ミクロイドS

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Sidebar with collapsible listsミクロイドS』(ミクロイドエス)は、企画:東映動画NET、原作:手塚治虫のアニメーション作品[1]。原作者である手塚の手によって公式に漫画化もされている。

ストーリー

異常進化し知能まで身につけた・ギドロンが、改造昆虫を率いて人類に牙を向く。発達しすぎた科学が引き起こした歪みがギドロンを生んだのだ。ギドロンによって改造されたが脱走に成功したミクロ化人間(ミクロイド)の3人と、ギドロンの存在を知った少年・美土路学(みどろ まなぶ)は人類の未来を守るためギドロンの脅威に立ち向かう。

漫画版

アニメ版と同時企画の漫画版が、週刊少年チャンピオン秋田書店)に1973年3月26日号から同年9月3日号まで連載され、少年チャンピオン・コミックス全3巻として単行本化された。連載開始当初は、手塚が提案した『ミクロイド』にアニメ製作会社が『Z』を付けた『ミクロイドZ』というタイトルが使用されていた。しかし、アニメ版のスポンサーがセイコー(当時:服部時計店)に決まると、「Z」はライバル企業のシチズン時計株式会社(CITIZEN)を連想させるという理由から、セイコー(SEIKO)の「S」に変更された[2]

なお、漫画版の設定では、敵幹部のジガーがヤンマの兄でアゲハの婚約者となっており、ストーリー展開もアニメ版とはかなり異なる。

単行本

  • 少年チャンピオン・コミックス『ミクロイドS』(秋田書店)全3巻
  • 秋田漫画文庫『ミクロイドS』(秋田書店)全3巻
  • 手塚治虫漫画全集『ミクロイドS』(講談社)全3巻
  • 秋田文庫『ミクロイドS』(秋田書店)全2巻
  • 手塚治虫文庫全集『ミクロイドS』(講談社)全2巻

アニメ版

テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テレビアニメは、1973年4月7日から同年10月6日までNET(現・テレビ朝日)系で毎週土曜日20時30分から20時55分に全26話が放送された。東映動画(現・東映アニメーション)製作。前述の通りセイコー(当時:服部時計店)の一社提供だったため、「セイコープレイハウス」という冠が付いており[3]オープニングキャッチも存在していた。

放送時間枠については、30分バージョンと26分バージョンの両者が作られた(基幹都市の放送局で20:56からANNニュース<スポットニュース>が編成された都合による)。詳細は、後年に本作と同じ形態で放送時間を構成した「マグネロボシリーズ#放送規格」を参照。

原作の重いテーマ性は排除され、単純明快なヒーローもの(ただしミクロサイズ)として映像化されている。

媒体化としては、2009年3月27日に全話収録のDVD-BOXエイベックス・マーケティングより発売されたほか、同年4月から7月まで東映チャンネルで再放送された。
2013年7月12日(金)深夜0時、NHKBSプレミアム「手塚治虫×石ノ森章太郎 TV作品初回・最終回大集合!」にて、初回と最終回が放送された。

キャスト

主人公

主人公を取り巻く人々

他のミクロイド

  • ミクロイドNo.74:第3話(声 - 八奈見乗児)
  • ルビボシ:第4話(声 - 富山敬
  • ガガンボ:第4話(声 - 大竹宏
  • モンカゲロウ:第7話(声 - 岡本義明)
  • オルガ:第8話(声 - 平井道子
  • アズキ:第10話(声 - 松島みのり
  • ブン:第11話(声 - 田中亮一
  • リッキー:第13話(声 - 森功至
  • リーマ:第13話(声 - 菊池紘子
  • ブヨヨ:第16話(声 - 神山卓三
  • マイマイ:第20話(声 - 増山江威子
  • シナール:第24話(声 - 森功至)

ミクロイドの特殊能力

ヤンマ・アゲハ・マメゾウは同じコンセプトのミクロイドであり、基本装備としてミクロイドスーツとヘルメットを着用している。頭部のヘルメットから伸びる刃・ミクロイドナイフを武器とし、普段はスーツ背部に収められている羽を伸ばして飛行が可能。[4]第7話でのアゲハの台詞(「羽が傷ついた」ヤンマに自分の羽を貸そうと思っていたという主旨のもの)や回想シーンで別の服を着ている場面があることからスーツは着脱可能であることが伺える。なお各人固有の能力は次の通り。

ヤンマ
姿はトンボが元になっている。
  • ミクロイド・ビーム:ヘルメット正面の2つの球体から発射される破壊光線。
アゲハ
姿はチョウが元になっている。
  • 破壊鱗粉:背中の羽から放射される、あらゆる物を腐食させ粉々にする粉体。
  • ギドロン探知能力:ギドロンが接近するとヘルメットの触角が伸びて反応を示す[5]
マメゾウ
姿は甲虫類の虫が元になっている。
  • ミクロイド・ショック:ヘルメット正面の2つの球体から発射される電撃。相手を殺すほどの威力はない。その上使うとかなり体力を消耗する。

