スズメ目
スズメ目(スズメもく、テンプレート:Sname)は鳥類分類の1目である。世界中に広く分布しており、人間にとって最もなじみの深いグループのひとつである。
現生鳥類約1万0400種のうち半分以上の約6200種がスズメ目に含まれ、鳥類最大の目である。
目次
形態
スズメ目の特徴は、囀(さえず)るための器官である鳴管が発達していることである。
この鳴管の構造の違いなどによって、スズメ亜目(鳴禽類)・タイランチョウ亜目(亜鳴禽類)・イワサザイ亜目に3分される。スズメ亜目は囀る鳥が多く、カラス、ウグイス、スズメなど約4900種を含み、世界中に分布している。一方、タイランチョウ亜目は約1300種が南アメリカを中心に、イワサザイ亜目は3種がニュージーランドに生息している。
熱帯から亜寒帯まで、南極大陸を除くあらゆる陸地に生息する。ただし海鳥はまったくおらず、淡水性の水鳥も数属がいるのみである。
ほとんどが小鳥で、カラス科・コトドリ科などは例外的に中型である。
スズメ亜目は多数の種を含むが、骨格等の形態には大きな違いが無いためテンプレート:要出典、形態による分類は困難で、分子系統により大きな修正を受けた。
分類
小史
かつてはタイランチョウ亜目 テンプレート:Sname・カマドドリ亜目 テンプレート:Sname・ヒロハシ亜目 テンプレート:Sname・コトドリ亜目 テンプレート:Sname・スズメ亜目 テンプレート:Sname(鳴禽亜目)の5亜目に分けられていた[2]。しかし、脚筋と鳴管筋の特長により、以下の2亜目に再編された。
- タイランチョウ亜目 テンプレート:Sname = 旧タイランチョウ亜目 + 旧カマドドリ亜目 + 旧ヒロハシ亜目
- スズメ亜目 テンプレート:Sname = 旧スズメ亜目 テンプレート:Sname + 旧コトドリ亜目 (新旧のスズメ亜目の学名は異なる)
さらに、位置に論争があったイワサザイ科がイワサザイ亜目 テンプレート:Sname として独立し3亜目となった。
鳴禽類・亜鳴禽類は、現在はスズメ亜目・タイランチョウ亜目の同義語として使われることが多いが、本来は、鳴禽類は(旧)スズメ亜目 テンプレート:Sname の、亜鳴禽類はコマドリ亜目の別名だった[2]。その後、亜鳴禽類は テンプレート:Sname 以外のスズメ目の総称に変化し、さらに現在では テンプレート:Sname を含めないのが普通である。
イワサザイ亜目 テンプレート:Sname
1科のみ。スズメ目の中で最初に分岐した。イワサザイ小目 テンプレート:Sname としてタイランチョウ亜目もしくはスズメ亜目に含めることもあった。
- イワサザイ科 テンプレート:Sname (コビトサザイ科 テンプレート:Sname に同じ)
タイランチョウ亜目 テンプレート:Sname
大きく旧世界亜鳴禽類と新世界亜鳴禽類に分かれ、それらは計3下目に分かれる[3]。これら3下目の階級を上げ3亜目とする説[4]。新世界亜鳴禽類全体をタイランチョウ下目とする説[5]などもある。
- 旧世界亜鳴禽類
- ヒロハシ下目 テンプレート:Sname (ヤイロチョウ亜目 テンプレート:Sname)
- 新世界亜鳴禽類(広義のタイランチョウ下目)
- タイランチョウ下目 テンプレート:Sname(狭義のタイランチョウ亜目)
- マイコドリ科 テンプレート:Sname
- カザリドリ科 テンプレート:Sname (クサカリドリ科 テンプレート:Sname を含む)
- ハグロドリ科 テンプレート:Sname (トガリハシ科 テンプレート:Sname を含む)
- タイランチョウ科 テンプレート:Sname (ハエトリ科 テンプレート:Sname を含む)
- カマドドリ下目 テンプレート:Sname(カマドドリ亜目 テンプレート:Sname)
- アリドリ科 テンプレート:Sname
- ムナオビオタテドリ科 テンプレート:Sname (カマドドリ小目オタテドリ科から分離された)
- アリサザイ科 テンプレート:Sname
- ジアリドリ科 テンプレート:Sname
- オタテドリ科 テンプレート:Sname
- カオグロアリツグミ科 テンプレート:Sname (旧ジアリドリ科)
- カマドドリ科 テンプレート:Sname (ヤブクグリ科 テンプレート:Sname、オニキバシリ科 テンプレート:Sname を含む)
- タイランチョウ下目 テンプレート:Sname(狭義のタイランチョウ亜目)
スズメ亜目 テンプレート:Sname
スズメ亜目は テンプレート:Sname(旧 コトドリ亜目)と テンプレート:Sname(旧 スズメ亜目)に分かれる。テンプレート:Sname は鳴禽類型の鐙骨や鳴管を持たないため、以前はイワサザイ科と同様に、スズメ目の基底と考えられたり、亜鳴禽類に含められたりもしたが、テンプレート:Sname の姉妹群と判明し、統合してスズメ亜目 テンプレート:Sname となった。
Sibley & Ahlquist (1990) はスズメ亜目をカラス小目とスズメ小目に分けたが、カラス小目は基底的な側系統であり[6]、現在では使用されない。スズメ小目はほぼ単系統だったが、いくつかの科や属が変更された[7]。カラス小目に代わる分類は体系化されておらず、スズメ亜目の下には小目・上科・科が混在している。
Sibley & Ahlquist (1990) はスズメ小目をウグイス上科・ヒタキ上科・スズメ上科の3上科に分けたが、現在はより多くの系統が見つかっており、ここでは Johansson et al. (2008)[7]により単系統性が認められた9系統に分ける。ただしシジュウカラ上科[8]・レンジャク上科は彼らが使わなかった名称である。
