いま、会いにゆきます
『いま、会いにゆきます』(いま、あいにゆきます)は、市川拓司によるベストセラーのファンタジー恋愛小説。2003年に刊行された。翌年04年に映画化されヒットした。『世界の中心で、愛をさけぶ』と同じく、メディアミックスによるヒット作の1つである。 通称『いまあい』。
目次
あらすじ
ある町に住む秋穂巧は、1年前に最愛の妻である澪を亡くし、1人息子の佑司と慎ましく過ごしていた。2人は生前澪が残した、「1年たったら、雨の季節に又戻ってくるから」という言葉が気になっていた。それから1年後、雨の季節に2人の前に死んだはずの澪が現れる。2人は喜ぶが、澪は過去の記憶を全て失っていた…。
そこから3人の共同生活が始まる…。
原作
2003年2月27日、小学館から刊行された(ISBN 409386117X、定価1,575円)。市川拓司公式サイト内に、作品の5分の1ほどが公開されている(外部リンク参照)。
情報
作品は市川自身の病気体験がベースとなっており、妻との恋愛やバイク旅行など、彼の実際の生活で起こったエッセンスが散りばめられている。物語の舞台について、作中では全く描かれていないが、市川と妻は埼玉県に在住していたことから、おおむね埼玉県内である。
登場人物
- 秋穂 巧(あいお たくみ)
- 28歳にして父子家族となった主人公。脳内で化学物質が異常分泌される奇病に悩まされながら、息子と二人で慎ましく暮らす。妻との思い出を小説にしようとペンを走らせる。
- 秋穂 佑司(あいお ゆうじ)
- 巧の息子。廃工場でネジやコイルばねやスプロケットを拾い集めるのが趣味。陽に当たると黄金色に輝く髪を持ち、巧は「イングランドの王子」と呼ぶ。母が死んでから耳が遠くなった。
- 秋穂 澪(あいお みお)
- 巧の妻、佑司の母。27歳で病死するが、生前に語った自分の言葉どおり、1年後の雨の季節に廃工場へ帰ってくる。
- 所長
- 巧の勤める司法書士事務所の所長。巧の入所当時から老人で、遅刻・居眠りをする。
- 永瀬さん
- 事務所で働く物静かで真面目な女性。
- ノンプル先生
- 巧や佑司が町内の17番公園で会話する一人暮らしの老人。元教師。
- アレックス
- 手術によって声帯を失ったノンプル先生の飼い犬。佑司は「プー」と呼ぶ。
- ベンチの青年
- 17番公園のベンチで生活実用辞典を読む、世話焼きな町内会長の息子。
その他の言葉
- アーカイブ星
- 澪が死ぬ間際に書いた絵本に出てくる星。死んだ人は、みんな、そこに行く。(そこには「雨の季節になったら、戻ってくるから…」とメッセージが残されている)
- 廃工場
- 親子が休日を過ごす場所。#5と書かれたドアのある壁1枚とひしゃげた郵便受けを残して破壊されている。
- 17番公園
- 親子がノンプル先生と語り合う公園。町内には20以上の公園があるらしい。
- 湖
- おそらく諏訪湖。病気のために別れた巧と澪は、湖の花火大会の日に再会する。
映画
概要
2004年10月30日より、全国東宝系にて映画が公開された(興行収入:48億円)。同年5月に同じく恋愛小説を映画化してヒットした『世界の中心で、愛をさけぶ』と同じ製作委員会(TBS、博報堂DYメディアパートナーズ、小学館、スターダストピクチャーズなど)によるもの。
主なロケ地は、原作にも(無名で)出てきた長野県の諏訪湖近くであるが、舞台設定を「どこかの町」であるとしたいという理由から、劇中では特に町名を前面に出している訳ではない(巧が通う「地元の大学」が松本市にあることは画面で分かる)。本当は長野県北を考えていたが、たまたまちょうど良い廃工場や森が見つかったので選んだらしい。また、場面ごとに県内各地から山梨県までまたがっており、「どこかの町」であることを強調している。
スタッフ
- 原作 - 市川拓司『いま、会いにゆきます』(小学館刊)
- 監督 - 土井裕泰
- 脚本 - 岡田惠和
- 音楽 - 松谷卓
- 美術 - 種田陽平
- 撮影 - 柴主高秀(J.S.C/東宝スタジオ)
- 照明 - 上田なりゆき
- 録音 - 鶴巻仁
- 制作担当 - 武石宏登
- 製作委員会 - 東宝・TBS・博報堂DYメディアパートナーズ・小学館・スターダストピクチャーズ・毎日放送
- 主題歌 - ORANGE RANGE 「花」
キャスト
- 秋穂澪 - 竹内結子
- 秋穂巧 - 中村獅童
- 秋穂佑司 - 武井証
- 高校生の巧 - 浅利陽介
- 高校生の澪 - 大塚ちひろ
- 18歳の佑司 - 平岡祐太
- アヤ(佑司の同級生) - 美山加恋
- 澪の大学の友人 - 田中圭
- 永瀬みどり - 市川実日子
- 浜中晶子(佑司の教師) - YOU
- ケーキ屋店主 - 松尾スズキ
- 野口医師 - 小日向文世
- 司法書士事務所所長 - 中村嘉葎雄
受賞
- 第28回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞
- 第23回ゴールデングロス賞 日本映画部門 優秀銀賞
- 第17回日刊スポーツ映画大賞 助演男優賞
- 第22回わかやま市民映画祭
- 主演女優賞
- 助演男優賞
- 第9回ニフティ映画大賞
- 主演男優賞
- 主演女優賞
- 2004年度MovieWalkerシネマ大賞 ベスト女優部門第1位
米国でのリメイク
2005年1月にハリウッド映画関係者向けの試写が字幕付きで行われた。その場に出席していた女優のジェニファー・ガーナーが感銘を受け、ワーナー・ブラザーズにリメイク化を直談判、そのまま企画が通り、後にハリウッドでのリメイクが決定した。主演もジェニファー・ガーナーが務める。『Be with You』の題で2009年公開予定だったが、映画が実際に製作されたとの報道は未だにない。
