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江戸時代両替商で用いられた後藤分銅
貳拾両(200匁:749.07g), 拾両(100匁:374.62g)

(もんめ)(記号:mom)は、日本尺貫法における質量単位である。1891年明治24年)の度量衡法により、正確に3.75グラムと規定された。現行の計量法でもこの換算値が維持されている[1]が、「真珠の質量の計量」にのみ限定して使用することができ、それ以外の使用は禁止されている。

古くは(せん)と呼ばれ、中国語圏では現在もテンプレート:Lang-zh テンプレート:ピン音 チエン)と呼ぶ。また、いくつかの国ではまた別の呼び名をする。それらの単位についてもあわせて解説する。

10匁・10銭は(りょう)に、160匁・160銭(例外あり)は(きん)に、1000匁は(かん)に等しい。

名称

銭と匁

中国での単位名は「銭」であり、日本でも古くは銭と呼んでいたが、1484年大内家壁書に「」の名が現れた[2]1871年新貨条例により公式に「匁」の名が現れ、1891年の度量衡法でも「匁」となった。

読み「もんめ」は、一銭の質量であることから「文目」(もんめ)と呼んだことに由来する。「目」は、「の目」の意味から転じた、質量を意味する接尾辞で、「目方」と同じ意味である。

漢字「匁」は本来「銭」の異体字として中国で使用されていた字で日本の国字ではないが[3]、字書類に載っていない上に日本で「もんめ」の漢字として本来の銭を圧倒して使われたために、しばしば国字の例としてあげられる。

momme

匁はとともに真珠の質量の単位として国際的に使われている。これは真珠が日本の特産品であったことによるものである。この場合は"momme"と綴られ、その単位記号は"mom"である[4]

英語名

英語では テンプレート:En(メイス)と呼び、これはマレー語mas からオランダ語テンプレート:Nl を経由した借用語である。マレー語の mas はさらに、サンスクリットmāṣa(マーシャ)に由来し、これはインドベンガル地方の質量の単位マーシャ テンプレート:En(≒0.972グラム)の語源でもある。

香港英語では広東語由来のテンプレート:En[5]シンガポール英語ではテンプレート:En[6]とも言う。

桁の表現

10匁単位(10匁の整数倍)の場合には、匁の代わりに「目」(め)と呼ぶことがある。例えば30匁は三十目、300匁は三百目とも呼ぶ。ただし、10匁単位でない場合はこの表現はせず、たとえば、17匁を17目のようには言わない。また、この「十目」「百目」は10匁・100匁に等しい別個の単位ではなくあくまで10匁・100匁の別の表現なので、たとえば232匁を二百目三十二匁などとは言わない。

テンプレート:分数匁は(ふん)、テンプレート:分数匁は(りん)、テンプレート:分数匁は(もう)となる(テンプレート:分数銭等についても同様)。「分」を「ぶ」と読まず「ふん」と読むのは、金貨の通貨単位である一分(ぶ)との混同を避けるためである。これは質量の単位であるがゆえの例外であり、これに対したとえばテンプレート:分数の「分」は「ぶ」と読む。

中国(銭)

代の開元通宝10枚の質量が24銖すなわち1であったことから、1枚あたりの質量を「銭」と呼ぶようになった[7]

呉承洛の『中国度量衡史』による隋代の1銭は約4.1762グラム、唐代の1銭は約3.7301グラムである[7]

代には庫平両や漕平両などいくつかの両があった。標準である庫平両は、清朝滅亡後の1915年にメートル法との対応が決められたが、その定義では1銭=3.7301グラムだった。この値は現在は「旧制」と呼ばれる[8]

国民革命後の1929年に庫平両は廃止され、新たに市制が定められた。銭はやや少ない3.125グラムと定められた。この値は、1=500グラム(旧制では596.82グラム、日本では600グラム)という切りのいい数値に定めたことと、1斤=16両=160銭という換算から導き出される。

中華人民共和国は中華民国の市制を踏襲していたが、1959年、1=16両=160銭を、1=10両=100銭と十進化した。1斤=500グラムの換算は保たれたため、1銭=5グラムとなった。

