扉
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扉(とびら)、ドア(door)とは一般に建物(家屋など)やその内部の部屋、自動車・鉄道車両・航空機などの乗り物の出入口につけられる建具である。戸(と)とも言うが、扉は開き戸、戸は引き戸の事を指す事が多い。
人や物の出入りを主目的しない建物の開口部は窓に分類される。通常の扉などに取り付けられた飼い犬や飼い猫などが通るための押し開き式の小さな扉は「ペットドア」という。
なお、収納用の家具で物を出し入れする部分に取り付けられる開閉式の板も扉という。
目次
機能と構造
扉は建具のうちでも人や物の出入りに伴って頻繁に操作される部分であり、そのため開閉には多くの力を必要としない構造上の工夫が凝らされる。その一方で建物の内外を遮断するという目的においては、必要の無いときには開け放たれないよう、ラッチ状の留め金が組みつけられたり、鍵などによって閉鎖する機能を備えるものも多い。
こういった扉の機能は、主に内外を隔てるものであるが、その理由は様々である。一般の住宅・建築物では風雨や動物・望まれない部外者の侵入を阻むものであるが、乗物では逆に移動中に乗っている者(乗員)ないし物(貨物)が外部に飛び出さないようにするためにも設けられる。エアロックのように、内外の気圧差(圧力差)を保持するための扉もあり、これらは建物や乗物を容器とみなすならば、その内外を隔てる一種の弁としての機能を果たすものと見ることも出来る。
扉は必要性に応じて、様々な機能性が追加される場合もある。前述の鍵がその最たる例だが、鍵そのものが強固でも扉が簡単に破壊されては閉鎖の用を成さないため、こと衆人が自由に往来する戸外と屋内とを閉鎖する必要性のある扉や内部に貴重な物品を納める扉は強固に補強される。一方で、自動車の扉のように交通事故によって変形しても開閉するという機能が妨げられないよう強化された構造をもつものもあり、また自動ドアのように、自動化され機械的な動力を利用する扉もあるなど、必要に応じて様々な扉が利用されている。
玄関など出入口に設置するドアの場合には超広角の特殊レンズによって外にいる人を見られるようにするドアスコープが取り付けられていることがある[1]。
玄関や部屋の扉では、建物あるいは部屋の中の人を呼び出すために扉にドアノッカー[1](扉を叩くための金具)やドアチャイム、ドアホンなどが取り付けられることもある。
種類
機構による種類
扉の基本的な構造・動作による分類。
開き戸
蝶番で止められた部分を軸に弧を描いて開閉する。現代の建物では、ノブを回してあけるものがほとんどである。蝶番の発明以前(発明後でも伝来していない地域)においては、戸の一端に軸材(「とぼそ」「くるる」等と呼称)を通したものも存在した。
片開き戸と両開き戸があり、両開き戸は観音開きといわれる。
引き戸
溝やレールに案内され、左右に戸をスライドして開閉する。自動扉(自動ドア)も引き戸である場合が多い。引き戸を開いたときの収納スペースを戸袋という。鉄道車両では一般的で、路線バスの中扉でも使われていることが多い。
上吊式の引き戸もある[1](吊り戸)。
戸袋を持たないものも、機構的にはもちろん引き戸の一つといえる。閉めた時に外壁と面一になるプラグドア(観光バスやワンボックスカー、一部の鉄道車両で使われる)などで見られる。
グライドスライドドア
間口の取れない場所や、バスなど(特に都市新バス、ノンステップバスの前扉)に用いられている、開き戸と引き戸の長所を組み合わせ、ヒンジに当たる回転軸(支点)が、リンク機構で移動するタイプのものを、グライドスライドドアと呼ぶ。
折戸
