ジオン公国

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ジオン公国(ジオンこうこく、Principality of Zeon[1])は、アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズにて登場する架空の国家。『機動戦士ガンダム』では、主人公アムロ・レイが所属することになる地球連邦軍に敵対する勢力として登場する。

概要

地球周回軌道上で、地球からは最も遠いの裏側に位置するサイド3に本拠を置くスペースコロニー国家首都はズム・シティ。ジオニズムを国是と称するが、ザビ家的解釈によるジオニズムは「人の革新」を「選民」としている。形式的には国家元首は公王のデギンで、ダルシア首相が政府の首班である。しかし、実質的には公王の子息のギレン・ザビ総帥として国政の実権を掌握している。

総人口は1億5000万で[2]、100億を超える地球圏の総人口の大半が連邦に帰属する中では(月面都市群やサイド6等の中立地域の存在を考慮しても)圧倒的に不利な状況にあり、国力も「地球連邦の30分の1以下」であるとされる。しかし優秀な将兵や優れた軍事技術を保有しており、特にミノフスキー物理学時代の申し子であるモビルスーツを連邦に先駆けて実用化したことにより、公国軍は極めて精強で一時は連邦を圧倒する活躍を見せた。

主な産業は製造業で地球連邦向けの輸出で潤う一方、資源は不足しており資源開発に多大な投資を行ってきた。宇宙世紀0034年には資源枯渇による急激なインフレが発生し、翌0035年には通貨危機が発生。0042年には工業生産力がピーク時から4割低下し、混乱した国民が強い指導者を求めた結果ザビ家の専制政治を許す布石となった。その後、奇跡的に経済は持ち直すが国民の資源枯渇に対する恐怖は、資源を多く持つ地球との対立へと国を導く。

ジオン公国の歴史

一年戦争開戦前

宇宙世紀0050年代、宇宙移民者(スペースノイド)たちの間に、被抑圧者階級としての自覚が高まってきていた。新たなフロンティア開拓の美名のもと、人々(=労働者)は宇宙で暮らし始めたが、“地球環境保全のため人類の生活圏を宇宙にシフトさせる”という理念は結果的に破られた。第1期移民が完了した時点で、移民はストップしてしまう。地球連邦の利権に群る政治家・官僚や富裕層は、宇宙より生活環境の安定している地球に居残り続けたのである。これは、先行して地球に別れを告げた移民者たち=スペースノイドにとって裏切り行為にほかならなかった。さらに連邦政府は各コロニー・サイドを「植民地」扱いし、コロニー公社などの特殊法人を通じてありとあらゆる重税を課すなどの多くの搾取を行うようになった。

このような状況の中、地球を自然のままそっとしておくべきとする「地球聖地論(エレズム)」と、宇宙生活で独特の視野を得た宇宙生活者の自治権確立をうたう「コントリズム」を融合した思想(後の「ジオニズム」)を唱えて、ジオン・ズム・ダイクンがサイド3にて政治活動を始める。やがてその運動はサイド3全域に広がり、宇宙世紀0058年に単独での自給自足が可能となった時点でジオン共和国の成立が宣言され、同時にジオン国防隊(国軍の前身)を設立させた。ダイクンは連邦政府との自治権をめぐる問題は、武力による実力行使ではなく、あくまで平和的に対話で解決しようとしていたと言われるが、実態は不明。宇宙世紀0059年、地球連邦政府はジオン共和国に経済制裁を実施し、両者の対立は深まっていった[3]

宇宙世紀0068年、ジオン・ダイクンが死去。ダイクンの実子キャスバル・レム・ダイクンは父がザビ一派に暗殺されたと主張したが、あくまでジンバ・ラルの受け売りであり、真実は不明[4]。ダイクンの死後、共和国は彼の側近であったデギン・ソド・ザビが引き継ぐことになった。デギンはそれまでのダイクンのやり方を一変させ[5]、連邦との実力行使も辞さない独立を目指すべくダイクン派を一掃し、ザビ家による独裁体制を敷き、共和制から君主制に移行して自らは「公王」に即位した。ジンバ・ラルは幼いシャアとアルティシア(セイラ・マス)を連れて地球へ脱出した。デギンは革命の英雄ジオン・ズム・ダイクンの思想を継いだ正統な後継者であることを対外的に宣伝するため、国号自体は変えずにジオン公国とした。デギンの長男ギレン・ザビはダイクンの思想を先鋭化させ、地球連邦政府に対する開戦準備を着々と進めていくこととなる。

