させぼ号
させぼ号(させぼごう)は、福岡県福岡市と長崎県佐世保市および長崎県北松浦郡佐々町を結ぶ高速バス路線である。西日本鉄道と西肥自動車(西肥バス)によって共同運行されている。
本記事では、上記両社により運行される福岡市とハウステンボス(佐世保市内)を結ぶ福岡 - ハウステンボス線についても記述する。
目次
福岡 - 佐世保線
福岡市の博多バスターミナル・西鉄天神バスセンターと佐世保市の佐世保バスセンター(佐世保駅前)との間を結ぶ路線で、はじめは1966年に一般道経由の特急バスとして運行開始された(西日本鉄道・西肥自動車の共同運行)。1982年に高速(九州自動車道)乗り入れを開始、1990年に九州自動車道・長崎自動車道・西九州自動車道経由の高速バスとしてリニューアル、大幅増便されて現在に至る。当路線の愛称である「させぼ号」は佐世保に由来するが、この愛称が用いられるのは福岡側(西鉄)のみで、佐世保側(西肥自動車)では同社の昼行高速バス共通の総称である「ハイウェイエクスプレス号」が用いられる。そのため市販の大型時刻表には「させぼ号」と「ハイウェイエクスプレス号」の2つの愛称が記載されている。
一部の便においては佐世保市の松浦町国際通りや北松浦郡佐々町の佐々バスセンターまで運行されている。また、別系統で福岡市の博多バスターミナル・西鉄天神バスセンターと佐世保市のハウステンボスを結ぶ路線も運行されている(下記福岡 - ハウステンボス線の項を参照)。
座席は予約定員制であり、搭乗前に発券窓口や電話にて予約する必要があるが、座席は指定されないため全席自由席である(予約は、乗車したいバスの発車時刻より前であれば発車の直前でも良い。)。SUNQパス(全九州版・北部九州版とも)も使用可能。
運行会社
運行系統
当路線は以下の3系統に分類される。太字は停車停留所。各系統ともクローズドドアシステムになっており、博多バスターミナル-高速基山間のみ、または長崎県内の区間のみの利用はできない。1日40往復のうち12便(おもに佐世保発の午前の便と、福岡発の夕方以降の便)が佐々バスセンターを始発・終点として運転される。残りの28便は、佐世保発の便はすべて佐世保バスセンターが始発となるが、福岡発の便のうち11便は松浦町国際通りまで運転される(2011年11月現在)。
- スーパーノンストップ
- ノンストップ
- 福岡~佐世保間の主要バス停のみ停車する便。佐世保行き13便/日、福岡行き14便/日。
- 福岡空港経由
所要時間
博多バスターミナル~佐世保バスセンター
- スーパーノンストップ:2時間2分(1時間55分)
- ノンストップ:2時間6分(1時間59分)
- 福岡空港経由:2時間20分(2時間11分)
博多バスターミナル~佐々バスセンター
- スーパーノンストップ:2時間34分(2時間33分)
- ノンストップ:2時間38分(2時間37分)
- 福岡空港経由:2時間49分(2時間47分)
西鉄天神バスセンター~佐世保バスセンター
- スーパーノンストップ:1時間46分(1時間41分)
- ノンストップ:1時間50分(1時間45分)
- 福岡空港経由:2時間4分(1時間57分)
西鉄天神バスセンター~佐々バスセンター
- スーパーノンストップ:2時間15分(2時間17分)
- ノンストップ:2時間19分(2時間21分)
- 福岡空港経由:2時間33分(2時間33分)
- ※カッコ内の数字は佐世保 ・佐々発の上り便の所要時間。また、この数字は最短所要時間である。
停車停留所
- ▼:佐世保(佐々)行きは乗車のみ、福岡行きは降車のみ可能
- ▲:福岡行きは乗車のみ、佐世保(佐々)行きは降車のみ可能
- △:佐世保(佐々)行きの降車のみ可能
- |:通過
- ∥:経由せず
停車停留所名 | 停留所所在地 | スーパー ノンストップ |
ノンストップ | 福岡空港 経由 |
備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
博多バスターミナル | 福岡県 | 福岡市博多区 | ▼ | ▼ | ▼ | 博多駅前 |
西鉄天神バスセンター | 福岡市中央区 | ▼ | ▼ | ▼ | ||
