ボードゲーム
ボードゲーム(board game)とは、ボード(盤)上にコマやカードを置いたり、動かしたり、取り除いたりして遊ぶゲームの総称。盤上ゲーム、盤上遊戯とも呼ばれる。
目次
概説
「board game」という語は基本的には、プレーヤーが実際に盤を囲んで楽しむゲームを指している[1]。[2]。
ボードゲームの歴史は、遺跡から発掘されたものによって、少なくとも紀元前数千年前まで遡ると推定されている。→#歴史と分類
ボードゲームは多種類あり、様々な分類のしかたがあろうが、ひとつの分類方式として、歴史的な系統に着目し5系統程度に分類する方法がある。ただし、近年では毎年のように様々なボードゲームが生まれており、全てのゲームを分類しきるのはいずれにせよ困難である。→#歴史と分類
世界的に見て、現在、特に多くの人々に知られているボードゲームとしては、(挙げ方はいくらでもあろうが)例えば、チェス、碁、リバーシ(オセロ)、バックギャモンといったところが挙げられるであろう。 (各人の好みで他にも挙げたいゲーム名は多々あろうが、他のゲーム名については#19世紀末までに生まれたゲームを参照のこと。)
日本に限って言えば、特に広く知られていて大人の競技人口が多いのは、囲碁、将棋、連珠、オセロ 等々であり、その中でも特に囲碁と将棋はファンの人口が多く、毎週末にテレビ番組が放送されている[3]。また日本で子供時代にほとんどの人が経験するボードゲームとしては、双六がまず挙げられよう。
歴史と分類
- 歴史
最も古いボードゲームと推定されているのは、エジプトの紀元前3500年ころの遺跡および紀元前3100年ころの遺跡から発見されたセネトである。(なお、このタイプのゲームは世界各地に影響を与えたのか、en:Shahr-e Sukhteh(現在のイラン南東にあった都市)にも紀元前3000年ころには類似したボードゲームが見つかっており、東ローマ帝国ではタブラとなり、中国に伝わり「雙陸」と呼ばれ、日本にもすでに7世紀ころには伝わったと推定され「盤双六」と呼ばれ、あまりに人々が熱中するので日本では権力者によって禁止されるほどだったという。世界各地に様々なバリエーションがあり、1920年に米国でダンブリン・キューブを用いる改変によって 有名なバックギャモンとなり、熱中する人が再び増えた。)
また古代エジプトではメーヘン(Mehen)という神話的蛇神の形をしたボードを用いるゲームが紀元前3000年ころから紀元前2300年ころにかけて行われていたらしい。
古代メソポタミアの都市国家、ウル(現在のイラク南部にあたる場所にあった、人類史上最も古い部類の都市国家のひとつ)の紀元前 2600年ころの遺跡から20のマス目の盤が発見されている。
中国では春秋時代(BC 770~403)には囲碁が生まれていたらしい。
インドで6世紀ころにはチャトランガがあったと考えられており、2人でプレイするタイプのルールが各地に伝わり変化するうちに、西欧のチェスや、中国のシャンチー(象棋)、日本の将棋等々になったと考えられている。
ゲームのテーマは時代とともに変化してきており、20世紀には、盤上で軍事作戦や会社の経営をできるだけ再現しようとしたシミュレーションゲームも盛んに遊ばれるようになった[1]。
- 分類
ゲームのルールの分類には様々な視点が可能であり、ボードゲームに限っても厳密に分類しきれるものでもない。だが、ゲーム史研究の分野では次のような分類がなされている[4]。
まず、駒を置く複数の位置が区別されているような、そのゲーム用に作られたボード(盤)を使うゲームをボードゲームと呼び、そのような盤は使わずに駒やカードだけを主に使うゲームをテーブルゲームと呼ぶ。後者(テーブルゲーム)に分類されるものは、カードゲーム、麻雀、ダイスゲームなどである。
この定義のボードゲームは次の5つに分類されている。
