ダイアクロン

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ダイアクロンは、株式会社タカラ(現・タカラトミー)から1980年から1984年まで発売されていた変形合体ロボット玩具である。TV媒体に頼らない、タカラのオリジナルキャラクター。ネーミングは「ダイヤのように固い友情の、サイクロンのように力強い仲間たち」[1]から。

概要

ミクロマンで重視された「可動人形とそれが乗り込む変形メカ」の路線を練り直し、3cmの隊員と複雑な変形合体ロボの取り合わせを基本として展開された玩具シリーズ。

初期のSF風の未来型マシーンはスタジオぬえによる緻密なメカデザインで、当時の玩具では珍しい1/72の統一スケールであった。

1982年になると、実際の乗り物を精巧にミニチュア化し、ロボットに変形する「カーロボット」をはじめとした「リアル&ロボット」シリーズが主体となっていく。児童の人気と玩具の売上こそは更に上がったが、1/72の統一スケールを放棄しなければならなくなった。

1984年アメリカにてダイアクロンと『ニューミクロマン』の『ミクロチェンジシリーズ』を混合し新たな設定を与えられた『トランスフォーマー』が大ヒットし、翌年に日本へ逆輸入されるとともにダイアクロンシリーズは発展的解消となった。

なお、同シリーズの『トランスフォーマーZ』は本シリーズ同様、基地とマイクロトランスフォーマーの変形が基本の遊び方となっている。玩具のないバイオレンジャイガーもバッタ・カマキリ・ケラに分離する点からワルダロスを髣髴させる点や、続編の『トランスフォーマー リターン・オブ・コンボイ』のグランダスの通称も『ロボットベース』である事などTFでも度々ダイアクロンのオマージュが見られる。

あらすじ

1980年代、地球の核に未知のエネルギー「フリーゾンエネルギー」が発見された。後の1990年代、世界の5箇所に「マクロ・ゾーン」が設立され、そこに設置された「ゾーン・コンピューター」により管理される。その「ゾーン・コンピューター」は日本にある「ランド・マスター」に管理され人類には明るい未来を約束されていた。しかし、「フリーゾンエネルギー」を狙いワルダー軍団が侵略を開始した。「ランド・マスター」はワルダー軍団に対抗する為、巨大ロボによる「ダイアクロン隊」を結成、ダイアクロン隊とワルダー軍団の戦いが始まった。

商品群

初期シリーズ

ロボットベース
ダイアクロンの記念すべき第1弾商品。移動基地に変形する。
ダイアバトルス
  • バトルス1(頭部、胸部、スーパーカーに変形)
  • バトルス2(腕部、戦闘機に変形)
  • バトルス3(脚部、戦闘機に変形)
3機の小型メカが合体する巨大ロボット。
コズモローラー
装甲車から基地に変形する。偵察、哨戒を任務とする設定。
ダイアトレイン
列車形態から「ダイアファイター」と呼ばれる戦闘機に変形。
ダイアアタッカー
爆撃機に変形する巨大ロボット。
ガッツブロッカー
  • ブロッカー1(頭部、胸部)
  • ブロッカー2(腰部)
  • ブロッカー3(肩部)
  • ブロッカー4(腕部)
  • ブロッカー5(拳部)
  • ブロッカー6(太股)
  • ブロッカー7(脚部)
  • ブロッカー8(足首)
14機の小型メカ(ブロッカー3以降は同型メカが2機ずつ存在し、ブロッカー1・2と合わせて計14機となる)が合体する巨大ロボット。小型メカはそれぞれ戦闘機に変形するがブロッカー5のみは戦車に変形。
ダッシャー
  • スカイダッシャー
  • ドリルダッシャー
  • F1ダッシャー
ブルバックギアによる走行ギミックが内装されたロボット。それぞれ戦闘機ドリル戦車F1から変形する。
パワードスーツ
  • Aタイプ
  • Bタイプ
  • Cタイプ
対歩兵用に作られた装甲強化服。A、B、Cの3タイプがあり、それぞれ違ったミサイル砲を装備する。
ビッグパワード
  • マッハパワード(頭部、胸部、腕部、爆撃機に変形)
  • ランドパワード(腰部、戦車に変形)
  • アースパワード(脚部、潜水艦に変形)
ダイアバトルスと同じく3体合体の巨大ロボ。隊員はパワードスーツに搭乗した状態で内部に格納される。
バトルバッファロー
  • バトルヘッダー(頭部、偵察機に変形)
  • バトルブレスター(胸部、腕部、爆撃機に変形)
  • バトルレッガー(脚部、戦闘機に変形)
3体合体の巨大ロボで宇宙戦用に作られたという設定。同シリーズの従来のロボットとは異なり、目鼻や口がなく顔全体がコクピットのキャノピーとなっており、異色なイメージがある。バトルヘッダーのみプルバック・モーターで走行する。
ロボット要塞X
ロボットベースの後継機。アストロベースと呼ばれる要塞基地形態に変形できる他、ロボットベース同様、多彩なギミックが魅力。なおこのロボット要塞Xのデザインはスタジオぬえではなく大河原邦男による物らしい。
ダブルソルジャー
「スカイソルジャー」と「エースソルジャー」、二つのロボット形態を持つ。中間形態であるダブルファイターにも変形可能。
ツインコンバット
ダブルソルジャー同様、「レッドコンバット」と「ブルーコンバット」の二つのロボット形態に変形出来る。中間形態であるツインジェットにも変形可能。
スカイベース
巨大飛行機から「バードベース」と呼ばれる基地に変形する。付属の「スカイマシーン」と呼ばれるヘッドスカイ、ブレストスカイ、レッグスカイの3機の小型メカは「スカイロボ」に合体する。
爆転アタックロボ
ビークルモードでプルバック式ゼンマイで走行させると、その名の通りバック転のように回転してロボットに変形して立ち上がる。

