自衛艦隊
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自衛艦隊(じえいかんたい、テンプレート:Lang-en-short)は、海上自衛隊で機動運用が行なわれる部隊である。1954年(昭和29年)7月1日の防衛庁(防衛省の前身)自衛隊発足と同時に置かれた。警備区域の防衛や補給等を目的とする地方隊と異なり、海外派遣やシーレーン防衛に当たる。
概要
自衛艦隊は、司令部及び護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海隊群、情報業務群、海洋業務群、開発隊群、その他防衛大臣の定める部隊を以て編成されている。帝国海軍の連合艦隊(もしくは海軍総隊、海上護衛総隊)等に相当する事実上の実戦部門の統括部隊であるといえる。
観艦式は原則として自衛艦隊司令官が執行者となる。司令部は神奈川県横須賀市の横須賀基地船越地区に置かれている。
沿革
- 1953年(昭和28年)保安庁警備隊に第1、第2、第3船隊群を配備。
- 1954年(昭和29年)7月1日 - 防衛庁海上自衛隊発足に伴い自衛艦隊を設置。
- 1955年(昭和30年)4月1日 - 自衛艦隊司令部の編制定まる(幕僚長を置き第1護衛隊群司令部幕僚の兼務を廃止)。
- 1956年(昭和31年)8月16日 - 訓練飛行隊群が廃止。
- 1957年(昭和32年)5月10日 - 第1警戒隊群が廃止。
- 1958年(昭和33年)10月1日 - 海上訓練指導隊を第1海上訓練指導隊に改称、第2海上訓練指導隊(呉)を新編。
- 1960年(昭和35年)12月1日 - 第3護衛隊群を新編。第2護衛隊群を廃止。
- 1961年(昭和36年)2月1日 - 第2護衛隊群が新編。
- 1962年(昭和37年)5月1日 - 横須賀地方隊第1揚陸隊を隷下に編入。
- 7月1日 - 海上訓練指導隊群(司令部・第1、第2、第3海上訓練指導隊)を新編。
- 1963年(昭和38年)3月31日 - 呉地方隊第1潜水隊を隷下に編入。
- 1965年(昭和40年)2月1日 - 第1潜水隊群(司令部・護衛艦「かや」・第1、第2潜水隊)を新編。
- 1969年(昭和44年)3月15日 - 長官直轄の第1掃海隊群を隷下に編入。
- 1971年(昭和46年)2月1日 - 護衛艦隊隷下に第4護衛隊群を新編。
- 4月1日 - 第1揚陸隊を第1輸送隊に改称。
- 1973年(昭和48年)10月16日 - 第2潜水隊群、プログラム業務隊を新編。
- 1978年(昭和53年)7月1日 - 海上訓練指導隊群を廃止、開発指導隊群を新編。
- 1981年(昭和56年)2月10日 - 潜水艦隊を新編。第1・第2潜水隊群を潜水艦隊隷下に編入。
- 1982年(昭和57年)3月27日 - 電子業務支援隊を新編。
- 1987年(昭和62年)12月1日 - 航空集団隷下に第22航空群を新編。
- 1995年(平成7年)3月30日 - 作戦情報支援隊を新編。
- 1997年(平成9年)1月20日 - 情報業務群を新編、電子業務支援隊及び作戦情報支援隊を情報業務群隷下に編成替え。
- 2000年(平成12年)3月13日 - 第1、第2掃海隊群を廃止、統合し掃海隊群を新編。
- 2001年(平成13年)3月27日 - 特別警備隊を新編。
- 8月10日 - 第1輸送隊を廃止。
- 2002年(平成14年)3月12日 - 第1輸送隊を新編。
- 2006年(平成18年)4月3日 - 自衛艦隊直轄の第1輸送隊を護衛艦隊隷下に編成替え、長官直轄の海洋業務群を自衛艦隊隷下に編成替え、護衛艦隊隷下に第1海上補給隊を新編。
- 2008年(平成20年)3月26日 - 艦艇部隊及び航空部隊を大改編。
自衛艦隊の編成
- 自衛艦隊(Self Defense Fleet)
- 自衛艦隊司令部
- ※自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)に記載のある総称等を掲載。その他の隊等の細目は各記事項目に詳述。
- ※自衛艦隊直下隊群(艦隊・集団などの中間的な上部組織を持たない群)に記載した群のうち、掃海隊群については、艦隊・集団にあって群にはない掌理の規定(施行令第16条の13第3項)があり、かつ、護衛隊群(同令第17条)よりも前の条項に規定されていることから、他の群よりやや格上(艦隊・集団に準ずる位置)にあるものと考えられるが、ここでは羅列の都合上他の群と同列とした。
司令部の編成
自衛艦隊司令部や隷下部隊の司令部の編成は次のとおりである。
- 司令官・司令
- 幕僚長
- 艦隊・集団及び掃海隊群に置かれる。司令官を補佐し、司令部の部内の事務を整理する。
- 海将補:自衛艦隊司令部幕僚長・護衛艦隊司令部幕僚長・航空集団司令部幕僚長・潜水艦隊司令部幕僚長
- 1等海佐:掃海隊群司令部幕僚長
- 首席幕僚
- 幕僚長の置かれていない司令部(掃海隊群を除く群・隊)にあっては、幕僚のうち最上位にある者を首席幕僚とする。司令の命を受け、当該司令部の部務を整理する。
- 幕僚
- 幕僚長の置かれている司令部(艦隊・集団及び掃海隊群)では、幕僚長の命を受け、当該司令部の部務を分掌する。
- 幕僚長の置かれていない司令部(掃海隊群を除く群・隊)では、司令の命を受け、当該司令部の部務を分掌する。(訓練、通信、気象、航空、後方、法務、監理、水雷の各幕僚の他、医務長という医官が存在する)
- 副官
- 司令官・司令の庶務をつかさどる。
司令部が置かれる旗艦は、1957年(昭和32年)4月1日に第2代自衛艦隊旗艦として護衛艦「ゆきかぜ」(DD-102)が、1961年(昭和36年)7月26日に第3代旗艦として護衛艦「あきづき」(DD-161)がそれぞれ選ばれたが、1963年(昭和38年)3月に自衛艦隊司令部は陸上に移り、横須賀市船越に置かれて現在に至っている。