日本(銭・匁)

銭が日本に伝わり、日本では「文目」の意から「もんめ」とも呼ぶようになった。江戸時代には秤量銀貨の実測値が通貨単位として使用され、1700年元禄13年)に60匁は小判1とする御定相場が公布されたが、実態は市場経済による変動相場であった[9]

1665年寛文5年)に度量衡の「衡」が統一され、両替商で用いられる分銅後藤四郎兵衛家のみ製作が許され、これ以外のものの製作および使用は不正を防止するため厳禁された。この分銅は「両」を基本単位としており、「匁」に相当する「戔」は補助単位だが、秤量銀貨の通貨単位は日本では銀一両といえば銀4.3匁のことを指し[10]、また小判の通貨単位の「両」との混同を避ける意味から「匁」および「貫」が用いられた。すなわち、伍両(5両)の分銅と釣合う丁銀は銀50匁(銀50目)と表した。このため質量の単位としては「匁」が普及した。一方、中国における一両は銀10銭(10匁)だった[11]

この当時の1匁は、分銅や定位貨幣を実測して推定すると、現在の3.75グラムよりやや小さく、近世を通じた平均値で3.736グラムであり、江戸時代終盤にやや増加して3.75グラムを超えた[12]

明治に入り、圓(円)テンプレート:分数補助貨幣の単位として使用することとなったため、明治4年(1871年)の新貨条例では質量の単位には戔(匁)が公式に採用され(ただし、第二次大戦前までは銭も併用されていた)、1戔(1匁)=約3.756 521グラム(86.4/23グラム)と定められた[13]。その後、単位換算の便宜を図るため、1891年(明治24年)の度量衡法により、1貫=正確に3.75キログラムと定められ、匁は貫のテンプレート:分数と規定されたので、1匁=正確に3.75グラムとなった。

日本の計量法では、尺貫法の単位は全廃されたが、匁だけは「真珠の質量の計量」に限定して使用できる。ただし表記は平仮名の「もんめ」であり[14]、その記号は「mom」である[15]。ただし、匁の1000倍である「」( = 正確に3.75kg)は、「真珠の質量の計量」であっても使用が禁じられている。

日本の五円硬貨の質量は3.75gで、ちょうど1匁に相当する。

朝鮮

大韓帝国時代の1902年に伝統的な単位とメートル法との対応が規定されたが、1909年には日本式の度量衡法が定められ、このときに日本の「匁・貫」ももたらされた。ただし読みは朝鮮語で銭を意味する「トン(テンプレート:Ko)」であった。したがって1トンは3.75gにあたる。

1964年に度量衡はメートル法に統一されたが、貴金属や漢方薬の計量において慣用的に使われている。

香港・マカオ(銭)

香港では、1884年香港法例第22条でテンプレート:分数オンス(約3.779936グラム)と定められた。現在はメートル法へ換算して丸めた3.77994グラムとされ[16]漢方薬の処方などで使われている。

一方、貴金属取引には金衡錢 (テンプレート:En) が使われていて3.7429グラムとされている[16](「金衡」とはトロイオンスなどの「トロイ」の訳語だが、金衡錢自体はトロイオンスとは関係ない)。

マカオも香港と同様である。

東南アジア

東南アジアのいくつかの国では、銭に当たる単位が現地語の単位名称で呼ばれている。名前は違うが、いずれも、両に当たる単位のテンプレート:分数である。

シンガポールでは、チー (chee) = テンプレート:分数タヒル (tahil) ≒ 3.78グラムで[17][18]、香港の銭とほぼ同じである。

マレーシアも、シンガポールと同様である。

インドネシアでは、チー (ci) = テンプレート:分数テール ≒ 3.86グラムである[19]

フィリピンでは、マース (テンプレート:Es) = テンプレート:分数テール ≒ 3.622グラムである[20]

