ムー一族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible listsムー一族』(ムーいちぞく)は、日本テレビドラマTBS系列『水曜劇場』で1978年昭和53年)5月17日から1979年(昭和54年)2月7日の間に放映された、コメディ仕立てのホームドラマである。

概要

前年の同枠(1977年5月18日 - 1977年11月9日)で放映された『ムー』の続編で、出演者、設定に若干の変更がある。『ムー』から引き続き、東京都中央区新富町にある、創業90年の足袋屋「うさぎ屋」が舞台。

テレビドラマでありながら唐突に情報番組風のコーナー(ムー情報)が始まったり、挿入歌『林檎殺人事件』を歌いだすなど、意外な展開が番組中の各所に現れる。また、4・8・11・17・21・24・25・35・36・37の各話は生放送でドラマを進行、第8話はTBSラジオの番組『生島ヒロシの夜はともだちII』と連動しての生放送、第12話は北陸放送の制作協力により石川県金沢市の元ホールで公開生中継を行い、第17話の生放送には当時人気絶頂で、来日中だったベイ・シティ・ローラーズレスリー・マッコーエンが出演。第26・27話はエジプトでロケを行うなど、前作「ムー」以上にバラエティ色が強い作品となった。

レギュラーの伊東四朗が同時期に出演していたバラエティ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』(テレビ朝日)のコントネタが随所に登場し、番組キャラクター・デンセンマンも数回出現している。第31話では劇中、当時TBSの人気クイズ番組だった『クイズダービー』の出場者募集に宇崎家が当選した、という設定でスタジオ収録シーンが登場、司会の大橋巨泉、解答者の篠沢秀夫はらたいら竹下景子など実際の番組出演者がそのままゲストとなっている。また前作に引き続き「通行人ゲスト」も恒例で、ザ・ドリフターズは数回、全員または個々で出演し、レギュラーで元・メンバーの荒井注と遭遇するシーンも登場している。その他、放送当時現役チャンピオンだった具志堅用高ピンクレディー木原光知子細川たかし新沼謙治佐山俊二梅津栄らも「うさぎ屋」の前を通り抜けている。

第12話の公開生放送のエンディングでは、「林檎殺人事件」の衣装を身にまとった樹木希林のそっくりさんが本人と入れ替わって出演し、視聴者を驚かせた。

プロデューサーの久世光彦が本作の出演女優と不倫関係にあったことを、本作の打ち上げパーティーで樹木希林が暴露。スキャンダルとなり、久世は本作を最後にTBSを辞している(後述)。

本放送後、肖像権や作中の使用楽曲の著作権の絡み、さらに主要キャストだった清水健太郎の度重なる不祥事もあり、地上波や衛星放送(BS-TBSTBSチャンネルなど)での再放送はほとんどなくなったが、2008年9月にDVD-BOXが発売された。

スタッフ

  • プロデューサー:久世光彦
  • 演出:峰岸進、遠藤環、宮田吉雄、久世光彦、近藤邦勝、和田旭、高橋利明
  • 脚本:山元清多、犬神明、森薫、加藤直田村隆、山県あきら
  • 音楽:竹田和夫、土持城夫
  • 技術:白取靖弘
  • 照明:小島久明
  • 音声:中嶋典之
  • 音響効果:若林宏夫
  • 美術:吉田信雄
  • 制作:鴨下信一
  • オープニングイラスト:横尾忠則
  • 製作著作:TBS