リアル&ロボット

前述までのSFメカとは異なり、実在する自動車や飛行機などが変形してロボットとなる。後期の主力商品となった。

カーロボット

自動車が変形してロボットとなる。

その他のリアル&ロボット

チェンジアタッカー
通常は自動車の姿だが、プルバック式ゼンマイを内蔵しており、走らせると自動的に戦闘メカに変形する。
ダブルチェンジャー
カーロボット同様、自動車からロボットに変形する他。中間形態として戦闘マシンにも変形できる。隊員は搭乗できない。カーロボットの廉価版的ともいわれる。
ジェット機ロボ

F15ロボとも呼ばれる。F-15イーグル戦闘機が変形してロボットとなる。2種のカラーバリエーション(銀色)がある。

  • 超高速戦闘タイプ
  • アクロバットタイプ
トレインロボ
6体の電車がそれぞれロボットに変形、さらに6体合体して巨大ロボットになる。変形・合体すると隊員が搭乗できなくなるメカがある。腕と足は左右対称に造られているので左右を入れ替えても問題なく合体できる。武器と合体時に使用するパーツ以外にディスプレイ用の線路、他のトレインロボと連結するためのジョイントパーツがセットされていた。
  • マッハライナー
東海道新幹線0系)6体合体時は胸に変形。電車形態時のみ隊員搭乗可。
  • ナイトライナー
ブルートレインEF65形1000番台)右足に変形。
  • スノーライナー
東北新幹線200系)左足に変形。
  • ブレインライナー
エル特急485系)右腕(先頭部は腰)に変形。電車形態時のみ隊員搭乗可。いわゆるロケットパンチギミックを内蔵。
  • ストームライナー
東海道線(153系)左腕(先頭部は腰)に変形。電車形態時のみ隊員搭乗可。いわゆるロケットパンチギミックを内蔵。
  • パワーライナー
ディーゼル機関車DE10形)先頭部は頭、本体は腰・足の付け根に変形。

トレインロボは、後に6台セットや限定版の色替えタイプも発売された。金型自体は流用のため実車と形態は一致しない、いわゆる鉄道模型で言うところの「タイプ」ものといえる。

  • シルバーライナー
東海道新幹線・オール銀メッキ版(0系
  • バトルライナー
特急用機関車(ED76形、EF65形1000番台の金型を流用)
  • イエローライナー
ドクターイエロー(922形、200系の金型を流用)
  • サンダーライナー
寝台特急電車(583系、485系の金型を流用)
  • ミラクルライナー
横須賀線(113系、153系の金型を流用)
  • クリスタルライナー
ディーゼル機関車・クリアパーツ版(DE10形
建設車ロボ・ビルド六体合体

6体の建設工作用車両がそれぞれロボットに変形、さらに6体合体して巨大ロボットとなる。隊員は搭乗できない。

恐竜ロボ
メカ恐竜からロボットに変形する。最後のプテラノドンのみ無人操縦という設定で、隊員が搭乗できない。
変身戦隊トリプルチェンジャー
ダイアクロンの最後の商品。それぞれ3形態の変形が出来る。隊員は搭乗できない。
  • ジェットタイプ
ジェット機、戦車、ロボットに変形。
  • ヘリタイプ
ヘリコプター、ジェット機、ロボットに変形。

