プロヴィデンスガンダム

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テンプレート:Pathnav プロヴィデンスガンダムは、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空の兵器の一機種。「プロヴィデンス」は英語で「摂理」、「神意」、「天帝」を意味する。

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、続編及びメディアミックス作品に登場する派生機についても解説する。

機体解説

テンプレート:機動兵器 ZGMF-X09A ジャスティスやZGMF-X10A フリーダムと同時期に開発された機体。『SEED』に登場するMSの中でも最強クラスの戦闘性能を誇る。

ジャスティスやフリーダムと同様に、核エンジン及び小型ビーム兵器とPS装甲等が採用されており、プラントコロニー群を壊滅させうるほど[1]の攻撃力に加え、出力、運動性、防御力、稼働時間の全てにおいて在来機を遥かに凌駕する性能を誇る。更にそれらを効率よく運用するため、核エンジンの稼働を実現する新装備ニュートロンジャマーキャンセラー、新OSG.U.N.D.A.M.COMPLEX」を搭載し、マルチロックオンシステム搭載型全周囲モニター式コックピットを採用しているため、腕の良いパイロットが搭乗すれば、多数の兵装の能力を最大限に引き出すことが可能である。

外観は格闘戦を想定したことにより、全体的に重装甲[2]でどっしりとしている。頭部には、ジャスティス、フリーダムと同様、V字型ブレードアンテナとツインアイ(デュアルセンサー/サブカメラ)を備えているうえ、ブレードアンテナ付近には搭乗者のラウ・ル・クルーゼの仮面を模した形状のフェイスカバーが存在する。

本機最大の特徴は、無線式全周囲攻防システム「ドラグーン」の装備である。これはニュートロンジャマーに阻害されない量子通信によって、MS本体から分離した複数のビーム砲端末を同時に無線誘導し、複数の攻撃目標に対し全周囲からの多重的砲撃をかけるもので、戦闘区域を単機で完全制圧することを可能としている。端末は9門のビーム砲を備えた円錐形大型タイプが3基、2門のビーム砲を装備したスクエア形小型タイプが8基搭載されており、プロヴィデンスはこれだけで計43門ものビーム砲を装備していることになる。なお、このシステムは使用者(パイロット)の超人的な空間認識能力を必要とする。そのため、本機はその対応適性が確認されているラウの専用機となっている。

もともとこの機体は4本のビームサーベルを装備した格闘戦仕様となる予定だった[3]が、核エンジンからの有り余るエネルギーの活用や、パイロットが空間認識能力の高いラウに決まったこともあって、急遽ドラグーン・システム搭載機に変更された。ドラグーン・システムの搭載は機体の基本設計が完了した後に決まったため、重量の増加に伴いスラスターの出力を強化し、機体背面及び腰部側面に、外部ユニットとしてドラグーン・プラットフォームを搭載された。後付け故、本体とドラグーン・プラットフォームをつなぐ2対のエネルギーケーブル及び一対の量子通信ケーブルが機体腹部側面から露出しているが、そのケーブル部もPS装甲で覆い、弱点となることを防いだ。ジャスティスやフリーダムでは胸部に搭載されていたコックピットが本機では腹部に搭載されており、これもドラグーン・システムの搭載による仕様変更だと言われている。本体とドラグーン・システムの同調を優先した改良が加えられた結果、運動性は以前よりも低下したと推測され、完成度では他のZGMF-Xシリーズに劣ると言えるが、強力な兵装を搭載した本機の戦闘能力は、SEED中の全てのMSの頂点に立つと言われる。

