ジーメンス
ジーメンス(siemens、記号:S)は、コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンスの単位で、SI組立単位の一つである。
その名はドイツの物理学者ヴェルナー・フォン・ジーメンスにちなむ。1971年の第14回国際度量衡総会(CGPM)において、ジーメンスをSI組立単位に導入することが採択された。
コンダクタンスは電気抵抗の逆数であり、ジーメンスは電気抵抗の単位オーム(Ω)の逆数として定義される。日本の計量単位令では「1アンペアの直流の電流が流れる導体の二点間の直流の電圧が1ボルトであるときのその二点間の電気のコンダクタンス」と定義しているが、この定義はオームと同じものである。
ジーメンスを他の単位で表すと以下のようになる。
モー
コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンスの単位として、かつてモー (mho) が用いられていた。これはオーム (ohm) を逆につづったもので、ムオーと読まれることもある。1モーは1ジーメンスに等しい。単位記号は Ω を上下逆さにした ℧ を用いた。この特異な記号は、手書きで代数を用いて計算をするとき S(ジーメンスの単位記号)よりも変数と見誤りにくいという利点がある。
すでにジーメンスは科学一般や電気・電子工学の分野で広く用いられているが、モーは「モー特性」といった電力工学分野の用語にいまもその名を残している。
かつて用いられたジーメンス
1860年から20世紀半ばまで、「ジーメンス」もしくは「ジーメンス水銀単位」が電気抵抗の単位として使用されていた。その定義は「温度0℃における長さ1メートル、断面積1平方ミリメートルの水銀の電気抵抗」というもので、およそ0.953オームであった。この単位は、1881年以降第二次世界大戦まで電信電話事業者の間で広く使用された。
組立単位
ジーメンス毎メートル
ジーメンス毎メートル(記号: S/m)は、電気伝導率(電気伝導度・導電率)の単位である。1ジーメンス毎メートルは、1メートルあたり1ジーメンスの電気伝導率と定義される。ジーメンス毎メートルは電気抵抗率の単位、オームメートル(Ωm)の逆数である。
名称 | 記号 | 次元 | 組立 | 物理量 |
---|---|---|---|---|
アンペア(SI基本単位) | A | I | A | 電流 |
クーロン | C | TI | A·s | 電荷・電気量 |
ボルト | V | L2T−3MI−1 | J/C = kg·m2·s−3·A−1 | 電圧・電位 |
オーム | Ω | L2T−3MI−2 | V/A = kg·m2·s−3·A−2 | 電気抵抗・インピーダンス・リアクタンス |
オーム・メートル | Ω·m | L3T−3MI−2 | kg·m3·s−3·A−2 | 電気抵抗率 |
ワット | W | L2T−3M | V·A = kg·m2·s−3 | 電力・放射束 |
ファラド | F | L−2T4M−1I2 | C/V = kg−1·m−2·A2·s4 | 静電容量 |
ファラド毎メートル | F/m | L−3T4I2M−1 | kg−1·m−3·A2·s4 | 誘電率 |
逆ファラド(ダラフ) | F−1 | L2T−4MI−2 | kg1·m2·A−2·s−4 | エラスタンス |
ボルト毎メートル | V/m | LT−3MI−1 | kg·m·s−3·A−1 | 電場(電界)の強さ |
クーロン毎平方メートル | C/m2 | L−2TI | C/m2= m−2·A·s | 電束密度 |
ジーメンス | S | L−2T3M−1I2 | Ω−1 = kg−1·m−2·s3·A2 | コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンス |
ジーメンス毎メートル | S/m | L−3T3M−1I2 | kg−1·m−3·s3·A2 | 電気伝導率(電気伝導度・導電率) |
ウェーバ | Wb | L2T−2MI−1 | V·s = kg·m2·s−2·A−1 | 磁束 |
テスラ | T | T−2MI−1 | Wb/m2 = kg·s−2·A−1 | 磁束密度 |
アンペア回数 | A | I | A | 起磁力 |
アンペア毎メートル | A/m | L−1I | m−1·A | 磁場(磁界)の強さ |
アンペア毎ウェーバ | A/Wb | L−2T2M−1I2 | kg−1·m−2·s2·A2 | 磁気抵抗(リラクタンス) |
ヘンリー | H | L2T−2MI−2 | Wb/A = V·s/A = kg·m2·s−2·A−2 | インダクタンス・テンプレート:仮リンク |
ヘンリー毎メートル | H/m | LT−2MI−2 | kg·m·s−2·A−2 | 透磁率 |