串カツ
串カツ(くしカツ)は、肉や野菜などを串に刺して、衣を付け油で揚げた日本のカツ料理である。
串揚げ(くしあげ)とも呼ばれ、地域によって、食材や調理法、飲食形態が異なる場合がある(下記参照)。
また江戸の屋台では、串に刺した揚げ物(天ぷら屋台)があり、江戸時代から存在していた料理である。
使用される具材
- 肉類
- 牛(串カツ)、豚、鶏、ソーセージ、つくね、砂肝、とり皮、なんこつ
- 魚介類
- アジ、キス、シシャモ、ワカサギ、エビ、ホタテガイ、カキ、タコ、イカ、竹輪、はんぺん
- 野菜類
- タマネギ、シイタケ、シシトウガラシ、ネギ、ナス、タケノコ、オクラ、プチトマト、ジャガイモ、サツマイモ、ナガイモ、ピーマン、レンコン、ゴボウ、カボチャ、ニンニク、ブロッコリー、アスパラガス
- ミックス系
- ピーマンの肉詰め、アスパラのベーコン巻き、チーズちくわ
- その他
- ウズラ卵、チーズ、餅、餃子、焼売、紅しょうが
東日本地区
東日本地区(特に関東地方)においては、豚肉を3~4cm角に切ったものと、玉葱もしくは長葱を切ったものを交互に串に刺し、豚カツの要領でパン粉をまぶして揚げたものである。豚カツと同様、千切りキャベツとともに皿に盛られ、ソースも皿の上からかけるのが一般的である。
他の野菜や魚介類を素材とした料理もある。肉や野菜、魚介類など単独の具を揚げたものは串カツとは呼ばず、通常は「~フライ」や「串揚げ」等と呼ぶことが多い。
一方、「串の坊 東京銀座本店」のように西日本地区の店舗も多く営業している。
中京地区
名古屋など中京地区でどて煮とともに串カツを供する店で頼めば、どて煮の八丁味噌の煮汁に串カツを浸けてくれる。なお、どて煮の汁に串カツを浸けて食べるのが名古屋めしのひとつである味噌カツの始まりとの説もある。
西日本地区
西日本地区(特に大阪府)においては、小ぶりに切った牛肉や魚介類、野菜を個別に串に刺して衣をまぶして揚げた料理を指す。大阪市浪速区新世界のカウンター形式の店が発祥の地とされ、大阪一円の下町の繁華街には串カツ店が多く存在する。関東、中京地方のものに比べ、様々な食材が串カツになる。また数を捌くため、多くの店が衣の溶き玉子と小麦粉の代わりに、業務用の「バッター粉」を使って衣つけを能率化している。ナガイモを使った柔らかな衣を用いる店もある。大阪近辺では、1929年(昭和4年)に開店した「だるま」の女将が、西成区釜ヶ崎の肉体労働者たちのために串に刺した肉を揚げて饗したのがはじまりとされる[1]。
客席に置かれた共用のステンレス容器に入った薄いウスターソースに串カツを浸けて食べるスタイルが多い。このソースに一度口をつけたものを再度浸ける事が衛生上の問題となることから、多くの店では「二度漬け禁止」の掲示を出している。胃もたれを防ぐというキャベツが備えられている店も多い。このキャベツを使い、ソースを容器からすくってカツにかけることができる。テーブルに置かれた油が入った鍋で自らが揚げるセルフサービス式で供する店もある。また、ビュッフェ方式を取る店舗も存在する。
一方、同じ西日本地区でも、大阪から少し離れた兵庫県芦屋市・神戸市東部・西宮市では、大阪とは異なり、様々な創作串カツをお好みやコースのスタイルで供する店が多く存在する。そうした店ではそれぞれの客にソースやキャベツが用意され、二度漬け禁止の掲示もない。また、調味料もウスターソースだけでなく、各種の塩やタルタルソース、味噌、醤油、胡麻だれ等、独自の味付けがなされる。
串カツに関連した歌
- 『クシカツはいっぽん』NHKおかあさんといっしょで歌われている挿入歌。
注釈
- ↑ 菊地武顕『あのメニューが生まれた店』60頁 平凡社