三菱・ミニキャブ

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ミニキャブMINICAB )は、三菱自動車工業が販売している商用車

概要

トラックバンがあり、550cc時代から登場したバンの豪華版はミニキャブブラボーの名がついていた。独立車種としてのブラボーは1999年に消滅したが、2011年に上級グレードの名称として復活。

また、軽自動車の商標の中では5番目に古い7代・48年(2014年現在)の歴史がある。

乗用1BOXモデルはブラボー(ミニキャブ4代目・5代目に相当)、タウンボックス(6代目に相当)の名で販売されていた。後にタウンボックスは廃止され、グレード名称として「ブラボー」の名が復活する。

また、6代目は2003年8月から2013年12月までNV100クリッパー/NT100クリッパーとして、乗用1BOXモデルのタウンボックスは2007年6月から2012年1月まで「クリッパーリオ」の名称でそれぞれOEM供給されていた。

2011年に、本車をベースにした商用電気自動車ミニキャブMiEV」が発売された。

2014年2月にフルモデルチェンジによりスズキが製造する車種のOEMとなり、併せて、タウンボックスもOEMモデルとして復活・フルモデルチェンジされた。これにより、自社製造を継続する電気自動車i MiEV及びミニキャブMiEV)を除く三菱の軽自動車のラインナップは、7代目となったミニキャブの他に、eKワゴン(3代目)/eKカスタムeKスペース、タウンボックス(2代目)の計4車種(eKワゴン(3代目)・eKカスタムを1車種としてカウントする)となった。

歴史

初代(トラック・1966年-1971年、バン・1968年-1976年)

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  • 1966年 - 新登場。当初はトラックのみの設定であった(一方開きと三方開きの二種類)。
  • 1968年 - バンを追加。
  • 1971年 - バンをマイナーチェンジ。同時に名称を「ミニキャブEL(エル)バン」に変更。「EL」の頭文字は不明。さらにヘッドライト周りに黒色のダミーグリルが追加されたが、「MINICAB」のロゴはそれまでのステンレス切り抜き文字から、フロントベンチレーターに浮き彫り文字を施す(レリーフ)形式に変更されたため、見づらくなってしまった。
  • 1974年 - 「ミニキャブELバン」のまま、現行の黄色ナンバーに対応すべくナンバープレート架台を大型化し、番号灯を増設。

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2代目(ミニキャブEL・1971年-1972年、ミニキャブW・1972年-1976年)

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  • 1971年 - トラックのみフルモデルチェンジ。名称は「ミニキャブEL(エル)」となる。ミニキャブとしてはこの代よりフロアシフトトランスミッションが用いられる。ただし、バンは先代モデルをマイナーチェンジし、継続販売。ダンプモデルは「セルフドロッパー」を名乗る。
  • 1972年 - マイナーチェンジでこれまでのME24型空冷2サイクルエンジンから2G10型水冷2サイクルエンジンに換装。「ミニキャブW」に名称変更。型式がT131型となる。ヘッドランプが角型から丸型となる(同時にフロントの車種エンブレムがMinicabからWに変更された)。ヒーターが排気式から温水式に変更され、同時にディーラー(メーカー)オプションで吊り下げ式クーラーを装着できるようになった。「W」は水冷式である「Water-Cooled」の頭文字。ステッカーは銀地に赤のスリーダイヤマーク、さらにその横に青地白抜き文字で「ミニキャブW」のロゴが付く。
  • 1973年 - マイナーチェンジ。フロントグリルのデザインを変更。給油キャップが鍵穴付きとなる。またスーパーデラックスはホイールキャップのデザインが変更され、後述の「ミニキャブ5」にも引き継がれる。ヘッドランプの直径が少し大きくなった。同時に「ミニキャブW」のステッカーデザインが変更され、黒地に銀のスリーダイヤマーク、さらに銀地に橙色文字で「ミニキャブW」のロゴというふうになり(フォントは変わらず)、加えてフロントグリルに表記されていた「MINICAB」の突起ロゴがなくなり、フロントの車種エンブレムも「W」から「MINICAB」に再度戻された。
  • 1974年 - 「ミニキャブW」のまま、現行の黄色ナンバーに対応すべくナンバープレート架台を大型化し、番号灯を増設。スーパーデラックスはシートベルトが2席とも3点式化され、安全性を向上。スタンダードはもともと2点式だが、ディーラー(メーカー)オプションで3点式へ変更することもできた。同時に「ミニキャブW」ステッカーの貼り付け位置が、それまでの後退灯上部から可倒式リアゲートパネル(正面から見て右下)に変更された。

