マツダ・スクラム

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テンプレート:Mbox スクラムSCRUM )はマツダ販売する軽自動車規格のキャブオーバー型の、5ナンバー登録の乗用車と4ナンバー登録の商用バンおよびトラックである。かつてはオートザムブランドだった。

概要

以前はポーターキャブという軽トラックをつくっていたが、設計が古く次期モデルを作る予定がなかった。そのため1989年に登場した当初からスズキの軽自動車のOEMで、乗用のワゴンタイプ、商用のバンタイプはスズキ・エブリイ、商用のトラックタイプはスズキ・キャリイが元車両となっている。

2013年12月に日産自動車が販売するNV100クリッパー/NV100クリッパーリオ/NT100クリッパーがフルモデルチェンジに伴いOEM供給元をスズキに変更。さらに、2014年2月に三菱自動車工業が販売するミニキャブ及びタウンボックスがフルモデルチェンジに伴ってOEMに切り替わったため、日本国内における自動車市場では稀な4兄弟車種となった。

歴史

初代(1989年-1991年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1989年6月発売。[DG41/DH41]
ポーターキャブの後継車にあたる。マツダ・スクラムとして、バンとトラックをラインナップ。

全車1,900mm前後のハイルーフ仕様とし、上級モデルは開放感あるガラスルーフを設定。34馬力と52馬力インタークーラーターボの550ccを搭載。

1990年3月、[DG51/DH51]
新規格660ccになり、オートザム・スクラムに変更。車体前部のロゴも「mazda」から「Autozam」に変更。
前席下に、直列3気筒SOHC12バルブ38馬力と同インタークーラーターボ58馬力のエンジンを搭載する。

1990年6月、廉価グレードPXタイプをベースとした特別仕様車「スタンドオフ」を設定。大型ドアミラー、カラードバンパー、カラードライセンスカバー、左側サイドステップや白色フルホイールキャップなどを装備する。インテリアでは、エアコン、4本スポークウレタンステアリングホイール、インパネトレーなどを装備。


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2代目(1991年-1999年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

  • 1991年10月 - フルモデルチェンジ。バンは荷室の下にエンジンを搭載したミッドシップレイアウトを採用した。トラックは従来通りエンジンを運転席下に搭載するキャブオーバーレイアウトを採用する。エンジンは直列3気筒SOHCで、61馬力のインタークーラーターボと、50馬力(EPI仕様)/42馬力のノンターボエンジンを設定する。
  • 1993年2月 - 一部改良。
  • 1995年6月 - 一部改良。
  • 1997年4月 - マイナーチェンジ。オートザムブランドから、再びマツダブランドに変更。42仏馬力のSOHCと64仏馬力のSOHCインタークーラーターボを用意。


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3代目(ワゴン・バン:1999年-2005年、トラック:1999年-2013年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1999年1月19日、フルモデルチェンジ。[DG52]

新軽規格に対応しボディを大型化するとともに、前輪をキャビン前方に配置するセミキャブオーバースタイルに生まれ変わった。ただしエンジンを運転席下に搭載するキャブオーバー形式は継承する。これに伴って乗降性や居住性はもちろん安全性が高められるとともに、ラゲージスペースの拡大により実用性および使い勝手も向上。バンは標準ルーフ「GA」とハイルーフ3グレードの4グレード(標準ルーフ「GA」は2WD車のみ)、トラックは「KA」と「KTターボ」の2グレードで、4WD車のみ「KL」も設定する。エンジンは50馬力の直3SOHCと60馬力の直3SOHCターボの2種類を搭載[1]

1999年12月8日、ワゴン追加。[DG52W]