- 競争ゲーム(レースゲーム)駒を動かしてゴールに達することを競う。双六、バックギャモンなど。動きを決めるためにダイスを使うものが大多数である。
- マンカラ 基本的には2列の穴と、そこに入れる小石を使い、sowing(種蒔き)と呼ばれる特殊な動きでゲームが進行する。
- 包囲ゲーム 敵駒を囲むことを競う。狐と鵞鳥、囲碁など。
- 戦争ゲーム 敵駒を取ることを競う。チェス、将棋など
- 配列ゲーム 盤上に駒を特定の形で並べることを競う。連珠、囲連星、ナイン・メンズ・モリスなど。
その歴史的変遷の図がウェブ上で公開されている(外部リンク参照盤上ゲームの系統と変遷)。 ルールだけを見れば、競争ゲームや包囲ゲームに戦争ゲームの駒取りの要素があったりするように、分類の境界が曖昧に見えるゲームもあるが、おそらくは歴史的系統の観点を踏まえて上記の分類がなされていると考えられる。また、人生ゲームやウォー・シミュレーションゲーム、ドイツのボードゲーム、など近現代に考案されたゲームのルールには上記の分類に当てはまりにくい要素もある。
19世紀末までに生まれたゲーム
ここではまず、19世紀末(1900年)までに誕生していた歴史の長いボードゲームを挙げる。
- アフリカ
アフリカでも特にエジプト発祥のものについては上記#歴史と分類を参照のこと。
- インド
- チャトランガ
- en:Pachisi (後に米国で「en:Parcheesi」となる)
- en:Snakes and ladders(インド発祥。生まれた時代は不明。蛇と梯子。19世紀にイギリスへ。)
- ヨーロッパ
- チェス(インドのチャトランガが、ペルシャに伝わり、いくつかの経路で9世紀にはヨーロッパに伝わり、西暦1000年ころには全ヨーロッパに広がり、1200年ころからルールの改変が行われた。1475年ころにはおおむね現在のチェスのルールになったらしい[5]。)
- チェッカー
- ナイン・メンズ・モリス(古代ローマ時代に生まれたと考えられ、中世イングランドで流行。)
- リバーシ(イギリス、1883年)
- Halatafl(北欧、14世紀以前。バイキングなどが遊んだ戦略ゲーム。「Halatafl」は「キツネの尻尾」という意味。キツネとガチョウの原型となった。)
- ドミノ(中国の牌九で使われている牌を用いて、18世紀ころにイタリアでルールを改変して遊ばれ始めたらしい)
- 米国
- Halma(ハルマ) (米国、1883年か1884年。en:Chinese checkers、ダイヤモンドゲームの原型になったもの)
- アジア
- 中国
- 朝鮮
- 日本
- 囲碁(おおまかに言えば中国の碁がそのまま伝えられたものである。が、勝敗判定の数え方等が微妙に異なる[1])
- 連珠
- 将棋
- 中将棋
- 軍人将棋
- 双六
- 福笑い
- ごいた(北陸地方)
- うんすんかるた(人吉)
- 掛合トランプ(掛合町)
- 十六むさし
その他
20世紀以降に生まれたもの
ここでは1901年以降に考案されたものを挙げる。 (考案年、考案者名、発祥国が明らかな場合、括弧内にできるだけ示す)
ア行
- アーカムホラー
- アグリコラ
- アクワイア(Sid Sackson考案、1962年発売 )
- 穴掘りモグラ、モグラカンパニー(1995年、ベルトラム・カエスとヴァージニア・チャーベス考案、ドイツ)
- アバロン(1987年、 Michel LaletとLaurent Léviが考案)
- アフリカ
- アベ・カエサル(1989年、Wolfgang Riedesser考案、ドイツ)
- アムレット
- アリマア(2002年にOmar Syed考案)
- アンダーカバー、アンダーカバー2
- イースター島
- 1号線で行こう
- 1856
- 囲連星(1987年、東陶基と伊田正規の対局によって生まれた。)