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3代目(500cc・1976年-1977年、550cc・1977年-1984年)

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  • 1976年 - フルモデルチェンジ。エンジンをこれまでの2サイクル359cc(2G10)から4サイクル471cc(2G22)に換装し、名称を「ミニキャブ5(ファイブ)」に変更。この型のみ南米等海外にも「L100」と名を変えて輸出された(ちなみにL200はフォルテ、L300はデリカ)。
  • 1977年 - 大規模なマイナーチェンジ。型式がL013型となる。ボディサイズを拡大し、エンジンを546cc(2G23)にアップ。これに伴い合わせホイールが全グレードにおいて廃止。名称は「ミニキャブ・ワイド55」となる。
  • 1979年 - マイナーチェンジ。フロントグリルの形状変更が行われたほか、営農ミニキャブ(現・JAミニキャブ)を追加。
  • 1981年 - 2度目のマイナーチェンジ。型式がL015型となる。名称を「ミニキャブ」に戻す。エンジンを全車、2G23からG23Bタイミングチェーン仕様)に換装。これと同時にバンの上級仕様「エステート」を追加。
  • 1982年 - 一部改良。4WDを追加。これに伴いフロントグリルに従来の"MM"に代わり、"MMC"のエンブレムが付く(日本仕様のみ)。

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4代目(550cc・1984年-1990年、660cc・1990年-1991年)

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  • 1984年6月 - フルモデルチェンジ。これまでの吊り下げ式クーラーに代わって、エアコンがオプション設定されるようになった。また、この代よりフロントサスペンション形式がマクファーソン・ストラット式に、ステアリング形式がラック・アンド・ピニオン式にそれぞれ統一される。この代より4WD車全車に12インチフロントディスクブレーキフロントオートフリーホイールハブがそれぞれ標準装備となる。
  • 1987年6月 - マイナーチェンジ。型式が2WD車がU14T/15V、4WD車がU15T/15V型となる。エンジンはこれまでの546cc(G23B型(バルカンII))2気筒から548cc3G81型サイクロン))3気筒に変更。同時にスーパーチャージャーを追加。スーパーチャージャー搭載グレードに限りタコメーターが標準装備。
  • 1988年2月 - トラックの2WD車に5速MTトリップメーターを標準装備したハイルーフモデルの「GL」を追加(ただしタイヤとホイールは10インチ)。これに伴い日本仕様にスリーダイヤのエンブレムが復活した。
  • 1989年 - バンの上級版「エステート」を「ミニキャブブラボー」に改名。
  • 1990年2月 - マイナーチェンジ。新規格化でエンジンを657ccに拡大(3G83型・サイクロン)。型式が2WD車がU18T/18V、4WD車がU19T/19V型となる。ただし、スーパーチャージャーは548cc・3G81型サイクロンエンジンのまま。

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5代目(1991年-1999年)

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  • 1991年2月 - フルモデルチェンジ。2WD車の10インチホイール装着車を除き、全車に3気筒SOHC12バルブシングルキャブレターエンジン(3G83型)および12インチフロントディスクブレーキを標準搭載する。
  • 1992年1月 - 一部改良。電気類の防水の改善。
  • 1993年1月 - 一部改良。10インチタイヤ&10インチホイール装着車を除き全て5速MT化。
  • 1994年2月 - 最初のマイナーチェンジ。ヘッドランプがSAE規格の角型2灯式に。計器類に関しては最上級グレード(トラック・TL / バン・CL)専用装備のトリップメーターが廃止され、それ以降全グレードがオドメーターのみの装備となる。
  • 1996年1月 - 2度目のマイナーチェンジ。ステアリングホイールの形状が7代目ミニカの下位グレードと共通のもの(大型ホーンパッド付の2本スポーク式。パネルバンを除く)に変更、並びにヘッドランプがブラボーの後期型と共通の異形レンズのハロゲンバルブ式に(パネルバンを除く)。トラック、バンに関わらず最上級グレードには3気筒SOHC12バルブECIマルチエンジンが搭載され、トラックの4WD車全てに防水アンダーカバーが標準装備される。
    • 5月 - トラックおよびバンにそれぞれ誕生30周年を記念した特別仕様車「V30 SPECIAL EDITION」を発売。
  • 1997年12月 - 一部改良。ダンプ、パネルバンを除き全て3気筒SOHC12バルブECIマルチエンジンおよび異形ヘッドランプ化。これに伴い2WD全車が12インチタイヤ&12インチホイールおよびフロントディスクブレーキ化された。
  • 1998年2月 - トラック、およびバンの各2WD車に12インチタイヤ&12インチホイールとフロントディスクブレーキ等を標準装備した最廉価グレードの「V」を発売。ただし組み合わされるエンジン、およびトランスミッションは3気筒SOHC6バルブシングルキャブレター&4速MTに格下げとなり、更にヘッドランプがSAE規格の角型2灯式に格下げとなる。