キャスト

  • 宇崎安男:伊東四朗 - 足袋屋「うさぎや」四代目主人。気が弱くて小春頼み。
  • 宇崎小春:渡辺美佐子 - 安男の妻。うさぎやのきりもりから家のことまで全てみんなに頼られている。:出演者クレジットでは筆頭。
  • 宇崎健太郎:清水健太郎 - 長男。宇崎家が土地を借りている大家(一条)の妻・ゆかりと不倫して勘当される。
  • 宇崎拓郎:郷ひろみ - 次男。一橋大学を目指して代々木ゼミナールに通う浪人生(自宅浪人=宅浪)。本質は優しいが短気で喧嘩っ早い。金田さんと仲がよく、「金やん」「拓ボン」と呼び合いながら「かしまし娘」的な掛け合い漫才のようなネタもする。「郷ひろみに似ている」と言われることもあり、まんざらでもない。本作の実質的主人公。
  • 宇崎桃子:五十嵐めぐみ - 長女。家事手伝いで母を支える。ボーイッシュな風貌で男勝りな性格。住職の紹介で見合いした正夫と婚約する。
  • 宇崎うらら:南美江 - ムーでは健在だったが本作品では故人となっており、毎回遺影で登場。しかし、遺影の額縁内で動き回ったり飛び出したりする。幽霊として真夜中の茶の間に登場することも。
  • 徳さん:伴淳三郎 - うさぎやのベテラン足袋職人。伴は、本作品に出演中の1978年11月に藍綬褒章受章。これに合わせて劇中でも「徳さんが叙勲を受けた」という設定にされている。日頃から五郎のことを「バカチャンピ(馬鹿のチャンピオン)」と茶化す。
  • 野口五郎:左とん平 - うさぎやの足袋職人。桃子に恋心を寄せるが実らず、金田さんとは妙にウマが合うがあくまでケンカ友達。:歌手の野口五郎とは無関係。
  • 金田(かねた)久美子:樹木希林 - うさぎやの通い家政婦。拓郎に気があり、隙を付いては胸元や股間に手を伸ばしたり覗いたりする。孤独で僻みっぽく、あまのじゃくだが仲間に優しい所も。しばしば「かねださん」と呼ばれ、「かね……です」と訂正する。
  • 香川カヨコ:岸本加世子 - うさぎやの住み込み家政婦。天涯孤独の身の上。小春を母と慕う。やたらと金田から本気で叩かれるが、負けん気も強く、半ベソをかきながらも同等に張り合う(ひとしきり叩きあうと、二人で半ベソをかいている)。普段子ども扱いされるが「女は…カラダです」と身体をくねらせ、安男、徳さん、五郎を悩殺した。拓郎に気がある素振りも。
  • 平さん:由利徹 - うさぎやの向い履物・傘屋「近松屋」の主人。いつも朝食は店先の縁台で娘・ともこと向かい合わせで食べており、立ち上がると高い確率でともこがひっくり返る。徳さん、五郎とは飲み友達で、日々割烹ひろみでくだを巻く。しゃがんだまま走ったり、『花街の母』をBGMに「エア繕い物」を始める、などの鉄板ネタも持っている。ひろみに惚れている。
  • とも子:のぐちともこ - 平さんの娘。母に先立たれ父ひとり子ひとり。上述の通り、父親との朝食中にいつも転ばされる。飼い犬の「ニャオ」を可愛がっている。店先でいつもゴロゴロしている。シリーズ終盤には何故か妊娠し、お腹が大きくなっている(後述)。
  • 二階堂卓哉:細川俊之 - 大家(一条家 - いちじょうけ )に依頼され「一条家の代理人」を名乗り立ち退きを迫るチンピラ。去り際の決まり文句「また・・ちょくちょく・・・ちょく参ります」のように3回繰り返す妙な癖がある。気障な半面、気が弱い。最後の生放送である第37回のエンディングでは関係者バンド(近田春夫とムーフライフォァエヴァ)が「世迷い言」を演奏したがベースを担当した。
  • 二階堂の子分・八郎:たこ八郎 - 「ごま(め)んなすって」などと口調がたどたどしく、言い淀むたび、二階堂から手加減なしに横っ面を張られるが、実は二階堂より字が読める。健太郎や拓郎とのいざこざの際には華麗なフットワークと鋭いパンチを披露し、二人を圧倒。実は二階堂さえも叶わない。
  • 藤村大造:穂積隆信 - 二階堂らの手ぬるさに業を煮やして登場した、二階堂の上席にあたる冷酷な人物。
  • 里中マチコ:桂木文 - 病弱な母と二人暮らしの女子高生。拓郎が想いを寄せる。徐々に相思相愛に?二階堂同様に第37回のエンディングではキーボードを担当した。最終回では母の再婚に伴い北海道へと旅立った。(郷ひろみ恋人役オーディション優勝として、同役デビュー)
  • 一条ゆかり:司美穂 - 健太郎の不倫相手である一条家の若奥さん。「しのび逢いのテーマ」をバックに、毎回健太郎とお決まりの「ペアのキャメルのレインコート」に身を包み、雨や霧の中で「しのび逢って」いる。
  • 谷正夫:谷隼人 - 桃子の婚約者。誠実な人柄で桃子を愛しているが、「ここぞ」というところで言い淀み、本心が言えない。安男も実はそれがわかっているのだが、顔を合わせると間が持たず「認めない」の一点張りである。
  • 谷千秋:渡辺富美子 - 正夫の母。夫を事故で亡くし、女手一つで正夫と夏美を育ててきた。
  • 谷夏美:竹内真理 - 正夫の妹。
  • 住職:荒井注 - 宇崎家が檀家である寺の住職。安男のよき相談相手だが、何故かすぐ裸になりたがる。赤いを愛用している。
  • こまん姐さん:緋多景子(現:樋田慶子) - 芸者の姉御。マチコさんの隣に住む。二階堂同様に第37回のエンディングでは三味線で参加した。
  • お柳:田辺節子 - 拓郎に色目を使う芸者。
  • 小りん:榊みちこ - 拓郎に色目を使う芸者。
  • ひろみ:石田ゆり - いつも酔いどれて、気だるい雰囲気の割烹「ひろみ」の女将。影のある女で、常連の平さんから「過去があんだろ?」としつこく尋ねられるが、いつも微笑んで煙に巻く。
  • まるみ:白石まるみ - ひろみの妹で割烹「ひろみ」を手伝う高校生。二階堂同様に第37回のエンディングでは指揮を担当した。(郷ひろみ恋人役オーディション次点となり、同役デビュー)
  • 花ちゃん:井上加奈子 - 金田さんの家政婦仲間。仕事が終わると「赤兵衛」でたむろしている。いつもしかめっ面で下腹を抑えている。膀胱炎を患っている。
  • 竹さん:滝谷典子 - 金田さんの家政婦仲間。「赤兵衛」で金田さん、花ちゃんとの会話中、話に詰まると「ねぇ…アタシってブス~?」と聞くのが定番(聞かれた2人は必ず答えに窮して無視を決め込む)。不自然なほど色黒でお世辞にも美人ではない。
  • 赤兵衛:村田和正 - 甘味処「赤兵衛」店主。視聴者の葉書を読んだり、ミニコーナー「ムー情報」を突然始める。
  • 牧野茂 - 野球解説者。何故か「ムー情報」に出演する事がある。
  • ヒミコ:内藤杏子 - 甘味処「赤兵衛」店主の若妻。「ムー情報」のアシスタント役。
  • タヌキ:宮下勇 - 一度だけ顔出しした「赤兵衛」のマスコットのタヌキ。
  • 牧野さん:牧野茂 - 生放送時にムー情報に登場して、巨人戦の経過や結果を解説(この時にはジャイアンツファンの拓郎も同席する)。
  • 夢先案内人・ヘホ:近田春夫 - 宇崎家のトイレの中に勝手にディスコを作り出し、金田さんを誘い込み郷ひろみの歌う「HELL OR HEAVEN(天国か地獄)」でフィーバーさせてしまう。終盤はムー情報のコーナーにも登場。第37回のエンディングではバンドマスター兼ピアノを担当した。
  • 謎の歌手:日吉ミミ - 挿入歌「世迷い言」を大学生らのバンドと「割烹ひろみ」で歌いだす。「ヨノナカバカナノヨ」の歌詞が印象的。劇中で回文を用いたことがきっかけとなり作られた曲。
  • 譲二:田川譲二 - 割烹「ひろみ」の女将の元恋仲らしき謎の男。小雪とひろみの間で揺れる。
  • 小雪:潤真理子 - 譲二を追ってひろみまでたどり着いたと思われる謎の女。
  • 自転車の男:田木聖一 - 冒頭など「牛乳配達」「新聞配達」「クリーニング屋」として自転車で現れ、決まって転倒する役割の男。
  • 一条(声):森山周一郎 - 宇崎家の土地の大家。ゆかりの年の離れた夫。

