いとしのエリー
テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox Single 「いとしのエリー」は、サザンオールスターズの3枚目のシングル。1979年3月25日にビクター音楽産業から発売された。
1988年6月25日にCD化、1997年4月23日には長らくタイアップとなっていたテレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』の完結に合わせ、特例の再発(8cmCD)、1998年2月11日にも8cmCDとして、2005年6月25日には12cmCDで再発され、計4回再発売されている。
解説
オリコンチャートで1位は獲得していないが、1992年リリースの「シュラバ★ラ★バンバ」「涙のキッス」まで、サザン歴代トップの売り上げだった。オリコンでは、73万枚を売上ている。ビクターによる出荷枚数は累計125万枚[1]。
仮タイトルは「心に翼を持つ男」。タイトルの由来について、サザンオールスターズがTBS系音楽番組『ザ・ベストテン』に出演した際に、エリック・クラプトンの「エリック」を短くしたものであると発言しており、また所属事務所も桑田が敬愛するエリック・クラプトンへの想いと、メンバーが原由子に捧げた曲だとしている。しかし、桑田の実姉が名がエリコ(岩本えり子)であることから、歌詞には姉への想いが込められているのではないか、とする説もあった[2]。後に日本テレビ系音楽番組『速報!歌の大辞テン』でランクインした際には後者の説が紹介されている。しかし桑田本人がラジオ番組でこの件に触れ、エリック・クラプトンの説と、実姉の説は当時のインタビュー等で適当に語ったものだと話し、真相は「エリー」という言葉の響きの良さから決めたものだと明かした[3]。
後に4thシングルとなった「思い過ごしも恋のうち」とシングル候補として争われていたが、メンバーの「今自分たちのやりたい音楽をやろう!」という意思から当初の3枚サイクル(同じような曲を3枚連続して出す)を破ってのリリースだった。最初は全く受けなかったが、徐々にチャートを上げて行き、『ザ・ベストテン』の1位を獲得するに至った。また、『コーセー歌謡ベストテン』(FM東京)では1979年の年間チャート第1位になった。当時のパーソナリティである作曲家の宮川泰はこの曲を「名曲中の名曲」として大絶賛していた。宮川はのちに『心を込めて花束を』(1996年のアルバム『Young Love』に収録)のアレンジを担当することになる。また、当時既に人気ミュージシャンとなっていた南こうせつは、早くからこの楽曲について高い評価を与え、「この人たちはいずれすごいグループになるかもしれない」とその後の活躍を予見していた。
1983年、山田太一が脚本を手がけたTBS系列のテレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』の主題歌に採用された。同ドラマには他にもサザンの楽曲がBGMや挿入歌として使われている。その後も同ドラマのシリーズでは一貫して主題歌として使われている。なお、完結編として放送された『ふぞろいの林檎たち IV』が放送されることに合わせて、1997年に特例の再発売が行われ、この時オリコンチャートで99位に再浮上している。再発売された回数は「勝手にシンドバッド」と並ぶ5回にも及ぶ。
2005年6月25日、デビュー曲「勝手にシンドバッド」から「TSUNAMI」までの44作が12cmCDとして再発売され、1970年代から2000年代の全ての年代でオリコン100位以内ランクインを果たした史上初の作品となった。
いとしのエリーは1974年にMarlena Shawが歌った"YOU TAUGHT ME HOW TO SPEAK IN LOVE"をモチーフにしている。桑田の黒人音楽へのオマージュである。
収録曲
- いとしのエリー
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 弦編曲:新田一郎)- ボーカルの桑田がキーボードの原由子との結婚式にこの曲を歌った際、歌詞の「エリー」の部分を「ユウコ」に変えた。結婚以前に、桑田が原に対して「ごめんなさい」の気持ちを込めて製作した曲であるが、現在でも桑田自身、1番と2番の歌詞は逆のほうがよかったと考えている。