額にはイタリア語で11を指す「UNDICI」(ウンディッチ)の文字がある。

大気圏内での戦闘はなかったが、一部ゲームではフリーダムやジャスティス同様に大気圏内飛行能力を持っている仕様になっている。

『SDガンダム GジェネレーションSEED』ではその形状からウッソ・エヴィンに「ダニもどき」と呼ばれている。

武装

MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲
頭部及び肩部に装備された対空迎撃用機関砲
MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル
肩掛け式の大型ビームライフルドレッドノートのMA-M22Yを大型高出力化した改良型[4]で、系列機のジャスティスやフリーダムのMA-M20より2世代、ゲイツのMA-M21Gより1世代新型である。大型のために取り回しにはやや難があるが、MA-M20ルプスを上回る出力を誇る。
ユーディキウムはラテン語で「審判」の意。
MA-V05A 複合兵装防盾システム
対ビームコーティングシールドに大型ビームサーベルとその両脇に2門のビーム砲を内蔵した複合兵装。左前腕にはめ込む形で装備する。連合から強奪したGAT-X207 ブリッツのトリケロスを参考にしたものと思われ、同期開発のゲイツにも同じコンセプトの武器が搭載されている。一部のゲーム媒体では両脇のビーム砲からビームを発振してビームサーベルとして機能させているものもある。近接戦闘において極めて強力な武装であるが、武器としての取り回しを優先させた結果、基部となるシールド自体を小型化せざるをえず、防具としての性能は決して高くないのが欠点である(実際フリーダムとの戦闘ではフリーダムの攻撃を受けきれず、左腕を肩から破壊されている)。
ドラグーン・システム
本機の主力兵装。量子通信で大型を3基、小型を8基、計11基、総砲門数43門のビームポッドを無線制御する。

劇中での活躍

初登場は第48話。ジェネシス防衛のために第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に投入される。世界の破滅を目論むラウ・ル・クルーゼの手足となり、地球連合軍や三隻同盟軍を翻弄した。49話ではドラグーン・システムの機能をフルに使う有機的戦術によって多数のストライクダガーM1アストレイを撃破、さらにムウ・ラ・フラガの駆るストライクを退け、ディアッカ・エルスマンバスターを瞬時に中破させるという絶大な戦闘能力を発揮した。

第50話(最終話)において、ミーティア装備のフリーダムと交戦、圧倒的火力を誇るミーティア装備のフリーダムを単機で圧倒した。戦闘中フレイ・アルスターの乗る脱出艇を撃墜、それによりSEEDを覚醒させたキラと互いの機体各部を破損させあうほどの激戦を繰り広げた。最後は、フリーダムによってジェネシス発射口前でコクピットをビームサーベルで貫かれ、ラウは戦死した。直後にジェネシスよりガンマ線レーザーが発射され、それを受けた本機はフリーダムをも呑み込む核爆発を起こし、ジェネシスの照準用二次反射ミラーを破壊して爆散した。

高山瑞穂版漫画では撃破シーンが異なっており、傷ついたムウメビウス・ゼロガンバレルのワイヤーで本機を雁字搦めにし、キラのフリーダムがバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲でメビウス・ゼロともども本機を撃破した。

ゲーム『機動戦士ガンダム EXTREME VS.』では、キラのストライクと交戦するムービーがある。

ニクスプロヴィデンス

テンプレート:機動兵器ライブラリアン」がプロヴィデンスを独自改修・再設計した機体。型式番号冒頭の「LN」は「ライブラリアン・ニクス」の略称で、「ニクス (Nix)」とは「吹雪」を意味する。

PS装甲起動色は白・青・赤を基調としたトリコロールカラー。ベース機同様のドラグーン・システム搭載機である。頭部には新たに量子通信アンテナが装備されており、ドラグーンの操作性を高めている[5]

ベース機からの改良点は「効率のよいドラグーン・システムの運用」の一点につき、それに伴いドラグーン・プラットフォームのレイアウトは大幅に変更されている。背部のドラグーン・プラットフォームは右肩に移され、大型タイプ1基・小型タイプ2基を搭載。左肩には新たなプラットフォームが増設されて小型タイプ4基を搭載。腰のプラットフォームには大型タイプ2基・小型タイプ2基が搭載されており、大型のドラグーン・プラットフォームは稼働可能で、3基全てが本体の固定砲台としての使用も可能になっている。ドラグーンによる攻撃を基本方針にしているため、携行武器のユーディキウム・ビームライフルや複合兵装防盾システムも残されてはいるが、あくまで予備的な位置づけでしかない。ユーディキウム・ビームライフルは「ドラグーンストライカー」へ、複合兵装防盾システムは左肩の新プラットフォームへショルダーアーマーとして搭載されている。ピクウスもベース機と同様の位置に搭載されているが、頭部2門は新型量子通信アンテナへの影響を考慮して弾倉が空になっており、実際に使用できるのは襟部2門だけである[5]。ベース機からのケーブルの露出は、「本体で戦わない意思表示」に加え、「機体が持つ歴史的特徴」として残されている[5]。各部関節の設計の見直しにより、機動性はアップしているが、ドラグーン・システムの運用を優先したために、スラスター配置がアンバランスとなり、機動システムが生かされていない[5]