名古屋鉄道では、この型のミニキャブトラックを鉄道用車輪に改造した保線モーターカーが使われている。


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6代目(ガソリン車・1999年 - 2014年、MiEV・2011年 -)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 前軸を前進させクラッシャブルゾーンを確保した形状となるが、エンジン搭載位置は運転席下のため構造上はセミキャブオーバーとなる。軽トラック及び軽1BOX、NA車初の4ATがラインナップされるなど軽トラックでは少なかったATの拡充をはかるなどAT全盛のニーズの対応を強化。ミニキャブバンをベースに乗用グレードのタウンボックスが登場した。テールランプ形状はトラックが平行四辺形であるのに対し、前期型・中期型バンは丸型2灯式であり、さらにブレーキランプとテールランプが別々に点灯する。

台湾ではホイールベースを延長し、約1200ccの4気筒SOHC16バルブエンジン(4A32型・76馬力)を搭載したモデルが中華菱利の名で販売されていた[2]

  • 1999年2月 - フルモデルチェンジ。軽トラックでは他に類を見ない室外ハイマウントストップランプをキャブ後部に設置
  • 2000年12月、大規模なマイナーチェンジを敢行。特にトラックはキャビン内部の形状が若干見直されている。
  • 2003年8月、日産自動車へクリッパーとしてOEM供給が開始される。
  • 2004年10月、バンに運転席、助手席エアバッグ標準装備。また、トラックの4ATモデル(TL)がラインナップから外れる。
  • 2005年12月、一部改良。全グレードにトリップメーターやヘッドランプレベライザー等を標準装備。日産クリッパーも同時に一部改良。
  • 2006年5月30日、誕生40周年を記念した特別仕様車を発売[3]
    • 12月 - 一部改良。サイドミラーをピボットタイプ(縦長)に統一、40周年記念特別仕様車の装備をグレード化などの仕様変更。また、トラックにリブラグタイヤとリヤ強化サスペンションなどを採用した農業仕様「みのり」を追加する。
  • 2007年10月 - 燃料としてガソリン圧縮天然ガス (CNG) を併用できる特装車「ミニキャブ バイフューエル」を発売。ガソリンとCNGの併用で840km(公称値)の航続距離を確保できるとしている。
    • 12月 - マイナーチェンジ。フロントグリルのデザインを一新したほか、インストパネルを2トーンカラーに変更、後席に3点式ELRシートベルトを追加、液晶トリップメーターがA・B2区間対応になるなどの改良を施した。また、追加装備「ラグジュアリーパッケージ」の内容を変更して「エクシードパッケージ」に変更した。
  • 2008年12月 - 一部改良。一部グレードを除いてハイマウントストップランプやエアコン、パワステの標準装備化、標準装備オーディオの変更を実施。
  • 2009年10月 - パーソナルユースにも向く専用ボディカラー「ブラックマイカ」を採用すると共にメッキフロントグリル、光輝タイプヘッドライトハウジングを特別装備し、見栄えを向上させた特別仕様車「黒トラ」「黒バン」発売。「黒トラ」は「Vタイプ(エアコン付)」、「黒バン」は「CD(ハイルーフ)」をそれぞれベースにし、AM/FMラジオ(デジタル時計付・スピーカー内蔵)を標準装備化、「黒トラ」にはさらにパワーステアリングも標準装備化された。
    • 12月 - 一部改良(2010年1月販売開始)。フロントグリルをボディ同色に変更(トラックの「エクシードパッケージ」はメッキ仕様、バンは「CD」・「CJ」が対象)。インパネとメーター、ステアリングホイール(トラックは運転席SRSエアバッグ装備車が対象)を新デザインに変更すると共に、メーターに半ドア警告灯を追加、インパネ両側にカップホルダーを新設し、ラジオをAMのみからAM/FMに変更した(バンは「CS」・「CD」が対象)。トラックでは「パネルバン」にハイマウントストップランプとラゲッジルームランプを、「楽床ダンプ」にパワーステアリングをそれぞれ追加した。「Vタイプエアコン付車」は廃止となり、マニュアルエアコンはパワーステアリングとのセットオプションとなった。バンでは一部グレードにオプションカラーの「ミスティックバイオレッドパール」を追加した。なお、特別仕様車の「黒バン」・「黒トラ」は販売を継続する。