- 1998年発売のシングル「PARADISE」の間奏で、この曲が一部だけ収録されている。収録されている箇所は、歌詞が英語で歌われているものであり、収録のためオリジナルに製作したものである。間奏に収録されている女性の笑い声は原由子の声であり、これはレコーディング中に野沢秀行が原の周りをクルクルと回って笑わせたものである(桑田曰く「インベーダーゲームの真似」)。さらに2005年のアルバム『キラーストリート』に収録された「JUMP」の曲中や桑田ソロの「MASARU」にも、この曲の間奏に収録されている原の笑い声がサンプリングとして使用されている。
- 『第56回NHK紅白歌合戦』の「スキウタ~紅白みんなでアンケート~」で白組41位にランクインされた。
- 漫画家の臼井儀人が、自身の漫画『クレヨンしんちゃん』にこの曲を登場させている(臼井はサザンファンを公言している)。
- 小沢健二の1994年発売のシングル『愛し愛されて生きるのさ』の歌詞に「10年前の僕らは胸をいためて"いとしのエリー"なんて聴いてた」がある。
- アブダ・カ・ダブラ (TYPE 3)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 弦管編曲:新田一郎)- 「日清焼そばU.F.O.」のCMソング
- タイトルに、新曲でありながら“TYPE3”とあるが、TYPE1と2は後に発売されたアルバム『10ナンバーズ・からっと』に収録されている。ほぼ全てのベスト盤に収録されているA面と対照的に、現時点でシングル盤にのみ収録。
参加ミュージシャン
- 桑田佳祐:Vocal, Guitar(#1,2)
- 大森隆志:Guitar, Chorus(#1,2)
- 原由子:Keyboards, Chorus(#1,2)
- 関口和之:Bass, Chorus(#1,2)
- 松田弘:Drums, Chorus(#1,2)
- 野沢秀行:Percussion, Chorus(#1,2)
収録アルバム
※斜字は廃盤作品。
- 10ナンバーズ・からっと (#1)
- ベスト・オブ・サザンオールスターズ (#1)
- Kick Off! (#1)
- アーリー・サザンオールスターズ (#1)
- SOUTHERN ALL STARS BEST ONE '82 (#1)
- バラッド '77〜'82 (#1)
- Shout! (#1)
- すいか SOUTHERN ALL STARS SPECIAL 61SONGS (#1)
- HAPPY! (#1)
- 海のYeah!! (#1)
カバー
- EPO(1987年『POPTRACKS』収録)
- レイ・チャールズ(1989年に英語詞で『Ellie My Love』(エリー・マイ・ラブ)としてカバーし、サントリーウイスキー「ホワイト」のCMソングとして放送された。オリコンでは3位(洋楽チャートでは20週連続1位)を記録するロングヒットとなり、レイ・チャールズの作品としては日本での最大の売上となっている。歌詞の内容は原曲と多少異なっており、曲調も比較的ジャズに近い。桑田本人はこのカバー曲を、『日本語で唄った方が化粧のノリが良い』、『嬉しかった。嬉しいを超えている」と述べている。)
- ザ・ベンチャーズ
- オーティス・クレイ
- しばたはつみ(『昭和おとなカヴァーII』に収録)
- 中西保志(2009年、『メロディーズ』に収録)
- 平原綾香
- 広瀬香美(1997年、『Thousands of Covers Disc1に収録』)
- 布施明(2008年、『Ballade』に収録)
- 小柳ルミ子(1979年11月、ライブアルバム『やさしさということ・・・』に収録)
- NOKKO
- 五木ひろし
- 八代亜紀
- 西城秀樹
- BENI(2012年、『COVERS』に収録)
- 平井堅(2014年、『Ken's Bar III』に収録)
- 曲のインストゥルメンタル管弦楽版は、同社のアナログ終了時に北陸朝日放送で2011年7月24日に演奏された。
関連項目
- レイ・チャールズ (Discography)
- 超力戦隊オーレンジャー - 第23話で、「勝手にシンドバッド」、「エロティカ・セブン」と共に挿入歌に使用されている。
脚注
- ↑ 『スポーツニッポン』2000年2月4日付
- ↑ シングル「シュラバ★ラ★バンバ」でも歌詞中にエリコという固有名詞が使われている
- ↑ 2008年10月25日放送『桑田佳祐のやさしい夜遊び』より
外部リンク
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