その他
- 興行収入は48億円を記録。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(85億円)に次ぐ好成績である。
- 2006年4月16日にTBSが地上波で初放映した。この時、テレビ朝日の日曜洋画劇場は「DENGEKI 電撃」を放送した。その番組表の記事には「いま、殴りにゆきます…今夜は鉄拳制裁!」と書かれていた。視聴率はTBSが14.1%、テレビ朝日が13.1%(いずれもビデオリサーチ・関東地区)で、TBS側に軍配が挙がった。
- 実際に起きた恐怖話を集めた書籍、『いま、殺りにゆきます』が出版された。2作目を出版した際の後書きで著者は「タイトルに関して、物凄い非難とクレームを浴びた」と述べている。
ドラマ
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概要
2005年7月3日から9月18日まで、TBS系列の日曜劇場(日曜21:00〜21:54)でドラマ版が放送された。全10回。ただし、8月14日と9月11日は放送休止。初回と最終回は15分拡大して(~22:09)放送した。ミムラと成宮寛貴が夫婦役で出演、息子役は映画版と同じく武井証が演じ、主題歌も同じくORANGE RANGEが担当した。
また、2007年4月から、ハワイでも地上波放送局KIKU-TVで英語字幕付放送された(現地時間日曜20:00~)。英語でのタイトルは"Be with you"。
スタッフ
- 原作 - 市川拓司「いま、会いにゆきます」(小学館刊)
- プロデュース - 伊與田英徳
- 演出 - 平野俊一、山室大輔、大岡進、川嶋龍太郎
- 脚本 - 飯野陽子、篠崎絵里子
- 音楽 - 妹尾武
- 主題歌 - ORANGE RANGE「キズナ」(ソニー・ミュージックレコーズ)
- 制作 - TBSテレビ
- 製作著作 - TBS
キャスト
- 秋穂 澪(24) - ミムラ
- 秋穂 巧(25) - 成宮寛貴
- 永瀬 万里子(25) - 岡本綾 - 巧の同僚
- 中学生の澪(回想) - 黒川智花
- 中学生の巧(回想) - 福本有希
- 中学生の万里子(回想) - 志保
- 工藤 明宏(回想) - 三浦春馬 - 高校時代の巧の陸上部のライバル
- 秋穂 佑司(7) - 武井証
- 斉藤 レナ(6) - 重本愛瑠 - 佑司の同級生
- 三浦 沙織(27) - MEGUMI - 佑司の担任の先生
- 小笠原 友也(43) - でんでん - 移動店舗車「UFO屋さん」の店主
- 本郷 尚美(41) - 余貴美子 - 巧の主治医
- 鈴木 八郎(64) - 谷啓 - 巧の上司
- 菊地 俊輔(38) - 生瀬勝久 - ケーキ店主
- 菊地 あすか(40) - 中井美穂 - ケーキ店主の妻
- 榎田 孝雄(60) - 山本圭 - 澪の父
- 榎田 涼子(55) - 三田佳子 - 澪の母
サブタイトル
各話 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 2005年7月3日 | 6週間の奇跡 | 飯野陽子 | 平野俊一 | 15.2% |
第2話 | 2005年7月10日 | 授業参観 | 13.0% | ||
第3話 | 2005年7月17日 | 約束 | 篠崎絵里子 | 山室大輔 | 11.5% |
第4話 | 2005年7月24日 | 母の愛 | 飯野陽子 | 大岡進 | 10.9% |
第5話 | 2005年7月31日 | 恋の予感 | 篠崎絵里子 | 平野俊一 | 9.2% |
第6話 | 2005年8月7日 | 三角関係 | 飯野陽子 | 山室大輔 | 9.0% |
第7話 | 2005年8月21日 | わずかな時間 | 篠崎絵里子 | 大岡進 | 9.5% |
第8話 | 2005年8月28日 | 好きです。でも | 飯野陽子 | 川嶋龍太郎 | 9.1% |
第9話 | 2005年9月4日 | あと一日 | 篠崎絵里子 | 山室大輔 | 10.7% |
最終話 | 2005年9月18日 | 涙の別れ | 飯野陽子 | 平野俊一 | 11.6% |
平均視聴率10.97%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
漫画
画:高田靖彦、原作:市川拓司で「ビッグコミックスペリオール」(小学館)にて連載された。 2004年10月28日、小学館から単行本が刊行された(ビッグコミックス、ISBN 4091861571、定価500円)。
基本的なあらすじは同じであるが、記憶をなくした澪と巧、佑司が初めて出会う場所が森ではなく砂浜であることや、澪の母が悪役として描かれるなど、原作や映画版の夢想的な要素は消え失せてしまっている反面、澪が去ってから巧が免許を取り直したり佑司がハンバーグを振舞ったりなど、二人の成長が殊更はっきりと描かれている。
画:川島彩、原作:市川拓司、脚本:飯野陽子で「女性セブン」にて連載された。
2005年、小学館から単行本が刊行された(フラワーコミックス・スペシャル、ISBN 4091302769)。
基本的なあらすじは同じであるが、巧の職業が司書、澪は絵を描くことが好きだったことになっている。
ドラマCD
フロンティアワークスより、2008年6月25日に発売。品番:FCCN-40,価格:¥3,990(税込)