レイダーガンダム
テンプレート:Pathnav レイダーガンダムは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空の兵器の一機種。「レイダー」は英語で「襲撃者」、「侵入者」を意味する。
本項では、メディアミックス作品に登場する派生機についても解説する。
機体解説
テンプレート:機動兵器 アズラエル財団傘下の国防連合企業体が、前期GAT-Xシリーズのデータを基に開発した後期GAT-Xシリーズ3機中の1機である。
初めに、本機は厳密に言うと他の後期GAT-Xシリーズの2種とは微妙に異なり、「レイダー」というMSの先行建造機である[1]。これは、本来は後述する「GAT-333」が先発して製造(計画)されていたが、アズラエル理事率いる連合艦隊のオーブ侵攻に合わせて一部スペックを簡略化・改装して急遽建造したのがX370である。本項では「GAT-X370」を「レイダー」の名で書き進める。
初期GAT-Xシリーズの1機GAT-X303 イージスと同じくX300系フレームを採用した可変MSとして開発されたが、構造的な共通性は皆無であり、変形機構もかなり簡素化されている。また、基本的に宇宙空間用であるイージスと違い大気圏内運用も考慮されており、背中の大型可変翼を展開した猛禽のような飛行型モビルアーマー (MA) に変形する。MAの機動性で敵を撹乱しつつ接近、瞬時にMSに変形して打撃を与え、再びMAに変形して離脱するという、一撃離脱戦法を基本戦術とする。また、多大な余剰推力を活かし、ザフトのグゥルのようなMS用輸送機としての運用も可能である。実際の運用では同じ後期GAT-Xシリーズの1機カラミティを背に乗せて戦闘を行った。
初期GAT-X機に採用されたフェイズシフト装甲の省電力型トランスフェイズ装甲をコクピットなど重要部位のみに配置したことで、稼働時間が大幅に延長されている。また、武装面でもビーム兵器の装備を必要最小限に止めることで、電力消費を抑えている。
武装
- 100mmエネルギー砲「ツォーン」
- 顔面の開口部より発射される高出力エネルギー砲。射程は短いが、機体の機動性との相乗効果で高い威力を発揮する。ツォーンはドイツ語で「怒り」の意。MS、MAの両形態で使用可能。
- 破砕球「ミョルニル」
- モーニングスターに類似した質量兵器。MS形態時のみ使用可能。ワイヤーで機体と繋がれた金属球を敵機に投げ放ち、球に内蔵されたスラスターで軌道コントロールをしつつ高速で叩きつける。金属球は高質量の圧縮素材で構成されており、通常装甲のMSなら一撃で破壊可能なだけでなく、PS装甲の奥にダメージを与える事もできる[2]。また、金属球を振り回すことにより、ワイヤー部分(対ビームコーティングの施された高分子ワイヤーとなっている)で相手の攻撃を防ぐことが可能となっている(本編でイザーク・ジュールの乗るデュエルアサルトシュラウドの攻撃のビーム、ミサイル、レールガンを防いだこともある)。ミョルニルは、北欧神話のトール神が持つ大鎚ミョルニルに由来している。
- 2連装52mm超高初速防盾砲
- シールドと2連装高初速機関砲を組み合わせた右腕の複合武装。劇中の発射エフェクトは実弾武装に用いられる黄色の光軸だが、OPの一部のシーンではビームに用いられる緑色の光軸となっており、公式サイト及び小説版ではビーム砲と記述されている(小説版で実体弾でもあるかのような描写もあるため、ビームと実体弾との切り替えが可能という可能性もある)。MS、MAの両形態で使用可能。
- 短距離プラズマ砲「アフラマズダ」
- 腰の大型クローの付け根に位置し、MA形態時に接近して、クローで敵機に対してのゼロ距離攻撃に使用される。プラズマを打ち出す銃火器にもなり、出力とバレル調整で先端に小型のビームサーベルを形成することもできる。MA形態時のみ使用可能。アフラマズダは、ゾロアスター教の最高神「アフラ・マズダー」に由来する。
- M417 80mm機関砲
- MA時の機首に格納された大型機関砲。MA形態時のみ使用可能。
- ドッグファイトでの使用を想定されている。
- M2M3 76mm機関砲
- MA時に折りたたまれた肩から展開される機関砲。MA形態時のみ使用可能。
- 突撃時の使用を想定した装備。
劇中での活躍
