ファッションヘルス

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テンプレート:性的 ファッションヘルス(fashion health)とは、一般に女性従業員が男性客に個室で性的なサービスを提供する日本におけるいわゆる風俗店の一種。ソープランドのような浴室は無いがシャワーと個室が設置されている。略して「ヘルス」とも。「ファッションヘルス」は和製英語


概要

シャワーと個室を設置しており、客は女の子とシャワーを浴びた後、キスペッティングからのフェラチオ素股で射精へと導かれる。基本的に本番行為(挿入)は行われない[1]が、西川口流と呼ばれる本番行為を売りにした店舗もあった。本番行為を伴わず、ソープランドよりも安く、女性もアルバイト感覚で気軽に入店できることから人気を集め、1970年代末より増加し始めた。浴室が未設置のため当初は風営法の届出対象外であったが、1985年の風営法改正により性風俗店と定義され届出の対象となった。2000年代に入ると無店舗型のデリバリーヘルスが主流となり、従来の店舗型のファッションヘルスは減少傾向にある。

「ヘルス」と略すことが多いが、他にも性感ヘルスやニューヘルス、スーパーヘルス、ソフトヘルスなど、ヘルスの名を冠する店は多い。これらの区分について明確な定義は存在せず、各店舗がそれぞれのサービス内容に応じて自称するに任せられている。また、ファッションマッサージという呼び方をする場合や、「○○エステ」と称する店でも営業実態はヘルスと同じ場合がある。

ヘルスの種類

店舗型

  • 従来型ヘルス
    店舗の個室で一般的なサービスを行うタイプ。単に「ヘルス」と言った場合、この形態をさす。後述のデリヘルに対して「箱ヘル」と呼ばれることがある。
  • イメクラ(イメージクラブ
    店舗の個室でイメージプレイを行う。女子高生制服、ナースなどのコスプレ衣装を着用し痴漢プレイなどのシチュエーションを取り入れた店。
  • ファッションサロン
    パーテーションで区切られたボックスでサービスを行う。従来のピンクサロン(ピンサロ)のブースを少し改造しヘルスサービスを中心にした店。
  • マンヘル
    マンションを利用したヘルス。以前流行った「マントル」(マンショントルコ)」のヘルス版。マンションに女性が待機して、広告を見て電話した客をそこへ向かわせサービスを行う。そのため部屋が広く使え、彼女の家に来た雰囲気が味わえる。風営法の規制を嫌い届出をしない場合、女性従業員をマンションに住まわせた住居を装い営業している。一時話題になったが無認可の闇営業ゆえ経営の実態が掴めないので客から敬遠され最近ではほとんど見られない。
  • マットヘルス
    ローションを大量に体に付着させ、マットの上で体を密着させて行ういわゆるローションマッサージプレイを専門としたお店。
  • 回春エステ
    アロマオイルやローションなどを使用したマッサージを基本としたリフレクソロジーに性的なサービスをプラスしたお店。

無店舗型

  • デリバリーヘルス(デリヘル)
    男性客が待つ自宅やホテルへ女性従業員を派遣し、サービスを行う。駅前などへ女性従業員を派遣し、そこから客と女性従業員が二人でホテルに向かうシステムも存在する。
  • ホテルヘルス(ホテヘル)
    一般的にラブホテル街近くの雑居ビル内などに受付をもち、そこで女性従業員を選ばせ料金を受け取った後、客と女性従業員が二人でホテルに入りサービスを行う。デリバリーヘルスの一種であるが、受付で客と女性従業員が会うことになり、会計も受付で行なうため、デリバリーヘルスとは区別される。ホテル代が別途必要になることが多い。

サービスの種類は前述の店舗型のものと同様、またはいくつかを組み合わせている。

法律上の位置づけ

ファッションヘルスは多くの場合、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)第2条第1項の6の二の「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」に該当する店舗型性風俗関連特殊営業店であり、管轄の公安委員会 へ届出を行っている。 また、類似した店舗に「韓国式エステ」「台湾式エステ」「中国式エステ」「アロマエステ」などの「〜エステ」という名称の店舗も多く存在するが、基本的にこれらの「〜エステ」という名称の店舗のうち性的なサービスのない店舗は「性風俗産業」とは違い、「マッサージ業」として営業していることが多い。この場合公安委員会への届出ではなく管轄の保健所の営業許可となる。「性風俗関連特殊営業」となると、営業可能時間帯は日の出の時刻相当(午前4時)から翌日の午前1時までといった制限がある。

サービス内容

一般的な店舗型ヘルスの場合

男性客は個室に案内されると衣服を脱ぎ、シャワーで女性従業員に体を洗われる。(シャワー施設がない場合はお絞りやウェットティッシュ等で陰部等を拭かれる)

