六本木ヒルズ森タワー

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テンプレート:Pathnav テンプレート:Coor title dms テンプレート:基礎情報 超高層ビル

六本木ヒルズ森タワー(ろっぽんぎヒルズもりタワー、Roppongi Hills Mori Tower)は、東京都港区六本木にある複合施設「六本木ヒルズ」の中核を担う超高層ビルである。当ビルの名称はあくまで森タワーであり、『六本木ヒルズ』だけでは当ビルを指すことにはならない。

概要

低層部はショッピング・モール、中層部は賃貸オフィス、上層部は会員制文化施設や美術館等で構成される森アーツセンターがある。屋上には、海抜の展望台の高さとしては東京タワーをも越え、東京スカイツリー竣工後も「都心一」を誇るスカイデッキの他、このビルに入居するFMラジオ放送局、J-WAVEの非常用送信設備もある。

六本木ヒルズ森タワーは、東京ガスによる発電および熱供給設備(六本木エネルギーサービス)を持ち、それに加えて東京電力のバックアップと灯油による自家発電という三重の電源確保の体制が敷かれている。なお、常用の自家発電設備を備えているオフィスビルは非常に珍しい。また、建物は基準以上の耐震強度を持ち、災害時に逃げ込める街として設計されている。

なお、オフィスロビーでは2階をロワーロビー(LL)階、3階をアッパーロビー(UL)階と表記する。

主な施設

など(入れ替えの場合あり)。六本木ヒルズ族も参照されたい。

  • 6 - 1F:商業フロア(通称:低層階)
    • 6F:ライフサービスフロア(診療所旅行代理店銀行などが入居)
    • 2 - 5F:レストラン・ショッピングフロア
    • 2・3F:エントランスフロア
    • 1F:車路、バス停、タクシープール
  • B1 - B4F:地下駐車場(自走式及び機械式)
  • B5F:地区中水道処理施設 ※施設関係者以外立入禁止
  • B6F:地域熱供給施設、六本木ヒルズエネルギーセンター ※施設関係者以外立入禁止

2階建てエレベーター

森タワーの中に20基以上あるエレベーターのうち、地上とオフィスフロアをつなぐエレベーターと地上と高層階を結ぶエレベーターはそれぞれ2階建て構造になっており、乗り降りする階によって地上の乗り場が上下2階層に分かれているのは37基ある(LL階と5階が奇数階行、UL階と6階が偶数階行である)。そのため、上下の階層を間違えると目的の階に行けずLL、UL階もしくはオフィスフロアのエレベーターの場合5、6階に戻らなければならない。また、地上階での1階分の高さと高層階での1階分の高さが異なるため、上かごと下かごの間がパンタグラフ構造となっていて、指定階到着間際の3秒間に高さを自動で調節している。さらに、オフィスフロアは非接触型ICカードにより立入が規制され、それを利用して停止しない階層側のエレベーターホールには入れない構造になっている。このほか、ICカードの種別によっては臨時に乗降可能状態に制御できる場合もある。なお、エレベーター内の上下両方のリクエストに応じて停止するため、リクエストのない階にも停止する事が恒常的にあり、「下(上)かご乗降中」と待機側のエレベーター内部の液晶ディスプレイに表示される。この二階建てエレベーターは上下のかごで内装が異なっている。

Aバンク7基はフジテック製、Bバンク7基は三菱電機製、Cバンク6基と非常用4基ほかは日立製、Dバンク6基は東芝製、Eバンク6基と49-52階専用の5基はオーチス製が担当している。到着アナウンスは非常用・PH2階行を除いてオーチスのアナウンスを採用している。また、非常用エレベーターの停止階であるB6-B3Fには施設関係者以外立入禁止のため、非接触型ICにより立入が規制されている。

展望台

六本木ヒルズ森タワーの展望台「東京シティビュー」の屋上展望台である「東京スカイデッキ」は、開業当初ガイドツアー参加者のみに公開されていたが、その後一時的に休業していた。そして、2008年(平成20年)4月26日から「東京シティビュー」の入場者であれば自由に出入りできる様になってリニューアルオープンした。デッキは海抜270m(地上238m)の位置にあり、海抜の展望台の高さとしては都内一を誇る。

地上からの室内展望台の高さ

  1. サンシャイン60 - 226.3m
  2. 森タワー - 218m
  3. 都庁 - 202m

地上からのスカイデッキの高さ

  1. 森タワー - 238m
  2. サンシャイン60 - 232m

海抜の室内展望台の高さ

  1. サンシャイン60 - 251m
  2. 森タワー - 250m
  3. 都庁 - 236.53m

海抜のスカイデッキの高さ

  1. 森タワー - 270m
  2. 東京タワー特別展望台 - 268m)
  3. サンシャイン60 - 256.3m 

海抜のビルの高さ

  1. 都庁 - 277.93m 
  2. 森タワー - 270.05m
  3. サンシャイン60 - 269.8m

主な事故

回転ドア事故

ファイル:森タワー回転ドア.jpg
森タワーの回転ドア(2004年4月24日撮影)

