作・配給)
- あらすじ
- 核爆弾の遠隔操作を研究している龍野博士が、何者かに誘拐された。早速捜査に乗り出した北見と警視庁の柳生警部は、ナチ思想を絶対視する極右の黒幕・黒木が率いる世界統一同盟の犯行であることをつかむ。北見は世界統一同盟の秘密基地をつきとめ潜入するも捕らえられてしまう。そして、世界統一同盟は地球上のあらゆる核を爆発させることができるゼーター線遠隔操縦装置の設計図を手に入れて装置を完成させ、手始めの実験として夢の超特急の遠隔爆破を計画する。
- スタッフ
- キャスト
- 北見次郎:三橋達也
- 柳生警部:佐藤允
- 龍野華代:星由里子
- 龍野博士(華代の父):田崎潤
- 宮地(龍野の秘書):二瓶正也
- 羽田でとれた娘:若林映子
- 黒木隼人:松本染升
- 郷田桜男:中丸忠雄
- 6号:水野久美
- 8号:桐野洋雄
- 14号:草川直也
- 11号:大木正司
- 5号:伊吹徹
- ワーゲン博士:ハロルド・コンウェイ
- 併映
国際秘密警察 鍵の鍵
- あらすじ
- トンワン国に潜入していた北見は、同国の情報長官・スリタイから、ミーチン・白蘭と共にトンワンの反政府ゲリラ「闇」を率いるゲゲンから、彼らが隠し持つ大量の資金を奪ってほしいと依頼された。横浜の洋上に船を浮かべ、そこで違法賭博や売春で資金を稼ぐゲゲン一味を追って日本にやってきた3人は、ゲゲンに横浜の縄張りを荒らされて頭に血がのぼっていたギャング・蔡と共闘してゲゲンの資金を奪うべく、変装して彼らの船に乗込む。しかし、船の中の金庫には現金はなく、暗号らしき文の書かれた紙が一枚入っているだけだった。
- スタッフ
- キャスト
- 併映
国際秘密警察 絶体絶命
- あらすじ
- ブッダバル国首相の暗殺計画を調査していた国際秘密警察員・島田が香港で謎の死を遂げた。北見は、国際秘密警察本部から派遣されてきたジョンと共に、来日するブッダバル国首相を守るべく、捜査を開始。そして、何者からか首相暗殺を請け負った国際的暗殺集団ZZZのプロフェッショナル・ハヤタやアキコらも香港から来日し、様々な手で次々と首相や北見・ジョンらに襲い掛かる。
- スタッフ
- 製作:田中友幸、武中孝一
- 監督:谷口千吉
- 原作:都筑道夫
- 脚本:関沢新一
- 音楽:別宮貞雄
- キャスト
- 併映
- 『落語野郎 大爆笑』(監督:杉江敏男、主演:三遊亭歌奴=現:圓歌)
『What's Up, Tiger Lily?』
『What's Up, Tiger Lily?』(『どうしたの、タイガーリリー?』)は、1966年のアメリカ映画。
東宝の『国際秘密警察シリーズ』3作目『火薬の樽』と4作目『鍵の鍵』を、アメリカの映画監督ウディ・アレンが台詞を全て差し替え、さらに撮り下ろしの場面を加えて、換骨奪胎したギャグ映画として1本に再編集したものである。
三橋達也は「フィル・モスコウィッツ」、若林映子は「スキ・ヤキ」、浜美枝は「テリ・ヤキ」、中丸忠雄は「シェファード・ウォン」、黒部進は「ウィン・ファット」という名に変えられている。
内容は、ステレオタイプなアジア人風俗を笑いどころとし、当時の『007シリーズ』に代表されるスパイ映画の周到なパロディとなっている。パロディとはいえ、ウディ・アレンの実質的な最初の監督作品であり、現在でもアメリカの映画評論家等の間では評価が高いが、ウディ自身はこの作品に触れることを極端に避けていると言われる。ウディはまた翌年には本国で『007』のパロディ映画『007 カジノロワイヤル』に出演している。海外ではDVDも発売されているが、日本では製作元である東宝との権利関係の問題などもあり、日の目を見ていない。
関連項目
- プロファイター(宝塚映画制作のテレビシリーズ)テンプレート:Asbox