連合軍の強化パイロット「ブーステッドマン」のクロト・ブエルが搭乗する。コズミック・イラ(C.E.)71年6月15日の「オーブ解放作戦」において、初めて実戦投入され、フォビドゥンとの連携によりフリーダムを追い詰めるが、ジャスティスの介入を受け撤退を余儀なくされる。カラミティを含め3機で戦闘を行うが、薬物が切れたことによる禁断症状のためにパイロットが戦闘を継続できなくなり撤退した。その後、主にジャスティスと交戦し、「ファトゥム-00」を使った攻撃により機体の一部を破壊され撤退した。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において、プロヴィデンスのドラグーン・システムによる攻撃を受け中破したバスターに襲いかかるが、バスターの元僚機であるデュエルとの撃ち合いにより撃墜された。『スペシャルエディション完結編 鳴動の宇宙』では、プロヴィデンスと交戦する前のバスターと交戦し、撃墜された。
レイダー制式仕様
テンプレート:機動兵器 本来の開発計画に基づいて生産されたレイダーの制式仕様機。型式番号はGAT-333で、型番上ではX370よりも先に開発された機体だが、実際の就役は後となった。X370に実装された頭部ツォーン、2連装52mm超高初速防盾砲、破砕球ミョルニルは全て排除され、その他の武装は実弾機銃に換装されたアフラマズダをはじめ、実体弾武装がメインとなっている。
サブアームに保持される大型の副翼は、翼面のラッチにMS形態時の携行武装やミサイルをマウント可能なウェポンプラットホームとして使用可能となっており、航続距離の延長と戦闘能力を上昇させている。大気圏突入の際に発生する高温度の熱を機体本体から遮断する断熱材の役割を果たしており、大気圏外へ離脱後には専用ポッドを用いて大気圏再突入を行うことで直接目標に降下・攻撃を行う戦法が可能であり、強襲機としての能力はX370を上回る面もある。
MA形態時は上部にMSを搭乗させることが可能であり、無線コントロールすることでサブフライトシステムとしての運用も可能となっている。
劇中での活躍(制式仕様)
八、八作戦時にザフト軍カーペンタリア基地を急襲した。南米独立戦争時にエドワード・ハレルソンが宇宙でモーガン・シュバリエのガンバレルダガーと交戦。また、ロンド・ミナ・サハクの配下のソキウスの1人が搭乗し、ジェネシスαを襲撃したジンハイマニューバ2型を撃墜している。『スペシャルエディションIII「運命の業火」』では、ヘブンズベース攻防戦において、ヘブンズベースに配備されていたレイダー制式仕様がレジェンドと交戦し、3機のウィンダムと同時に撃墜された。
ゲルプレイダー
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R』に登場。地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」と、アクタイオン・インダストリー社主催の企業チームによるGAT-Xシリーズ強化再生計画「アクタイオン・プロジェクト」に基づき開発された機体。本来、後期GAT-Xシリーズは計画の対象外であったが、アクタイオン社のエンジニアであるヴァレリオ・ヴァレリが、公私混同的な理由から強引に開発を承認させたという背景を持つ。ブラウカラミティやロートフォビドゥンとの運用を前提として設計されている。機体名の「ゲルプ」はドイツ語で「黄色」を意味し、機体にも黄色のアクセントカラーが配されている。
後期GAT-Xシリーズの中では唯一量産化されたレイダーだが、本機は生体CPU用の先行製造機をさらに発展させるというコンセプトで開発された。I.W.S.P.を分解・再設計した追加ユニットを背部と脚部に装着し、火力と推力を約2倍に増強している。
武装(ゲルプ)
- 超破砕球「スーパーミョルニル」
- 鉄球の突起がより長く鋭利になり、打撃力が増している。
- 2連装52mm超高初速防盾砲
- 2連装超高速防盾砲の両脇にラゴゥのビーム砲を追加している[3]。
- 115mmレールガン、105mm単装砲
- 背部に装着されたI.W.S.P.からの流用武装。
備考
本機のデザインは、モデラーのセイラマスオによるもので、制作したモデルそのものが公式設定となっている。