さらに、デギンはダイクンの正当な後継者であると周囲に印象付けるために、首都の名前を、ダイクンのミドルネームから取ってズム・シティとした。

当該公国につけられた「ジオン」の国号については、映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙』でのシャア・アズナブルのセリフによれば、ザビ家によるジオン暗殺の嫌疑をそらすためデギン・ザビが「ジオンの名を使った」とされており、「ジオン共和国」は公王の死と公国敗戦による制度移行の結果生じたものである。よって、デギンが実権を握る前は国号としての「ジオン」は存在しておらず、1984年発行の『講談社ポケット百科シリーズ・機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(1)ザク編』(以下『MSV(1)』)によれば、宇宙世紀0058年にジオン=ズム=ダイクンの宣言により樹立した「サイド3共和国」が「ジオン公国」の前身であるとされている。また、公国制を採る前の僅かな時期について「ジオン共和国」という記述があるが、具体的にいつその名に移行したのかは明言せぬ表現に留められている。しかし、同書は印刷原板が処分されて入手困難となり、2006年に原本複写による復刻がなされるまで、その内容は長らく失伝していたとみられる。その間、「ジオン共和国」こそが一貫した「ジオン公国」の前身であるとする設定が新たに創作され、『めぐりあい宇宙』や『MSV(1)』等とやや矛盾する形で競合することとなった。本節先述の「ジオン共和国の成立が宣言され」及び「国号自体は変えずにジオン公国とした」はこれに基づくものである。『機動戦士ガンダムMS大図鑑PART.1』(バンダイ・1989)では、「0058年の独立宣言」では国号について触れずに『MSV(1)』の記述に準拠したうえで、同『MSV(1)』においてデギン・ザビが「国防隊」を「国軍」に昇格させた0062年が「公国」制に移行し「ジオン公国」が成立した年であるとして、新旧設定の整合を試みている。また、学研『機動戦士ガンダム 一年戦争全史(上)』(2007)では、「ジオン・ダイクンがサイド3の独立を宣言した0058年」という『MSV(1)』由来の記述をしながらも、具体的な共和国号を明らかにせずに「サイド3の共和国」とぼかし、0069年に「ジオン公国」が誕生したとしている。安彦良和の漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、公国建国前のジオン・ダイクン死亡時の国号が「ムンゾ自治共和国」であったとしている[6]

一年戦争開戦 そして敗北

ジオン公国は宇宙世紀0079年1月3日、地球連邦政府に対して、完全な独立を求めて宣戦布告。のちに一年戦争[7]と呼ばれることになるこの戦いの初期、ジオン公国軍はザクIIなどのモビルスーツを中心とした戦力や「コロニー落とし」の戦術でモビルスーツを持たない連邦軍を圧倒し、サイド1・サイド2・サイド4・サイド5の各スペースコロニーを壊滅させ、本来同胞たるはずのコロニー住民を、武装・非武装問わず虐殺するに至り、一説に地球圏の総人口の半数を死滅させたと言われる。これほど大規模な虐殺を行ったのは、宇宙世紀の世界観では前にも後にもジオン公国のみである。またコロニー落下の影響により、地球環境は甚大なダメージを被った。核兵器の使用禁止などを盛り込んだ南極条約の締結後は、戦線は膠着するもすみやかに地球に侵攻、鉱物資源の確保等、戦争の長期化に備えた。