以下の科はほとんどは IOC World Bird List Version 2.5 によるが、一部に Norman et al. (2009)[9]; Gelang et al. (2009)[10]の結果を反映させた(出典を付けた科)。
- テンプレート:Sname
- テンプレート:Sname
- ニワシドリ上科 テンプレート:Sname
- ミツスイ上科 テンプレート:Sname
- オーストラリアマルハシ科 テンプレート:Sname
- ハシリチメドリ科 テンプレート:Sname
- カラス上科 テンプレート:Sname
- カンムリハナドリ科 テンプレート:Sname
- シラヒゲドリ科 テンプレート:Sname
- ウズラチメドリ科 テンプレート:Sname (シラヒゲドリ科から分離)[9]
- メガネヒタキ科 テンプレート:Sname
- テンプレート:Sname
- メガネモズ科 テンプレート:Sname
- ヤブモズ科 テンプレート:Sname
- ハシビロヒタキ科 テンプレート:Sname
- オオハシモズ科 テンプレート:Sname
- フエガラス科 テンプレート:Sname
- ブタゲモズ科 テンプレート:Sname (= テンプレート:Sname)
- モリツバメ科 テンプレート:Sname
- ヒメコノハドリ科 テンプレート:Sname
- サンショウクイ科 テンプレート:Sname
- オーストラリアゴジュウカラ科 テンプレート:Sname
- モズヒタキ科 テンプレート:Sname (モズツグミ科 テンプレート:Sname の主要部分・モズガラ科 テンプレート:Sname を含む)
- カンムリモズビタキ科 テンプレート:Sname (モズヒタキ科から分離)[9]
- モズ科 テンプレート:Sname
- モズモドキ科 テンプレート:Sname
- コウライウグイス科 テンプレート:Sname
- オウチュウ科 テンプレート:Sname
- オウギビタキ科 テンプレート:Sname
- カササギヒタキ科 テンプレート:Sname (ツチスドリ科 テンプレート:Sname の一部を含む)
- カラス科 テンプレート:Sname
- オオツチスドリ科 テンプレート:Sname (ツチスドリ科 テンプレート:Sname の一部)
- フウチョウ科 テンプレート:Sname
- パプアハナドリ科 テンプレート:Sname
- フウチョウモドキ科 テンプレート:Sname
- ホオダレムクドリ科 テンプレート:Sname
- シロツノミツスイ科 テンプレート:Sname
- 広義のスズメ小目
- オーストラリアヒタキ科 テンプレート:Sname
- ハゲチメドリ科 テンプレート:Sname
- クイナチメドリ科 テンプレート:Sname
- アカイワトビヒタキ科 テンプレート:Sname
- スズメ小目 テンプレート:Sname
- レンジャク上科 テンプレート:Sname
- センニョヒタキ科 テンプレート:Sname
- シジュウカラ上科 テンプレート:Sname
- ウグイス上科 テンプレート:Sname
- ヒゲガラ科 テンプレート:Sname
- ムシクイヒヨ科 テンプレート:Sname
- ヒバリ科 テンプレート:Sname
- ヒヨドリ科 テンプレート:Sname
- ツバメ科 テンプレート:Sname
- ウグイス科 テンプレート:Sname
- エナガ科 テンプレート:Sname
- メボソムシクイ科 テンプレート:Sname
- ヨシキリ科 テンプレート:Sname
- オオセッカ科 テンプレート:Sname (= センニュウ科 テンプレート:Sname)
- ミズベマネシツグミ科 テンプレート:Sname
- テトラカヒヨドリ科 テンプレート:Sname
- セッカ科 テンプレート:Sname
- チメドリ科 テンプレート:Sname
- ヒメサザイチメドリ科 テンプレート:Sname (チメドリ科から分離)[10]
- ダルマエナガ科 テンプレート:Sname (ダルマエナガ科 テンプレート:Sname を含む)[10]
- メジロ科 テンプレート:Sname
- キクイタダキ科 テンプレート:Sname
- ムシクイヒタキ科 テンプレート:Sname
- キバシリ上科 テンプレート:Sname (= ゴジュウカラ上科 テンプレート:Sname)
- ヒタキ上科 テンプレート:Sname
- スズメ上科 テンプレート:Sname
- オナガミツスイ科 テンプレート:Sname
- ルリコノハドリ科 テンプレート:Sname
- コノハドリ科 テンプレート:Sname
- ハナドリ科 テンプレート:Sname
- タイヨウチョウ科 テンプレート:Sname
- スズメ科 テンプレート:Sname
- ハタオリドリ科 テンプレート:Sname
- カエデチョウ科 テンプレート:Sname
- テンニンチョウ科 テンプレート:Sname
- オリーブアメリカムシクイ科 テンプレート:Sname
- イワヒバリ科 テンプレート:Sname
- セキレイ科 テンプレート:Sname
- バライロマシコ科 テンプレート:Sname
- アトリ科 テンプレート:Sname (ハワイミツスイ科 テンプレート:Sname を含む)
- アメリカムシクイ科 テンプレート:Sname
- ムクドリモドキ科 テンプレート:Sname
- マミジロミツドリ科 テンプレート:Sname
- ホオジロ科 テンプレート:Sname
- フウキンチョウ科 テンプレート:Sname
- ツメナガホオジロ科 テンプレート:Sname
- ショウジョウコウカンチョウ科 テンプレート:Sname
系統
スズメ目の姉妹群については不確実性があるが、オウム目である可能性が高い[11]。内部系統は大まかな部分のみを示す[3][6]。