音楽

エピソード

  • 1979年1月、本作の打ち上げパーティーが行われ、樹木が最後のスピーチを務めたが、その中で久世光彦プロデューサーと「近松屋のともこ」役の女優のぐちともこが不倫関係にあり、このとき既にのぐちが妊娠8か月であった事を暴露。スキャンダルに発展し、騒動となる。関係者の間では「公然の秘密」とされていたが、この場で久世は全てを認め、後に正式離婚し、のぐちと再婚している。久世はこの騒動の影響もありTBSを退社。制作会社「カノックス」を設立する。樹木と久世は結局、1996年放送のドラマ「坊ちゃんちゃん」まで絶縁状態となったが、樹木には周囲と険悪な関係になりながらも「久世さんがああした状況の中でなし崩しにショボショボしていくのが耐えられなかった」「2人の気持ちを軽くしてやろうと思った」との真意があった。また、こうした場での暴露を非難する声に対しても「ああいう見せかけの優しさが久世さんをダメにした」と反論している[1]。ちなみに劇中、のぐちはストーリーと直接関わることはなく、近松屋の前の縁台で飼い犬と遊んでいたり、ゴロゴロしているだけの役柄だが、シリーズ終盤には明らかにお腹が大きくなっており、自分のお腹を愛おしく撫でているシーンも登場している。

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:前後番組

テンプレート:水曜劇場 (TBS)

テンプレート:郷ひろみ
  1. テンプレート:Cite news