名探偵コナン 時計じかけの摩天楼

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テンプレート:Infobox Film名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(めいたんていコナン とけいじかけのまてんろう)は、1997年4月19日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズの記念すべき第1作目である。上映時間は95分。興行収入は11億円、配給収入は6億円。

キャッチコピーは「真実はいつもひとつ!」。

概要

テレビアニメ『名探偵コナン』の大ヒットにより制作された初となる映画作品であり、今作以降毎年新作が春に劇場公開されている。コナンたちの住む米花町で起きる爆破事件と、新一の誕生前夜(5月3日)における新一と蘭の恋愛描写が物語の軸である。大規模な爆破シーンなどが展開されるが、犯人による個人的な殺人は描かれず、爆弾捜索が事件のメインとなっている。

冒頭の作品解説のうち、工藤新一の新聞記事から、体が縮み蘭と再会してコナンと名乗るまでのアニメーションは2013年現在まで、導入部分が若干改変された第11作『紺碧の棺』を除いて毎回流れている。また、本作のアニメーションは第3作『世紀末の魔術師』まで使用されており、『瞳の中の暗殺者』以降はデザインが変更されている。

本作は、初期のアニメシリーズの音楽制作を担当していたポリグラム株式会社ユニバーサルミュージック)が製作委員会に名を連ねている。以降は、1997年からアニメシリーズの主題歌からビーイングに変更され、映画主題歌も2011年の第15作『沈黙の15分』まで、アニメ・映画共にビーイング所属アーティストの起用が慣習となっていた。2000年に発売された『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜名探偵コナン テーマ曲集〜』に本作の主題歌「Happy Birthday」が収録されないのも変更のためだったが、2006年に発売された『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜The Movie Themes Collection〜』では収録された[1]。本作から第4作『瞳の中の暗殺者』までの主題歌は、1コーラス目の後に間奏を挟みラストサビに行く形で使用されていた。第5作『天国のカウントダウン』以降はフルバージョンか一部をカットして使用されている。また、舞台となった風景の実写が背景で流され、最後のアニメ映像がコナンが前を見据えるシーンなのも本作から恒例になっている。

テレビスペシャルとして、1998年1月5日2003年3月24日2006年3月13日の計3回放送されている。本編のDVDは2001年3月28日Blu-ray Discは2011年5月27日に発売された。

あらすじ

ある日、黒川邸で主人の黒川大造が何者かに殺害されるという事件が起こった。現場の状況から、黒川家の中に犯人がいるとされ、眠りの小五郎として有名な名探偵の毛利小五郎は後妻が犯人だと推理するが、時計型麻酔銃で眠らせた江戸川コナンの推理によって事件は無事に解決した。彼こそ高校生探偵として有名であった工藤新一であり、現在は迷宮なしの小学生名探偵として活躍する江戸川コナンである。コナンは自分の体を小さくした黒の組織を追うために、小五郎を有名にして情報を集めていたのだ。

数日後、高名な建築家である森谷帝二から工藤新一宛にパーティーの招待状が届いた。しかし、新一は体が縮んでしまってコナンになっているため、コナンは小五郎を代理人として、幼馴染で小五郎の一人娘である毛利蘭と共にパーティーに出席する。そこで開催されたクイズに正解し、ギャラリーに案内されたコナンと蘭は、殺人事件があった黒川邸が森谷の設計であることを知る。また、蘭は新一の誕生日に二人で映画を見に行く約束をしていることを森谷に伝えるが、行くことができないコナンはどうするべきかと考える。

新一の誕生前日、コナンは、火薬庫から爆薬が何者かに盗み出され、黒川邸が放火されるという事件のニュースを目撃し、その犯人から新一宛てに爆破予告の電話がかかってきた。犯人は、爆弾を盗み出したのは自分であり、早くしないと子供たちが危険だと宣言する。事件を解決する決意を固めたコナンは爆破を防ぐために飛び出していった。

登場人物

メインキャラクター

オリジナルキャラクター

容疑者

森谷 帝二(もりや ていじ)
声 - 石田太郎
建築家。東都大学建築学科教授。47歳。
本名・森谷貞治。独身。高校生探偵の工藤新一に興味を抱き主催するパーティーに招待した。イギリス古典建築のシンメトリーに傾倒して、自分の名前を左右対称の帝二に変えている。日本建築協会の新人賞を受賞した経験から、若い建築家に「美意識が欠けている」「自分の作品に責任を持つべき」だと警鐘を鳴らす、芸術家思考の持ち主。父親も世界的な建築家だったが、母親と共に15年前の火事で他界している。また、『天国へのカウントダウン』に登場した弟子の風間英彦は、森谷とは正反対に技術家思考であった。
名前の由来は『シャーロック・ホームズ』に登場するホームズの宿敵・ジェームズ・モリアーティ教授。キャラクター原案は原作者の青山剛昌が担当した。
白鳥 任三郎(しらとり にんざぶろう)
声 - 塩沢兼人
警視庁刑事部捜査第一課警部補。
本作が初登場で、森谷帝二の父親に憧れを抱いており建築にも興味がある、爆弾犯からの電話が掛ってきたときはいつも不在など、容疑者の1人として描かれている。理由は容疑者候補が森谷しかいないとスタッフから指摘があったためで、担当した塩沢兼人にも「怪しく演じて下さい」と要求していた。しかし、監督のこだま兼嗣によれば、試写会で、小五郎が白鳥を犯人だと指さす場面になると、客席は大爆笑していたようである。その後、青山剛昌とスタッフに気に入られたことから、レギュラーキャラクターとなった。
本作では白鳥刑事と呼ばれ、フルネームが判明したのは次作『14番目の標的』からである。森谷帝二と同様にキャラクター原案は原作者の青山剛昌が担当した。