ライブラリアンの強化型Gは全機がストライカーシステムに対応しており[6]、本機も背部にストライカーパック用接続プラグを有しているため、バックパックは「ドラグーンストライカー」として着脱可能で、他の機体に装着、または別のストライカーを装着することができる。ドラグーンストライカーはそれ自体をドラグーンとして使用可能なため、ドラグーン装備数は、全12基へと強化されている。

レジェンドガンダム

テンプレート:機動兵器 ZGMF-X42S デスティニーと同時開発されたザフトの最新鋭MS。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルを中心とする開発陣が、デスティニーと同様に、核動力と従来型デュートリオンハイブリッド機関であるハイパーデュートリオンを実装し完成させた。同軍のデスティニー、死闘を繰り広げることとなるストライクフリーダムインフィニットジャスティスらに並び『DESTINY』に登場するMSの中で最強クラスのMSである。

本機は、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で実戦投入されたZGMF-X13A プロヴィデンスの後継発展型に当たる機体で、全身に搭載されたドラグーン・システムによる全方位同時攻撃を本領とする。なお、ZGMF-X24S カオスのEQFU-5X 機動兵装ポッドを経て量子インターフェイスにも改良が加えられており、従来型より比較的容易に運用可能なドラグーン・システムへと進化を遂げている(しかし、「通信機の改良」が「空間認識能力」を補える仕組みについては、作品中で特に説明はされていない)。

背面に巨大なドラグーン・プラットフォームを背負っており、その大推力によって重力下での飛行も可能となっている。ドラグーンの無線遠隔操作は重力下では不可能だが、ビームポッドは機体に接続したまま可動砲台として使用することも可能で、その場合の火力も在来機の比ではない。

前大戦時に伝説的な活躍を見せたプロヴィデンスを継承するものという意味で、レジェンド(伝説)と命名された。また、前大戦における戦争犯罪者であるラウ・ル・クルーゼが駆ったプロヴィデンスとの差別化を図るためとも言われている。

額にはイタリア語で66を指す「SESSANTASEI」(セッサンタセーイ)の文字がある。

武装(レジェンド)

