医療機関
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医療機関(いりょうきかん)とは、医療法で定められた医療提供施設のことである。狭義においては、医師、歯科医師等が医療行為を行う施設である医院、病院、診療所をさす場合もある。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師による施術所(治療院、鍼灸院、マッサージ院、整骨院や接骨院)は、医業類似行為を行う施設であり、健康保険が適用されているのでわかりづらいが、法律分野で用いる場合の名称からの医療機関からは外れる。
法律上の区分
- 名称の規制なし - 医院、産院、診察所、療養所
- 病床が20床以上 - 病院、病院分院
- 病床が無い又は20床未満 - 診療所
- 妊婦、産婦、じよく婦が10人以上 - 助産所
- 薬剤師が処方箋に基づき医薬品を調剤→調剤を実施する薬局
開設者による区分
<TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;">国</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 公的医療機関</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 社会保険関係団体</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 公益法人</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 医療法人</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 私立学校法人</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 社会福祉法人</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 医療生協</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 会社</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> その他の法人</TD></TR> <TR><TD colspan=3 style="background-color: #efefef;"> 個人</TD></TR>公的医療機関
医療法では都道府県、市町村その他厚生労働大臣の定める者(下記参照)が開設する病院又は診療所を公的医療機関と定め(第31条)、厚生労働大臣又は都道府県知事はその開設者または管理者に対して次の事項を命ずることができる。また、該当する医療機関の運営に関して必要な指示をすることができる(第35条)。
- その建物の全部または一部、設備、器械及び器具を、当該公的医療機関に勤務しない医師または歯科医師の診療または研究のために利用させること。
- 医師法もしくは歯科医師法の規定による実地修練または臨床研修を行わせるのに必要な条件を整備すること。
- 所在地の都道府県の医療計画に定められた救急医療等確保事業に係る医療の確保に関し必要な措置を講ずること。
なお医療法第31条に規定する公的医療機関の開設者のうち「厚生労働大臣が定める者」とは下記のとおりとされている。(昭和26年8月22日厚生省告示第167号)。国が開設者の場合は公的医療機関に含まれないことに注意。
医療機関債
医療機関債は医療法第39条に規定されている「医療法人」が発行することができる証券。厚生労働省医政局長名で通知された「医療機関債発行のガイドライン」[1]では証券取引法上の「有価証券」には該当せず、「民法上の消費貸借として行う金銭貸借の借入れに際し、借入れたことを証する目的で作成する証拠証券」と定義されている。医療機関債の販売勧誘に伴うトラブルが発生しており[2]、金融審議会(首相の諮問機関)・金融分科会第一部会で法制化の審議を進めている「投資サービス法案」において、医療機関債を含む金銭消費貸借契約に対する規制論議がなされている[3]。