家庭ではユニットバスの出入り口によく用いられる。移動手段としてのバス(主に前扉に使われるが、近年のものは、路線バスを除き前扉に上記グライドスライドドアを採用したものが多い)や、一部の鉄道車両(主に特急用主体)の乗降口にも使われ、車体構造やスペースの都合で、戸袋を設けることができない場合に採用される。バス車両(中扉)や一部の客車においては折戸を2つ組み合わせた「4枚折戸」も存在する。
回転扉
回転軸を中心にニ枚から四枚の扉が放射状に設置され、それが円筒形の風除室内で回転する事で室内と室外の遮断を維持したままの出入りを実現する。他のドアと同様、手動式と自動式がある。冬の寒さの厳しいヨーロッパで誕生、発達した。日本では、空調効果を高めるために大型商業施設や超高層ビルで導入されることが多い。大径化や楕円形にすることで車いすの出入りに配慮したものや、引き戸と組み合わせて自動車など大型物品の搬入を可能にするもの、非常時には扉を畳んで出入り口を開放することのできるもの、個人認証などと組み合わせたセキュリティ用途のものなど様々な種類が開発されている。 回転扉を導入するメリットとしては、「建物内の密閉性を維持して冷暖房の空調効果を高めること」と「外から吹き込む風によって建物内の部屋のドアが開きにくくなる現象を防げること」が挙げられる。また、東京ドームのような空気膜構造(室内の気圧を高めて屋根のドームを膨らませる)のドーム建築物にも、内部の空気が漏れにくいように、通常の出入口用に回転扉が用いられる。
安全の為に極力軽量である事が望ましい。
日本では、2004年3月に六本木ヒルズ森タワーの自動回転扉で発生した事故以降、同ビルをはじめとして自動回転扉をスライド式自動扉に改造するなどして撤去する例が見られる。
引込み扉
引戸の操作性を持つ開戸タイプの扉。軸をスライドさせながら開く。戸の引き代スペースを確保できない場合などに使用される。
動力による種類
以下は扉を動作させる動力の有無による分類。
自動扉
テンプレート:Main 主に電気を使い扉を開閉する扉で、ここまでに述べたすべてのタイプの扉には自動扉が存在する。
手動扉
自動ドアでないことを強調したいとき、手動ドア、手動扉と言うことがある。
機能による種類
以下に、付与された機能から分類されるものを挙げる。
防火扉
テンプレート:Main 火災に際して、火災報知機などと連動して、自動的に閉鎖される耐火性のある扉。炎熱を遮断して延焼を遅らせ、また煙を遮断することで避難者の安全を確保する。閉鎖しても人力で開閉できる・あるいは人が通り抜けられるよう小さな扉が取り付けられるなどしてあり、避難者の避難を妨げない様になっている。
パニックオープン
災害などパニックが発生した場合などに、広い開口部に切り替えられる扉。大規模な災害の際には、出入り口がボトルネックとなって群集事故に発展することもあるが、パニックオープン(機構・機能・システム)を具えたこれらの扉は、防災設備の操作で電磁ロックが外れ一斉開放されたり、内側の手摺り状のハンドルを押す(体当たりでも構わない)ことで開放され、建物からの脱出を容易とする。普段動力で開閉される自動ドアでも同システムを具えたものでは、扉左右の引き戸ごと外側に開放され、通常の倍以上の開口部となるものも見られる。
なお地震などで建物が歪んでしまった場合、扉の開閉に支障をきたす場合もあるが、パニックオープンなど被災時を想定した扉では、多少の歪みでも開閉性が損なわれない強化されたものもみられる。
日本のドア・シャッターメーカー
- 三和シヤッター工業
- 文化シヤッター
- YKK AP
- ナブテスコ
- ナブコドア
- 東洋シヤッター
- LIXILグループ(LIXIL、LIXIL鈴木シャッター)
- 寺岡ファシリティーズ
- 日本シャッター製作所
- ユニフロー
- サンワイズ
出典
関連項目
- ↑ 1.0 1.1 1.2 意匠分類定義カード(L4) 特許庁