ワルダー軍団

ワルダー合体・ワルダロス
ワルダー軍団の3体合体ロボ。3体の昆虫型メカが合体し、巨大ロボとなる。
  • モスキーダー:蚊型メカ。頭部を構成。
  • アリンダー:蟻型メカ。胸部と両腕を構成。
  • サソランダー:サソリ型メカ。腰部と両脚を構成。
ウォークインセクター
歩行ギミックを持つ昆虫型歩行メカで2タイプある。搭乗員は、パワードスーツのワルダー版とも言えるワルダースーツに入った状態で搭乗する。
  • ウォークインセクター1
  • ウォークインセクター2
昆虫ロボ(インセクターロボ)
それぞれ昆虫に変形するロボット。
改造怪獣マシンドラゴン
首や四肢を磁石ジョイントで別パーツに交換できるサイボーグ恐竜。ダイアクロン・シリーズで唯一、他シリーズからの流用作品。過去にテレビマガジンで漫画連載し、玩具化もされた「マシンザウラー」の流用である。

トランスフォーマーでの転用

概要の項目でも上げた通り、本シリーズは後年トランスフォーマー(以降TFと表記)に転用された。ここではニューミクロマン同様、TFでの名称を記載する。TFでの名称が斜体で書かれたものはTFのアニメ本編には未登場。

ダイアクロン時 トランスフォーマー
カーロボット カウンタックLP500S[2] サイバトロン
オートボット部隊
戦士サンストリーカー[3]
ワンボックス・チェリーバネット 警備員アイアンハイド[4]
ワンボックス・救急車 看護員ラチェット[5]
トヨタ・ハイラックス 戦術家トレイルブレイカー
ハイラックス・レッカー車 補修員ホイスト
ホンダ・シティターボ 戦士スキッズ
ホンダ・シティR サイバトロン大使クロスカット[6]
フェアレディZ・チューニング 射撃員ストリーク
フェアレディ・ポリスカータイプ 戦略家プロール
フェアレディ・レーシングカータイプ 戦術家スモークスクリーン
J59ジープ 偵察員ハウンド
F-1リジェJS11 諜報員リジェ
ランチア・ストラトス 技術者ホイルジャック
ニューカウンタック[7] 戦士ランボル[8]
歩哨タイガートラック[9]
特別捜査官ディープカバー[10]
ニューカウンタック・ポリスカータイプ 保安員アラート[11]
警察官クランプダウン[12]
消防自動車 救助員インフェルノ
クレーン車 建築家グラップル[13]
輸送・資源探査員ロードホーラー[14]
ポルシェ935ターボ 副官マイスター
シボレー・コルベットスティングレイ 戦士トラックス[15]
空陸戦闘員ロードレイジ[16]
バトルコンボイ 総司令官 コンボイ
パワードコンボイ シティコマンダーウルトラマグナス
ダブルチェンジャー サバンナRX-7 サイバトロン
ダブルチェンジャー部隊
追跡員ダウンシフト
フェラーリBB 指揮官オーバードライブ
セリカXX 偵察員カムシャフト
ジェット機ロボ 超高速戦闘タイプ デストロン
ジェットロン部隊
航空参謀スタースクリーム
アクロバットタイプ 航空兵サンダークラッカー[17]
航空兵スカイワープ[18]
航空宇宙兵サンストーム[19]
トレインロボ マッハライナー サイバトロン
トレインボット部隊
光速指揮官ショウキ
ナイトライナー 夜間戦闘員ゲツエイ
スノーライナー 豪雪戦闘員ユキカゼ
ブレインライナー 山岳戦闘員セイザン
ストームライナー 原野戦闘員スイケン
パワーライナー 重機動戦闘員カエン
(6体合体) 重連合体戦士ライデン
建設車ロボ ブルドーザー デストロン
ビルドロン部隊[20]
破壊兵ボーンクラッシャー
パワーショベル 採掘兵スカベンジャー
ショベルカー 建築兵スクラッパー
ダンプカー 輸送兵ロングハウル
クレーン車 衛生兵グレン
ミキサー車 偽装兵ミックスマスター
(6体合体) 巨人兵デバスター
恐竜ロボ ティラノサウルス サイバトロン
ダイノボット部隊
指揮官グリムロック
トリケラトプス 火炎戦士スラッグ
ブロントサウルス 密林戦士スラージ
ステゴサウルス 砂漠戦士スナール
プテラノドン 砲撃戦士スワープ
トリプルチェンジャー ジェットタイプ デストロン
トリプルトロン部隊
空陸参謀ブリッツウイング[21]
宙艇降下兵オーバーチャージ[22]
爆転アタックロボ ジェットタイプ サイバトロン
ジャンプスターター部隊[23]
陸海攻撃戦士トップスピン
ドリルタイプ 破壊員ツインツイスト
ワルダー軍団
昆虫ロボ
カブトロン デストロン
インセクトロン部隊
心理工作兵ボンブシェル
バッタス 諜報工作兵キックバック
クワガトラー 電子工作兵シャープネル

