ガンダムデスサイズ
ガンダムデスサイズ (Gundam Deathscythe) は、テレビアニメ『新機動戦記ガンダムW』に登場する架空の兵器。
死神のような外観を持つ隠密戦用ガンダムタイプMS(モビルスーツ)。主要人物の1人であるデュオ・マックスウェルが搭乗する。機体名の「デスサイズ」とは、英語の「death(死・死神)」と「scythe(大鎌)」を組み合わせた造語。敵組織であるOZ(オズ)からは「ガンダム02(-ゼロツー)」のコードネームで呼ばれる。後に改修されガンダムデスサイズヘルへと強化された。
メカニックデザインは大河原邦男が担当。後に発表されたOVAおよび劇場用アニメ『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』では、カトキハジメの手により新たにデザインが描き起された。ゆえに劇中では全くの同一機体扱いだが、デザインの異なる2タイプ(TV版)と(EW版)が存在する(詳細は後述)。
本項では、外伝作品『新機動戦記ガンダムW〜ティエルの衝動〜』に登場する派生機についても併せて記述する。
目次
機体解説
テンプレート:機動兵器 地球圏統一連合の圧政に反発する一部コロニーの地下組織によって計画された、地球上の連合およびOZ勢力に対する反攻作戦「オペレーション・メテオ」の一環として地上に降下した5機のガンダムタイプMSの1機。
ガンダムタイプの装甲・構造材に採用されたガンダニュウム合金は、従来のどの素材をも上回る強度を誇り、OZが保有する兵器の大半を無効化する鉄壁の盾としてガンダムの高性能を支えた。しかし、一見無敵と思えるこの素材も許容値を超えた攻撃を受け続ければいずれは破壊される。単独行動を基本とするガンダムは相対的に集中砲火を受ける可能性も高く、被弾率の低減による生還率の向上は重要な課題であった。
この懸案に対する本機の開発者プロフェッサーGの導き出した解答は、高い瞬発力による回避・離脱速度の向上、そして電子的手段を用いた機体の存在の隠匿の2つ。1つ目の課題をクリアすべく、機体仕様は反応速度と突進力を最重視したセッティングとし、5機のガンダムの中では随一の機動性・運動性を獲得。2つ目の課題については、プロフェッサーGの専門分野でもあるステルス技術を応用した電波妨害装置「ハイパージャマー」を搭載。機体の塗装も電波、赤外線を吸収する特性を持つ特殊塗料を使用し、より秘匿性が高められている。この塗装によって漆黒に染められた姿は、他のガンダム以上に強い威圧と恐怖感をOZの兵士達に植え付けた。姿無く急速接近し、巨大なビームサイズ(大鎌)で敵MSを刈り取る様は、正に死者を冥府へ誘う死神そのものである。
本機の専任パイロットはデュオ・マックスウェル。機体のイメージに似合わない明朗快活な少年であるが、戦闘ではOZの兵士を圧倒する実力を持つ。また、彼は本機に強い愛着を持っており、普段は親しみを込めて「相棒」と呼んでいる。
開発者のプロフェッサーGは本機を「最高のガンダム」と称しており、かなりの自信作であったことがうかがえる。
- アビリティレベル
(リーオーをオールレベル100として換算)
- ファイティングアビリティ:レベル140
- ウエポンズアビリティ:レベル120
- スピードアビリティ:レベル160
- パワーアビリティ:レベル120
- アーマードアビリティ:レベル120
Endless Waltz版
劇場作品『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』公開時に、OVAでカトキハジメによってリファインされたEW版ガンダムデスサイズヘルから逆算して、テレビ版デスサイズをリファインした機体。大河原デザインのテレビ版に対し、初期はカトキ本人のイニシャルを取って「Ver.Ka.」、もしくは「アーリータイプ」とも呼ばれていたが、漫画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』で当デザインの機体が登場することなどをきっかけとして、EW版と呼称されるようになった。
