出版不況
テンプレート:独自研究 テンプレート:Amboxテンプレート:DMC 出版不況(しゅっぱんふきょう)とは1990年代末から言われるようになった日本の出版業界の「不況」状況を示す言葉である。
市場規模の観点から、出版産業は1997年をピークに年々縮小する傾向が見られる。
原因
原因のひとつとして挙げられるのが、「出版社 - 取次」間の問題として、老舗出版社や大手出版社と新規開業した出版社や中小出版社とを比較した場合、「歩戻し」や「注文品の支払保留」などの取引条件に関して、後者の方がより厳しい状況に立たされているという点がある。また、これらの取引条件についての合理的な基準が明示されていないといった点も指摘されている[1]。
影響
出版業界が衰退した結果、「編集者のチェックを受けている出版物」(=いわゆる普通の「書籍」)の供給が質・量ともに減少し、「正確な知識の伝播」が損なわれる。また、(書籍に替わる新規の知識獲得手段である)インターネットを利用できない情報弱者の知識獲得手段が奪われることとなる。結果的に国民の知る権利が損なわれるとの懸念もある[2]。
雑記
公共図書館におけるベストセラー書籍の「複本購入問題」(一点の書籍を大量に何冊も入手する事例を「買い占め」の観点から問題視)について、2004年に日本図書館協会が調査報告を公表している。
- 調査対象の図書館1館あたりのベストセラーの所蔵冊数は平均で2冊未満しかなく、大量に所蔵しているとは言えない。
- 貸出数が、発行部数と貸出数の合計に占める割合である「図書館提供率」の平均は、2002年のベストセラーにおいては9%程度で、それほど高い数値には見えない。
- 文芸書のベストセラーについてはサンプルが少なく断定的なことは言いにくいが、「図書館提供率」はかなり高い。
以上のような調査結果となっており、指摘されたような実態はほとんど無かったことが判明している。
年表
- 1998年
- 1999年
- 2000年
- 2001年
- 2002年
- 2003年
- 1月 - 婦人生活社、破産。
- 4月 - 老舗書店の近藤書店銀座店が閉店。現在は近藤書店本部として無在庫店舗。
- 8月 - 日刊工業新聞社、産業活力再生特別措置法の適用を申請。出版事業は継続中。
- 11月 - デジキューブ、自己破産。
- 2004年
- 2005年
- 2006年
- 2007年
- 2008年
- 2009年
- 2010年
- 2012年
- 2013年
- 2014年
- 4月-インフォレストが事業停止。
日本以外の出版不況とその対策
イギリス
イギリスでは出版不況が1995年の再販制崩壊の引き金を引き「不況は価格が高いせい」と大手出版社や書店が業界で結んでいた定価販売協定を脱退した。1990年代前半には独立系書店は4割近い販売シェアがあったが今は十数%に激減したといわれる。ただ再販制度が維持されている日本でも同様な推移が見られるため、価格競争との因果関係を認めることは難しい。
テレビと連動したタレント本など売れ筋が積まれる一方、価値の高い少部数の本は棚から消えるという『質より量』の風潮も出来たが、同様な現象はむしろ「質より量」に偏向した日本の出版流通において顕著であると言われる。大型チェーンが市場シェアの4 - 5割を握って値引きを迫り、出版社側も売れ筋に傾倒しているが、再販制度が維持されている日本でも同様な現象が認められる。
こうしたなかで最近では書店ビジネスの多様化が進められるようになっている。中堅出版社10社が提携した「インディペンデント・アライアンス」は独立系書店専用のベストセラー作家のサイン本を作ったり取引条件を大型書店と同等にしたりするなど「町の書店」の維持に本腰を入れている[26][27]。こうした試みは日本の現行の硬直化した出版流通システムでは難しいと言われている。
ドイツ
同じ欧州のドイツでは比較的健闘が目立つ[26]。中世のギルドの伝統を受け継いだ学校は業界団体の書籍業組合が設立し短期研修を含めて年間延べ1000人が学ぶ。読者の要望や知識欲をくみ「本を選ぶ能力」が備わった出版人が育つ。返品率の低い理由の一つがここにある。
流通の早さも段違いで、ドイツ中心部にある取り次ぎ大手リブリの巨大流通センターでは全国の書店の注文を受け50万点の在庫から本が選ばれ次々と箱詰めされていく。1日の注文数は25万冊に及ぶが在庫がある限り午後6時までの注文は必ず翌朝までに届ける。書店は流通ルートを持たない出版社と直接取引するよりも早く入手できる。
日本では取次会社が書店の要望と無関係に本を送ることもあるが、ドイツでは需要に応じて送るので本屋からリブリへの返品率は6%にすぎない。110万点に及ぶ書籍のデータベースが効率的な流通を支えている。業界統一の共有財産で出版社は刊行6ヶ月前にタイトルを登録するのがルールである。価格変更や絶版などの情報はその都度更新する。情報はオンラインで見られ書店はそれを元に注文する。
ドイツでの事情も順風満帆だったわけではない。書籍の価格を拘束する再販制度を維持しつつ日本より効率的な流通システムを作り上げたドイツの出版界は少部数でも息長く市場に生き続けているのが特徴である。ただしドイツの書籍再販制度は新刊に限った時限再販であり、委託制ではなく買い取り制である。
それでも経済のグローバル化に伴う資本集中の波とは無関係ではいられず「町の書店」は減っている[28]。 環境が激変したのは2006 - 2007年頃である。大手書店同士が経営を次々統合し、DBH(約470店)とターリア(約220店)という巨大チェーンが誕生した。両社を合わせて市場シェアはまだ14%程度だが零細の「町の書店」には充分脅威となる。こうしたことからドイツにおける書籍時限再販の存在を日本の書籍再販制度の擁護にあげるのは難しい状況となった。
新興チェーンの店舗は伝統的書店と異なる。DBHグループの「ウェルトビルトプラス」は売れ行きが落ちた本の出版権を買い取り廉価版として出版したり店員の数を抑えて安値を強調したりするといった手法をとり、廉価本チェーンや大型店を展開し加えてネットやカタログなど、資本力を生かした多様な販売網で急成長を続けている。
しかし、インターネットや効率的な流通システムは小さな書店にとっての武器にもなる。18時までに注文すれば翌日には本が届くので小さな書店でも大型店やインターネットに品ぞろえで対抗できるからである。「将来は大型チェーンと特定の分野に特化した専門店だけが生き残る時代になるのではないか」と予想する人もいる。
参考文献
脚注
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- ↑ 5.0 5.1 テンプレート:Cite news
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- ↑ テンプレート:Cite press release
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- ↑ 26.0 26.1 テンプレート:Cite web
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