用語

ダイアクロン隊
ワルダー軍団からフリーゾンエネルギーを守るために「ランド・マスター」が組織した巨大ロボット部隊。名称の由来は「ダイアモンド(DIAMOND)」と「サイクロン(CYCLONE)」の掛け合わせで「ダイアのように固い友情のもと、サイクロンのように激しく戦う」を意味する。
カーロボット隊
都市部の何処に出現するか予測出来ない「タイムホール」を警戒する為、普通乗用車に偽装したダイアクロンのロボット部隊。1/72の統一スケールを廃した「ダイアクロン」商品の新機軸。
ワルダー軍団
フリーゾンエネルギー奪取を目的に地球を侵略する異星人。封入ブックレットの挿絵で、その直立した昆虫の様な姿が確認できた。
インガム将軍
昆虫軍団を率いるワルダー軍団の将軍。ダイアクロン隊の思わぬ抵抗により、作戦の失敗、敗戦が続き更迭される。
ブルースター将軍
インガム将軍に代わり地球攻撃の任務に就いた。アンドロメダ方面で戦果を上げていた若き知将。「タイムホール」を使ったゲリラ攻撃によりダイアクロン隊を翻弄する。
タイムホール作戦
新将軍ブルースターが敢行した新たな地球攻撃作戦。都市部に突然「次元の穴(ワームホール)」を開き恐竜軍団を操ってゲリラ攻撃を行う。これによりダイアクロン隊は従来の巨大ロボットを中心とした部隊から、迅速に対応できるカーロボット隊に部隊編成の見直しを迫られる。実際の商品展開も「ミニフィギュアと基地ロボット」という物からミニフィギュアに拘らない「変形ロボット」中心の展開に路線変更する。

漫画版

1980年3月号から1982年2月号まで連載。玩具発売より前に連載が開始されており設定や物語展開が大きく変わっている。

DIACLONE ESSAY

「DIACLONE ESSAY」は1980年代前半に、タカラが発行していたホビー雑誌『デュアルマガジン』のNo.11からNo.12で掲載されたダイアクロンの特集記事。中原れい幡池裕行によるイメージイラストや設定に関する緻密な考証が話題を呼んだ。

脚注

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  1. 徳間書店出版『ビクトリー伝説』より。
  2. 赤と黄色の製品が存在。
  3. 黄色の製品が初期からのメンバーに転用された。
  4. 転用時に赤色に変更されたが、アンコール時にダイアクロンカラーの製品が別キャラクターではなくアイアンハイドプロテクトブラック(アイアンハイドの色違い)としてe-HOBBYで販売された。
  5. ダイアクロンカラーのまま転用されたが、のちに緑色(パトランプは青)の製品が別キャラクターではなくラチェットエマージェンシーグリーン(ラチェットの色違い)としてトランスフォーマービジュアルワークス誌上限定で販売された。
  6. e-hobby限定品として販売された。
  7. 同じ番号とパッケージの赤と黄色の製品が存在。
  8. 赤の製品が初期からのメンバーに転用された。
  9. 黄色の製品は後年フィギュア王にて別キャラクターとして限定販売された。
  10. 黒(覆面パトカー仕様)の製品はe-HOBBYにて別キャラクターとして販売された。
  11. 転用時にファイアー・チーフ(消防指揮車)仕様に変更された。
  12. ダイアクロンカラー(ポリスカー仕様)の製品はe-HOBBYにて別キャラクターとして販売された。
  13. ダイアクロンカラーのままで転用された。
  14. 黄緑色の製品がe-HOBBYにて別キャラクターとしてサンストームとセットで限定発売された。
  15. 転用時に青に変更されたが、放映当時ヨーロッパではダイアクロンカラーのままで販売されたことがある。
  16. ダイアクロンカラーの製品はe-HOBBYにて別キャラクターとして販売された。
  17. ダイアクロンカラーのままで転用された。
  18. 転用時に黒と紫のデストロンカラーに変更された。
  19. オレンジ色の製品がe-HOBBYにてロードホーラーとセットで限定発売された。この色はアニメには1度しか登場しておらず登場時には名前がなかったが、販売された際に「サンストーム」と命名された。
  20. 6体とも転用時にボディが黄緑色に変更された。
  21. 転用時にクリーム色と紫に変更された。
  22. ダイアクロンカラーの製品はe-HOBBYにて別キャラクターとして限定販売された。
  23. 日本では未発売。

関連項目

外部リンク