また、ミニキャブバンとミニキャブトラックに燃料をLPガスを使用する特装車「ミニキャブMPI-LPG」を設定。LPGだけを使用する方式ながら約500kmの航続距離を持つと同時に、LPG車初の75%減超低公害車☆☆☆☆をクリアする。(2012年現在も市販中)

  • 2010年8月 - 一部改良。エンジンのフリクション低減等の改良を行い、燃費を向上。バンの2WD車は「平成22年度燃費基準+10%」を達成した。また、トラックの運転席・助手席のシートバック側面部とバンの運転席・助手席・後席の表面をそれぞれニットに変更した。さらに、5年目以降の車検入庫時に保証延長点検(24ヶ月定期点検相当)を受けることを条件に適用される「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種となった。同時にトラック「VX-SE」をベースに、クールシルバーメタリックの専用ボディカラー、光輝タイプのヘッドランプ、メッキフロントグリル、ボディ同色ドアミラーを装備した特別仕様車「銀トラ」を、バン「CDハイルーフ」およびダブルキャブ「CL」をベースに、エアロパーツ等を装備した特別仕様車「ROAR Complete」をそれぞれ発売。これと入れ替わりに特別仕様車の「黒バン」・「黒トラ」はそれぞれ廃止された。
  • 2011年11月 - 一部改良。全グレードでフロント周り・リア周りを刷新するとともに、フロアコンソールに備えられていたカップホルダーが廃止され、さまざまな用途に対応するシンプルなボックス形状に変更された。バンでは、ハイルーフ車はリアゲートもデザインが変更され、ハイマウントストップランプをLED化。また、「CL」ではメッキフロントグリル、ボディカラー同色ドアミラーを採用し、前席ヘッドレストを大型化(ヘッドレストの大型化は「CD」「CL」、トラックにも適用)。ボディカラーには新色の「チタニウムグレーメタリック」を追加した。なお、「CD」・「CL」は従来からの装備はそのままに車両本体価格を引き下げたため、「CS」を廃止した。日産向けのOEM車クリッパーは、「NV100クリッパー」(バン)「NT100クリッパー」(トラック)に車名が変更された。
    そして、この改良を機にタウンボックス及び日産向けのOEM車クリッパーリオは廃止され代替機種として、乗用・レジャー用の充実グレード「ブラボー」を追加。本グレードでは「CL」と同じメッキフロントグリルとボディカラー同色ドアミラーに加え、ボディカラー同色ドアハンドル、フルホイールカバーを装備してスタイリッシュな外観とするとともに、AM/FMラジオ付CDプレーヤー+2スピーカー、タコメーター、ABS、UVカットガラス(フロントドア)などを装備し機能も充実。シートは生地をファブリック素材に変更し、座面に厚みを持たせて座り心地を高めたヘッドレスト別体式となり、後席はセパレートシート化。さらに、タウンボックスにもラインナップされていた「3気筒SOHC12バルブ・インタークーラーターボエンジン」車も追加され4代目以降ラインナップされることのなかった過給機搭載車となる。ステアリングホイールやセンターパネルにシルバーのアクセントを加え、外観にはマフラーカッターがついた。ライバル車とは異なり最大積載量の変更は行われていない。なお、バン及びMiEVに装着の新デザインのリヤコンビランプはダイハツ・ハイゼットカーゴ/トヨタ・ピクシスバン/スバル・サンバーバンと共用の部品となったためダイハツの刻印が入っている。
  • 2012年7月 - 一部改良。バン・トラック共に安全に関する法規制強化に対応し、バンはドアラッチとヒンジの強度認証に対応。トラックはこれまでメーカーオプション設定だった運転席エアバッグとシートベルトプリテンショナーを標準装備化し、価格改定を行った。
    • 12月 - 一部改良。2013年1月から施行される灯火器及び反射器等に関する法規に対応するため、トラック(特装車の一部を除く)に後方反射板を追加し、夜間の積み降し作業時や乗降時の安全性を向上。また、シート生地の変更により質感を向上したほか、グレード体系の見直しを行い、トラックの「パネルバン」を廃止した。併せて、JC08モード燃費に対応した。
  • 2013年8月 - 2014年春より、ガソリン車の自社製造を撤退し、スズキより、エブリイ/キャリイのOEMを受け、次期型を販売することが発表された[1]
    • 11月末 - NV100クリッパー/NT100クリッパーのフルモデルチェンジに伴い、日産自動車へのOEM供給を終了。
    • 12月末 - ガソリン車の自社製造を終了。以後は在庫のみの販売となる。
  • 2014年2月26日 - ガソリン車の販売を終了。MiEVを除く自社製造のミニキャブとしては6代48年の歴史に幕を下ろした。