しかし、連邦軍もV作戦を発動して独自にモビルスーツを開発。同時に宇宙艦艇の再建等で戦力を増強した連邦軍に徐々に戦線を後退させられ、最終的にはジオン本土(サイド3)に対する最終防衛ラインであるソロモンア・バオア・クーを陥落させられた。また、ザビ家一族も不和・内紛からまだ幼いドズル・ザビの娘ミネバ・ラオ・ザビ一人を残して全員が死亡してしまった。議会によって共和国に衣替えしたジオン共和国は、宇宙世紀0079年12月31日18:00、サイド6を通じて連邦政府に休戦を申し入れ、連邦政府は即座にこれを受諾、宇宙世紀0080年1月1日[8]、月のグラナダにて地球連邦政府と終戦協定を結び、同年2月18日終戦条約(グラナダ条約)[9]を締結した。

終戦後

ジオン共和国の投降勧告に従わなかったジオン公国軍残存勢力は地上においてはアフリカ、宇宙においては暗礁宙域やアクシズなどの小惑星群などへ撤退し、再起へ向けて地下勢力化していく。宇宙世紀0083年にはこうした勢力の一つデラーズ・フリートが反乱を起こし、ジオン残党の存在をアピールした。

アクシズでは、ジオン公王家が保護されていた。侵攻してきた連邦軍を撃退し独立を守ったことから、アクシズ政府内部では、自身を「ジオン公国」と捉える意識が強い。本国であるジオン共和国についても、事実上連邦の植民地とみなしていた。

一年戦争後からサイド3で存続していたジオン共和国は、グリプス戦役(『機動戦士Ζガンダム』の作中)においてはティターンズに協力させられていたが、第一次ネオ・ジオン抗争(『機動戦士ガンダムΖΖ』の作中)ではネオ・ジオン(アクシズ)に吸収されてしまう。そして、それまで形式的な自治を認められていたものの、宇宙世紀0093年の第二次ネオ・ジオン抗争を経て、0100年に自治権を放棄。正式に地球連邦政府の傘下となる(『機動戦士ガンダムUC』では0096年の段階でジオン共和国の自治権返上が決定している)。

公国軍の編成

総司令官は総帥でもあるギレン・ザビミノフスキー粒子による有視界戦闘に対応し、多数のモビルスーツを搭載できる艦艇を中心とした部隊編成で、開戦当初は古い戦術のままであった連邦軍を圧倒した。『機動戦士ガンダム』の段階では、ドズルの宇宙攻撃軍、キシリアの突撃機動軍、ガルマの地球方面軍といった設定しかなかったが、後に制作されたOVA機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や『機動戦士ガンダム MS IGLOO』シリーズで描写されることで、組織が増えていった[10]