黒川家

黒川 大造(くろかわ だいぞう)
声 - なし
黒川邸の主人で、黒川病院の院長兼外科医。62歳。自宅で何者かに殺害されてしまったが、コナンの推理によって事件は解決した。
黒川 三奈(くろかわ みな)
声 - 宮寺智子
大造の後妻。32歳。犯行現場に残されたメッセージから小五郎に犯人だと疑われたため、詰め寄って文句を言うなど気の強い性格をしている。
黒川 大介(くろかわ だいすけ)
声 - 山路和弘
大造の長男で、大造が院長を務めている黒川病院の内科医。36歳。三奈や真那美と共に事件の容疑者になってしまった。
中沢 真那美(なかざわ まなみ)
声 - 藤井佳代子
黒川邸の家政婦。27歳。大造殺害事件の真犯人[2]で、家政婦として黒川家に入り込んでいたが、コナンの推理によって逮捕された。

岡本家

岡本(おかもと)
声 - 平尾仁彰
元西多摩市市長。52歳。1年前に交通事故を引き起こしてしまい、息子の浩平が身代わりになるも新一に真相を暴かれてしまい失脚。現在、服役中である。
岡本 浩平(おかもと こうへい)
声 - 谷川俊
岡本元市長の息子で、電子工学科の学生。21歳。市長の車に同乗していたことを利用して身代わりになるが、新一に見破られた。

東都環状線

坂口(さかぐち)
声 - 藤本譲
東都環状線運行部長で総合司令室責任者。52歳。犯人の要求から東都環状線全線のスピードを上げて維持させるも、コナン(新一)の推理を聞かされ新たな指令を出した。
楠(くすのき)
声 - 藤城裕士
東都環状線司令室の総合司令長。45歳。坂口運行部長から環状線に設置された爆弾のことを伝えられ驚愕したが、運転士に指示を与えながら事件の解決に尽力した。
運転士
声 - 山崎たくみ
東都環状線11号編成運転士。爆弾が仕掛けられていることを知らされ動揺するが、楠指令長からの指示通り電車をホームへ止めることに成功した。
電車の乗客
声 - 小堀裕之川谷修士2丁拳銃
東都環状線の乗客。電車が止まらない理由を車掌に問い質していた。本作では、お笑い芸人の二丁拳銃が特別出演しており、芸人としては初のゲスト出演となった。

その他のキャラクター

少年
声 - 水原リン
自転車を止めてジュースを買っていた少年。コナンに自転車を盗られた際に「坊や借りるよ!」と言われ「坊や?俺の方が年下か!?」と唖然とした顔で驚いていた。
おばあさん
声 - 水原リン
米花駅前の広場に捨てられていた猫を拾った老婆。途中でタクシーに乗車したがコナンに止められ、爆弾の入ったケースは無事に回収された。
警官
声 - 千葉一伸
東都環状線に仕掛けられた爆弾を、警察犬を連れ捜索していた警官。爆弾は目暮警部の指揮ですべて回収され、鉄道爆破未遂事件は無事に解決した。
医師
声 - 山路和弘
爆発を防ぐために負傷してしまったコナンを診察した緑台警察病院の医師。お見舞いにやってきた一同を安心させ、コナンは引き続き爆弾事件の推理を続けていった。
ドライバー
声 - 一条和矢
おばあさんを制止するために、飛び出したコナンと接触しそうになったバイクのドライバー。そのまま走り去っていったが、スケボーの機能が弱まりコナンは自転車を拝借した。
店員
声 - 百々麻子
爆弾を探すためにコナンが入店したハンバーガーショップの女性店員。何も注文せずに、出入りを繰り返しているだけのコナンに驚いていた。
アナウンサー
声 - 野村明大読売テレビアナウンサー
東都環状線で発生した爆弾事件のリポートをしていた男性アナウンサー。高木刑事に似た風貌をしており、爆発までの時刻を緊張した面持ちで実況していた。

スタッフ

主題歌

挿入歌

脚注

  1. ポリグラムから「名探偵コナン主題歌集」が発売されているが、公開の半年前だったことから収録されていない。
  2. 動機は「復讐」。中沢には夫がいたが、被害者の黒川が酒に酔った状態で心臓手術をしたことにより死亡。それを恨んでの犯行だった。

外部リンク

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