全体的なカラーリングはテレビ版に準拠し、武装面でもバスターシールドやハイパージャマーなどテレビ版と同様の武装を装備しているが、本体の形状はEW版ヘルを元にしているため、ヒザと爪先の巨大なスパイクはそのまま残っており、頭部ヘルメットのカラーはホワイトに変更されている(初期は黒く塗られていた)。EW劇中でデュオの過去が語られた場面では、EW版デスサイズヘルから背部アクティブクロークを外した状態の機体が登場しており、カラーリングもヘルのままとなっている。
2010年09月24日に当デザインを再現したガンプラ・マスターグレード版が、「XXXG-01D ガンダムデスサイズEW(エンドレスワルツ版)」の商品名で発売された。
武装
- ビームサイズ
- 機体名の由来でもあるビーム刃の大鎌(Scythe、サイズ)。ビーム発生器の角度を変えることで槍や薙刀としても使用可能。ガンダムが装備するビーム兵器は、ガンダニュウム合金の採用によってデバイスの耐久度が飛躍的に向上しており、水中でも一切減衰しないほどの桁外れの出力を持つ。非使用時は柄が短縮化し、腰部背面のラックにマウントされる。
- EW版では柄が杖のような非直線デザインに変更され、ビーム刃の角度調節機能が廃止されている。柄の伸縮機能も持たないため、非使用時はバックパックに背負う形でマウントする。
- バスターシールド
- 表面に十字架の装飾があしらわれた左腕に装備される攻防一体のシールド。先端部が展開してビーム刃が発生し、この状態で敵機に向かって射出する。数少ないデスサイズの遠隔攻撃武装。
- ハイパージャマー
- バックパック左右に装備される電子戦用装備。強力な妨害電波を発生させ、電子機器をほぼ完璧に無効化するため、カメラ・レーダーなどから情報を得る兵器・MSにとっては事実上、姿が消えている。なお、デスサイズ本体の電子機器はこの装備の影響を受けない。ガンダムの性能に対する畏怖を込め「ガンダムを見た者は生きて帰って来ない」とOZ兵の間でジンクスとなっているが、本機の場合、姿を見ることすら叶わず命を落としていった者も多い。スーパーロボット大戦シリーズでは回避に用いる「分身」や、姿を隠して攻撃する武器にもなっている。
- バルカン
- 頭部に2門内蔵された近接防御機関砲。小口径ゆえ威力・射程距離は攻撃用としては非力で、威嚇・牽制や対人戦が主な用途である。
- マシンキャノン
- 両肩に内蔵される大口径機関砲。頭部バルカンと違い、攻撃用としても充分な威力を持つ。ヘルへの改修時にはアクティブクローク懸架アームとの競合により撤去された。
- EW版には装備されていない。
- ルーセット装備
- 『敗者たちの栄光』で新設定された、EW版オリジナル装備。バックパックの両脇に追加装備される、大気圏内飛行用の可変翼ユニット。ウイングガンダム(EW版)の主翼を小ぶりにしたような形状を持ち、デスサイズ本体のバックパックと翼自体に内蔵されたスラスターを併用することで、ウイングガンダムと同等の空中機動性を発揮する。
劇中での活躍
オペレーションメテオで地球上に降下後は、ハワードのサルベージ船を拠点に活動を行っていた。HLVで宇宙に上がってからは、漂流中の所をOZに捕獲され(デュオの体力が削り取られていたのに加え、陸戦仕様のままであったため宇宙では満足に動けなかった。機密保持のため自爆を試みるも、自爆回路の故障により失敗している)、OZ兵として潜入していたトロワ・バートンの手によってOZへの恭順の証拠を示すために演習の標的となり、見せしめ同然に破壊された(トロワ自身は本機を破壊したことに対し無意識に涙している)。
この他にも、ウイングガンダムの修理のためヒイロ・ユイに勝手にパーツを抜き取られることもあった。
ガンダムデスサイズヘル
テンプレート:機動兵器 OZの月面基地に拘束された5人のガンダム開発者達が、同基地に回収されたデスサイズを、同じく回収されたシェンロンガンダムと共に極秘に修復・強化した機体。