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ミニキャブMiEV

ファイル:Yamato Transport L0038 Minicab MiEV.jpg
ミニキャブMiEV(バン:ヤマト運輸)

i-MiEVの技術を活用した電気自動車。2011年12月8日に販売を開始した当時はバンのみで、「CD」グレードがベースとなる。搭載されるバッテリーは一充電あたりの走行距離が異なる2種類が設定され、10.5kWh(約100km)と16.0kWh(約150km)が用意される。ガソリン車に比べて車両重量が200kg重くなり、スペアタイヤは車内に移設、運転席の計器はi-MiEVに準じたデザインになる。追って2012年12月に『ミニキャブMiEVトラック』も発表、こちらは「VX-SE 10.5kWh」のみのモノグレードで、搭載されるバッテリーは10.5kWhのみとなる。

なお、ガソリンエンジン車が生産終了した2014年1月以降は、三菱が自社生産する唯一の商用車となった。

  • 2010年10月 - プロトタイプ車をヤマト運輸に貸与して配送車としての実証実験を開始。
  • 2011年4月 - ミニキャブMiEVの予約受付を開始。[4]
    • 5月 - 人とくるまのテクノロジー展に出展。実証運行に参加したヤマト運輸が100台を発注。[2]
    • 11月、公式発表(12月8日販売開始)。グレード体系は「CD 10.5kWh」と「CD 16.0kWh」の2グレードで、いずれのグレードにも2シーターと4シーターが設定される。また、「CD 10.5kWh」はハイルーフのみだが、「CD 16.0kWh」には標準ルーフとハイルーフが設定される(「CD 16.0kWh」は乗員人数で価格が異なるが、ルーフタイプについては標準ルーフ・ハイルーフともに同一価格である)。
  • 2012年10月 - 幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2012」の特別企画展で翌年(2013年)の初めに発売予定の『ミニキャブMiEVトラック』を公開出展した[3]。また筑波サーキットで開催された日本EVフェスティバルでも展示された。
  • 2012年12月、『ミニキャブMiEVトラック』を公式発表(2013年1月17日販売開始)[4]。グレード体系は「VX-SE 10.5kWh」のみのモノグレードで、急速充電機能がオプションで用意される。
  • 2013年11月、『ミニキャブMiEVバン』を一部改良。運転席シートヒーターの範囲を背面に拡大するとともに、助手席シートヒーターのオプション設定を新たに設けるなど装備内容の充実を図りながら、車両本体価格を「CD 10.5kWh」は23.49万円、「CD 16.0kWh」は37.225万円の大幅値下げを行い、平成25年度クリーンエネルギー自動車等導入対策費補助金の上限額適用で実質負担額155万円台からの購入しやすい価格設定になった。なお、「CD 16.0kWh」の2シーター仕様はハイルーフのみの設定となった。

ミニキャブシリーズは、国内で唯一、ガソリン、CNG、LPG、電気の4つのパワートレインを持つ軽自動車となった。

7代目(ガソリン車・2014年 - )

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

15年1か月ぶりのフルモデルチェンジとなる7代目では前述のとおり、スズキが販売しているエブリイ・キャリイのOEM供給を受けて販売される。なお、スズキからOEM供給を受けるのはソリオのOEM車種であるデリカD:2があるが、軽自動車では初めてとなる。なお、ミニキャブのフルモデルチェンジに合わせ、一時生産を終了していた軽ワンボックスカーのタウンボックスもエブリイワゴンのOEM車種として復活し、フルモデルチェンジされた。