福岡空港国際線ターミナル | 福岡市博多区 | ∥ | ∥ | ▼ | ※ | |
筑紫野(二日市温泉入口) | 筑紫野市 | ▼ | ▼ | ▼ | ||
高速基山 | 佐賀県 | 三養基郡基山町 | ▼ | ▼ | ▼ | |
波佐見有田IC | 長崎県 | 東彼杵郡波佐見町 | | | | | ▲ | |
卸本町入口 | 佐世保市 | ∥ | ▲ | ▲ | ||
佐世保バスセンター | ▲ | ▲ | ▲ | 佐世保駅前 | ||
京町 | △ | △ | △ | 佐々バスセンター発着便および松浦町行きの便のみ停車 | ||
島瀬町 | △ | △ | △ | |||
松浦町(国際通り) | ▲ | ▲ | ▲ | |||
佐々インター | 北松浦郡佐々町 | ▲ | ▲ | ▲ | 佐々バスセンター発着便のみ停車 | |
佐々バスセンター | ▲ | ▲ | ▲ |
- ※佐世保バスセンター発の早朝2便(5:00発、5:30発)は、福岡空港国内線ターミナルに停車し、そこから博多バスターミナル、西鉄天神バスセンターの順に停車する。
運行経路
- 【 】内は、佐々バスセンター発着便および松浦町終点の便のみ運行する経路
- スーパーノンストップ
- ノンストップ
- 博多バスターミナル - 西鉄天神バスセンター - 天神北ランプ - 福岡都市高速1号線・2号線 - 太宰府IC - 九州自動車道 - 鳥栖JCT - 長崎自動車道 - 武雄JCT - 西九州自動車道 - 佐世保大塔IC - 卸本町入口 - 国道35号 - 佐世保バスセンター【 - 国道35号 - 松浦町国際通り - 佐世保中央IC - 西九州自動車道 - 佐々IC - 佐々バスセンター】
- 福岡空港経由
車内設備・サービス
- ハイデッカー
- 4列シート
- トイレ
- かつて1990年の高速運行開始時からは、西鉄・西肥両社とも3列シート(2+1列)の車両を使用していたが、1997年頃から西鉄車は4列シート車両に置き換えられた。西肥車も同時期より新車は4列シート仕様に変更されていたが、2013年まで使用されていた九州急行バスからの移籍車は移籍前からの3列シートのままとなっていた。
これらの他にも車内公衆電話・マルチステレオ(音楽サービス)などの設備やビデオ映画・飲み物(コーヒー・お茶)・おしぼりのサービスもあったが、現在は廃止されている。
福岡 - ハウステンボス線
佐世保市にあるテーマパーク ハウステンボスと福岡市を直接結ぶ路線で、ハウステンボスの開園と同日の1992年(平成4年)3月25日、「ハウステンボス号」の愛称で運行開始された。「させぼ号」と同じく西鉄と西肥自動車の共同運行で、当初は6往復設定されていた。
しかしJR九州が運行する特急列車「ハウステンボス」に比べ利用は低迷し、翌1993年には3往復に減便された後、2002年(平成14年)3月31日限りで「ハウステンボス号」は廃止された。廃止時点での停車地は博多駅交通センター、西鉄天神バスセンター、福岡空港1~3、波佐見有田IC、早岐田子の浦、早岐支所シルバーボウル前、ハウステンボスの順で、ハウステンボス行きのうち1本は天神バスセンター~ハウステンボス間ノンストップ、1本は福岡空港~ハウステンボス間ノンストップであった。座席は予約指定制で、車両は「させぼ号」と異なり当初から4列シート、トイレ付き車を使用していた。西鉄側は1999年頃まで紫色と白色のツートンカラーの専用車を使用していた。また、本路線の往復乗車券とハウステンボス入場券をセットにした「ハウステンボスセット券」も発売されていた。
その後2010年(平成22年)10月1日に「させぼ号」のうち1往復をハウステンボス系統に変更して、「ハウステンボス号」の愛称名は復活していないものの福岡~ハウステンボス間の高速バスの運行が再開された。運行は西肥自動車の担当(西鉄側は発券業務のみ)だったが、2011年(平成23年)4月からは2往復に増便されるとともに西鉄高速バスも運行を担当するようになった。車両は、両社とも「させぼ号」と共通運用している。
