イージスガンダム

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テンプレート:Pathnav イージスガンダムは、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空の兵器の一機種。「イージス」はギリシア神話に登場する防具「アイギス」に由来し、更に「ガンダム」にはバクロニムが設定されており「AEGIS General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis System」とも表記される[1]

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY』に登場する派生機であるロッソイージスについても解説する。

機体解説

テンプレート:機動兵器 地球連合加盟国の1つ大西洋連邦が、オーブ連合首長国公営企業モルゲンレーテ社の技術協力を受け、オーブ管轄の資源コロニーヘリオポリス」で極秘開発した5機の試作型MS(G兵器 / 前期GAT-Xシリーズ)の1機。

本機最大の特徴は他の機体に採用されたX100番台・X200番台フレームとは根本的に構造が異なるX300番台の可変フレームを採用し、モビルアーマー (MA) への変形機能を備えている点である。X300番台に連なる機体はこの他にGAT-X370 レイダー、GAT-333 レイダー制式仕様などが存在するが、X100番台・X200番台のようにフレームには必ずしも一貫性はなく、あくまで「MA形態への可変機構を備えた機体が属するカテゴリー」と位置づけられている。

MAは限定空間内での機動性ではMSに大幅に劣るものの、反面単一方向への速力はMSを上回る。イージスはその状況に応じた最適な形態を選択する事で、単体での高い攻撃力と汎用性を実現している。MA形態は対称の形状となった両手脚を進行方向に伸ばした巡航形態と、その手脚を広げ腹部に装備された580mm複列位相エネルギー砲「スキュラ」の使用を可能とした砲撃戦形態に分けられ、前面投影面積の少ない巡航形態で突撃後、接近した所で両手足のクローを展開し敵MSや艦船を捕捉して手足に内蔵されたビームサーベルで切り裂く、もしくは腹部のスキュラを零距離から発射して目標を完全に破壊する。もっともスキュラ自体は同時期のMS用武装の中でも最大級の破壊力を有しているため、通常射撃でも充分な威力を発揮できる。また他の4機との連携行動における指揮官機として開発されていたため、頭部に大型の多目的センサーユニットを搭載する等、通信・分析能力がより強化されている。イージスという機体名もこれに由来している[2]

複雑な可変機構や外見からも推察できる困難な整備性から、GATシリーズの中では唯一連合で量産型と思われる機体が開発されておらず、またライブラリアンからも発展型開発のベース機として採用されなかった。

ただし、強奪したザフト軍では本機の可変機構を踏襲した核エンジン及びニュートロンジャマーキャンセラー搭載型のMSリジェネレイトが開発されており、また連合でも再建造された1機がロッソイージスとして改造を施され、ファントムペインに配備された。

後にアスランの搭乗するジャスティスセイバーなどのガンダムタイプMSはザフト製であるが、赤を基調としたカラーリングとトサカ状の頭部センサーのデザインは踏襲されている。

武装

75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
頭部額部に2門装備されている近接防御機関砲で、デュエルストライクにも同型の装備が搭載されている。イージスは頭部に大型センサーを搭載しているため、他機より設置箇所が若干下方になっている。
60mm高エネルギービームライフル
MS形態の主力装備である専用ビームライフル。構成部材やデバイスは他のGAT-X機のライフルと同等だが、若干口径が拡大されており形状も大きく異なる。MA形態時と非使用時は右腰のバインダーにマウントされる。
ビームサーベル
両腕・両脚のクローを発振源とするビームサーベル。完全な固定装備で抜刀動作が不要というメリットはあるが、ビーム刃が腕の延長線上に出力されるため通常のサーベルとは用法が異なる。また脚のビーム刃は爪先部分から出力するため、蹴りに連動して使うこともできる。MA形態でも使用可能。
対ビームシールド
ビームを拡散吸収する特殊塗料でコーティングされたシールド。他の系列機とは大幅に形状が異なり、運用法も異なる。非使用時及びMA形態時には左腰のバインダーにマウントされる。スカイグラスパー2号機(トール・ケーニヒ機)へ投擲し撃墜したこともある。
580mm複列位相エネルギー砲「スキュラ」
MA形態でのみ使用可能な大口径エネルギービーム砲。戦艦を一撃で沈めるほどの威力を持つ。
名前はギリシャ神話の怪物「スキュラ」に由来する。なお初期設定ではMS形態での発射も予定されており、模型誌等には当時の検討用画稿も公開されていた。

劇中での活躍

C.E.71年1月25日、ヘリオポリスを襲撃したザフト軍のクルーゼ隊によって強奪された。以降は奪取時のパイロットであったアスラン・ザラの専用機として、同じく強奪した3機と共に地球連合軍の新型艦アークエンジェルや唯一強奪を免れたストライクガンダムと、四対一のガンダム戦を繰り広げていく。