2004年(平成16年)3月26日午前11時ごろ、大阪府から母親と来訪していた6歳の男児が、タワー正面入口にある自動式の大型回転ドア(自動回転ドア)で、閉まりかけているドアに駆け込んだことでドアと枠の間に上半身が挟まれるという事故が発生。即ちに救出されたが、まもなく死亡(圧死)した。本来ならば、ドアに備え付けられている赤外線センサーが感知して急制動する仕組みが備わっているが、ドアの効率を優先させた森ビル側が、頻発する急制動を抑制させるため検知範囲を狭めさせ、ドアの回転速度を速めるように、製造メーカーの三和タジマ(三和シヤッター工業関連会社)に要請し、それに応じていた事が事故直後に明らかとなる。また風圧への対策からアルミ骨格を鉄骨に変え、見栄を良くするため表面にステンレスを貼り付けていたことから、本来1トンであった回転部が3倍近い2.7トンに増加しており、回転速度を上げていた影響も相まって急制動が作動してから完全停止まで慣性で25cmも動くようになっていた。[1]

そして、直近まで各地のビルなどに在る自動回転ドアにおいても小児が負傷する事故が断続的に起きていたことも明らかとなり、エレベーター(昇降機)のような公的な規制が無かった自動回転ドアの安全性を見直す動きが広まった。その結果、横浜ランドマークタワーなど多くの大型ビルの回転ドアで事故が多発していた事がわかり、事故を契機に回転ドアを停止(閉鎖)したり、引き戸式の自動ドアに置き換える動きが続出した。 森タワーがオープンしてからこの事故までの1年弱の間に、回転扉に子共が挟まれる同様の事故が多発していたが、簡易的な対策しかなされていなかった[1][2]。 この事故は当時都内の注目スポットとして脚光を浴び、不特定多数で多くの来訪者がいた六本木ヒルズの設備で犠牲者が出た事からセンセーショナルに報道された。死亡事故は刑事訴訟で森ビル側の管理過失および三和タジマの製品製作上の過失が認定され、森ビル側が遺族に賠償金約7000万円を支払うことで示談が成立している[1]

この事故に関して立教大大学院教授の福田秀人は、死亡事故以前より32回の事故がある事を知っていたが、事故後に産経新聞へのコメントとして、今回の事故も「危機管理の専門家ならだれもが知っているハインリッヒの法則に類似している」という要旨を述べ、事故後に事故報告の大切さを投げかけている。

事故原因究明を目的とするドアプロジェクトを設立した畑村洋太郎は、センサーに頼った制御を危険だとして、軽量化[3]や接触時に扉が退避する構造により本質的な安全を確保する必要があるとしている[4]。また、誤停止を避けるため事故防止用の赤外線センサーの死角を拡大していた事も事故原因の一つである。

本事故以後、2007年までにエスカレーター西友平塚店エスカレーターでのアクリル板接触転落事故)・ジェットコースター(エキスポランド死亡事故)・公営住宅のエレベーターといった、本来なら事故が起きえない乗用具で乗員が死傷する深刻な事故が発生している。

ヨーロッパではホテルや商業施設などで日本よりも普及しているが、そもそも安全のためにドアの自重の軽量化が図られている。

エレベーターのトラブル

2007年(平成19年)4月4日、51階エレベーター機械室から異臭が発生して高層階から避難する騒ぎがあった。調査の結果、異臭の原因は日本オーチス・エレベータ製エレベーターのワイヤーの解れがきっかけと判明した。事故機以外にもワイヤー解れがあり、4月26日現在で全11台中8台が運転停止中であったが、5月18日には全台復旧した。

この他、2004年(平成16年)に起きた新潟県中越地震の際には、その影響でエレベーターのワイヤが地震の振動に共振したため運転を停止した[5]

東日本大震災

2011年3月11日の東日本大震災における、建物への被害は皆無であった。 51階の六本木ヒルズクラブでは、震度5弱の揺れにも関わらず、ワイングラスも割れなかったという。 エレベーターは震災直後に停止したが、六本木ヒルズ内に常駐のエレベータ管理会社により、1時間前後で随時復旧している。

また、震災直後の電力不足の中、当ビル地下にある自家発電設備(大規模ガスコージェネレーションシステム)から東京電力へ電力供給を行ったことが話題となった。

脚注

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  1. 1.0 1.1 1.2 六本木回転ドア事故 失敗知識データベース
  2. 回転ドア事故、森ビルと製造元は予見できた 警視庁判断 朝日新聞
  3. 当該回転扉は骨格強化や装飾及びモーターの追加により2.7トンもの重量があった。この回転扉の原型ともいえるオランダのブーンエダム社製回転扉は1トン以下であり、手を挟んでも安全に停止する。
  4. 高野敦 「事故は語る 回転ドア死亡事故の「真相」進歩の過程で希釈された安全思想」『日経ものづくり』5月号、日経BP、2005年。pp.230-233
    回転扉の持つ運動エネルギーを制限するため、回転速度には制限値が設けられている。本来なら質量が増大するに伴い制限値を下げ危険を防ぐ必要があるが、その意義が十分に理解されないまま同じ回転速度で設計され、事故につながっている。と事故の前から知識がありながら、何も提言せずに事故後に批判した。
  5. 『産経新聞』2009年1月15日付朝刊、一面

関連項目

外部リンク

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