「させぼ号」と同じく予約定員制であり、事前に予約する必要があるが、座席は指定されないため全席自由席である。またSUNQパス(全九州版・北部九州版)の利用が可能である。
所要時間
博多バスターミナル~ハウステンボス
- 2時間12分(2時間9分)
西鉄天神バスセンター~ハウステンボス
- 1時間56分(1時間55分)
- ※カッコ内の数字はハウステンボス発の上り便の所要時間。
車内設備・サービス
- ハイデッカー
- 4列シート
- トイレ
停車停留所
- ※「させぼ号」の福岡空港経由と基本的には同じだが、筑紫野と波佐見有田ICには停車しない。また、「させぼ号」と同様クローズドドアシステムになっており、博多バスターミナル~高速基山間のみの乗降はできない。
運行経路
- 博多バスターミナル - 西鉄天神バスセンター - 天神北ランプ - 福岡都市高速1号線・2号線 - 榎田ランプ - 福岡空港国際線ターミナル - 半道橋ランプ - 福岡都市高速2号線 - 太宰府IC - 九州自動車道 - 鳥栖JCT - 長崎自動車道 - 武雄JCT - 西九州自動車道 - 佐世保大塔IC - 国道205号 - ハウステンボス
沿革
- 1966年(昭和41年)8月8日 - 福岡・久留米~佐賀~武雄~佐世保間の特急バスとして「させぼ号」を運行開始。
- 1982年(昭和57年)10月1日 - 九州自動車道(太宰府IC~鳥栖IC間)に乗り入れ、高速バスとして運行開始。西日本鉄道(西鉄)と西肥自動車の共同運行。
- 1985年(昭和60年)4月1日 - 長崎自動車道(鳥栖JCT~佐賀大和IC間)に乗り入れ開始。
- 1990年(平成2年)1月27日 - 長崎自動車道 武雄北方IC~大村IC間、および西九州自動車道 武雄JCT~佐世保大塔IC 開通に伴うダイヤ改正、大幅増便。ノンストップ便を新設。同時に車両のグレードアップ(4列シートトイレなし車両 ⇒ 3列(2+1列)シート・トイレ・サービスコーナー付車両)。
- 1992年(平成4年)3月25日 - ハウステンボスの開業に合わせ、福岡~ハウステンボス間の「ハウステンボス号」を運行開始。「させぼ号」と同様、西鉄と西肥自動車の共同運行。
- 1997年(平成9年)4月21日 - 武雄・有田経由便および高速各停便を休止。
- 1999年(平成11年)3月28日 - 福岡都市高速道路と九州自動車道の直結に伴う運行経路変更、およびダイヤ改正。「中」バス停(大野城市)廃止。
- 2000年(平成12年)7月1日 - 西日本鉄道の分離子会社である西鉄高速バスの設立により、西日本鉄道担当分を西鉄高速バスへ移管。
- 2000年(平成12年)11月1日 - 一部の便が福岡空港国際線ターミナル経由となる。
- 2002年(平成14年)3月31日 - 「ハウステンボス号」廃止。
- 2007年(平成19年)3月21日 - 停車地に高速基山を追加。
- 2009年(平成21年)4月25日 - 佐世保みなとICを経由するスーパーノンストップ便を新設。
- 2010年(平成22年)4月1日 - 西九州自動車道の延伸に伴い、一部の運行便における佐世保側の起終点が佐世保バスセンターから佐々バスセンターまで運行区間を延長。
- 2010年(平成22年)10月1日 - ハウステンボス系統を新設。1日1往復(西肥自動車のみ運行、西鉄は予約発券のみ担当)。
- 2011年(平成23年)4月28日 - ダイヤ改正により運行内容を変更[1]。
- ハウステンボス系統を1日2往復に増便し、新たに西鉄高速バスも運行を担当。
- 既存の佐々バスセンター発着便に加え、これまでの福岡発佐世保バスセンター終着便の一部(11便)を松浦町(国際通り)まで延伸し、途中に京町・島瀬町の両停留所において降車扱いを開始(福岡行きは停車せず)。
- 早朝の佐世保発福岡空港経由便(2便)を、これまでの西鉄天神バスセンター経由博多バスターミナル終着から博多バスターミナル経由西鉄天神バスセンター終着に経路変更。
- 2013年(平成25年)4月1日 - 西鉄高速バス担当分全便(ハウステンボス系統を含む)をこれまでの直営便から同社の管理委託路線に変更となり、運営を西鉄本体へ移管。