総帥府
ギレン・ザビ麾下。通称「ペーネミュンデ機関」。プロパガンダ放送を制作・放送する[11]が、それはこの機関の活動の一つにすぎない。ここに所属する将校はコロニー落とし(ブリティッシュ作戦)ソーラ・レイを作戦実行前に熟知しているなど[12]、情報に対するアクセス権が高い。さらに特権があたえられており、通常部隊では二階級上の待遇をうける。たとえばモニク・キャディラック特務大尉が技術試験隊に出向すると、二階級上の中佐待遇となる[13]。彼らは各地の部隊に管理官として派遣され、作戦指導を行った。なお、キャディラック特務大尉はセシリア・アイリーンと同型の赤い制服を着用し、階級章とベルトバックルは親衛隊用のものだった[14]。総帥府と親衛隊の関係は劇中で描かれていない。なお一部で誤解があるが、ジオン公国総帥府付要員ではこのように特務=二階級上の階級が成り立つが他の軍隊でもそうなるとは限らない。旧日本海軍のように兵学校出身ではない下士官兵出身の士官という意味での特務士官呼称も存在する。
ジオン公国軍総司令部
宇宙攻撃軍、突撃機動軍、地球制圧軍、技術本部を統括する[14]。艦隊司令部が存在し、緊急時には多方面の部隊を指揮することができる[15]
宇宙攻撃軍
ドズル・ザビ麾下。公国軍の中では最大規模を誇る。主な拠点は宇宙要塞ソロモン。主な将校はランバ・ラルラコックコンスコンシン・マツナガアナベル・ガトーヘルベルト・フォン・カスペン、左遷される以前のシャア・アズナブルなど。ソロモン攻防戦で事実上壊滅した[16]
突撃機動軍
キシリア・ザビ麾下。宇宙では宇宙機動軍として呼ばれている。ニュータイプ研究など特殊な活動も行う。主な拠点は月面都市グラナダ。主な将校はマ・クベ黒い三連星アサクラフラナガンバロムデラミンシーマ・ガラハウジョニー・ライデン、軍籍回復後のシャアなど。特殊部隊も多く、フラナガン機関闇夜のフェンリル隊海兵隊(シーマ艦隊)マッドアングラー隊サイクロプス隊の存在が確認されている[17]
地球方面軍
突撃機動軍の一部。指揮権はキシリア・ザビにある[18]ガルマ・ザビ麾下であるが、その権限は実質上、北米地域等に限られている。広大な地球の制圧を担当しており、潜水艦隊を擁する海軍もこの一部である。また地球攻撃軍との連絡が途絶した戦争末期にジオンは宇宙軍の兵力を充当できずに学徒動員に踏み切っている。
技術本部
ジオン公国軍総司令部直属で、宇宙攻撃軍、突撃機動軍からは独立した組織。アルベルト・シャハト技術少将麾下で、彼のオフィスはサイド3のズム・シティにある。この部隊には技術将校の肩書きを持つ者もいた。試験支援艦ヨーツンヘイム(第603技術試験隊)、試験支援艦ムスペルヘイム(第604技術試験隊)をはじめ、いくつかの技術部隊があったが、ア・バオア・クーの戦い直前に実戦部隊に組み込まれた[19]ヨルムンガンドゼーゴックといった開発元がはっきりしない兵器から、 ツィマッド社が開発したヅダのように企業から持ち込まれた兵器のテストも行っている。主な将兵は、マルティン・プロホノウオリヴァー・マイヒデト・ワシヤなど。総帥府からキャディラック特務大尉、宇宙攻撃軍からはカスペン大佐、突撃機動軍海兵隊からはヴェルナー・ホルバイン少尉など、多種多様な人材が出向という形で集まっていた。
親衛隊
上記の軍に属さない、ギレン・ザビ直属の護衛部隊で、その宇宙艦隊は後のデラーズ・フリートの母体となった。MSVの設定では、親衛隊はキシリア・ザビの直轄であり、ギレンの親衛隊は本国防空隊であることが示されている。なお、漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』ではこの設定を利用しており、ギレンがキシリアやドズルに所属しない軍を麾下に置いたとしているが、この作品自体は公式設定というわけではない。

軍服

ジオン公国軍はでは、名を上げた者(例えばシャア少佐など)には軍服のカスタマイズや、パーソナルカラーの使用が許された。これは士気高揚とプロパガンダの両方を兼ねており、彼らの活躍と異名は総帥府のプロパガンダ放送によって地球圏全域に広く宣伝された[20]

  • 第二種戦闘服は、ジオン公国軍の基本的な制服である[21]。下士官・士官用には、襟に階級を示す紋様が施されている。ヘルメットは前面にひさしがあり、側面~後部が左右に広がった形状をしている。兵科によってバリエーションがあり、またシャアほどではなくても、個人の好みによって細かいカスタマイズが行われていた。例えば第603技術試験隊のクルーが着用する第二種戦闘服は、ポケットの位置と形状が全員違っている[22]
  • 突撃機動軍海兵隊は、第二種戦闘服とは異なる独自の制服を採用していた[23]。シーマ艦隊所属兵の海兵隊軍服は、袖をちぎった仕様が多い。
  • ジオン公国軍の佐官将校軍服は、地球連邦軍の将校軍服と全く異なり[24]、個人の好みが全面に出た仕様となっている。シャア・アズナブルの赤い軍服はもちろん、ドズル・ザビ、キシリア・ザビ、マ・クベ、エギーユ・デラーズ、シーマ・ガラハウ、ギニアス・サハリンなど枚挙に暇がない。カスペン大佐のように、独自のコートを着用する将校もいた。
  • ジオン公国軍モビルスーツパイロット用のノーマルスーツはM-73とよばれる[25]。ジオン軍軍服の例に洩れず、エース達は普段着用する将校軍服以上にカスタマイズを行った。シャアのピンク、黒い三連星の黒、ガトーやノリスの紫などが有名である。スーツにあわせるかの如くヘルメットに対する独自の改造も横行し、トゲ、ツノは定番の改造となった。
  • この他にテストパイロット用ノーマルスーツ(第603技術試験隊着用)、ニュータイプ用ノーマルスーツ、ジオン軍一般用ノーマルスーツが存在した。一般用ノーマルスーツは、テレビ版第33話でシムス・アル・バハロフブラウ・ブロ修理中に着用している。