なお、エブリイ・キャリイは既にマツダ(スクラム)や日産自動車(NV100/NT100クリッパー)にもOEM供給されていることから、日本国内の自動車市場では稀な4兄弟車種となった。

バンは荷室の床面長・幅・高さを最大限確保するとともに、荷室床面地上高を低くし、リアゲート開口部を広くしたことで四隅まで無駄なく収納できることで積載能力を高め、インパネ周りを中心とした豊富な収納スペースを備えたことで使い勝手を向上。AT車・MT車を問わず、ステアリングホイール付近に配置したインパネシフトの採用によりスムーズな変速操作を可能にするだけでなく、前席シートフロア中央をフラット化したことで前席ウォークスルーが可能となった。併せて、乗降ステップ高を低くし、乗降グリップを装備し、ドア開口度を大きくしたことで優れた乗降性を実現。NA・4WD車は走行中でも2WD/4WDの切り替え操作ができるようになった。エンジンは全車DOHC化され、NA・3AT車は低排出ガス性能と燃費の向上により、「平成17年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成27年度燃費基準」を同時に達成した。グレード体系は「M(エブリイ「PA」相当)」、「G(同「PC」相当)」、「ブラボー(同「JOIN」相当)」、「ブラボーターボ(同「JOINターボ」相当)」の4グレードが用意されるが、エブリイの標準ルーフ車「GA」に相当するグレードがなく、5MT車は「M」のみの設定となる(エブリイでは全グレードに5MT車を設定)。
トラックは荷台フロア長を拡大し、荷台床面地上高を低くしたことで積載能力や作業効率を高め、ストッパーも付いたロープフック付トリイ、荷台ステップ(運転席/助手席側)、大型ゲートハンドルなどを備えた。収納スペースはバン同様、インパネ周りを中心に数多く備えた。ホイールベースは先代から295mm短縮して5代目以来となるショートホイールベースとなったことで、最小回転半径を3.6mに縮小し、タイヤハウスを前席シート下にレイアウトしたことで足元スペースが広くなると同時に、積載時の前後重量バランスが最適となるように設定され、アプローチアングルを大きくし、バンパー地上高を高めにしたことで悪路走行時に車体底部をこすりにくくするなるなど走破性を高め、低いドア開口高と広い開口角・足元開口幅により乗降性を高めた。なお、ボディタイプにおいても先代のセミキャブオーバー型から5代目以来となるキャブオーバー型に回帰されている。エンジンはバン同様にDOHC化されたが、低燃費と力強い動力性能を両立する連続可変バルブタイミング機構付(VVT・吸気側のみ)のR06A型を採用したことで燃費性能を高め、全車平成27年度燃費基準を達成した。ボディ表面積の95%に防錆鋼板を採用するなど、過酷な条件下でもサビから車体を守る防錆対策が施された。グレード体系は「M(キャリイ「KCエアコン・パワステ」相当)」、「G(同「KX」相当)」、「みのり(同「KCエアコン・パワステ農繁仕様」相当、4WD・5MT車のみの設定)」の3グレードが用意されるが、キャリイの「KC」・「KCパワステ」・「KCパワステ農繁仕様」に相当するグレードは設定されていない。また、「G」に関しては4WD車のみ、キャリイ「KX」ではメーカーセットオプション設定となっている助手席シートベルトプリテンショナー機構、助手席エアバッグ、ABSが標準装備される。
なお、バン・トラック共に外観上はエンブレム類の変更程度[6]である。ボディカラーはバンはエブリイと共通のカラーバリエーションである(「ブルーイッシュブラックパール」は「M」を除く)が、トラックは「シルキーシルバーメタリック」の設定がなく、「スペリアホワイト」のみの設定である。

特装車

軽トラック市場は競争が熾烈で、他社(他車)への対抗上、形態や機能が酷似した特装車が各社に用意されている[7]