スタッフ

主題歌・劇伴音楽

キー局とローカル局での放送時間の差は主題歌と予告編で調整された。そのためOPはテレビサイズにもショートバージョンとロングバージョンがある。また、キー局では7話からOPが「ヤンマだアゲハだマメゾウだ」に変更された。その際、「ヤンマだアゲハだマメゾウだ」はOPの45秒に収めるためにアップテンポで再録音され、シングルレコードの音源も差し替えられた。放送時に発売されたシングルレコードは初期盤と通常盤では収録内容が異なる(型番はどちらも同一(SCS-513)のため、実際に聴かない限り初期盤と通常盤の判別は不可能)。アップテンポ版が正規版とされ、その後のオムニバス盤やCDなどにも収録されている。オリジナルテンポの「ヤンマだアゲハだマメゾウだ」は下記サウンドトラックでCD化されている。

キー局バージョン(EDはなし)
オープニングテーマ - 「ミクロイドS」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 三沢郷 / 歌 - ヤング・スターズ
オープニングテーマ - 「ヤンマだアゲハだマメゾウだ」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 三沢郷 / 歌 - ヤング・スターズ
ローカル局バージョン
オープニングテーマ - 「ミクロイドS」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 三沢郷 / 歌 - ヤング・スターズ
エンディングテーマ - 「ヤンマだアゲハだマメゾウだ」
作詞 - 阿久悠 / 作曲 - 三沢郷 / 歌 - ヤング・スターズ
CD
コロムビアミュージックエンタテインメントより、「手塚治虫生誕80周年記念 手塚治虫作品集」の一環として、「ミクロイドS オリジナルサウンドトラック」(COCX-35539)が2009年6月24日に発売された。三沢郷作曲のBGMのほか、主題歌のフルサイズ、テレビサイズの全バリエーション、タイトル変更前のNGバージョンが収録されている。

各話リスト

話数 サブタイトル 演出 作画監督 美術 ギドロンの昆虫ロボット及びミクロイドの刺客
1 友よ! 自由を… 明比正行 我妻宏 秦秀信 クモ型、芋虫型、カマキリ型、ハチ型の追手ロボット
2 地底からの挑戦 設楽博 森利夫 ミクロイドジゴク
3 ギロルの歌は悲しみの歌 葛西治 落合正宗 ギロル
4 眠れ! 愛の戦士よ 大谷恒清 小松原一男 ガガンボ、ルリボシ
5 忍びよるクレオ 崩れる街 岡崎稔 我妻宏 クレオ
6 闇に踊る毒グモ 小湊洋市 白土武 タランチュラ
7 燃えるカゲロウの秘密 明比正行 小松原一男 モンカゲロウ
8 美しき乙女 光と闇の戦い 山口秀憲 森利夫 クイール
9 あやつりゼミール決死のマメゾウ 葛西治 落合正宗 ゼミール
10 ドグラーの幻に狂う 設楽博 小松原一男 ドグラー
11 輝くブンあかつきの変身 岡崎稔 我妻宏 ブン
12 湖上の脱走 大谷恒清 小暮輝夫 (なし)
13 狂ったのはだれだ 明比正行 野田卓雄 リーマ
14 最後の山男ロゴと闘う 葛西治 森利夫 ロゴ
15 思い出求めるヤンマの旅 小湊洋市 落合正宗 蜂ロボット
16 ああ恩師ノラキュラ先生 設楽博 小松原一男 ブヨヨ
17 ロボットクラゲ黒潮に泳ぐ 岡崎稔 我妻宏 マグネクラゲ
18 マメゾウは新入生 明比正行 白土武 (なし)
19 恐怖! バブロの泡 大谷恒清 奥山玲子 バブロ
20 さらば妖精マイマイ 明比正行 野田卓雄 マイマイ
21 がんばるビリ子 山口秀憲 森利夫 ダイン
22 ビガーと愛すべき怪物たち 落合正宗 伊賀章二 ビガー
23 マメゾウ鬼退治 岡崎稔 我妻宏 ミラージュ
24 友情は火ともえて 小湊洋市 加藤政志 シナール
25 ミクロへの道滅びの道 葛西治 角田紘一 (なし)
26 ギドロン対われら人間 設楽博 小松原一男 ギドロンの昆虫ロボット多数

放送局

ほか

脚注・出典

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:前後番組

テンプレート:Asbox

テンプレート:手塚治虫
  1. 「ミクロイドS オリジナルサウンドトラック」解説書
  2. TezukaOsamu.net ミクロイドS(Z)の解説より。
  3. 「読売新聞」3月31日付け夕刊の広告より。
  4. ミクロイドスーツの羽を使用すると特殊な超音波が発生する。そのため、羽で飛ぶとギドロンに発見される可能性を美土路博士は憂慮し、ミクロイドプレインという超小型飛行機を開発。以後はそれを併用している。ミクロイドプレインは当初は二人乗りの一機のみだったが、後に各人専用の3台になっている。
  5. そもそもギドロンに改造されている訳だから、これは「索敵機能」というよりも「仲間とはぐれた場合でも無事に合流できるように装備された一種のナビゲーションシステム」である。