5機のガンダムは基本的に地上戦を目的に開発された機体であり、実際改修前の両機はOZの宇宙用MSに対し多大な苦戦を強いられた。科学者達はまず修復と並行して宇宙戦闘に対応した改修を遂行、推力向上などによる空間機動性の強化を行った。そしてその上で、5人がOZにて開発したヴァイエイトとメリクリウスに投入された技術を転用した。本機では特殊装甲「アクティブクローク」の追加、リア・サイドスカートの大型化による防御力の強化が施された。同時に改修前の各種装備もブラッシュアップされ、総合面においても格段の向上を果たしている。
改修後の名称は「一度破壊されたデスサイズが地獄の淵から蘇った」という意味合いをこめて「ヘル(地獄)」と付け加えられた。
- アビリティレベル
(リーオーをオールレベル100として換算)
- ファイティングアビリティ:レベル150
- ウエポンズアビリティ:レベル120
- スピードアビリティ:レベル170
- パワーアビリティ:レベル120
- アーマードアビリティ:レベル140
Endless Waltz版
OVA『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』用に、カトキハジメがデザインリファインを行なった機体で、設定上はテレビ版と全く同一の機体。OVA公開当時に発売されたプラモデルなどの商標名や関連ゲームにおける名称は、TV版と区別できる様に「ガンダムデスサイズヘルカスタム」と呼称されていたが、リデザインした同一機ではなく改良機と誤解を招くことから、徐々に「ガンダムデスサイズヘル(EW版)」という名称表記へと移行していった。
アクティブクロークはよりコウモリの翼に近い生物的なフォルムにリファインされ、表面のフィールドジェネレーターやホワイトの塗り分けを廃したシンプルなデザインに変更。頭、胸など本体部分はテレビ版デスサイズヘルよりもテレビ版デスサイズに近い形状である。四肢は白ではなくグレーで、ヒザと爪先には巨大なスパイクが設置されている。
漫画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』ではデザイン(武装)が変更されており、ビームシザーズはTV版と同じく刃が2枚になっており、両腰にはバスターシールドが装着されている。
武装
- ツインビームサイズ / ビームシザース
- ビーム発生器を2基に増設した連装刃タイプのビームサイズ。1枚目の刃で敵MSの装甲を、2枚目でフレームを両断し確実な撃破を目的とする。またバーニアも付加されており、振り下ろす力を増したり、回転切りなどに利用される。総合的な威力は単刃タイプの4倍に強化されている。柄の伸縮機構は継承され、不使用時には腰部背面のラックにマウントされる。
- EW版では形状はそのままで、名称が「ビームシザース」(シザースとはハサミの意)に変更されている(資料によってはそのまま「ビームサイズ」と表記される)。
- バスターシールド
- 基本的には改修前と変わらないが、ビーム刃の出力は強化。形状は視覚による威圧効果を目的とし、棺桶をイメージした直線的なデザインに変更されている。強度は高く、暴走したトラントの乗るウイングガンダムゼロとの戦闘の際にツインバスターライフルと相撃ちになったが機体は無事だった。
- EW版では不採用となった代わりに、両前腕部に手甲状の装甲が追加されている。
- ハイパージャマー
- 形状は改修前と変わらないが、基本性能は2倍に向上。更に胸部に設置された肋骨状の増幅装置「リブジャマー」や頭部外縁に施された白い装飾との相乗効果によって、より幻惑効果が高められている。
- EW版では両肩上部に設置されたバルジ状のパーツがハイパージャマーとリブジャマーの機能を担っている。
- アクティブクローク
- 胴体前後面を覆う外套(クローク)状の追加装甲。前面にはメリクリウスのプラネイトディフェンサーと同等の機能を持つフィールドジェネレーターを計4基設置。強力な電磁フィールドを発生させ、ヴァイエイト級のビーム砲の直撃をも防ぎ切る。また、装甲自体にも対ビームコーティングが施されており、それ自体の防御力も高い。同時に、本体同様電波吸収・拡散効果を持つステルス塗装も施され、ハイパージャマーとの連動によって自機の金属反応をほぼ完全に消失させることができる。
