スカイグラスパー
スカイグラスパーは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器。地球連合軍の戦闘機。
本項では、『ガンダムSEED MSV』に登場する派生機コスモグラスパーの概要も記述する。
機体解説
テンプレート:機動兵器 大気圏での運用を考慮して設計された戦闘機。各種ストライカーパックの装備により強力な武装を持つ。アークエンジェルには2機配備された。
地球連合軍がストライクの戦術支援用に開発した戦闘攻撃機である。大西洋連邦のP・M・P社が、地球連合軍主力制空戦闘機F-7Dスピアヘッドを原機として設計・開発した。重武装・多機能の制御を考慮し、コクピットはスピアヘッドと同じタンデム複座が踏襲されている。機首全体の設計もF-7Dとあまり変わらないが、カナード翼は極端に縮小された。また、G兵器開発のノウハウがインターフェイスに活かされたことで極めて良好な操縦性を持ち、錬度の低い初心者パイロットでも操縦できる[1]。
本機はストライカーパックをノンオプションで装備可能となっており、直接スカイグラスパーの武装として使用される。予備バッテリーとして射出し、僚機としてストライクに換装させることも可能であるが、このトランスポーター的運用方法については劇中で同機を受領したばかりのムウ・ラ・フラガ少佐が「俺は宅配便か?」とぼやいている。
戦闘機としての空戦性能も高く、パイロット次第では噴進機としては破格の旋回半径の小ささと非誘導兵器でありながら射界の大きい砲塔式大型キャノン砲のオフボアサイト(Off Boresight)性を活かしてMSと互角以上に戦える。20世紀後半以降の戦闘機、とりわけ噴進機は格闘戦(ドッグファイト)を重視しないために速力や上昇力を重視し、小さな旋回半径による小回りの良さは半ば放棄されている。一方、ザフトの飛行MSディンが噴進式飛行機器としては劣速でありながら地球軍の在来型戦闘機を翻弄できたのは、有視界戦闘において極めて小さい半径で旋回できる高い空中機動性能を有していたからである。
原型となったスピアヘッドと同じく、本機はVTOL機である。機体胴部腹面前後端に可動式のエンジンノズルが2基あり、これを任意の角度に動かして噴射することによって垂直離着陸・ホバリング・微速後退などができるほか、艦上からの発艦の際にカタパルトを必ずしも必要としない。
ストライクが地球連合軍から離脱したことにより量産計画は一時頓挫していたが、ダガーLの配備に伴い新たに制式機が量産されることになった。その後、スカイグラスパーはほぼ同じ仕様のまま量産され、塗装はグレーを基調とした制式色になった。ダガー・スローターダガー・ダガーL・ウィンダム等と、ストライカーパックをお互いに換装できるようになっている。
機体名のスカイグラスパーは、「大空の掌握者」の意。
劇中での活躍
アークエンジェルが地球降下の際に地球連合軍第8艦隊から2機が補給物資と共に搬入され、地球圏内の戦闘に参加した。1号機にはムウ・ラ・フラガが搭乗。正規パイロット不在の2号機もストライカーパック換装の手間を省くためにあらかじめパックを装備した状態で待機し、戦況に応じて帰還して乗り換えるという形で同時運用することになったが、北アフリカでの戦闘において本来軍属でないカガリ・ユラ・アスハが搭乗し、オーブで艦を降りるまで戦列に加わった。その後はトール・ケーニヒがパイロットに志願する。
ムウはランチャーストライカーを標準装備としたスカイグラスパーの機動力を活かして「アグニ」で攻撃を行い、大きな戦果を上げた。ランチャー以外ではストライクへの輸送目的でエールストライカーを装備したこともあった。2号機はカガリ搭乗時もトール搭乗時もソードストライカーを装備し、カガリは切断攻撃に使用し、トールはストライクへの輸送のみ行っている。2号機は北太平洋の戦闘においてイージスの投げたシールドがコクピットを直撃して撃墜・大破し、搭乗していたトールも戦死した。1号機はオペレーション・スピットブレイクまで運用されたが、ムウがストライクに乗り換えてからは使われず、アークエンジェルにて保管されていた。
『DESTINY』の劇中では、アークエンジェルに拘束されていたネオ・ロアノークを解放する際に1号機を譲り渡した。その直後のオーブ防衛戦にて、アークエンジェルとミネルバとの戦闘においてネオは本機でアークエンジェル側へ加勢し、ミネルバに損傷を与える。その後、ビームの流れ弾に当たり軽微な損傷を負ったが、無事アークエンジェルに帰投する。
『DESTINY ASTRAY』では孤立無援となったジェス・リブル救出のため、カイト・マディガンがエールストライカーを装備させた制式仕様の本機に搭乗している。また、同作では後に一般の連邦兵が搭乗する機体(こちらはランチャーストライカー装備)も登場した。
コスモグラスパー
テンプレート:機動兵器 メビウスに代る主力航宙機として、スカイグラスパーを再設計した機体。政治的な理由によりその開発は、大西洋連邦のP・M・P社及びアドヴァンスト・スペース・ダイナミック社、東アジア共和国のフジヤマ社、オーブ連合首長国のモルゲンレーテ・エアロテック社の共同プロジェクトとなった。
原機スカイグラスパーに比べ、ハードポイントの増設や武装、推進装置の換装が施されている。キャノピーは完全閉鎖式の全面装甲に置き換えられており、パイロットにはVR間接視認システムを通じて外部の情報が伝えられる。
標準装備として本機専用に再設計された新型エールストライカーが用意されており、ストライカーパックシステム対応機に装備可能となっている。また、各種ストライカーパックの運用も可能である。
ストライカーパックシステムを装備したストライクダガー系列のMSとの連帯を想定しており、本機は、量産型MSとして初めて同システムを実装したダガーの制式配備に一足先駆けて試作ロールアウトされた。
関連項目
脚注
- ↑ ガンダムコレクションVol.4「FX-550スカイグラスパー」(バンダイ)の解説文による。