マスターズ・トーナメント
テンプレート:ゴルフ大会 マスターズ・トーナメント(The Masters Tournament)は、アメリカ・ジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを会場に開かれている世界ゴルフ4大メジャートーナメント大会のひとつ。
概要
1934年にボビー・ジョーンズと友人で実業家のクリフォード・ロバーツの企画により「オーガスタ・ナショナル招待選手権大会」と題して開幕したが、1939年に当初ロバーツが考えていたものの、ジョーンズが嫌っていたマスターズというタイトルに変更された[1]。
毎年4月2週目の日曜日に最終日を基準に開催される[1]。出場選手は前年度の世界各地のツアーでの賞金ランキング上位者、メジャータイトル優勝者など。招待資格を満たす名手(マスター)たちしか出場できないことから「マスターズ」の大会は“ゴルフの祭典”として最も敬愛されている。
1960年から本戦の前日の水曜日に「パー3コンテスト」が開催されている。オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに隣接する9ホール(パー27)の特設コースで行われ、歴代最少スコアは20。過去の優勝者にはサム・スニード(1960年・1974年)、アーノルド・パーマー(1967年)、青木功(1975年・1981年)、トム・ワトソン(1982年)、ビジェイ・シン(1994年)などがいる。出場選手の子供がキャディーを務めるなど和やかな雰囲気で行われる伝統のイベントであるが、優勝するとその年の本選では優勝できないというジンクスがあることでも知られる。
優勝賞金は開幕当初は特に定めないで、3日間の入場収入などを基に決定する(2008年は賞金総額750万ドル、優勝賞金135万ドル)。優勝者には優勝賞金に加えてグリーン・ジャケットが贈られ、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの名誉会員となる。
他のゴルフメジャー大会は毎回開催コースが異なるが、マスターズは毎年同じオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで開催される。このコースはとりわけグリーンの難度が高く、「オーガスタのグリーンには“魔女”が棲(す)む」とよく言われる。更にINの11番・12番・13番の3つのホールに至っては「神に祈る」と言う意味も込められたのかは分からないが別名・《アーメンコーナー》と言われて恐れられている。フェアウェイもアンジュレーションが大きく、バーディを狙うにはティショットを正確に理想的なセカンドショットのポジションに運ぶ必要がある。また、谷と森が作り出す気まぐれな風も起こる。こうした環境が、トーナメントの名の通り、名手に相応しい技術の持ち手を選ぶことになる。一方、ラフはセカンドカットまでとなっており、長いラフのセットとなる全米オープンとの違いが顕著に表れる部分である。
1961年に南アフリカのゲーリー・プレーヤーが優勝し、初のアメリカ人以外の優勝者となった。1975年にはテンプレート:仮リンクが黒人選手として初めて出場した。2009年にアルゼンチンのアンヘル・カブレラが初の南米勢優勝を果たした。
グレグ・ノーマンら世界的強豪選手の多いオーストラリア勢だがマスターズでは1996年の大会でノーマンがニック・ファルドに最終日に大逆転負けを喫するなどなかなか勝てなかったが、2013年の大会でついにアダム・スコットがオーストラリア勢として初の優勝を果たした。
2005年の大会では、ゴルフの“帝王”ジャック・ニクラスがマスターズからの引退を表明した。最近になって歴代優勝者枠の出場年齢の上限が「65歳」と定められたが、以前はその規定がなかった。アーノルド・パーマーは74歳の2004年まで出場を続行したが、ニクラスは新規定に従って65歳でマスターズを引退した最初の歴代優勝者となる。優勝したウッズは「29歳3ヶ月」で4度目の優勝を果たし、30歳を迎える前に4勝を挙げた最初の選手となった。(4勝の時点でパーマーは34歳、ニクラスは32歳であった。)
一方、最年少の出場者は2013年にアジアパシフィックアマチュア選手権優勝者の資格で14歳5ヶ月で出場した中国のテンプレート:仮リンク(グァン・ティンラン)。2010年に16歳11ヶ月で出場したマッテオ・マナセロ(イタリア)の記録を更新した。また、グァンは予選通過も果たし、マナセロが記録した最年少予選通過記録も更新した。