- 「アクティブ」の名通り装甲は前後左右側面6枚が独立して可動し、高機動戦闘時は前後の装甲が肩上部に跳ね上げられ、悪魔の翼を連想させる不気味なシルエットを形成する。翼は空力装備としての機能も有しており、大気圏内においても非常に高い機動性を発揮。なおクロークの基部フレームを両肩口に設置したために、マシンキャノンの搭載は見送られた。
- EW版では前面の翼のみが横方向に開閉する方式に変更。アクティブクロークの内側にはスラスターが付いており運動性能を高めている。また、アクティブクロークを纏った状態で大気圏へ突入していることから、摩擦熱からの保護機能も有していることが伺える。なお、形状が変わったため、閉じた状態では鎌を振ることができない。
劇中での活躍
- テレビ版
- 月面基地を管轄するOZ技師長ツバロフとレディ・アン特佐の対立による混乱の最中、牢を脱出したデュオが搭乗。この時点での機体完成度は70〜80%程度であったが、初陣では基地に配備された新型モビルドール(MD)ビルゴを、同じく脱出した張五飛のアルトロンガンダムと共に圧倒する活躍を見せる。脱出後は故郷のL2コロニー群に帰還。ジャンク屋を経営する傍ら、周辺宙域を哨戒するOZ部隊への海賊稼業を行いつつ最終調整を完了させた。最終戦であるリーブラ攻防戦においては、地球へ落下するリーブラ、ピースミリオンの軌道を変えるべく5人のガンダム開発者達を艦内のコントロール施設に送り届けた。なお、漫画版ではガンダムエピオンを含む6機のガンダムと共にリーブラに向けてツインバスターライフルを発射している。
- EW版
- 機体廃棄の為他のガンダム達と共に一度太陽へ向けて打ち上げられたが、マリーメイア軍の蜂起を切っ掛けに再び戦場に返り咲く。ブリュッセルでの戦闘ではサーペントを多数撃破するなど活躍した。マリーメイア軍による紛争終結後、サンドロック改・ヘビーアームズ改と共にデュオの手により爆破される。
ガンダムデスサイズギルティ
『新機動戦記ガンダムW〜ティエルの衝動〜』に登場する機体。ギルティとは「罪」という意味である。デスサイズヘルの量産化を目的に開発された機体。格闘戦重視の機体で、全身にプリズム粒子コーティングが施されており、標的から見た角度に対してのみ、装甲の構成面レベルで自機の姿を完全に消すことの出来る特殊ステルス機。
ガンダムデスサイズヘル(EW版)をベースとしており、本来背部に装備されているアクティブクロークが両腰に装備されているほか、配色も一部異なる。
元OZのパイロットであるセミスが搭乗し、ドッペルトの搭乗するガンダムサンドレオンと共に、新型機を奪取し逃走したティエル・ノンブルーの追撃任務を受け出撃したが、逆にティエンロンガンダムによって返り討ちに遭い、戦士の墓と呼ばれる場所の重力圏に落とされ小破。その後、緊急チューンナップが行われるものの、ガンダムデリンジャーアームズと相打ちになる。
ガンダムデスサイズギルティカスタム
デスサイズギルティを、戦士の墓に残存していたハイドラガンダムの試験用パーツ(両肩等)をサルベージし、緊急チューンアップを施した機体。 肩部に増設されたショルダークローおよびビーム砲により、射撃戦にも対応可能となっている。
魔法使い(ワーロック)
『新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop』に登場する機体。ガンダムタイプのモビルスーツだが、全身を特殊ステルスが施されたマントに包まれているため、機体の詳細は不明。武装はビームサイズのみであり、隠密戦闘を主とする。パイロットは2代目デュオ・マックスウェルが務める。
関連項目
テンプレート:アフターコロニー テンプレート:Gundam-stubfr:Liste des armures mobiles de Gundam Wing#Gundam Deathscythe et Gundam Deathscythe Hell