MMI-GAU26 17.5mmCIWS
側頭部に内蔵された近接防御火器。デスティニーと共通の武装。ゲイツの“ピクウス”等従来モデルよりも小口径化されている。
MA-BAR78F 高エネルギービームライフル
プロヴィデンスの「ユーディキウム」を改良した専用ビームライフル。通常のビームライフルを上回る出力を保ちつつ、連射性能の向上や若干の小型化等を実現している。不使用時はバックパックに縦にマウントされる。
MX-2351 ソリドゥス・フルゴールビームシールド発生装置
両手の甲に篭手のように装備されている光学防御兵器。ビームを盾として展開し、大出力ビーム砲の直撃さえ防ぎきる。展開中でも内側からの攻撃は素通りし、攻撃と防御を同時に行うことができる。ビームの出力を調整することでシールドの形状を変形させ機体全体を保護することに加え、ビームガンやビームサーベルとして使用することもできる。従来の実体式シールドに比べ、ビーム攻撃に対する防御機能は遥かに向上し、同時に総重量の軽減にも一役買っている。
MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン
近接格闘用のビームサーベル系装備。ブラストインパルスに装備されていた同名のビームジャベリンの発展型かは不明。非使用時には分離させて両脚の側面に収納されている。ラケルタ系ビームサーベルのように、柄尻を連結させた「アンビデクストラス・ハルバード」形状のビームサーベルとして運用するのが標準とされ、基本的に分離状態での運用はオプション的な意味合いが強い。ビーム刃の発振技術等を応用し、手を離してもビームの刃を保持できる。ジャベリンとは「投げ槍」の意である。
ドラグーン・システム
本機の主兵装。EQFU-5X機動兵装ポッドを経て量子インターフェイスにも改良が加えられており、以前の物より比較的容易に運用が可能となっている。ドラグーンプラットフォームは背部に装着されており、初めから搭載前提で設計されているため、プロヴィデンスの様なケーブルはない。また、プラモデル(HGや1/100)ではプラットフォームと本体との接続はインパルスのシルエットシステムプラグと共通規格となっており、各シルエットを取り付けることができる。劇中では換装等はしていないため、単なる玩具としてのお遊びか、実際にシルエット規格を使用しているのかは不明。
GDU-X7 突撃ビーム機動砲
背部プラットフォーム最上端に2基装備される大型ドラグーン。1基につき9門のビーム砲を内蔵する他、砲自体から小型のビームスパイクを形成し、直接打撃を与えることも可能。また、本体への連結時はプラットフォームごと前方に90度倒した砲撃姿勢を取ることもできる(劇中では未使用)。ゲーム『Gジェネレーション ウォーズ』にてこの砲撃姿勢を見ることができる。
GDU-X5 突撃ビーム機動砲
背部プラットフォーム側面及び腰部に合計8基装備される小型ドラグーン。2門のビーム砲を内蔵し、ドラグーン本来の分離式のビーム攻撃端末としての機能の他、機体との連結時は可動式砲台としても使用できる。この場合、前方に砲口を集中させ面制圧攻撃に用いることが多い。また、背面に撃つことで死角を補い、奇襲的に扱うことも可能。これは特に、ドラグーンを独立稼動させられない大気圏内戦闘において使用される。

劇中での活躍(レジェンド)

デスティニーと共にミネルバに配備され、当初はアスラン・ザラが受領。だが彼がメイリン・ホークと共にザフトを脱走したため、両名が搭乗したグフイグナイテッドを追撃するためにレイ・ザ・バレルが本機を使用し、シン・アスカが駆るデスティニーと共に出撃。その後レイは、正式に本機の専任パイロットとして搭乗することになった。

ザフトのヘブンズベース侵攻の際には単機で1機、インパルスと共に1機、デスティニー、インパルスと共同で1機、合計3機のデストロイを撃墜し、ザフトの勝利に大きく貢献した。なお、この際にレジェンドはソードインパルスの対艦刀「エクスカリバー」を使用していた。また、『スペシャルエディション3』ではレイダー制式仕様を一瞬で葬っている。

オーブ侵攻の際にはデスティニーとの連携でストライクフリーダムを追い詰めるが、インフィニットジャスティスの参戦で撃破には至らず、どちらにもダメージを与えられないまま撤退した。

レクイエム攻略戦の際にはデスティニーと共に陽動を務め、ドラグーンによるオールレンジ攻撃を駆使して数機のウィンダムの他にザムザザーとデストロイを撃墜。更に、ロゴスの黒幕ロード・ジブリール搭乗の戦艦ガーティ・ルーを撃沈する。

レクイエム・メサイア攻防戦の際にはキラ・ヤマトの駆るストライクフリーダムと激しい戦闘を展開するが、最終的には大半のドラグーンを連続して撃墜され、直後に本体もハイマット・フルバーストの直撃を受け戦闘不能に陥った。その後、メサイアに向かう姿までは画面で確認されているが、メサイア陥落後の行方は不明。

脚注

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関連項目

テンプレート:コズミック・イラ

テンプレート:Gundam-stub
  1. 小説版『機動戦士ガンダムSEED』第5巻参照。
  2. 機動戦士ガンダムSEED MS エンサイクロペディア」参照。
  3. 「ガンダムファクトファイル」及び「機動戦士ガンダムSEED MS エンサイクロペディア」参照。
  4. バンダイ「1/144HGドレッドノートガンダム」付属解説書の記述参照。
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 バンダイ「1/100 ニクスプロヴィデンスガンダム」取扱説明書より。
  6. アストレイ ミラージュフレームは対応していない。