先に登場したバンとはボディはハイルーフ、搭載エンジンが64馬力のシングルカムターボのみということとリアシート回りのセッティングが異なる。シート位置をバンより90mm後方に設置することで余裕のある足元スペースを実現したほか、165mmのシートスライド&リクライニング機構の採用や、センターアームレストの装着でくつろげる空間を実現した。グレードは「スタンドオフターボ」と「スタンドオフエアロターボS」の2グレードを用意した。
同時にバン・トラックも一部改良。エンジンの出力特性の見直しとエンジンマウントの位置・材質を変更し、街中での走行性能を向上するとともに振動や騒音も低減された。さらにバンは「GA」と「PA」に運転席SRSエアバッグのオプション設定を追加し、「バスター」には運転席・助手席SRSエアバッグ、4W-ABS、助手席ロードリミッター付シートベルト、フロントパワーウィンドウ、リアヒーターを標準装備し、安全性・快適性を向上させた。なお従来設定されていた「スタンドオフターボ」は前述のワゴンへ移行となり、3グレードととなる。トラックは積載性能を高めるとともに、運転席シートバックポケット、カップホルダー、運転席・助手席ドアポケット、アームレストを追加。運転席SRSエアバッグもオプション設定された。グレード体系が変わり、ターボ車の「KTターボ」を廃止し、「KA」のエアコン付仕様は「KD」として独立し、「KC」を追加。また「KA」に3AT車を追加したため、新設の「KC」とともに、4WD・3AT車が新たに設定された[2]

2000年5月24日、一部改良。

運転席・助手席SRSエアバッグ、4W-ABS、プリテンショナー付シートベルト等の安全装備を4W-ABSのオプション設定ができないトラック「KL」を除く全てのグレードで標準装備あるいはオプション設定し、安全性を向上させた。
ワゴンはボンネット、バンパーなどのデザインを変更、さらにスライドドアレールのメッキ化やマルチリフレクターヘッドライトを採用。また、インタークーラーの取り付け位置や過給圧制御装置の追加などにより、ターボ車の走行性能をアップさせた。
トラックはグレード体系の見直しを行い、従来設定されていた「KA」・「KD」を廃止し入れ替えで「KU」を追加。また、バンとトラックの一部グレードについては希望小売価格の値下げを行った[3]

2001年3月1日、「KU」をベースに、エアコン、パワーステアリング、間欠式フロントワイパー、シガーライター、乗降グリップ・アシストグリップ等の便利機能を装備し、ファブリック生地のシートとドアトリム(成型タイプ)を採用しながらも求め易い価格設定にした特別仕様車「KUスペシャル」を発売。なお、エアバッグや4W-ABSなどをパッケージングした「セーフティパック」も設定できる[4]

2001年9月12日、一部改良。[DG62]

全車オールアルミの直3DOHCエンジンを搭載。これにより、ワゴンの「スタンドオフ」は「良-低排出ガス(★)」を、バンとトラックは「優-低排出ガス認定(★★)」を取得。ワゴンのターボ車は最大トルクをアップした。
ワゴンはインパネのデザイン・形状を変更し、スポーティな印象と機能性を併せ持つ印象となり、シート形状やシート・ドアトリム表皮、内装色も変更。運転席側パワーウィンドウには挟み込み防止機構を追加。「スタンドオフ」を除く全グレードでメッキ処理のインパネシフトを採用した。グレード体系はニーズに合わせ、NAエンジン搭載の「スタンドオフ」を追加し、「スタンドオフターボ」には標準ルーフ仕様を追加、最上級グレードは従来の「スタンドオフエアロターボS」に替わり、MD/CDカセットデッキや電動格納式ドアミラーを装備した「スタンドオフエアロターボPZ」となった。また、ボディカラーには「パールホワイト」を追加した。
バンはワゴンと同様に、インパネ、内装色、シート形状、シート・ドアトリム表皮などの変更を受け、「GA」と「PA」はボディ同色のカラードバンパーやUVカットガラス(フロント)などを追加、「バスター」にも運転席パワーウインドー挟み込み防止機構とリアカップホルダーを追加した。さらに、間欠ワイパー、パワードアロック、キーレスエントリー、ダークティンテッドガラスを装備したお買い得グレード「PC」を新設。「PC」には従来「スクラムバン」には設定されていなかった4WD・3AT車も設定される。
トラックは最小回転半径を4.1mから3.8mに縮小し、取り回し性を向上。左右ドアに防錆鋼板を採用するなど、車体表面積の90%を防錆対策を講じ、耐久性を向上。ステアリングとシート位置を変更した。また、ワゴン、バンと同様にインパネ、内装色などを変更した。さらに、特別仕様車だった「KUスペシャル」をカタロググレードに格上げし、農繁仕様のオプション(デフロックなど)を装備し割安な価格に設定した「KU農版パック」を設定。10月には「WAダンプ」の生産も開始した。なお、「KC」と「KL」は廃止された[5]

