ビグ・ザム
テンプレート:Pathnav ビグ・ザム (BYG-ZAM) は、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の兵器である。
この記事では、派生作品に登場するバリエーション機についても記述する。
機体解説
テンプレート:機動兵器 一年戦争終盤、ジオン公国軍は地球連邦軍の本拠地であるジャブローを攻略するための兵器を開発していた[1]。本機の開発にあたっては、圧倒的な攻撃力と防御力を兼ね備えた機体であることが求められた。結果として機体は大型化し、全高60mにも及ぶ巨大MAとして完成した。機体色は緑で巨大な楕円状・円盤型の胴体と、2本の脚部を持つ。外見のデザインはジオン公国章をモデルにしているという説がある。乗員は3名であるが、操縦系の切り替えにより1名でも操作が可能である[2]。
機体中央部には大型メガ粒子砲を装備しており、一撃で戦艦を沈めるほどの破壊力を有する[3]。また、胴体部には水平360度全方位に計26基のメガ粒子砲が張り巡らされ、敵地にて一斉掃射することで壊滅的なダメージを与える[3]。脚部には片足3本のクローが設置され、射出することで対空防御兵器として機能する。
防御用にIフィールドジェネレーターを搭載しており[4]、中長距離からのビーム兵器を完全に無効化する。一方で肉薄攻撃でのビーム攻撃や実体弾兵器の攻撃に対しては特別な防御手段は持たないが、本機は装甲も分厚く、劇中では至近距離からボール部隊の180mmキャノン砲で集中攻撃されてもまったくダメージを受けなかった。
攻守ともに圧倒的な性能を誇る本機は、これら複数のメガ粒子砲やIフィールドジェネレーターを稼動させるために4基の超大型熱核反応炉を搭載しており、出力は140,000kWにも及んだ。しかし、宇宙空間ではその冷却に課題が残り、本機の稼動時間はわずか20分程度であった。なお、劇中では再出撃を見越していないためか、それよりも長く動いている。
当初の計画では量産化及び地上での運用を検討されており、牽引させたムサイよりジャブローへ向け降下させた後の、中隊規模の部隊編成による要塞の瞬時発見・殲滅という運用が期待されていたが、初号機ロールアウト時点でジオン公国が敗北し、量産化までには至らなかった[5]。
劇中での活躍
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』第35、36話及びアニメ映画版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』中盤に登場。地球連邦軍によるソロモン攻略戦で活躍した。
TV版第35話で、ジオン公国のギレン・ザビより援軍としてソロモンに送られた[3]。だが受け取ったザビ家の三男でソロモンの司令官でもあるドズル・ザビは、「戦いは数だ」と逆に憤慨している[6]。本機は分解された状態でパプア級補給艦に積載され、ソロモンに到着。ただちに要塞内部のファクトリーで再組み立てが行われたが、ソロモン戦の序盤には間にあわず、出撃できなかった。
TV版第36話では、ソロモンから撤退するジオン公国軍艦艇の時間稼ぎとして、ドズル・ザビら3名が搭乗し出撃。要塞内部に侵入したジム(パイロット シン)やボール部隊などの連邦軍ソロモン侵攻部隊を殲滅するほか、ビーム砲による長距離攻撃で連邦軍宇宙艦隊のマゼラン級宇宙戦艦やサラミス級巡洋艦を多数撃沈した。その中には、ティアンム艦隊旗艦「タイタン」も含まれる。以上の戦果から、ドズルは「ビグ・ザムが量産の暁には連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ」と述べる。しかし既に、資源、運用人材両面でジオンにはビグ・ザムを量産する余力など残っていないことは明白であった。
圧倒的な性能を誇り、単機で連邦軍を返り討ちにする勢いだったビグ・ザムであったが、Iフィールドジェネレーターによるバリアシステムはゼロレンジからの攻撃を無効化できないという弱点を見抜いたスレッガー・ロウが、自身の操縦するGファイター(映画版ではコア・ブースター)にアムロ・レイの操縦するガンダムを乗せて肉薄攻撃をかけた。しかし、ビグ・ザムの迎撃によりスレッガー機は撃墜され、分離したガンダムが至近距離からビームライフルで攻撃。さらにビームサーベルで白兵戦を挑むという連携攻撃により、ビグ・ザムは撃破される。それでも完全な破壊には到らず、後方からのサラミスの艦砲射撃によってようやく爆発した。