C.E71年4月17日、オーブ近海の孤島にてストライクと激闘を繰り広げ(この戦闘では頭部と左腕を切り飛ばされている)、MA形態で組み付きその状態でスキュラでとどめを刺そうとするが発射直前にフェイズシフトダウンを起こし失敗。急遽そのままの状態でストライクを巻き添えに自爆し四散している。モルゲンレーテに回収されたストライクとは異なり、アスランがジャスティスでこの島を再訪した時も頭部が砂浜に残されていた。

ASTRAY』のプロモーションOVAでは本機のシールドがジャンク屋組合のオークションに出品されている描写があるが、このシールドがトール機に投擲されたものと同一かは不明。劇中では「連合のMSが落としていった盾」と説明されている。

『機動戦士ガンダムSEED Re:』において大気圏内用の専用装備が登場。腹部のスキュラをMS形態でも使用可能となり、武装は大型化したビームライフルと3本のビームサーベルを追加したシールドに変更されている。このビームライフルとシールドはMA形態時での機首となり、ビームライフルはスキュラと連結された状態となる。また、左右のバインダーもレールガンの付いたウイングバインダーに換装されている。

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ロッソイージス

テンプレート:機動兵器 地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」が、アクタイオン・インダストリー社を中心とした複数企業の技術協力を受け推進したエースパイロット用カスタマイズMS開発計画―通称「アクタイオン・プロジェクト」に基づき、再製造されたイージスを改修した機体。パイロットはエミリオ・ブロデリック中尉。

外見上はベース機とほぼ同一に見えるが、内部機構がかなり複雑になっている。可変機構もベース機をそのまま踏襲しているが、背部に新規追加されたウイングバインダーを各部に展開させる事で、更に複数の新形態への変形が可能となっている。動力部分には核動力を組み込むための余剰スペースが存在してしていたことから、ネロブリッツと同様に条約違反前提に作られていることがわかる。

型式番号の「AA」は、「アドヴァンスト・アクセラレイション:Advanced Acceleration(進歩した加速度)」の略であり、機体名の「ロッソ」はイタリア語で「赤」を意味する。

武装(ロッソ)

60mm高エネルギービームライフル
ベース機と同一のビームライフル。両腕にマウントして使用することもできる。
ビームサーベル
ベース機と同じく、両腕・両脚に装備されたビームサーベル。但し、クローに纏わせるような形ではなく、腕や足にビームサーベル発生器をそのまま取り付けた形になっており、クローによる物理的な打撃が出来なくなっている。
580mm複列位相エネルギー砲「スキュラ」
ベース機と同じく、腹部に装備されたビーム砲。MS形態での使用も可能となっている。

変形パターン

巡航形態
高速移動時の巡航形態。ベース機から引き継がれた形態の1つだが、ウイングバインダーの空力効果を利用した大気圏内飛行も可能。ベース機よりも更に鋭角化されたシルエットが特徴。
突撃形態
巡航形態から両手足を展開した状態で、ベース機から引き継がれた形態の1つ。更に本機では左右ウイングバインダーもアームとしての機能を持ち、計6本に増加したアームを駆使した高い格闘能力を発揮する。
砲撃形態
胴体前面装甲を展開し、腹部のスキュラを露出させた砲戦形態。MS形態ではスキュラが使用不可となっていたベース機の欠点を解消する為に追加された新形態。同時に砲と平行配置されたウイングバインダーは、後期GAT-Xシリーズの1機であるGAT-X252 フォビドゥンの誘導プラズマ砲の技術を応用したビーム誘導装置としての機能を持ち、磁場干渉によってある程度の射線偏向を可能としている。
飛行形態
ウイングバインダーをジェットストライカーの様に両肩に水平配置したMS時の大気圏内飛行形態。最高速度こそ巡航形態に劣るものの、MSの汎用性を殺す事無く高い空戦能力を発揮出来る。
多脚形態
MS形態からウイングバインダーを第3、第4の脚部に変形させた4足形態。山岳地帯等の不整地での移動を目的とした形態。MS、MAの長所を併せ持つ多目的形態である。

劇中での活躍(ロッソ)

同僚のダナ・スニップ中尉が搭乗するネロブリッツと共に、アグニス・ブラーエ以下マーシャンの殲滅任務を受け彼等の母艦アキダリアを追撃する。ファンフェルト・リア・リンゼイデストロイを差し向け、その後ネロブリッツと共にアキダリアを攻撃した。 最終局面でターンデルタガードシェルの連携に敗れ、パイロットのエミリオはジャンク屋組合に拘束された。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

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  1. MGイージスガンダム』付属のデカールを参照。
  2. 1/144HG イージスガンダム 解説