  • 1991年 - スイッチ一つでリアサスが縮み、荷台が低くなる装置をトラックのオプションに設定。これはほぼ全てのトラックに装備が可能であった。ダイハツ・ハイゼットにも同様の仕様が存在した。本機能はワゴン車椅子仕様車のニーリングに流用されている。
  • 1994年 - 5代目トラック4WDに四輪クローラー仕様が登場。これもまたほぼ同時期のホンダ・アクティダイハツ・ハイゼットにもクローラー仕様が存在する。これら3車のクローラーは、それぞれのメーカーの協力企業が異なるため、形式が異なる。なお3車はそれぞれ現行型にフルモデルチェンジしたことによりクローラーは全て消滅した。
  • 1999年 - 6代目登場と同時にダイハツ・ハイゼットデッキバンに対抗する、バンのCピラー以降の屋根と窓(ショルダーラインより上)を取り払ったダブルキャブを追加。
  • 2002年 - ダイハツ・ハイゼットジャンボに酷似した、トラックのキャブを後方へ拡大したスーパーキャブを追加。OEMの日産・クリッパーでは、日産が使い続けている商標であるキングキャブとなっている[8]

後二者は販売政策の都合でラインナップされたものであるが、嚆矢であるハイゼットの同様のモデルに対し、ミニキャブのシェアは約1割に留まっており[9]クリッパーを含めたところでその差は埋まらないのが現状である。 テンプレート:-

中華汽車・菱利

台湾中華汽車(CMC)では、4代目以降のミニキャブをベースにより長いホイールベースが与えられ、多様な形状のボディが架装された中華汽車・菱利(英語名:CMC Varica)が製造されていた。菱利は800ccの3G82をベースに直列4気筒とした1,061cc 58ps(43kw)の4G82エンジンを搭載していた。全長はテンプレート:Convert、全幅はテンプレート:Convertに拡大され、最高時速はテンプレート:Convert[10]であった。また、バンパーも形状が変更され、ミニキャブとはやや異なるフロントフェイスとなっている。

現在は6代目をベースに全長を延長し、より丸みを帯びたバンパーにフェイスリフトされ、エンジンも排気量1,198ccの4A32および1,299ccの4G13(2011年のマイナーチェンジ以降より)を搭載した3代目菱利が販売されている。なお6代目のラインアップは当初トラックのみとなっていたが、2012年以降より5人乗りのワンボックスワゴンが13年ぶりに復活、これに伴い車名をスーパー菱利(英語名:Super Varica)に改名した。

車名の由来

小さな車体に広い荷台をもつキャブオーバーという意味で命名。なお、イギリスでは"minicab"はタクシーキャブのことをさす。

脚注

  1. [1] - 三菱自動車工業 2013年8月29日閲覧
  2. 「軽商用電気自動車『MINICAB‐MiEV』100台発注を決定 - ヤマトホールディングス 2011年5月17日付け
  3. 【CEATEC 12】三菱自、ミニキャブMiEVトラック を初公開 - Response 2012年10月1日閲覧。
  4. 軽トラックの電気自動車、『MINICAB-MiEV TRUCK』を新発売 - 三菱自動車工業 ニュースリリース 2012年12月26日閲覧。
  5. 新型軽商用車『ミニキャブ トラック』、『ミニキャブ バン』、新型軽乗用車『タウンボックス』を発売 - 三菱自動車工業 プレスリリース 2014年2月27日
  6. 6代目同様、リアはスリーダイヤと車名ロゴを並べたデカールを左下に装着しており、バンに関してはエブリイやほかのOEM車種とは異なり、リアにCIのエンブレムが装着されない
  7. 品揃えが少ないと、他社に簡単に鞍替えされるため、独自技術で存在感をアピールするか、ニーズの有りそうなものについては、他社の模倣と言われようとも追加設定される。
  8. キングキャブはダットサントラック620型系で初登場し、その後もハードボディ トラックフロンティアタイタンに引き継がれている。これまではボンネットピックアップトラックのみであり、OEMとは言え、キャブオーバー型ではクリッパーが初となる。
  9. 原因として圧倒的な価格差も考え得る。
    • ハイゼットジャンボが91~119万円、ミニキャブスーパーキャブが102~125万円。
    • ハイゼットデッキバンが111~144万円、ミニキャブダブルキャブが141~160万円。
    と、ベースグレード同士だとスーパーキャブで10万円・ダブルキャブでは30万円もの価格差が存在する。(各社公式サイト、2013年2月28日。)
  10. テンプレート:Cite book

関連項目

テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:三菱車種年表 (初期) テンプレート:三菱車種年表 テンプレート:自動車