ハマナス
ハマナス(浜茄子、浜梨、玫瑰、学名:Rosa rugosa)は、バラ科バラ属の落葉低木。夏に赤い花(まれに白花)を咲かせる。根は染料などに、花はお茶などに、果実はローズヒップとして食用になる。晩夏の季語。
特徴
東アジアの温帯から冷帯にかけて分布する。日本では北海道に多く、南は茨城県、島根県まで分布する。主に海岸の砂地に自生する。
1-1.5mに成長する低木。5-8月に開花し、8-10月に結実する。
現在では浜に自生する野生のものは少なくなり、園芸用に品種改良されたものが育てられている。
果実は、親指ほどの大きさで赤く、弱い甘みと酸味がある。芳香は乏しい。ビタミンCが豊富に含まれることから、健康茶などの健康食品として市販される。のど飴など菓子に配合されることも多いが、どういう理由によるものかその場合、緑色の色付けがされることが多い。中国茶には、花のつぼみを乾燥させてお茶として飲む玫瑰茶もある。
名の由来
「ハマナス」の名は、浜(海岸の砂地)に生え、果実がナシに似た形をしていることから「ハマナシ」という名が付けられ、それが訛ったものである。ナス(茄子)に由来するものではない。アイヌ語では果実をマウ(maw)、木の部分をマウニ(mawni)と呼ぶ。
品種について
バラの一種であり、多くの品種が存在する。北米では観賞用に栽培される他、ニューイングランド地方沿岸に帰化している。イザヨイと呼ばれる園芸品種は八重化(雄蕊、雌蕊ともに花弁化)したものである。
このほかシロバナハマナス、ヤエハマナス、シロバナヤエハマナスなどの品種がある。
バラの品種改良に使用された原種の一つで、ハマナスを交配の親に使用した品種群を「ルゴザ系」と謂う。
ハマナス油
ハマナスの花を石油エーテルで抽出し、アルコール処理して得られる精油はフェネチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、リナロール、ベンジルアルコール、シトラールなどを含み、芳香を持つ[1]。ハマナス油はダマスクローズオイルの代用品として化粧品などに用いられるが、ハマナス自体から感じる芳香は、葉から生じるセスキテルペンアルコールも寄与する[2]。
名所
日本においては、ハマナスは北海道襟裳岬や東北地方の海岸部、天橋立などが名所として知られる。
都道府県の花に指定
- 北海道
市町村の花に指定
- 北海道 - 石狩市、紋別市、稚内市、浦幌町、江差町、雄武町、奥尻町、興部町、寿都町、斜里町、標津町、天塩町
- 岩手県 - 野田村
- 青森県 - 青森市、鰺ヶ沢町、大間町、風間浦村、野辺地町
- 福島県 - 相馬市
- 茨城県 - 鹿嶋市
- 新潟県 - 村上市、聖籠町
- 石川県 - かほく市、内灘町
- 福井県 - 高浜町
ギャラリー
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ピンクのハマナスの花
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白いハマナスの花
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八重咲き種
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ハマナスの花と実
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ハマナスの実