2014年には、1982年大会優勝者のクレイグ・スタドラーと息子のケビン・スタドラーが史上初の親子同時出場を果たした。
意外な伏兵が優勝することが多い他のメジャートーナメントと違い、ビッグネームが順当に優勝することの多いトーナメントとして有名だった。これは毎年同じゴルフコースで開催されるという特性から、ベテランほどこのコースの経験を多く持っていることが原因と考えられる。だが、2007年大会は世界ランキング56位(当時)でツアー1勝しかしていないザック・ジョンソンが優勝し、大会史上初といってもいい伏兵の優勝となった。近年は若手プロの初優勝が相次いでおり、ベテランに有利とは限らなくなっている。
尚、予選通過ラインは、予選カットができた1957年以降「上位40位タイまで」だったが、1962年に「44位タイまで」と「首位から10打差以内」に変更、2013年には約半世紀ぶりに「50位タイまで」と「首位から10打差以内」に変更された。
4日間終了時点で1位が2人以上いた場合、プレーオフはサドンデスによって争われる。以前は、翌日に18ホールのストローク・プレーや、4ホールのストロークで争っていた。プレーオフは18番と10番ホールで行われる。
招待条件
- 1 マスターズ歴代優勝者
- 2 過去5年間の全米オープン優勝者
- 3 過去5年間の全英オープン優勝者
- 4 過去5年間のPGA選手権優勝者
- 5 過去3年間のザ・プレーヤーズ選手権優勝者
- 6 前年全米アマ優勝者および2位
- 7 前年全英アマ優勝者
- 8 前年アジアパシフィックアマチュア選手権優勝者
- 9 前年全米アマチュア・パブリック・リンクス優勝者
- 10 前年全米ミッド・アマ優勝者
- 11 前年マスターズ大会12位以内(タイを含む)入賞者
- 12 前年全米オープン4位以内(タイを含む)入賞者
- 13 前年全英オープン4位以内(タイを含む)入賞者
- 14 前年PGA選手権4位以内(タイを含む)入賞者
- 15 前年マスターズ大会以降、同年大会までのPGA大会(ザ・ツアーチャンピオンシップ出場ポイントに加算される試合)優勝者
- 16 前年ザ・ツアーチャンピオンシップ出場者
- 17 前年公式世界ランキング50位以内
- 18 同年公式世界ランキング50位以内(マスターズ大会開催前週に発表のもの)
その他、特別招待枠があり、日本ツアー賞金王などがこの枠で出場する。
記録
- 大会歴代2位の優勝回数は4回、アーノルド・パーマー(1958年、1960年、1962年、1964年)とタイガー・ウッズ(1997年、2001年、2002年、2005年)の2人。歴代4位は3回優勝、ジミー・デマレー、サム・スニード、ゲーリー・プレーヤー、ニック・ファルド、フィル・ミケルソンの5人がいる。
- 最多2位回数:4回、ベン・ホーガン(1942年、1946年、1954年、1955年)、ジャック・ニクラス(1964年、1971年、1977年、1981年)、トム・ワイスコフ(1969年、1972年、1974年、1975年)
- 最多トップ10回数:22回、ジャック・ニクラス
- 最多予選通過回数:37回、ジャック・ニクラス
- 最年少優勝者:タイガー・ウッズ(21歳3ヶ月14日)、1997年
- 最年長優勝者:ジャック・ニクラス(46歳2ヶ月23日)、1986年
- 72ホール最少スコア:270、タイガー・ウッズ、1997年
- 18ホール最少スコア:63、ニック・プライス(1986年3日目、10バーディー・1ボギー)、グレグ・ノーマン(1996年1日目、9バーディー)
- 18ホール最多バーディー:11、アンソニー・キム(2009年2日目、11バーディー・2ボギー・1ダブルボギー)
- 最多連続バーディー:7、スティーブ・ペイト(1999年3日目7~13番)、タイガー・ウッズ(2005年3日目7~13番)
- 最多出場回数:52回、ゲーリー・プレーヤー(1957年 - 2009年(1973年は病気のため不出場))
- 最多連続出場回数:50回、アーノルド・パーマー(1955年 - 2004年)
- 最多特別招待枠出場回数:3回、石川遼(2009年、2012年、2013年)
歴代優勝者
放送
アメリカ