- ヴィラパレッティ(Zoch Verlag考案、2001年発売)
- ウサギとハリネズミ
- エアラインズ
- エルフェンランド
- エントデッカー、ニューエントデッカー
- 王への請願
- オールザウェイホーム
- 億万長者ゲーム
- オセロ(イギリスで1883年に生まれたリバーシを基に、長谷川五郎が牛乳瓶の蓋で試作、ツクダが商標登録を行い1973年4月29日に発売。リバーシと原理はほぼ同じだが、初期配置は異なる。)
- おばけキャッチ
- おばけ屋敷ゲーム
カ行
- ガイスター、ファンタスミ(Alex Randolph考案、1982年発売)
- 海戦ゲーム
- カタンの開拓者たち
- カピトール
- カヤナック
- カラバンデ
- カルカソンヌ
- カルタヘナ
- 貴族の務め
- キャントストップ
- 魚雷戦ゲーム
- クラウン
- グリード
- クルード(en:Cluedo)
- グローカルヘキサイト
- 原始スープ
- コズミック・エンカウンター
- 五目並べ
サ行
- ザーガランド
- サタスペボードゲーム 大大阪
- サッカーチェス
- ザップ・ゼラップ
- 砂漠を越えて
- サムライ
- シークエンス
- ジェンガ
- シャーク
- ジャワ
- ジャンクション
- 乗車券
- 人生ゲーム(1960年、米国。その後、バリエーション多数)
- スクラブル(1938年 Alfred Mosher Butts考案。米国)
- スコットランドヤード
- ストラテゴ(20世紀初頭の西洋軍人将棋)(en:Stratego)
- 戦国武将ゲーム
タ行
- たほいや
- チクタクバンバン
- チグリス・ユーフラテス
- チャオチャオ
- ツイスター
- 冷たい料理の熱い戦い
- ティカル
- テイク・イット・イージー
- ディプロマシー
- テンペスト
- どきどきワクワク相性チェックゲーム
- トランスアメリカ
- ドラダ
- ドルンター&ドリューバー
- トレインレイダー
ナ行
ハ行
- バルバロッサ(一部では粘土ゲームとも呼ばれる)
- バロンポテトの晩餐会
- パンデミック
- ピクショナリー
- ヒストリー オブ ザ ワールド
- ヒューゴ、ミッドナイトパーティー
- フィーア
- フィフティーンダイス
- フィレンツェの匠
- プエルトリコ
- プエブロ
- ブラフ
- ブロックス
- ヘキセンレンネン
- ヘックス
マ行
- マスターマインド
- マンハッタン
- ミシシッピ・クィーン
- ミスターダイアモンド
- ミリオンダイス
- モノポリー(20世紀初頭、米国)
ヤ行
ラ行
- ラー
- ラックオー
- ラビリンス(en:Amazing Labyrinth)
- ラミーキューブ
- リスク
- レーベンヘルツ
- レジスタ・サッカーゲーム
- ロストシティ
ワ行
関連項目
参考文献
- ↑ 1.0 1.1 ブリタニカ百科事典
- ↑ 注 - ただし、最近では、なんでもかんでもビデオゲーム化(コンピュータゲーム化)されていて、古くはスポーツのホッケーもビデオゲーム化され画面上で遊ばれ、テニスも、スタートレックの戦いもそうなったように、ボードゲーム(チェス、チェッカー、将棋、囲碁等)もビデオゲーム化されていて、ボードやコマ、カードを使わずに画面上で盛んに遊ばれている。
- ↑ 『囲碁の時間』および『将棋の時間』
- ↑ 寒川恒夫;岸野雄三;山下晋司;大林太良(編)「民族遊戯大事典」大修館書店(1998/07)ISBN 978-4-469-01260-6
- ↑ Hooper, David; Whyld, Kenneth (1992). The Oxford Companion to Chess, Second edition. Oxford; New York: Oxford University