換算一覧

一部は概数。

単位 グラム その他 国・地域
銭(市制 5 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 テンプレート:Flagicon 中国
チー (ci) 3.86 g テンプレート:分数テール テンプレート:IDN
チー (ci) 3.78 g テンプレート:分数タヒル テンプレート:分数カティ テンプレート:分数オンス テンプレート:SIN
テンプレート:Flagicon マレーシア
銭 (テンプレート:En) 3.77994 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 テンプレート:分数オンス テンプレート:Flagicon 香港
テンプレート:MAC
3.75652 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 テンプレート:分数 日本 (1871)
3.75 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 テンプレート:分数 テンプレート:Flagicon 日本
銭(台制 3.75 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 テンプレート:Flagicon 台湾
金衡銭 3.7429 g テンプレート:分数金衡両 テンプレート:Flagicon 香港
銭(旧制) 3.7301 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 中国(–1929)
マース (テンプレート:Es) 3.622 g テンプレート:分数テール テンプレート:PHI
銭(市制 3.125 g テンプレート:分数 テンプレート:分数 中国(1929–59)

参考文献

テンプレート:Reflist

関連項目

質量の単位
キログラム
SI単位)
グレーン 常用オンス 常用ポンド
1 kg = 1 ≈ 15432 ≈ 35.274 ≈ 2.2046 ≈ 266.67 ≈ 1.6667 ≈ 0.26667
1 gr = 0.00006479891 = 1 ≈ 0.0022857 ≈ 0.00014285 ≈ 0.0172797 ≈ 0.000107998 ≈ 0.0000172797
1 oz = 0.028349523125 = 437.5 = 1 = 0.0625 ≈ 7.5599 ≈ 0.047249 ≈ 0.0075599
1 lb = 0.45359237 = 7000 = 16 = 1 ≈ 120.96 ≈ 0.75599 ≈ 0.12096
1 匁 = 0.00375 ≈ 57.871 ≈ 0.13228 ≈ 0.082673 = 1 = 0.00625 = 0.001
1 斤 = 0.6 ≈ 9259.4 ≈ 21.164 ≈ 1.3228 = 160 = 1 = 0.16
1 貫 = 3.75 ≈ 57871 ≈ 132.28 ≈ 8.2673 = 1000 = 6.25 = 1


テンプレート:尺貫法の単位
  1. 元の位置に戻る 計量単位令別表第6 項番4[1]
  2. 元の位置に戻る 花野韶「貨幣から見た匁の変遷」2008年
  3. 元の位置に戻る テンプレート:Cite book
  4. 元の位置に戻る 計量単位規則別表第4 [2]
  5. 元の位置に戻る テンプレート:Cite web
  6. 元の位置に戻る "Weights and Measures" in The Miners' Pocket-book.
  7. 以下の位置に戻る: 7.0 7.1 小泉袈裟勝 『歴史の中の単位』 総合科学出版、1974年
  8. 元の位置に戻る 「チエン;銭」、二村隆夫 監修『丸善 単位の辞典』2002年 丸善
  9. 元の位置に戻る 三上隆三 『江戸の貨幣物語』 東洋経済新報社、1996年
  10. 元の位置に戻る 三井高維編 『新稿 両替年代記関鍵 巻二考証篇』 岩波書店1933年
  11. 元の位置に戻る 田谷博吉 『近世銀座の研究』 吉川弘文館1963年
  12. 元の位置に戻る 岩田重雄 『計量史研究』 「近世における質量標準の変化」、日本計量史学会、1979年
  13. 元の位置に戻る 『明治大正財政史(第13巻)通貨・預金部資金』 大蔵省編纂、1939年
  14. 元の位置に戻る 計量単位令別表第6 項番4[3]
  15. 元の位置に戻る 計量単位規則別表第4 [4]
  16. 以下の位置に戻る: 16.0 16.1 度量衡令 付表
  17. 元の位置に戻る 「チー」、二村隆夫 監修『丸善 単位の辞典』2002年 丸善
  18. 元の位置に戻る WEIGHTS AND MEASURES ACT (CHAPTER 349) THIRD SCHEDULE Section 40 CUSTOMARY WEIGHTS
  19. 元の位置に戻る 「チー」、二村隆夫 監修『丸善 単位の辞典』2002年 丸善
  20. 元の位置に戻る 「マース」、二村隆夫 監修『丸善 単位の辞典』2002年 丸善