アメリカでは、テレビが本戦がCBS系列の局で放送されている。予選ラウンドについては、それまでUSAネットワークで放送されていたが[2]、2008年からはESPNで中継されている[3]。そのためCBSはレイト・ショー放映前に15分のハイライトを放送されている。さらに、本戦前日に行われる恒例のパー3コンテストもESPNで2008年から放送されている。
また表彰式はクラブハウスにおいてCBSスポーツアナウンサーのジム・ナンツとの優勝者インタビューの後グリーンジャケット贈呈式を行い、18番グリーン上で正式な表彰式が実施される。
CBSとオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブはアメリカにおける放送パートナーとして毎年放映権を更新している[4]。CBSは番組のテーマ曲としてデイヴ・ロギンス(Dave Loggins)の『オーガスタ』を使用している。TBSの中継も同様である。
テレビ中継のスポンサーはIBM、エクソンモービル、AT&Tであるが、2014年はエクソンモービルに代わってメルセデス・ベンツが勤めた。またオフィシャルタイムキーパーのロレックス、UPSもスポンサーとして名乗っている。
ラジオではウェストウッド・ワンが4日間中継されている。
アメリカ以外
BBCは1986年以来マスターズの放映権を持っている。BBCはCMなしで放送されている。ラジオではBBC Radio Five Liveで放送される。アイルランドはSetanta Irelandで4日間放送。RTÉが後半の2日間放送[5]。カナダ国内ではグラハム・サンボーン・メディアがマーケティングセールスを行い[6]、英語は前半の2日間はTSN、後半の2日間はグローバルで放送されている。フランス語はTVAで放送。
日本での地上波テレビ放送は1976年よりCBSと業務提携しているTBSが製作を務めており、JNN系列全国28局ネットで放送している。[7] 番組開始当初は2日間の決勝ラウンドの中継とこの日のハイライトを放送していたが、1983年からは2日間の予選ラウンドの放送、1988年にはゴールデンウィークに総集編(一部地域を除く)、その後2日間の予選ラウンドのダイジェスト版が加わり、現在の放送体制となっている。2014年は4日間合計で24時間の放送を実施。特に最終日は中断無しで約8時間生放送した。地上波のほか、BSデジタル放送BS-TBSで放送。また、CS放送(2時間のダイジェスト版のみ)では当初はJNNニュースバード(現・TBSニュースバード)で放送されていたが後にTBSチャンネルでの放送に移行した(TBSチャンネルでの放送素材は地上波のものでなくBS-TBSでの放送素材が使われている)。そのため、地上波放送分とBS・CS放送分で実況・解説の担当者が異っている。地上波放送ではリアルタイム字幕放送(2007年大会のダイジェストから)を、BS-TBSは2013年まで2ヶ国語放送(英語副音声 ステレオ2音声)を実施。セールスはテレ・プランニング・インターナショナルとビデオプロモーションが担当しており、全米オープンテニスと同様、アナウンサーによる提供コメントなしで放送している。一方、BS-TBSでは提供クレジットは前クレのみで提供コメントはしている。TBSチャンネルでは有料放送であるためスポンサーそのものは一切なく、提供クレジットの表示も提供コメントもまったくない。その影響のため、朝の報道番組が休止になったり、繰り下げ放送になることが多い。なお、パー3コンテストについては、日本でもBS-TBSで録画放送された。2014年は初めてインターネットによる生中継を行い、アーメンコーナー、15・16番ホール、注目組のプレーを配信した。(日本以外は視聴不可)
脚注
外部リンク
テンプレート:Navboxテンプレート:Link GA- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:Cite web
- ↑ Ratings For Each Round of The Masters Since '82 (First/Second Rounds Since '99)
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ ABS秋田放送、RNB南海放送でもTBSの朝ワイドをネットしてる関係で1992年まで放送