徽章

徽章は所属部隊を表すもので、ジオン公国軍将兵のほぼ全員が着用する[26]。将校は金属製、下士官兵はフェルト製である[27]。将校帽用国家徽章、親衛隊帽章、MSパイロット徽章、MSパイロット帽章、ペーネミュンデ徽章、ジオン海兵隊徽章、宇宙艦艇乗組員徽章、地上部隊用帽章が確認されている[27]

勲章

ジオン公国軍の勲章について初めて言及したのはシャア・アズナブルである。テレビ版第6話にてガルマ・ザビに対し、ホワイトベースを撃破すれば「ジオン十字勲章ものだ」と語った。後に多くの勲章があると設定された。1級ジオン十字章、2級ジオン十字章、ブリティッシュ作戦功労章(人間の右手がコロニーを握っているデザインに「B」の組み合わせ)、ルウム戦役シールド(直立したコロニーと「ROUM」文字の組み合わせ)、第一次降下作戦シールド(地球とHLVの組み合わせ)、宙雷戦功章(剣と大型ミサイルを交差し、その上にジッコが描かれる)、白兵戦功章(ナイフと柄付手榴弾が交差し、その上にジオン公国紋章)、戦傷章(ジオン公国紋章のついたヘルメットが描かれたワッペン)などがある[27]

政体

首相議会が存在し、一応は野党も存在していることなどから、建前としては立憲君主制議院内閣制とみられる。ただしダルシア首相は自ら「傀儡に過ぎない」と言っており、また議会もギレンの影響下にある。実質はザビ家の独裁政治であった。なお、作中のデギンとギレンの会話より、このような独裁体制の導入はギレンの主導によるものとみられる。

元首は「公王」であるが、これは2種類の君主号である「公」と「王」を合成した本作品オリジナルの造語であり、本来どの言語にも見られない言葉である。「公国(Principality)」とは「皇帝(Emperor)」を君主とする「帝国(Empire)」、「国王(King)」を君主とする「王国(Kingdom)」に対して、「Prince(、候など)」を君主として戴く国家のことである。実在の公国としてはモナコ公国などがある。 公国」の項も参照。

ジオン軍の派生集団

一年戦争終戦後も、ジオンの名を継ぐ反地球連邦勢力は多数登場している。

その闘争は、宇宙世紀0120年から宇宙世紀0122年に掛けての火星独立ジオン軍の武装闘争とその壊滅(オールズモビル戦役)に至るまで、実に40年以上にわたって継続した。小説『ガイア・ギア』においては宇宙世紀0200年頃にズィー・ジオンが存在した。

ジオン訛り

機動戦士ガンダム』作中で「ジオン訛り」という単語が現れる。テレビ版第28話でホワイトベースに潜入したフラナガン・ブーンが、同時に潜入したキャリオカに言うセリフであり、「訛りがひどいため喋るな」と指摘された。

この設定は後に『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』第4話においてバーナード・ワイズマンが連邦軍基地に潜入した際にも用いられ、訛りと会話内容の間違いからジオン兵であることが判明してしまう。また、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』第3話においても、ガトーがジオン残党軍のユーコン級潜水艦に乗り込んだ時に、「久しぶりにジオン訛りを聴いた」と懐かしむシーンがある。

OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』第2話では、捕獲した陸戦型ザクIIに搭乗してジオン兵を装った連邦軍特殊部隊セモベンテ隊フェデリコ・ツァリアーノ中佐の声に、ジオンの警備兵が「ひどい訛り」と指摘している。もちろんジオン兵を装うための偽装であると思われる。

ただ、いずれの作品においても、劇中での会話は全て日本語であり、視聴者が耳で聞いて特徴的な訛りを理解できるような演出はなされておらず、またジオン訛り自体についての公式設定も存在しない。唯一の例として、地球連邦軍量産型モビルスーツの名前「ジム」(GM)の発音は、ジオン読みでは「ゲム」であるとされており、あたかもジオン訛り≒ドイツ語であるかのように設定されている。近年の映像作品では、ドイツ語風の名前を持つ将兵や、ドイツの都市や神話の名前を由来に持つ艦船が多数登場している。

なお、『ポケットの中の戦争』北米版ではケンプファーのパイロットであるミハイル・カミンスキーがロシア語訛りの英語で話すという演出がなされているが、どういう意図かは不明(他のジオン公国の人間がロシア語訛りを話す描写はないので、ジオン訛り=ロシア語訛りという描写ではないのは確か)。

ジオン公国の企業

脚注

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  1. 1998年以前はZION DUKEDOMとされていた。
  2. 『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙(そら)編』但し、この数値はあまりにも低いという意見も存在する
  3. OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第1話、オープニング直後の映像中における年表より。
  4. シャアのダイクン暗殺発言は、テレビ版第38話や『逆襲のシャア』演説などより。なお、安彦良和は病死と設定している。
  5. 漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、強硬派がダイクンで、穏健派がデギンとして描いている。
  6. 『愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN V -シャア・セイラ編-』21頁。
  7. ジオン兵・サイド3市民は「ジオン独立戦争」と呼んでいた。
  8. MSV(講談社)では、1月26日の締結とされる。
  9. 一般的に終戦とは停戦または休戦→休戦協定平和条約(または講和条約)の締結となる。詳しくは「条約」の項を参照。
  10. 総帥府、総司令部、3軍、技術本部の関係は『MS IGLOO』の劇中発言と、書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』16頁による。
  11. OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第2〜3話、『MS IGLOO2 重力戦線』第1話などのプロパガンダ放送は「総帥府発表」と銘打っている。
  12. OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第1話、『MS IGLOO -黙示録0079-』第2話のキャディラック特務大尉の発言より。
  13. OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第1話
  14. 14.0 14.1 書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』120頁より。
  15. OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話。オデッサ脱出部隊の救援に向かう際に「艦隊司令部」の存在が言及される。
  16. テレビ版第37話、冒頭のナレーションより。
  17. ゲーム作品ではキシリア・ザビ配下の特殊部隊が多く登場し、『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』でのマッチニモード隊、『機動戦士ガンダム戦記 Lost War Chronicles』でのMS特務遊撃隊(外人部隊)や屍食鬼隊などが登場した。
  18. OVA『MS IGLOO 2 重力戦線』第1話、キシリアの演説より。
  19. OVA『MS IGLOO -黙示録0079-』第2話、シャハトとマイの会話やナレーションより。
  20. 「赤い彗星」や「黒い三連星」といった通り名は敵である連邦軍の誰もまでが知っていた。実際の放送は『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話や、『MS IGLOO2 重力戦線』第2話で視聴できる。連邦軍もこれに対抗してプロパガンダ放送を放映していた。
  21. 書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』118頁より。
  22. 書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』121頁より。
  23. 書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』123頁より。
  24. 大戦果をあげたホワイトベースのブライト艦長も、最後まで連邦軍一般士官制服だった。
  25. 書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』119頁より。
  26. アニメでは表現できなくても、基本的に装着しているという設定。
  27. 27.0 27.1 27.2 書籍『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』127頁より。