女性従業員は全裸や半裸になり、全身リップや乳首を舐め、手コキフェラチオ玉舐め等を行う。男性は女性従業員を抱きしめ、ディープキスしたり、乳房を揉むなどの行為ができ、乳首女性器肛門など性的興味をそそられる部分を触れたり舐めたりシックスナインなどの本番以外の行為を行うことができる(店や女性従業員により若干制限がある)。最終的には素股フェラチオなどで射精させるが、西川口流と呼ばれる店舗ではコンドームを着用しての射精か生で挿入後の膣外射精または口内射精となる。また女性によっても合意の下で本番ができることがある。

再度シャワーで女性従業員に体を洗われ、衣服を着た後に女性従業員の見送りを受けて退店する。

店舗によっては男性客が一切服を脱がず、女性従業員が全裸になり、男性客が指マンクリいじりやアナルくすぐりするようなCMNF状態のプレイや、オプションとしてチェキ撮影がある店舗では全裸の女性とのツーショット写真を撮ることも可能である。

入店受付で顔写真を見て指名できる店が多い。店頭のほか顔出しOKの嬢は店舗の公式サイトや風俗情報サイト、風俗情報誌で在籍者を閲覧することもできる。かつては風俗情報誌から「フードル」という言葉も生まれ、人気の風俗嬢のランキングで盛り上がりを見せていた。

女性の肛門への指入れや激しい手マン等は禁止されていることがあり、店舗から別途料金を請求されることがある。

料金は30分1万円前後が一般的である。7,000円〜30,000円程度で30分〜90分程度楽しめる。高級派遣ヘルスになると、2時間で100,000円というものもある。ソープランドよりも割安で、素人っぽい女性も多いことから、風俗業界の中でもファッションヘルスの人気は高い。

サービスの多角化

ヘルスの軒数増加や1990年代のブルセラブームも相俟って、各店は工夫を凝らしサービス内容が多角化している。例えば女性店員に好みの制服などのコスプレをさせ、それを脱がしながら裸にするなど、痴漢セクハラといった設定でのイメージプレイなどを行う店舗もある。元々はファッションヘルスという形態が出来る前にも会員制の「イメージクラブ」として存在していた店舗もあるが、今日ではイメクラといえばコスプレ等のあるファッションヘルスを指すことが多い。店によっては女性店員に放尿させたり、「聖水」を男性客が飲んだり顔に被ったりできるオプションのある店舗もある。

通常のヘルスに飽きた客のために、逆に女性従業員が下着を脱がず、手のみを使った性的サービスを提供するソフトヘルスや、性感エステもある。ソフトサービスのため、通常のヘルスに比べて素人っぽい女性従業員も多く、より自然な雰囲気を好む男性客も多いという。

また、入室後洗っていない男性器をいきなり女性従業員が咥える即尺プレイなど高級ソープランドでのサービスを取り入れる店もある。

有名なヘルス街

全国の風俗街については「風俗街」を参照

詐欺的集客

質の良いサービスを提供している優良店もあるが、悪徳な業者も少なくない。中には詐欺同然ともいえる行為を行う業者も存在するため、利用する前の情報収集は重要である。

たけのこ剥ぎ
当初の提示した料金に上乗せしないとそれ以上のサービスが受けられないとして追加料金の請求を行うこと。受付時に告知していないことが多く、支払ったもののさらに料金が必要となったり、時短で終了とするなどぼったくり、詐欺の手口のひとつとして横行した。
誇大表現
出勤していない女性従業員を出勤扱いにする。在籍しておらず辞めている女性従業員を在籍扱いとする。[2]
振り替え
予約した女性従業員が急に体調が悪くなったと言われ別の女性従業員をあてがわれる。体調不良や出勤の直後または当日に生理になって早退もしくは休むという実例はあるものの、実際は最初から人気のある女性従業員の予約を重複受付している場合が多い。
ダミー出勤
これは上記の振り替えとの合わせ技で使うことが多い。本来は出勤していない女性従業員を出勤表に上げて、出勤数の水増しを行うことである。写真指名がなかなかされない、予約が滅多に入らない不人気な女性従業員をわざと混ぜて行う手口が多い。人気がある女性従業員だと、受付終了といってごまかす。
写真の修整
女性従業員の写真を修整・加工して提示する(パネルマジック)。また、全く別人の場合もある。

脚注

テンプレート:Reflist

出典

  • 石井慎二 他編著『別冊宝島124号 セックスというお仕事』 1990年12月 JICC出版社

関連項目

  • 『セックスというお仕事』 p.45
  • 女性従業員が無断で辞めてしまうこともあり、その場合本当に辞めたのか連絡が取れないだけなのか判断が難しいためしばらく写真が残されるケースもある。