2002年5月21日、トラックをマイナーチェンジ。[DG63T]

荷台の床面長を拡大し、荷台の床面地上高を640mmに変更(床面地上高605mmの低床仕様車「KC低床」も設定)。またキャビンと分離したことで補修時の荷台の交換も容易になった。また、みち板引き掛け式リアゲートを全車に標準装備した。キャビンはステアリング角度、シート位置を見直し、運転席のシートスライド量を拡大。また収納性に優れたインパネや運転席ピラーホルダー、カップホルダー、コンソールポケット、ドアポケットを採用。「KU」以外の全グレードにはさらにフロアトレイと運転席ドリンクホルダーも追加した。エンジン中低速域の出力特性改良を行い、4WD車の燃費を向上した。グレード体系が見直され、「KU」は2WD・5MT車のみとなり、「KC」が復活。「KUスペシャル」・「KU農繁」はそれぞて「KCスペシャル」・「KC農繁」に改名した[6]

2012年6月19日、トラックを一部改良。

2012年7月からのシートおよびシートベルトに関する保安基準の改正に対応して、シートの背もたれをハイバックタイプへ変更して、ヘッドレストを大型化。また、2013年1月から施行される灯火器及び反射器等に関する法規に対応するため、後方反射板の取付が行われた。

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4代目(ワゴン・バン:2005年- 、トラック:2013年-)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2005年9月13日、ワゴン・バンをフルモデルチェンジ[DG64]。トラックは3代目を継続発売。

ワゴンはインパネシフトの採用でウォークスルーが可能なほか、助手席前倒しやフルフラット、150mmスライド機構を備えるなど、多彩なシートアレンジも可能。また、「PZターボ」には左側後席パワースライドドア、「PZターボ スペシャルパッケージ」には両側後席パワースライドドアを備える。オールアルミ製直列3気筒660cc DOHC(49馬力)と同ターボ(64馬力)の2ユニットを搭載。
バンはワゴン同様にインパネシフトを採用し、ウォークスルーが可能で、さらにフラットなラゲージルームや長尺物の積載に便利な助手席前倒し機構を採用。リアコンビランプをバンパーに組み込むことで荷室ドアの開口高と開口幅を拡大するなど、荷物の積み下ろしを重視した設計になっている。49馬力を発生する直列3気筒660ccを搭載し、2WD車で「平成22年度燃費基準+5%」を、4WD車も「平成22年度燃費基準」を達成。「PU」は「平成17年基準排出ガス50%低減レベル(☆☆☆)」認定も取得。
グレード体系はワゴンは「PX(エブリイワゴン「JP」相当)」、「PXターボ(同「JPターボ」相当)」、「PZターボ(同「PZターボ」相当)」、「PZターボスペシャルパッケージ(同「PZターボスペシャル」相当)」の4グレードで、「PX」はハイルーフ2WD車のみ、「PXターボ」はハイルーフ車(2WD/4WD)のみの設定となる。バンは「PA(エブリイ「PA」相当)」、「PU(同「PU」相当)」、「PC(同「PC」相当)」、「バスター(同「JOIN」相当)」4グレードで、「PA」と「バスター」の4WD車は5MTのみの設定となるほか、エブリイの「GA」・「JOINターボ」に相当するグレードは設定されない[7]

2007年7月30日、ワゴン・バンを一部改良。

ワゴンは前席シートの座面を改良、座り心地を向上させた。「PZターボ」はフロントグリルのデザインを変更、シート色をベージュに。ディスチャージライトもオプションで用意。「PX」と「PXターボ」ではフロントフードにメッキガーニッシュを装備、シート色をブラウンとした。
バンは、前席シートの座面を改良、縁部分に厚みをもたせ質感と快適性の向上を図った。「バスター」のシート表皮色をブラウン系、「PC」にはグレー系をそれぞれ採用。また、「バスター」専用色としてブルーイッシュブラックパール3を追加している[8]

