ブローニングM1918自動小銃
テンプレート:Infobox ブローニングM1918自動小銃(Browning M1918 Automatic Rifle)は、アメリカで開発された自動小銃である。アメリカ軍をはじめ各国で、20世紀を通して使われた。
正式名称の頭文字を取ってBAR(バー)と呼ばれることがあるが、正しくはB.A.R.(ビー、エー、アール)とそれぞれ発音する。現在のブローニングの民間用猟銃にも「BAR」の名称の製品があるが、本銃とは完全な別設計である。
目次
概要
1917年、銃器設計技師のジョン・M・ブローニングにより設計された。フルオートとセミオート射撃を選択でき、軽機関銃のようにも使え、一人で運搬できて歩兵分隊の移動に追従する分隊支援火器の始祖とも言える存在である。
設計と歴史
BARは、ガスオペレーション方式、空冷、弾倉装弾式の銃器である。アメリカ軍用に製造されたものは、.30-06(7.62x63mm)弾を標準採用していた。重さは形式により異なるが、無装填の時7.3-8.6kgである。弾倉の装弾数は20発。
最初の量産品は第一次世界大戦末期の1918年2月に出荷され、これは突撃射撃(marching fire)用の自動火器として、塹壕から塹壕へ移動しつつ戦う歩兵分隊の有効な支援火器となった。BARの射手は弾倉入りの帯型ケースを首から下げ、腰だめに銃を構えた。この火器の登場により、制圧射撃で敵が頭を下げている間に、他の兵士が前進できるようになった。約85,000丁が大戦の終わりまでに製造された。
1937年6月、少数のBARに銃身下のガスシリンダーへのスパイク付き二脚の取り付けと、肩当てプレート(床尾上板)の取り付けが行われた。これはM1918A1として制式化された。
1940年には最後のモデル、M1918A2が製造された。これは分隊支援火器の射撃手専用としてセミオート射撃能力を廃止してフルオート作動のみとした。連射速度は調整可能となり、射手は「高速(毎分500-600発)」と「低速(毎分300-450発)」を選ぶことができた。二脚に付いていたスパイクはなくなり、突撃の際などに重くかさばる二脚自体を簡単に外すことができるようになった。1942年には、銃床がクルミ材からプラスチック(ベークライト)製に替えられ、第二次世界大戦末期には銃身の上にキャリングハンドルが取り付けられた。
頑丈で信頼できるという評価を得たBARは、兵士の間で非常に人気の高い銃であった。第一次大戦末期、第二次大戦中、朝鮮戦争などで、この銃は常に歩兵と共に最前線にあった。ベトナム戦争でもアメリカ海兵隊が使用した他、南ベトナム軍に支給されている。大戦中に大量生産されたBARは、M1ガーランドなどとともに多数の国・組織に供与された、国によっては1990年代まで使われ続けた。日本に対しても供与され、警察予備隊が装備した。陸上自衛隊に改編されたあとでも使われ続けたが、1960年代後半には62式7.62mm機関銃と64式7.62mm小銃と交代し、予備装備品となっていった。ポーランド、スウェーデン、ベルギーはBARの発展型として、ピストル式グリップの採用と、素早く交換できる銃身に改修したモデルを製造した。
設計上の欠点として、固定銃身であったために銃身が過熱・摩耗しても交換不可だったことが挙げられる。戦場ではセミオートで射撃を行ったり、M1918A2から追加された連射速度調整を使用するなどの策が取られていた。また、箱型弾倉は20発入りで分隊支援火器としては弾数が不足気味であり、BARの開発後に登場したZB26軽機関銃を源流とするブレンなど、各国の専用設計の軽機関銃と比較すると、火力不足も否めないところがあった。また、重量が増加する上にコストのかかる削り出し加工による精密な内部部品を使用していた。
BARは民間でも歴史に残る使われ方をされている。1930年代の大恐慌時代のアメリカで悪名を馳せた銀行強盗、クライド・バローは30歳代の時に、州兵の武器庫から盗んだBARの銃身を切り詰めた(ソード・オフ)ものを使っていた。
現在、セミオート・バージョンの民間用BARが「1918A3 SLR(Self Loading Rifle)」として製造されている。
派生型
M1918
全長:1,214mm 銃全長:611mm 装弾数:20発 使用弾薬:.30-06スプリングフィールド弾 ライフリング:4条/右回り
M1918A1
M1918A2
- 1940年に登場。
- フルオートのみ、発射速度切り替え可能(高速・低速)。
1918A3 SLR
- 民間向けバージョン。
- セミオートのみ。
Colt Monitor R80
wz.1928
- FN Browning IMG 1533.jpg
FN社のM1930。銃身交換機能やピストルグリップなどにより、分隊支援火器的な設計となっている
- RKM Browning wz. 1928, Muzeum Orła Białego.jpg
Wz.1928
ブローニング自動小銃の登場する作品
テンプレート:Hidden begin 第二次世界大戦のアメリカ軍を描かれた作品では頻繁に登場する。
映画・テレビドラマ
- 『ウインドトーカーズ』
- 『コンバット!』
- 『地獄の7人』
- 『父親たちの星条旗』
- 『パブリック・エネミーズ』
- 『バンド・オブ・ブラザース』
- 『プライベート・ライアン』
- 『ブラザーフッド』
- 『砲艦サンパブロ』
漫画
- 双子のグレーテルが使用。バレルの下に人形がついている。
アニメ
- 『ストライクウィッチーズ』『ストライクウィッチーズ2』
- リベリオン合衆国(史実のアメリカに相当)出身のウィッチ、シャーロット・E・イェーガーが使用。なお、本作品では実在のメーカー名はすべて架空のメーカー名に置き換えられており、作中におけるBARの正式名称は「ブラウニー・オートマチック・ライフル」である。
ゲーム
- DLC「DEAD MONEY」にて『オートマチック・ライフル』(AutoMatic Rifle)の名称で登場。
- 『THE 歩兵〜部隊で出撃!戦場の犬たち〜』
- 『オペレーション・ダークネス』
- 『コール オブ デューティシリーズ』
- 『戦場のカルマ』
- 『バトルフィールド1942』
- 『ブラザー イン アームズシリーズ』
- 『メダル・オブ・オナーシリーズ』
関連項目
外部リンク
- Browning Automatic Rifle BAR M1918 (USA)
- Browning Automatic Rifle 'BAR'
- THE HISTORY OF THE BROWNING AUTOMATIC RIFLE
- Browning Automatic Rifle Operation Part 1</br>米軍製作の教育用映画: 大型模型によるBARの内部構造解説 Part 1
- Browning Automatic Rifle Operation Part 2</br>米軍製作の教育用映画: 大型模型によるBARの内部構造解説 Part 2
- 戦跡の歩き方 各地に遺されているM1918(BAR)と詳細な解説