漫画『THE ORIGIN』では、元々ドズルがジオンのMS開発を主導していたという設定になっており、本機もドズル自身の命により開発されている。スレッガーの特攻はビグ・ザムの足がコア・ブースター部分を握り潰し、その結果分離したコア・ファイターが特攻する形に変更されている。
劇場版Ζ機軸で描かれた漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、ジオン残党軍の所有機体がカラバと協力してティターンズのキリマンジャロ基地攻略作戦に参加する。少なくとも8機が確認されており、かんじきを装着している。これらの機体は一年戦争後アナハイム・エレクトロニクス社に吸収された旧ジオン開発者達の手によってキャリフォルニアベース周辺で密かに生産・完成された。ただし、この作品自体は公式設定という訳ではない。
バリエーション
- MA-08 ビグ・ザム(ザビ家仕様)
- 『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』で登場した機体。ビグ・ザムにミサイルランチャーを装備することで武装を強化した機体。さらにミノフスキー・クラフトによる陸上での行動範囲の拡大化が行われている(空を飛べるわけではない)。また、機体の各エッジ部分に装飾もされている。
- MA-08-2 ビグザム改
- 『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』に登場した機体。巨神の発動を阻止するためシャア・アズナブルのネオ・ジオン部隊が2機率いてきた。発動した巨神を止めるため導入されるが2機とも撃破される。戦闘に導入された内、1機は目と歯のマーキングが施されていた。
- MA-09 量産型ビグ・ザム
- 『SDガンダム GGENERATION』にて登場した機体。元々ビグ・ザムはジャブロー攻略用に開発された機体であるため、陸上での運用に特化され、塗装も森林迷彩色になっている他、機体のコスト削減・稼働時間延長のためIフィールドジェネレーターは耐ビームコートに変更されている。
- 漫画『機動戦士ガンダム カタナ』では、宇宙世紀0084年に反地球連邦組織「シン・フェデラル」所属機として登場。基地防衛用やベレーノ・アバッキオ機が登場したが、いずれも撃墜された。
- OMAX-01 グラン・ザム
- 宇宙世紀0120年代に火星独立ジオン軍(オールズ・モビル)が開発していた巨大MAで、言わば「RFビグ・ザム」と呼ぶべき機体である。外観としては地上での運用を強く意識したものか、ビグ・ザムの胴体部に巨大なホバーユニットを接続したような形になっている。完成前にオールズ・モビルが壊滅したために結局日の目を見ることなく闇に葬られた。元々ゲーム『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』の最終ボスとして設定されたメカだったが、実際には登場していない。『SDガンダム GGENERATION』シリーズには、高火力・重装甲ではあるが移動力が低いMAとして登場している。
- ドグザム
- 『MSV90』で登場した、ビグ・ザムの発展機として構想された機体。一対のアームなどが追加されている。終戦により、制作には至らなかった。
- MA-08A[7] ビグ・ザム(アクシズ仕様)
- 『ガンダムトライエイジ』ビルドMS1弾より登場した機体。キュベレイに似たカラーリングが施されている。
- メガモビルタンク ビグザム
- 『SDガンダムフォース』で登場した巨大メカ。ダークアクシズの三隊長が操縦する。
脚注
関連項目
テンプレート:宇宙世紀- ↑ OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』では、ギニアス・サハリン技術少将の手によるMA「アプサラス」が登場する。キャルフォルニアベースでは水陸両用MS「アッグシリーズ」が開発された。
- ↑ TV版第36話。ドズルは部下を脱出させ、1人でビグ・ザムを操縦し、敵艦隊に特攻した。ただし、劇中ではさらに多数の乗員が脱出している。
- ↑ 3.0 3.1 3.2 機動戦士ガンダム公式Web「メカ-ジオン軍-ビグ・ザム」
- ↑ 劇中では「磁界」「磁気バリア」と表現されるのみ。
- ↑ 書籍「モビルスーツバリエーション2・ジオン軍MS・MA編」講談社
- ↑ ドズルはリック・ドム10機の方が良いと怒ったが、彼はシャアを重用するキシリアへの対抗意識からソロモン戦直前にコンスコン機動部隊をホワイトベース戦に投入。巡洋艦4隻とリック・ドム18機を失っている。
- ↑ ガンダムトライエイジのプロモーションカード裏書きより