2010年5月25日、ワゴン・バンを一部改良。

ワゴンは、「PZターボ」・「PZターボスペシャルパッケージ」において、バンパーをスポーティデザインに変更し、フロントメッキグリルと丸型のマルチリフレクターフォグランプを採用。サイドアンダースポイラーのデザインを変更し、サイドターンランプにホワイトレンズを、リアコンビランプにクリアレンズを採用した。NAエンジン仕様の「PX」が廃止され、全車ターボエンジン仕様となった。
バンは、3AT車においてギア比の見直しを行い、燃費を0.2km/L向上した[9]

2013年4月17日、バンを一部改良。

AT車においてエンジンの制御変更を行うとともに、4WD車はエコタイヤも採用したことで燃費を向上。併せて、触媒の変更により排出ガス性能が改善されたことで、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成27年度燃費基準」を同時に達成した。なお、この一部改良に伴い、「PU」を廃止した[10]

2013年9月13日、3代目を継続販売していたトラックが約14年8ヶ月ぶりにフルモデルチェンジ(9月20日販売開始)。[DG16T]

先代までのセミキャブオーバー型からキャブオーバー型となり、併せて、フロントウィンドーを前方に移動し、レイアウトの見直しを行ったことでフロア長2,030mmの広い荷台を確保しながら室内空間や頭部前方の空間を拡大。配光性に優れたマルチリフレクタータイプのハロゲンヘッドランプを全車に装備。また、車体の塗装は中塗り工程を加えた3層塗装となり、さらに、防錆鋼板を多用したことで荷台を含むボディー外板の表面サビ3年、穴あきサビ5年の長期サビ保証を標準付帯した。また、エンジンは縦置き仕様のR06A型に置換し、車体の軽量化などを行ったことで燃費が向上し、全車「平成27年度燃費基準」を達成。フルキャブ型への変更とともにホイールベースをショート化したことで最小回転半径を3.6mに縮小した。グレード体系は「KCパワステ(4WD・5MT車のみ)」、「KCパワステ農繁(キャリイの「KCパワステ農繁仕様」に相当、4WD・5MT車のみ)」、「KCエアコン・パワステ」、フロントフォグランプなどを装備した上級グレードの「KX」の4タイプが用意されるが、キャリイの「KC」及び「KCエアコン・パワステ農繁仕様」に相当するグレードがスクラムトラックでは設定がなく、「KX」は4WD・3AT車のみとの設定となる(キャリイの「KX」は2WD車(3AT/5MT)及び4WD・5MT車の設定がある)。なお、トラックのみ、荷台にデカールとして貼り付けられる「SCRUM」の車名ロゴデザインが異なるほか、「MAZDA」ロゴはこれまでの荷台左側から荷台右側に移動し、車名ロゴの左上に小さく配置された[11][12]

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車名の由来

腕(肩)を組むこと』というラグビー用語『スクラム』から転じて、顧客やマツダグループの協調・連帯を期して命名した[13]

出典

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関連項目

テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:マツダ車種年表 (初期) テンプレート:マツダ車種年表 テンプレート:自動車

テンプレート:Car-stub
  1. 新型「スクラム」を発売 - マツダ 1999年1月19日
  2. 「スクラム」シリーズに乗用タイプのワゴンを追加し、幅広いユーザーニーズに対応 - マツダ 1999年12月8日
  3. 「スクラム」シリーズを一部商品改良 - マツダ 2000年5月24日
  4. スクラムトラックに特別仕様車「KUスペシャル」を追加 - マツダ 2001年3月1日
  5. 「スクラム」シリーズにDOHCエンジンを搭載 - マツダ 2001年9月12日
  6. 「スクラムトラック」を大幅改良 - マツダ 2002年5月21日
  7. マツダ、「スクラムワゴン」および「スクラムバン」をフルモデルチェンジして発売 - マツダ 2005年9月13日
  8. マツダ、軽乗用車「スクラムワゴン」および軽商用車「スクラムバン」を一部改良 - マツダ 2007年7月30日
  9. 「マツダ スクラムワゴン」、「マツダ スクラムバン」を一部改良して発売 - マツダ 2010年5月25日
  10. 「マツダ スクラムバン」を一部改良 - マツダ 2013年4月17日
  11. 「マツダ スクラムトラック」をフルモデルチェンジ - マツダ 2013年9月13日
  12. [1]
  13. 【MAZDA】スクラムワゴン(2007年7月マイナーチェンジ~)|車種別Q&A - マツダ公式サイト